ご令嬢は天才外科医から全力で逃げたい。

館花陽月

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プロローグ

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私は、山科美桜やましなみお

東京から新幹線で北へ2時間ほどの山間の町に生まれ育った。

旧華族の名門家の出身で、現在でも地方のメディアや、政治家などに
圧倒的な力を持って君臨する有名な一族。

生まれた時から、私の人生は決められていた。

父や母、そして祖母に厳しく育てられたのだった。

小さな頃から、茶道、華道、ピアノ、コントラバス、お料理
を習わされ土日も習い事。

唯一の兄も、帝王学を幼少から学ぶ秀才だった。

3歳の時には、私の人生設計は親によって決められていた。
進む進路の全て、そして将来就くべき職業。

勿論、そこには結婚相手も含まれていた。

母の大学時代の親友の息子でもある、藤堂物産のご子息 「藤堂 海」。

彼には、幼い頃から何度も会う機会を設けられて
幼馴染のように、遊んだ。

いつからか、秀麗でお坊ちゃんのような容姿とは似ても似つかぬ、暴言で貶められた
のだった。

「お前のような不細工が婚約者なんて最悪だ!!」


「じゃじゃ馬で品のない馬鹿な女と、結婚なんかしたくない。」

会うたびに母達から見えない所で、揶揄われ、虐められた。

こんな性格最悪な男と結婚したら、絶対不幸まっしぐらに決まっている!!

自分の人生は、自分で掴む。

私は私になってやるのだと、親の反対を押し切って東京の大学を受験した。

東京で自分の人生を掴み、一人で生きていく力をつける為に単身、上京を決めたのだった。
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