104 / 124
果たされた約束。
未来の選択③
しおりを挟む
「聖人も無事だよ。機械に繋がれてるけど、ちゃんと今も生きていた。
叔父が彼の事も守ってくれてる。一緒に会いに行こうな。」
「お兄様にも会ったの?
私が一生分泣いている間に解決するなんて格好良すぎだよ。
ハルは、やっぱり魔法使いみたいね!!」
懐かしい台詞と共に胸が熱くなる。
膝をついて、部屋のダイニングの床にしゃがむ。
彼女の手を取り、優しく見上げた。
「全てを片付けて、僕だけのお嬢様をお迎えに来ました。もう二度と離れたくないんです。
どうか、一緒に家に帰ってくれませんか?」
美桜は顔を顰めて、訝し気な表情を浮かべている。
頬をピンク色に染めて、少し腫れぼったくなった大きな瞳は潤んでいた。
可愛い・・。
ピンク色の唇を震わせている。
誰よりも可愛くて、愛しい美桜。
「・・はい。」
目を閉じた美桜の顎を掴んで顔を近づける。
唇をしっとりと合わせた。
甘い唇を味わい、幸せを感じた次の瞬間。
彼女は苦しそうに唇を離し、潤んだ瞳で爆弾を投下した。
「ねえ、聞いて。私、さっき留学の話を頂いたの・・・。」
29年間生きてきて、殆ど驚くことなどなかった。
「なに?いつから、何処に?いつまで行くんだ!?」
裏返るような声掛けに、美桜は不安そうに表情が陰る。
「来年の3月から、ニューヨークに2年間だって。
博士論文の出来が良かったから、教授が推薦してくれたってさっき電話があって。
お給料を貰いながら学べるんだって。
有名な大学院のドクターのコースで勉強出来るみたいなの。
論文書いている時に楽しいって言ってたら、教授も研究職向いてるって言ってくれてて・・。
こんなチャンス滅多にないから、お受けしようと思っていたの。正直、迷ってる。」
彼女にとって素晴らしいチャンスだと言う事は分かってる。
確かに、論文を書いていた彼女は楽しそうでキラキラしていた・・。
専門職が向いてる方だとは思う。
更に2年お預けなのか!?
「アメリカと日本。・・またか。
何だその拷問。」
「さっきまで嬉しくて、それしかないかなって思ってた。
・・・慧の側で、私は幸せになんかなれないって思っていたから。
だけど、貴方の側にいれるなら・・それだけで私は幸せなの。」
困ったように微笑む美桜に、不安が過る。
彼女とのこの意味の分からないすれ違いに、苦く笑う。
だけど、彼女が認められた事を嬉しく思う自分の方が大きかった。
「わかった行こうよアメリカ・・。」
叔父が彼の事も守ってくれてる。一緒に会いに行こうな。」
「お兄様にも会ったの?
私が一生分泣いている間に解決するなんて格好良すぎだよ。
ハルは、やっぱり魔法使いみたいね!!」
懐かしい台詞と共に胸が熱くなる。
膝をついて、部屋のダイニングの床にしゃがむ。
彼女の手を取り、優しく見上げた。
「全てを片付けて、僕だけのお嬢様をお迎えに来ました。もう二度と離れたくないんです。
どうか、一緒に家に帰ってくれませんか?」
美桜は顔を顰めて、訝し気な表情を浮かべている。
頬をピンク色に染めて、少し腫れぼったくなった大きな瞳は潤んでいた。
可愛い・・。
ピンク色の唇を震わせている。
誰よりも可愛くて、愛しい美桜。
「・・はい。」
目を閉じた美桜の顎を掴んで顔を近づける。
唇をしっとりと合わせた。
甘い唇を味わい、幸せを感じた次の瞬間。
彼女は苦しそうに唇を離し、潤んだ瞳で爆弾を投下した。
「ねえ、聞いて。私、さっき留学の話を頂いたの・・・。」
29年間生きてきて、殆ど驚くことなどなかった。
「なに?いつから、何処に?いつまで行くんだ!?」
裏返るような声掛けに、美桜は不安そうに表情が陰る。
「来年の3月から、ニューヨークに2年間だって。
博士論文の出来が良かったから、教授が推薦してくれたってさっき電話があって。
お給料を貰いながら学べるんだって。
有名な大学院のドクターのコースで勉強出来るみたいなの。
論文書いている時に楽しいって言ってたら、教授も研究職向いてるって言ってくれてて・・。
こんなチャンス滅多にないから、お受けしようと思っていたの。正直、迷ってる。」
彼女にとって素晴らしいチャンスだと言う事は分かってる。
確かに、論文を書いていた彼女は楽しそうでキラキラしていた・・。
専門職が向いてる方だとは思う。
更に2年お預けなのか!?
「アメリカと日本。・・またか。
何だその拷問。」
「さっきまで嬉しくて、それしかないかなって思ってた。
・・・慧の側で、私は幸せになんかなれないって思っていたから。
だけど、貴方の側にいれるなら・・それだけで私は幸せなの。」
困ったように微笑む美桜に、不安が過る。
彼女とのこの意味の分からないすれ違いに、苦く笑う。
だけど、彼女が認められた事を嬉しく思う自分の方が大きかった。
「わかった行こうよアメリカ・・。」
0
あなたにおすすめの小説
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
混血の私が純血主義の竜人王子の番なわけない
三国つかさ
恋愛
竜人たちが通う学園で、竜人の王子であるレクスをひと目見た瞬間から恋に落ちてしまった混血の少女エステル。好き過ぎて狂ってしまいそうだけど、分不相応なので必死に隠すことにした。一方のレクスは涼しい顔をしているが、純血なので実は番に対する感情は混血のエステルより何倍も深いのだった。
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
【完結・おまけ追加】期間限定の妻は夫にとろっとろに蕩けさせられて大変困惑しております
紬あおい
恋愛
病弱な妹リリスの代わりに嫁いだミルゼは、夫のラディアスと期間限定の夫婦となる。
二年後にはリリスと交代しなければならない。
そんなミルゼを閨で蕩かすラディアス。
普段も優しい良き夫に困惑を隠せないミルゼだった…
復讐のための五つの方法
炭田おと
恋愛
皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。
それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。
グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。
72話で完結です。
ツンデレ王子とヤンデレ執事 (旧 安息を求めた婚約破棄(連載版))
あみにあ
恋愛
公爵家の長女として生まれたシャーロット。
学ぶことが好きで、気が付けば皆の手本となる令嬢へ成長した。
だけど突然妹であるシンシアに嫌われ、そしてなぜか自分を嫌っている第一王子マーティンとの婚約が決まってしまった。
窮屈で居心地の悪い世界で、これが自分のあるべき姿だと言い聞かせるレールにそった人生を歩んでいく。
そんなときある夜会で騎士と出会った。
その騎士との出会いに、新たな想いが芽生え始めるが、彼女に選択できる自由はない。
そして思い悩んだ末、シャーロットが導きだした答えとは……。
表紙イラスト:San+様(Twitterアカウント@San_plus_)
※以前、短編にて投稿しておりました「安息を求めた婚約破棄」の連載版となります。短編を読んでいない方にもわかるようになっておりますので、ご安心下さい。
結末は短編と違いがございますので、最後まで楽しんで頂ければ幸いです。
※毎日更新、全3部構成 全81話。(2020年3月7日21時完結)
★おまけ投稿中★
※小説家になろう様でも掲載しております。
強面夫の裏の顔は妻以外には見せられません!
ましろ
恋愛
「誰がこんなことをしろと言った?」
それは夫のいる騎士団へ差し入れを届けに行った私への彼からの冷たい言葉。
挙げ句の果てに、
「用が済んだなら早く帰れっ!」
と追い返されてしまいました。
そして夜、屋敷に戻って来た夫は───
✻ゆるふわ設定です。
気を付けていますが、誤字脱字などがある為、あとからこっそり修正することがあります。
ドレスが似合わないと言われて婚約解消したら、いつの間にか殿下に囲われていた件
ぽぽよ
恋愛
似合わないドレスばかりを送りつけてくる婚約者に嫌気がさした令嬢シンシアは、婚約を解消し、ドレスを捨てて男装の道を選んだ。
スラックス姿で生きる彼女は、以前よりも自然体で、王宮でも次第に評価を上げていく。
しかしその裏で、爽やかな笑顔を張り付けた王太子が、密かにシンシアへの執着を深めていた。
一方のシンシアは極度の鈍感で、王太子の好意をすべて「親切」「仕事」と受け取ってしまう。
「一生お仕えします」という言葉の意味を、まったく違う方向で受け取った二人。
これは、男装令嬢と爽やか策士王太子による、勘違いから始まる婚約(包囲)物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる