45 / 124
恋は混戦模様。
天才同士のライバル宣言⑦
しおりを挟む
激しい雨音が聞こえていた。
私は濡れた体で慧の腕の中で抱きしめられていた。
「美桜・・。君は俺の事が好きだろ?」
慧の胸からは以前も感じた優しい香りと、温かい体温を感じた。
昨日の海との口づけには嫌悪感を感じたのに、私は彼に抱きしめられても嫌な気持ちはしない。
その明らかな差に、理央から言われた「その内に気づく」と言う言葉が頭を掠めた。
「いいえ。・・それはないです。好きじゃないです全然。」
「ふーん。でも、心拍数が上がってるよ。勿論、俺も上がってるけど。」
指摘された途端、1秒でも早く離れなきゃと思った。
腕を突っ張ると、クスッと笑った慧に「図星だな。素直で可愛い。」と言われて耳まで真っ赤になった。
「うちにおいで。二条だって病院経営だけじゃない。それこそ、あらゆる権力と繋がっているんだ。俺なら君を守れる。」
私は驚いて、胸の中で顔を上げて慧を見上げた。
「そんなご迷惑かけられません。それに私、・・・二条先生にまで何かあったら耐えられない!」
「ふーん。・・可笑しいな。どうして俺に何かあったら君が耐えられないの?」
私はポカンとした顔で慧を見上げた。
あれ?
何で私はこの人に何かあったら嫌なんだろう・・・。
目をパチクリしながら見つめていた。
「ぶっ・・。あはははは。」
「は?何ですか!?ちょっと、人の顔を見てそんなに笑わないで下さいよ、失礼でしょう?」
私の頬を両手で挟んで、上から至近距離で見下ろした慧は真剣な表情を向けた。
「やっぱり君は俺の事が好きだろう?
鈍い君はその感情に気づいていないようだし、それに気づきたくないんだね。」
至近距離の美形の接近戦に目を泳がせた私は非常に心臓が煩かった。
「だけど、俺は鈍感な所も好きだ。鈍感にならざる得ない環境で育った君の全てを理解したいと思ってる。」
私は、その言葉に心臓が止まりそうな程大きく胸が鳴った。
「私は敏感です・・。だって私今の言葉、すごく嬉しいです。
でも、貴方に何も返せないし。貴方の人生の重荷や、足手纏いになるなんて嫌です。」
頬を膨らまして、そっぽを向こうとしたら嬉しそうに慧はその言葉に微笑んでいた。
「君が俺の側にいてくれる。それだけでいいよ。」
「そんなの・・。守られるだけなんて、私が嫌です。」
「俺がどれだけ君を好きか知らないからそんな事が言えるんだ。
君は俺が医者じゃなくなっても、大金持ちじゃなくなっても好きでいてくれるだろう?」
「私が好きな前提なのが納得いきませんが・・、あなたのスペックがどうでも・・変わらないと思います・・。」
私は濡れた体で慧の腕の中で抱きしめられていた。
「美桜・・。君は俺の事が好きだろ?」
慧の胸からは以前も感じた優しい香りと、温かい体温を感じた。
昨日の海との口づけには嫌悪感を感じたのに、私は彼に抱きしめられても嫌な気持ちはしない。
その明らかな差に、理央から言われた「その内に気づく」と言う言葉が頭を掠めた。
「いいえ。・・それはないです。好きじゃないです全然。」
「ふーん。でも、心拍数が上がってるよ。勿論、俺も上がってるけど。」
指摘された途端、1秒でも早く離れなきゃと思った。
腕を突っ張ると、クスッと笑った慧に「図星だな。素直で可愛い。」と言われて耳まで真っ赤になった。
「うちにおいで。二条だって病院経営だけじゃない。それこそ、あらゆる権力と繋がっているんだ。俺なら君を守れる。」
私は驚いて、胸の中で顔を上げて慧を見上げた。
「そんなご迷惑かけられません。それに私、・・・二条先生にまで何かあったら耐えられない!」
「ふーん。・・可笑しいな。どうして俺に何かあったら君が耐えられないの?」
私はポカンとした顔で慧を見上げた。
あれ?
何で私はこの人に何かあったら嫌なんだろう・・・。
目をパチクリしながら見つめていた。
「ぶっ・・。あはははは。」
「は?何ですか!?ちょっと、人の顔を見てそんなに笑わないで下さいよ、失礼でしょう?」
私の頬を両手で挟んで、上から至近距離で見下ろした慧は真剣な表情を向けた。
「やっぱり君は俺の事が好きだろう?
鈍い君はその感情に気づいていないようだし、それに気づきたくないんだね。」
至近距離の美形の接近戦に目を泳がせた私は非常に心臓が煩かった。
「だけど、俺は鈍感な所も好きだ。鈍感にならざる得ない環境で育った君の全てを理解したいと思ってる。」
私は、その言葉に心臓が止まりそうな程大きく胸が鳴った。
「私は敏感です・・。だって私今の言葉、すごく嬉しいです。
でも、貴方に何も返せないし。貴方の人生の重荷や、足手纏いになるなんて嫌です。」
頬を膨らまして、そっぽを向こうとしたら嬉しそうに慧はその言葉に微笑んでいた。
「君が俺の側にいてくれる。それだけでいいよ。」
「そんなの・・。守られるだけなんて、私が嫌です。」
「俺がどれだけ君を好きか知らないからそんな事が言えるんだ。
君は俺が医者じゃなくなっても、大金持ちじゃなくなっても好きでいてくれるだろう?」
「私が好きな前提なのが納得いきませんが・・、あなたのスペックがどうでも・・変わらないと思います・・。」
0
あなたにおすすめの小説
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
混血の私が純血主義の竜人王子の番なわけない
三国つかさ
恋愛
竜人たちが通う学園で、竜人の王子であるレクスをひと目見た瞬間から恋に落ちてしまった混血の少女エステル。好き過ぎて狂ってしまいそうだけど、分不相応なので必死に隠すことにした。一方のレクスは涼しい顔をしているが、純血なので実は番に対する感情は混血のエステルより何倍も深いのだった。
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
【完結・おまけ追加】期間限定の妻は夫にとろっとろに蕩けさせられて大変困惑しております
紬あおい
恋愛
病弱な妹リリスの代わりに嫁いだミルゼは、夫のラディアスと期間限定の夫婦となる。
二年後にはリリスと交代しなければならない。
そんなミルゼを閨で蕩かすラディアス。
普段も優しい良き夫に困惑を隠せないミルゼだった…
復讐のための五つの方法
炭田おと
恋愛
皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。
それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。
グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。
72話で完結です。
ツンデレ王子とヤンデレ執事 (旧 安息を求めた婚約破棄(連載版))
あみにあ
恋愛
公爵家の長女として生まれたシャーロット。
学ぶことが好きで、気が付けば皆の手本となる令嬢へ成長した。
だけど突然妹であるシンシアに嫌われ、そしてなぜか自分を嫌っている第一王子マーティンとの婚約が決まってしまった。
窮屈で居心地の悪い世界で、これが自分のあるべき姿だと言い聞かせるレールにそった人生を歩んでいく。
そんなときある夜会で騎士と出会った。
その騎士との出会いに、新たな想いが芽生え始めるが、彼女に選択できる自由はない。
そして思い悩んだ末、シャーロットが導きだした答えとは……。
表紙イラスト:San+様(Twitterアカウント@San_plus_)
※以前、短編にて投稿しておりました「安息を求めた婚約破棄」の連載版となります。短編を読んでいない方にもわかるようになっておりますので、ご安心下さい。
結末は短編と違いがございますので、最後まで楽しんで頂ければ幸いです。
※毎日更新、全3部構成 全81話。(2020年3月7日21時完結)
★おまけ投稿中★
※小説家になろう様でも掲載しております。
強面夫の裏の顔は妻以外には見せられません!
ましろ
恋愛
「誰がこんなことをしろと言った?」
それは夫のいる騎士団へ差し入れを届けに行った私への彼からの冷たい言葉。
挙げ句の果てに、
「用が済んだなら早く帰れっ!」
と追い返されてしまいました。
そして夜、屋敷に戻って来た夫は───
✻ゆるふわ設定です。
気を付けていますが、誤字脱字などがある為、あとからこっそり修正することがあります。
ドレスが似合わないと言われて婚約解消したら、いつの間にか殿下に囲われていた件
ぽぽよ
恋愛
似合わないドレスばかりを送りつけてくる婚約者に嫌気がさした令嬢シンシアは、婚約を解消し、ドレスを捨てて男装の道を選んだ。
スラックス姿で生きる彼女は、以前よりも自然体で、王宮でも次第に評価を上げていく。
しかしその裏で、爽やかな笑顔を張り付けた王太子が、密かにシンシアへの執着を深めていた。
一方のシンシアは極度の鈍感で、王太子の好意をすべて「親切」「仕事」と受け取ってしまう。
「一生お仕えします」という言葉の意味を、まったく違う方向で受け取った二人。
これは、男装令嬢と爽やか策士王太子による、勘違いから始まる婚約(包囲)物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる