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2章 魔法使いとストッカー
61 古の闇子
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「皆、もう大丈夫か? まだ気分が優れない者は下がってもいいぞ」
お兄様が私たちの心配をしてくれる。マーサはまだ回復しないのか、今だベッドの住人である。なので今日は欠席。
「では、昨日の件の報告を」
部屋に集まっているのは謁見に行ったメンバーと、お兄様、イーグル、ケイト、ロッシーニだ。
「~と言うわけで謁見はそのように。お嬢様が古代語が扱えると知っている外部の者は、国が誓約を締結してくれるので問題ないでしょう。いずれは発表すると言っていましたが、ずっと先なのでその際はご主人様にお声がかかると思われます」
お兄様はパラパラと報告書に目を通しているが、納得していない様子。って、ロダン! あんな状態で報告書とか書いたの? うわー。
「あとは? まだあるんだろう? 昨日の様子は尋常じゃなかった。襲撃でないのなら何なんだ?」
思い出したメンバーはちょっとだけ顔色が悪くなる。別に嫌なことじゃないけど、ねぇ。人智を超えた体験にまだ頭が追いついていない。
「それも私から」
ロダンは一部始終を全て話した。と、当然のように沈黙になる。ケイトはちょっと蒼白な顔で震えている。
「古の闇子… か」
お兄様はとイーグルが渋い顔で悩み出す。
「いえ、お兄様。『古の闇子を助けて』です」
「… 助けるのか。闇の子を?」
「そこなんですよね~」
全員が満場一致でう~んと唸る。
「言葉からして闇子はいいモノとは思えないんだが?」
「でも、その得体の知れないモノを助けないといけないんですよね」
全員が頭を抱えてお手上げ状態だ。
「まっ。考えてもしょうがない。そのうちわかるかもしれんし、今は情報が少なすぎる。いくら女神様のお願いとは言え… 様子を見よう」
「そうですね。お嬢様もあまり根を詰めてあれやこれやと考えないように」
お兄様とロダンはあっさり一旦保留と結論づけた。
「あ~、あとな、イーグルからジェシーに伝言があるそうだ」
会議が終わり、みんな持ち場に戻っていく中、いそいそとイーグルが私に近づいてきた。
「何? いいニュース?」
「はは、いいニュースかどうかは。領地の城にローラという娘が訪ねてきまして、ぜひお嬢様に見てもらいたい物があるそうです」
「ローラ… あ~、ピンクちゃんね」
ピンクと呟いた私にロダンがサッとかけ寄ってくる。
「お嬢様。ローラが何か?」
「私に用事があるんだって。何だろう? 直接聞いた方がいい?」
「イーグル、他に何か言っていたか?」
「『執事さんも来て欲しい』と申しておりました」
何だ?
「ロダンは面識あるんだったね… 確か領民登録の手続きをしたんだよね」
「はい。しかしあの娘とそれ以上の接点はないはずですが… 何でしょう」
ロダンもピンと来ていない様子。これは警戒した方がいいのかな?
「会わない方がいい?」
「しかし… 明後日から領地へ戻る予定ではあるんです。少し警備面も踏まえ考えてみましょう。あの娘からの呼び出しですからね。大した用事でなければいいが」
え~、そんなこと聞いてない! うそ! やった~!
「学校始まるまでちょっとしかないけど、私も領地に帰れるの?」
「はい。ご主人様も婚約式を終え、雑務もあらかた片付きましたので、アンジェリカ様をお連れしようかと。あと、お嬢様も帰る予定ですが… 理由は後でお話しします」
「? 了解」
お兄様が私たちの心配をしてくれる。マーサはまだ回復しないのか、今だベッドの住人である。なので今日は欠席。
「では、昨日の件の報告を」
部屋に集まっているのは謁見に行ったメンバーと、お兄様、イーグル、ケイト、ロッシーニだ。
「~と言うわけで謁見はそのように。お嬢様が古代語が扱えると知っている外部の者は、国が誓約を締結してくれるので問題ないでしょう。いずれは発表すると言っていましたが、ずっと先なのでその際はご主人様にお声がかかると思われます」
お兄様はパラパラと報告書に目を通しているが、納得していない様子。って、ロダン! あんな状態で報告書とか書いたの? うわー。
「あとは? まだあるんだろう? 昨日の様子は尋常じゃなかった。襲撃でないのなら何なんだ?」
思い出したメンバーはちょっとだけ顔色が悪くなる。別に嫌なことじゃないけど、ねぇ。人智を超えた体験にまだ頭が追いついていない。
「それも私から」
ロダンは一部始終を全て話した。と、当然のように沈黙になる。ケイトはちょっと蒼白な顔で震えている。
「古の闇子… か」
お兄様はとイーグルが渋い顔で悩み出す。
「いえ、お兄様。『古の闇子を助けて』です」
「… 助けるのか。闇の子を?」
「そこなんですよね~」
全員が満場一致でう~んと唸る。
「言葉からして闇子はいいモノとは思えないんだが?」
「でも、その得体の知れないモノを助けないといけないんですよね」
全員が頭を抱えてお手上げ状態だ。
「まっ。考えてもしょうがない。そのうちわかるかもしれんし、今は情報が少なすぎる。いくら女神様のお願いとは言え… 様子を見よう」
「そうですね。お嬢様もあまり根を詰めてあれやこれやと考えないように」
お兄様とロダンはあっさり一旦保留と結論づけた。
「あ~、あとな、イーグルからジェシーに伝言があるそうだ」
会議が終わり、みんな持ち場に戻っていく中、いそいそとイーグルが私に近づいてきた。
「何? いいニュース?」
「はは、いいニュースかどうかは。領地の城にローラという娘が訪ねてきまして、ぜひお嬢様に見てもらいたい物があるそうです」
「ローラ… あ~、ピンクちゃんね」
ピンクと呟いた私にロダンがサッとかけ寄ってくる。
「お嬢様。ローラが何か?」
「私に用事があるんだって。何だろう? 直接聞いた方がいい?」
「イーグル、他に何か言っていたか?」
「『執事さんも来て欲しい』と申しておりました」
何だ?
「ロダンは面識あるんだったね… 確か領民登録の手続きをしたんだよね」
「はい。しかしあの娘とそれ以上の接点はないはずですが… 何でしょう」
ロダンもピンと来ていない様子。これは警戒した方がいいのかな?
「会わない方がいい?」
「しかし… 明後日から領地へ戻る予定ではあるんです。少し警備面も踏まえ考えてみましょう。あの娘からの呼び出しですからね。大した用事でなければいいが」
え~、そんなこと聞いてない! うそ! やった~!
「学校始まるまでちょっとしかないけど、私も領地に帰れるの?」
「はい。ご主人様も婚約式を終え、雑務もあらかた片付きましたので、アンジェリカ様をお連れしようかと。あと、お嬢様も帰る予定ですが… 理由は後でお話しします」
「? 了解」
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