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恋は混戦模様。
最恐の登場⑧
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帝都ホテルのブティックの廊下を時間潰しの為に、着物姿で闊歩する女性の元に1人の背の高い男性が近づいて声をかける。
「山科 菫さんですね?」
振り向いた美桜の母は、彼女同様に美しく、年を重ねて培った艶や品も併せ持っていた。
しかし、慧はその見かけの美しさの中には毒がある事を知っていた。
「貴方は・・どなたかしら?お目にかかった事はあって?」
目の前の男性の麗しい見目に驚きながらも、自分と同じ階層の人間のようなオーラを感じて微笑んだ。
「ありますよ。ただ、忘れるくらい昔の話です。私は美桜さんとお付き合いしている二条慧と申します。」
一瞬表情を歪めた菫は、慧をキッと睨む。
「・・・何とおっしゃいました?うちの美桜が貴方と?
そんな筈はないわ。あの子は半年後に許嫁と結婚する予定になっているんですよ?それに・・この事をあの人が知ったら・・。」
慧は、眉を顰めて、表情に陰りを浮かべた菫の前に一枚の紙を差し出す。
「2人の関係を認めて欲しいとは思いますが、それは貴方のご友人とのお約束に反するでしょうからね。
無理ならせめて半年間、俺の邪魔はしないで下さい。これが公に出てもいいなら構いませんが・・。」
真っ青になって震える菫の顔を見下ろした慧の瞳は、冷たい色を浮かべていた。
「貴方・・一体何処でこれを!?一体どうやって手に入れたの?」
いつもは冷静な菫は、仮面を剥いで感情的に威嚇した。
「ハハハ、どうやってでしょうか?そうだ・・菫さん、「切り札」は何処ですか?」
「何故貴方が・・それを!?貴方は何者なの・・。どうして山科のタブーばかりついてくるの!?」
ブルブル震えた菫の唇は紫色になっていた。
「何故でしょうかね。美桜を苦しめる山科が僕は大嫌いなだけです。・・もう一度言います、切り札は何処ですか?」
「私がもし口外した事が知られたら・・。私だって殺されてしまう。
お願い、その紙を私に渡して!!美桜と付き合いたいなら勝手にすればいい。私は貴方達に二度と手を出さないからお願いします・・!!」
「そうですか、物分かりが良くて助かります。私も貴方が死んでも面白くも何ともありません。仕方ないですね、自分で探すことにします。・・・それでは失礼します。」
菫が美桜に見せるような、見下したような微笑みをわざと菫に向けた。
「待って!!それを渡して・・。こんな事が世間に公表されたらスキャンダルになるわ。
貴方のせいで・・。貴方の大切な美桜だって傷つくのよ!!」
縋るように、慧の腕に手を巻き付けて静止する。
「だったら・・。全力で俺が彼女を守るだけだ。山科なんか捨てればいい。」
冷静だった慧も図星を突かれて動揺した様子を見せる。
「こんな事をして無事で済むと思っているの?あの人を敵に回したら・・。」
「構わない・・。山科よりも強い力が世の中には沢山存在しているんです。
もし俺の邪魔をすれば、まずはこれが公にされる。そこから始まる蟻地獄をスタートさせたいなら好きにしろ。
あいつも知らない事実だ。言えるのか、あんたが・・・。」
「わかったわ!私は貴方の邪魔をしないと誓うわ・・。この事が公にならないのなら、山科がどうなろうと、私には関係ない。・・好きにすればいいわ。」
「そうでしょうね。本当は誰よりも山科を潰したいのは貴方でしょうから・・。」
菫は苦しそうに、慧の持っている紙を見上げて涙を零した。
「山科 菫さんですね?」
振り向いた美桜の母は、彼女同様に美しく、年を重ねて培った艶や品も併せ持っていた。
しかし、慧はその見かけの美しさの中には毒がある事を知っていた。
「貴方は・・どなたかしら?お目にかかった事はあって?」
目の前の男性の麗しい見目に驚きながらも、自分と同じ階層の人間のようなオーラを感じて微笑んだ。
「ありますよ。ただ、忘れるくらい昔の話です。私は美桜さんとお付き合いしている二条慧と申します。」
一瞬表情を歪めた菫は、慧をキッと睨む。
「・・・何とおっしゃいました?うちの美桜が貴方と?
そんな筈はないわ。あの子は半年後に許嫁と結婚する予定になっているんですよ?それに・・この事をあの人が知ったら・・。」
慧は、眉を顰めて、表情に陰りを浮かべた菫の前に一枚の紙を差し出す。
「2人の関係を認めて欲しいとは思いますが、それは貴方のご友人とのお約束に反するでしょうからね。
無理ならせめて半年間、俺の邪魔はしないで下さい。これが公に出てもいいなら構いませんが・・。」
真っ青になって震える菫の顔を見下ろした慧の瞳は、冷たい色を浮かべていた。
「貴方・・一体何処でこれを!?一体どうやって手に入れたの?」
いつもは冷静な菫は、仮面を剥いで感情的に威嚇した。
「ハハハ、どうやってでしょうか?そうだ・・菫さん、「切り札」は何処ですか?」
「何故貴方が・・それを!?貴方は何者なの・・。どうして山科のタブーばかりついてくるの!?」
ブルブル震えた菫の唇は紫色になっていた。
「何故でしょうかね。美桜を苦しめる山科が僕は大嫌いなだけです。・・もう一度言います、切り札は何処ですか?」
「私がもし口外した事が知られたら・・。私だって殺されてしまう。
お願い、その紙を私に渡して!!美桜と付き合いたいなら勝手にすればいい。私は貴方達に二度と手を出さないからお願いします・・!!」
「そうですか、物分かりが良くて助かります。私も貴方が死んでも面白くも何ともありません。仕方ないですね、自分で探すことにします。・・・それでは失礼します。」
菫が美桜に見せるような、見下したような微笑みをわざと菫に向けた。
「待って!!それを渡して・・。こんな事が世間に公表されたらスキャンダルになるわ。
貴方のせいで・・。貴方の大切な美桜だって傷つくのよ!!」
縋るように、慧の腕に手を巻き付けて静止する。
「だったら・・。全力で俺が彼女を守るだけだ。山科なんか捨てればいい。」
冷静だった慧も図星を突かれて動揺した様子を見せる。
「こんな事をして無事で済むと思っているの?あの人を敵に回したら・・。」
「構わない・・。山科よりも強い力が世の中には沢山存在しているんです。
もし俺の邪魔をすれば、まずはこれが公にされる。そこから始まる蟻地獄をスタートさせたいなら好きにしろ。
あいつも知らない事実だ。言えるのか、あんたが・・・。」
「わかったわ!私は貴方の邪魔をしないと誓うわ・・。この事が公にならないのなら、山科がどうなろうと、私には関係ない。・・好きにすればいいわ。」
「そうでしょうね。本当は誰よりも山科を潰したいのは貴方でしょうから・・。」
菫は苦しそうに、慧の持っている紙を見上げて涙を零した。
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