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夢の実現と命の消滅

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人生はつねに選択。
後悔なんかしない選択をするために日々を必死で生きてきた。

私、初音絵里香は一昨年の医師国家試験にめでたく
合格し、救命救急医として大学附属病院に勤務していた。
27歳独身。彼氏なし。

冬は豪雪地帯と呼ばれた北国出身。
医大に合格し、東京で一人暮らしを初めてはや10年。

容姿としては、肌の色は雪国特有の白い肌で、真っ黒でストレートの髪は肩までのセミロング。
基本はひっつめているし、服装もこだわりのない可もなく不可もなく・・・そう無難。

二重で目は大きい。
多分造作的には悪くない方だけど、そこまでずば抜けて美人!!て程でもなく
悪くはないと思う!(友人談)

中学から女子中・女子高からの医大だったので出会いもなんもなく。
恋とか愛とか脳内麻薬で、物質による幻影!!!と思っていた(言い聞かせていた)
ので時間を無駄にすることを避けてきた。

少しも興味がなかった訳でもないけど、興味を持つ人もいなかったのだ。

進学校でもあった女子校の勉強は熾烈で、目指すは医学部!!と目標も高く掲げすぎていたせいか
常に勉強漬けの日々を幼少期から過ごしてきた。

夢が叶い、現在は慌ただしくも、睡眠不足と戦い患者を診察しながら
現場で奮闘していた。

小学生からの夢だった女医にようやくなれたのが嬉しくて朝から晩まで、晩から朝までそりゃもう一生懸命働いていた。

ろくにお洒落や恋愛もせずに、医学書にばかりお金を使って勉強ばかりしていた。

大学は奨学金で通い。
入学以来、気を使って誘ってくれていたであろう医学部の友達の合コンの誘いも断り続けてたら、4回生の時には全く誘われなくなっていた。

延びきったTシャツにGパンが楽チンで気がつくと

「スカートがスースーする。落ち着かないからジャージはくわ。」

「ジャージで新宿待ち合わせに行くってあり?!」

「スカイツリーって何?美味しいの?」

って女友達も男の人もドン引きするコメントばかりを発していた。ワンピースとか4年以上着てないし。

長い黒髪をひっつめて、化粧っ毛のないほぼ素っぴんで駆けずり回りながらも充実していたのだ。

・・・あのへんてこな猫を助けるまでは。

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