二者択一で転生した令嬢は将来も選択したい

館花陽月

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君の歌。

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いつもの朝と同じように白い天井と大きな天蓋が見える。

目を覚まし、体を起こそうとすると全身に激痛が走り自分の体じゃないみたいだった。
喉もカラカラで、声も思うように出なかった。

’自業自得だ’と、アルベルトは苦笑いを浮かべた。

優しい夢を見ていた。
幸せな夢だった。もう一度ルナに会いたくて目を瞑ろうとする。

その時、窓辺のほうから優しい歌声が聞こえて来た。

カーテンが風で棚引く音、心地よい風と共に心地良い歌が聞こえて目から勝手に涙が溢れてくる。

聞いたことのある美しい声だけど、何かがいつもと違う不思議とそう感じた。

儚く消えそうな刹那的な美しさを誇る歌を幼い頃からよく聞いていた。

君の歌だけど・・いつもと何処か違う。
耳に聞こえて来たのは、強さと、希望が溢れる音楽だった。
体がぽかぽかと温かくなり、力が漲る不思議な歌・・・・。


「・・・ルナ?綺麗な歌だね。それ何て歌?」

ガタン。

・・・・ドスッ。

急に歌は止み、バタバタと慌ただしい足音を立てて君が走って来る。

「アルベルト様!!?目が覚めたのですね??良かったぁあ!!」涙目になって喜んでくれるルナを見てアルベルトは嬉しくなった。

「さっき、夢の中で君に会ったよ。」幸せそうにアルベルトは笑った。

「虹色の猫を抱いた君が、君が治療してくれているって、こちらで待ってるって・・。そしてね、大好きだって言われたんだよ。そんな都合の良い夢を見てしまった。」

おっと。猫に心当たりがあった。
・・・が、そこはスルーで。

寂しそうに、「そんなはずないのにね・・。」
そんな声が聞こえた。

「大好きです!・・・・私!!」

アルベルトの近距離へ思い切り身を乗り出した自分に驚いた。

「え?!ええぇっ」

ビックリしてアルベルトは飛び起きそうになった。
駄目です、安静ですよ!!と思わず制止する。

恵里香は、勝手に口から出た言葉に困惑する。

「あ、やっぱ嘘です。」

私は一体、何をしたいんだ。。。
クスクスと笑い声がした。

「ルナは、何が言いたいの?僕は弄ばれてるみたいだね。・・・ほんとに君は、・・・可愛い人だな。
僕を助けてくれてありがとう、ルナ。」

アルベルトは嬉しそうに笑っている。
そんな彼の笑顔を見て私は真っ赤になる。

うわー。恥ずかしい。
なんだこれ!!!?

今、自然とその言葉が出たよね?!


①ルナ=フェナルデイはカイザル=エレンシュタットが死ぬほど好き。

②アルベルトはルナを10年以上一途に思っている。


少し前から、妙にアルベルトにドキドキする。

脳内麻薬だ!!勘違いだ!と落ち着けたいのだが・・。
いよいよアルベルトが、死ぬかー生きるかー。の時分に、彼が死んだら嫌だ!!と強く思ったのは、紛れもなく私自身の感情だった。

私は多分、このアルベルト殿下が好き・・?
みたい・・??
何しろ初めての感情なのでよく分からないが。

・・はぁ何この不毛な片思い。
アルベルトは、ルナ=フェナルデイが死ぬほど好きなのに。


寝不足からの幻覚・幻視かもしれない。
アルベルトがキラキラと輝いて見えていた・・・。

いや、絶対気のせいだ!!と、私は自分に強く言い聞かせるのであった。

アルベルトが目を覚ましたのは、倒れて運ばれてから2日余りが経ぎた麗らかな昼下がりのことだった。

この知らせは陛下やアーネル様たちだけでなく、心配して城の周りに集まり回復を祈っていた民にも即座に伝えられ、皆喜びの声を上げたのだった。

カイザルやサイラスは、起きたばかりのアルベルトに全力で抱き着き、痛がるアルベルトに頬ずりする始末だった。アルベルトは、カイザルに優しく微笑んで謝罪を入れた。
一番の話題を浚ったのは、カイザルの泣き顔を生まれて初めて見たサイラスとアルベルトは、あまりに驚きすぎて数分間もの間、固まってしまったそうだ。との風の噂であった。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

白亜の王城の右翼の反対側にある、左翼の重工な金装飾で飾られた部屋へ一人の男が礼をとり静かに入出する。

赤いベルベッドのカーテンは重く閉ざされたままの部屋のテーブルセットに座していた男は
シルバーグレーのスーツに、肩までの銀色の髪を揺らし、金色の鋭い眼が暗闇に光る。

「兄上は目を覚まされたのか?」

テーブルに置かれたカップに一口だけ口をつけると、入ってきた男に問いただした。

「はい、広場に集まる民も喜び祝杯を上げたそうです。陛下やアーネル様もすぐにアルベルト殿下の部屋へ向かったとの知らせが入りました。」

忌々しそうな顔で男を見やる。
美しく怜悧な相貌は王家の者の品格を感じさせる。

「そうか、諦めの悪い兄上らしいな。・・・しぶとくて叶わん。フェナルデイ伯爵令嬢との婚約も予定通り継続するとの話だったが、それも確かか?」

「はい。殿下は重い流行り病に侵され、死の淵からルナ姫の必死の看病により蘇ったと。お二人の愛によって奇跡が起こされたと民も浮足立ち、半年後の婚礼が楽しみであると。皆、喜びに沸いております。明後日は王妃様の誕生を祝う舞踏会の予定ですが・・・。いちいちあの王子は話題を浚い、民も喜び騒ぐので目障り以外の何者でもないですな。」

「・・・そうだな。して、母はまだ、聖堂に籠り、兄の回復の祈願を続けていると聞いたが・・・。」
不機嫌な声で会話を続ける第二王子であるサフィールは、低い声で男に問う。

「はい。そちらも、先ほど伝令が王妃殿下にお伝えしたところ、大変喜ばれて自室にお戻りになられた・・と・・。」

がしゃん。

ティーカップが乱雑に置かれ、スプーンが床に落とされた。

「何故母上は兄上のために2日も聖堂に籠り祈りを捧げ続けていたんだ!!あのアーネル妃と犬猿の仲であるはずなのに!!母上の行動は全く意味がわからない・・・。王太子になるのは私だ!兄などさっさとくたばれば良いものを・・。くそっ。」

飲み干したカップを取ると、怒りに任せて壁に投げつける。
絨毯には原型を留めない形で粉々になった破片が散らばっていた。
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