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2章 魔法使いとストッカー
40 竜とは?
「ばかやろう!!! 何で勝手に返事をするんだ!」
王都屋敷に響くお兄様の大声。お兄様の横でクリスとイーグルもお怒りだ。
「だって… 遅かれ早かれ行かなければならない案件でしょう?」
「そうだが… 安全の確保や警備の問題、色々と下準備が必要だろう?」
「大丈夫よ。相手は竜と言えど手負いだそうだし、ダメそうなら帰って来ていいみたいだし。それに第1王子が既にスタンバイしてるそうですよ」
「だから、バカだと言ってるんだ。なぜ俺を待てない?」
今まで私の後ろで黙っていたロダンが口を挟む。
「ご主人様。もう『行く』と言ってしまった以上、次です。護衛はどうしましょう? ランドの転移はランド以外は5名です」
「はぁぁぁ。そうだな… ジェシー、分かっているとは思うが、夏休みは領で謹慎だ。分かったな!」
「え~。は、はい」
「あとは、護衛かぁ、限られるな… イーグルどうだ?」
「はい。そうですね… まずはリット、ロダンは絶対です。同行者に宰相様がいらっしゃるので、あと1人ですね」
う~んと、保護者達が頭を悩ませていると思わぬ人が手を上げた。
「私が同行してもよろしいでしょうか?」
「ん? ほぉ、珍しい」
お兄様はニヤッとしてロッシーニを見る。ロダンは少し目を細めている。
「私はお嬢様付きですし、多少は自衛が出来ますので足は引っ張りません」
「う~ん。どちらか言うとジェシーを守る要員がいいのだが?」
「そうですが… ジェシー様は自衛が出来るので… 決して邪魔は致しません! お願いです、同行を許可して下さい!」
ロダンがスッとロッシーニに近づく。
「これはただのピクニックでは無いんだ。私利私欲で発言するんじゃない。その辺りの自覚はあるのか?」
「はい、父上。決して己の為ではありません」
ロッシーニの眼差しは真剣だ。皆に囲まれているが一歩も引く気配がない。
「… ご主人様、私には判断がつきません。お願いします」
お兄様はロダンとロッシーニを交互に見て難しい顔をする。
「はっきり言って、ロッシーニが同行するメリットがない。しかし戦力だけを見るとジェシーを守るのには十分ではある… ロッシーニ、怒らないから動機を言ってみろ。お前の事だ、ただジェシーが心配なわけじゃないだろう?」
ロッシーニはビクッとしたが、深呼吸して話し始めた。
「はい。まず、第一王子様です。彼の方はお嬢様に興味を示しておいでです。多少不敬になるでしょうが、学生と言う未熟な私ならば盾になるかと思います。万一、罰せられても私は失うものはありませんし、逆に他の方よりは立場がないが故に守って差し上げられると思うんです。あとは、竜です」
「竜?」
「はい。古の魔獣と伺いました。私は、学校で魔獣の研究をしておりまして、今回、お嬢様のお役に立つかと思います」
「魔獣の知識? お前そんな物を研究対象にしていたのか?」
「はい。我が領は数年に一度ですが魔獣がやってきます。リット様は今やお嬢様付きですので、いざという時に知識豊富なリット様が領に居ない場合があると危惧しておりました。ですので、対処法など魔獣に関してのあらゆる事を調べようと思ったのです。もちろん古の生き物も含めて勉強しました」
領の大人達は『へぇ~』と驚いた顔でロッシーニを見ていた。
「お前がそこまで領の事を考えてくれていたなんて… すまない。見方が変わったよ、ははは。うん、よし、そう言う事なら同行を許可しょう。しかし条件がある」
「はい!」
「ジェシカの側を離れるな。ジェシカがウザがっても1m以内に付き添うんだ。しかし、自分の身は自分で守れ。万一、負傷、最悪死に至っても自己責任だぞ?」
「もちろんです。決して足手まといにはなりません」
こうして、ロンテーヌ領のメンバーが決まった。
私もビックリだ。ロッシーニは少しづつ変わってきたなぁと感じてはいたけど、ここまで意識が変化していたのには驚いた。
時間がないので、部屋で準備をしている間に、ロッシーニにわかる範囲で竜について話を聞く。
「竜ってお伽話の延長的な感じ? でも存在するのよね?」
「はい。お伽噺… 確かに今まで見られなかったので皆の感覚はそれに近いでしょう。しかし、竜の存在は国、この世界の起源に由来します」
「世界の始まり?」
「ええ。この世界を創始した神が自分の使者として4体の竜をこの世に遣わせたとあります」
「へぇ~。それはどこからの引用?」
「教会の創始論、原初の聖書です」
「聖書ねぇ~。教会かぁ…」
「その竜は魔法の基本である、土、水、風、火を司ると言われており、各国の守り神であるとされています」
「ちなみにうちの国は?」
「火の神竜です」
「あぁ、だから、王族は火魔法なのね」
「はい」
「面白いわね。火の竜だから火を吐くとか?」
「そこまでは… 古の生き物と呼ばれるぐらいですから、何にせよ威力は壮大かと」
そっか~。火の竜かぁ。前世でよくあったゲームとかに出てくるドラゴンとか?
「今回の竜は手負いだそうよ。ちょっと心配よね。ジェミニー様の癒しが効かないとか、魔力が高すぎるのかしら? それとも根本が違うのかしら?」
「根本ですか?」
「魔獣に分類されているなら、魔力に対しての抵抗が人と違うか、肉体的な構造が違うのか? じゃない?」
「魔獣に分類されているのは、ただ単に人と区別したからではないでしょうか? 神の使者と言い伝えられているのにいささか矛盾します」
「そうねぇ。でも、神の使者だと説いているのは教会よね? そもそもの創始の話が書かれている本とか無いの?」
「現存ではないかと。王も資料が少ないとおっしゃっていたのでは?」
「そうなんだよね~」
私たちが話している間に準備が整った。ケイトはマーサから貰った髪飾りとランドが新しく作ったと言うマントを念入りに整えている。
「こんなに厳重なら大丈夫よね?」
「そうですね… でも心配です。まだ何かなかったかしら?」
と、ケイトは装飾品の中を探している。
「ロッシーニ、他はある? 竜について」
「そうですね… これも聖書からの引用ですが、『王またはそれに見合う者だけが使者と語らえる』と」
「語らう? 話せるって事?」
「具体的には分かりかねます」
ふ~ん。話せるとか! いいじゃん! ますます楽しみになってきた!
「ごほん! お嬢様! お顔に出ていますよ! 竜に会うのにどうしてそんなにワクワクしてるのですか! 少しは周りの身にもなって下さい!」
「あはは、ごめんなさい。だって… ねぇ?」
と、ロッシーニに助けを求めるが肩をすぼめて苦笑いしている。
「お嬢様! あと、竜ばかりに気がいっているようですが、王子様にはお気をつけになって下さいね」
「はいはい。てか、竜がいるのに王子も変な事はしないでしょうよ。大丈夫よ」
「はぁぁ。呑気な事。ロッシーニ、きちんと見ておくのですよ!」
ロッシーニは思わぬとばっちりに目をぱちくりさせた。
「本当に… 大丈夫かしら?」
「大丈夫よ、ケイト。帰ってきたら竜の事、いっぱい教えてあげる!」
「はぁぁ」
ケイトは大きなため息をつき、呆れながらドアの外のロダンを呼びに行った。
「ロッシーニ、今回はありがとう。あなたの事見直したわ」
「いえ」
ロッシーニは照れると言うよりは、少し困惑している。
「あなたが領の事をこんなにも愛してくれていたなんて… 本当に嬉しいわ」
「そんな事は… しかし、ジェシー様にお仕えするようになって、心構えと言うか志は変わりました。私からもお礼を言わせて下さい。今まで自分本位なぶそんな態度でジェシー様を… 本当に申し訳ございませんでした。しかし、こんな私を側に置いてくださり、毎日がとても勉強になります。ジェシー様にお仕え出来る事、幸運に思います。ありがとうございます」
直角に礼をするロッシーニ。改めて言われたのは初めてな気がする。ちょっとむず痒いな。
「いいのよ。よかったわロッシーニの為になって… 蒸し返して悪いけど、私付きじゃ、逆に苦痛にならないか心配していたのよ」
「いえ、そんな事は決してありません」
「それならいいの」
ふふふとわだかまりが一気に解消した私達はやっと心も許せる主従関係になったかな?
「お嬢様、時間です」
王都屋敷に響くお兄様の大声。お兄様の横でクリスとイーグルもお怒りだ。
「だって… 遅かれ早かれ行かなければならない案件でしょう?」
「そうだが… 安全の確保や警備の問題、色々と下準備が必要だろう?」
「大丈夫よ。相手は竜と言えど手負いだそうだし、ダメそうなら帰って来ていいみたいだし。それに第1王子が既にスタンバイしてるそうですよ」
「だから、バカだと言ってるんだ。なぜ俺を待てない?」
今まで私の後ろで黙っていたロダンが口を挟む。
「ご主人様。もう『行く』と言ってしまった以上、次です。護衛はどうしましょう? ランドの転移はランド以外は5名です」
「はぁぁぁ。そうだな… ジェシー、分かっているとは思うが、夏休みは領で謹慎だ。分かったな!」
「え~。は、はい」
「あとは、護衛かぁ、限られるな… イーグルどうだ?」
「はい。そうですね… まずはリット、ロダンは絶対です。同行者に宰相様がいらっしゃるので、あと1人ですね」
う~んと、保護者達が頭を悩ませていると思わぬ人が手を上げた。
「私が同行してもよろしいでしょうか?」
「ん? ほぉ、珍しい」
お兄様はニヤッとしてロッシーニを見る。ロダンは少し目を細めている。
「私はお嬢様付きですし、多少は自衛が出来ますので足は引っ張りません」
「う~ん。どちらか言うとジェシーを守る要員がいいのだが?」
「そうですが… ジェシー様は自衛が出来るので… 決して邪魔は致しません! お願いです、同行を許可して下さい!」
ロダンがスッとロッシーニに近づく。
「これはただのピクニックでは無いんだ。私利私欲で発言するんじゃない。その辺りの自覚はあるのか?」
「はい、父上。決して己の為ではありません」
ロッシーニの眼差しは真剣だ。皆に囲まれているが一歩も引く気配がない。
「… ご主人様、私には判断がつきません。お願いします」
お兄様はロダンとロッシーニを交互に見て難しい顔をする。
「はっきり言って、ロッシーニが同行するメリットがない。しかし戦力だけを見るとジェシーを守るのには十分ではある… ロッシーニ、怒らないから動機を言ってみろ。お前の事だ、ただジェシーが心配なわけじゃないだろう?」
ロッシーニはビクッとしたが、深呼吸して話し始めた。
「はい。まず、第一王子様です。彼の方はお嬢様に興味を示しておいでです。多少不敬になるでしょうが、学生と言う未熟な私ならば盾になるかと思います。万一、罰せられても私は失うものはありませんし、逆に他の方よりは立場がないが故に守って差し上げられると思うんです。あとは、竜です」
「竜?」
「はい。古の魔獣と伺いました。私は、学校で魔獣の研究をしておりまして、今回、お嬢様のお役に立つかと思います」
「魔獣の知識? お前そんな物を研究対象にしていたのか?」
「はい。我が領は数年に一度ですが魔獣がやってきます。リット様は今やお嬢様付きですので、いざという時に知識豊富なリット様が領に居ない場合があると危惧しておりました。ですので、対処法など魔獣に関してのあらゆる事を調べようと思ったのです。もちろん古の生き物も含めて勉強しました」
領の大人達は『へぇ~』と驚いた顔でロッシーニを見ていた。
「お前がそこまで領の事を考えてくれていたなんて… すまない。見方が変わったよ、ははは。うん、よし、そう言う事なら同行を許可しょう。しかし条件がある」
「はい!」
「ジェシカの側を離れるな。ジェシカがウザがっても1m以内に付き添うんだ。しかし、自分の身は自分で守れ。万一、負傷、最悪死に至っても自己責任だぞ?」
「もちろんです。決して足手まといにはなりません」
こうして、ロンテーヌ領のメンバーが決まった。
私もビックリだ。ロッシーニは少しづつ変わってきたなぁと感じてはいたけど、ここまで意識が変化していたのには驚いた。
時間がないので、部屋で準備をしている間に、ロッシーニにわかる範囲で竜について話を聞く。
「竜ってお伽話の延長的な感じ? でも存在するのよね?」
「はい。お伽噺… 確かに今まで見られなかったので皆の感覚はそれに近いでしょう。しかし、竜の存在は国、この世界の起源に由来します」
「世界の始まり?」
「ええ。この世界を創始した神が自分の使者として4体の竜をこの世に遣わせたとあります」
「へぇ~。それはどこからの引用?」
「教会の創始論、原初の聖書です」
「聖書ねぇ~。教会かぁ…」
「その竜は魔法の基本である、土、水、風、火を司ると言われており、各国の守り神であるとされています」
「ちなみにうちの国は?」
「火の神竜です」
「あぁ、だから、王族は火魔法なのね」
「はい」
「面白いわね。火の竜だから火を吐くとか?」
「そこまでは… 古の生き物と呼ばれるぐらいですから、何にせよ威力は壮大かと」
そっか~。火の竜かぁ。前世でよくあったゲームとかに出てくるドラゴンとか?
「今回の竜は手負いだそうよ。ちょっと心配よね。ジェミニー様の癒しが効かないとか、魔力が高すぎるのかしら? それとも根本が違うのかしら?」
「根本ですか?」
「魔獣に分類されているなら、魔力に対しての抵抗が人と違うか、肉体的な構造が違うのか? じゃない?」
「魔獣に分類されているのは、ただ単に人と区別したからではないでしょうか? 神の使者と言い伝えられているのにいささか矛盾します」
「そうねぇ。でも、神の使者だと説いているのは教会よね? そもそもの創始の話が書かれている本とか無いの?」
「現存ではないかと。王も資料が少ないとおっしゃっていたのでは?」
「そうなんだよね~」
私たちが話している間に準備が整った。ケイトはマーサから貰った髪飾りとランドが新しく作ったと言うマントを念入りに整えている。
「こんなに厳重なら大丈夫よね?」
「そうですね… でも心配です。まだ何かなかったかしら?」
と、ケイトは装飾品の中を探している。
「ロッシーニ、他はある? 竜について」
「そうですね… これも聖書からの引用ですが、『王またはそれに見合う者だけが使者と語らえる』と」
「語らう? 話せるって事?」
「具体的には分かりかねます」
ふ~ん。話せるとか! いいじゃん! ますます楽しみになってきた!
「ごほん! お嬢様! お顔に出ていますよ! 竜に会うのにどうしてそんなにワクワクしてるのですか! 少しは周りの身にもなって下さい!」
「あはは、ごめんなさい。だって… ねぇ?」
と、ロッシーニに助けを求めるが肩をすぼめて苦笑いしている。
「お嬢様! あと、竜ばかりに気がいっているようですが、王子様にはお気をつけになって下さいね」
「はいはい。てか、竜がいるのに王子も変な事はしないでしょうよ。大丈夫よ」
「はぁぁ。呑気な事。ロッシーニ、きちんと見ておくのですよ!」
ロッシーニは思わぬとばっちりに目をぱちくりさせた。
「本当に… 大丈夫かしら?」
「大丈夫よ、ケイト。帰ってきたら竜の事、いっぱい教えてあげる!」
「はぁぁ」
ケイトは大きなため息をつき、呆れながらドアの外のロダンを呼びに行った。
「ロッシーニ、今回はありがとう。あなたの事見直したわ」
「いえ」
ロッシーニは照れると言うよりは、少し困惑している。
「あなたが領の事をこんなにも愛してくれていたなんて… 本当に嬉しいわ」
「そんな事は… しかし、ジェシー様にお仕えするようになって、心構えと言うか志は変わりました。私からもお礼を言わせて下さい。今まで自分本位なぶそんな態度でジェシー様を… 本当に申し訳ございませんでした。しかし、こんな私を側に置いてくださり、毎日がとても勉強になります。ジェシー様にお仕え出来る事、幸運に思います。ありがとうございます」
直角に礼をするロッシーニ。改めて言われたのは初めてな気がする。ちょっとむず痒いな。
「いいのよ。よかったわロッシーニの為になって… 蒸し返して悪いけど、私付きじゃ、逆に苦痛にならないか心配していたのよ」
「いえ、そんな事は決してありません」
「それならいいの」
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