二者択一で転生した令嬢は将来も選択したい

館花陽月

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漆黒の王子。

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アルベルトとルナの’愛の奇跡’談話から数日が経った。
アルベルトの回復は良好で、あと10日もあれば座っての執務ぐらいなら可能な状態にまで落ち着いた。

私は、平和な王城での上げ膳・据え膳、豪華なおやつ生活を満喫していた。

そんな折り、今夜はバフィー王妃の生誕を祝う舞踏会が開かれようとしていた。

隣国から貴賓や、王族を招き、3日に渡って盛大に行われる国を上げての華やかな祭典となった。

バフィー王妃の出身国である、シェンブルグは独自の神託を守り共和国制を一貫している国である。
王は執務のため長期の不在が叶わず名代を遣わしている。次期、王太子候補である王子の参列が決まっていた。

アルベルトが元気ならば、私のエスコート役は彼しかいないのだが・・・。
全身のいたる所が骨折してるので、ダンスや舞踏会参加どころではないのだった。

「ルナと踊りたいー!!久しぶりの大舞台。ルナの美しい姿を誰よりも間近で見たい!」と駄々をこねたので「病人は寝ているのがお仕事です!もう治ったのでしたら、王城を辞して実家に帰りますよー!?」とキッパリ宣言をしたら、素直に従い今日は棄権して頂きました。

カイザルは、「殿下が出席されないのなら、大きな舞踏会は・・・」と言ってさりげなく辞退。

私はパートナーがいないので父か兄かで迷ったのだが・・・。

父と兄の悲惨な喧嘩に発展した為、私はアミダくじを提案!
最初はなんだそれはと不安そうであったが、案外楽しそうにやっていた。

その結果、サイラスにエスコートを頼んだ。

今日の私の装いは、虹色の猫のトータルコーディネートだった。

グリーンのシルクタフタのドレスに、腰にチュールとパールが縫い込まれた可愛らしくも美しい仕上がりになった。髪は送り毛を下ろし巻き髪をハーフアップしてシェルとトパーズで出来た簪を指した斬新なスタイルだった。

「今、チュールがブームなんだよ!?」

「髪には日本風の簪なんてハイセンスじゃない?!」

なんて、猫は次々と提案していた。
現世の流行に詳しすぎる・・・。

毎度ツッコミ疲れて眠るのだった。

今夜は猫から頂いたドレスを身に着け、いつもより濃い化粧を施し、唇に薄く紅を引くとまさに大輪の花のように輝いていた。

兄から「美しすぎるから見せたくなーい。」だの「ルナのこの女神のような姿を見れないなんて、アルベルトざまあ!!」 とか。
入場までの時間はサイラスの拗らせシスコン漫才大会だった。

「あ!なあ、ルナ。カイザルとは会ってるか?」

「はい。今朝も殿下のお見舞いついでにお会いし、三人でお茶を頂きましたし、普通にお会いしてますよ?」  

「カイザルは、、ルナのこんな姿を見たら何て言うのかな。・・・あいつにも、見せて上げたかったな。。」

サイラスは最近時々様子が可笑しい。
シスコン拗らせてるのは変わらないけど、時々ふとわたしのことを悲しそうに見つめたり、違う世界に思考が明らかに行っている時が増えた。


・・・変なものでも食べたのか?


「フェナルデイ伯爵家より、サイラス=フェナルディ様、ルナ=フェナルディ様のご入場~!!」

バトラーのバリトンボイスにどきっとしてしまった。

兄に手を引かれ、大きな階段を粛々と降りる。
煌びやかなボールルームに数々のシャンデリアの明かりが灯される。
大振りのクリスタルが煌き、それにも劣らぬ輝きを放つ、フェナルディ兄妹の登場に胸を躍らせていた。
そう、皆が一斉に私たち兄弟に視線を向けるのだった。

舞踏会が始まると、’愛の軌跡’についての話を求められたり、「そのドレスどちらの制作でしょうか?お美しいですわ~!」とか、「息が止まるかと思いました。どんな芸術よりもお美しいですね。」とか。

美辞麗句の数々+愛の軌跡についての次々の詰問に始まって30分も経たない内にグッタリ。

もう、すでに限界・・・。猫に普段の口調で愚痴りたい。

兄に休憩してくることを告げようと兄の方をを振り向くと・・・・ハーレムかっ!と言わんばかりの
煌びやかな女性達による、押し合い圧し合いの競演が繰り広げられていた。

「今日もお美しいですね。リズ殿。」「今日のヘアスタイルは一段とその深紅のドレスに映えますね。」
令嬢たちが頬を染め、兄に甘い声色で喋りかけていた。

心から感心していると、南極ばりの冷たさを誇る視線を上から感じて見やると、リリア様が凄みのある笑顔で兄を見ていた・・・。

ははは・・・。きっと後で土下座大会だわ。

私は、疲れたので休憩してくる旨を兄に伝え、その場を辞した。

バルコニーまでの道も、人人人。
渋谷のスクランブル交差点よりも人口密度が高そう!
なんとか人を押し分けて端にあるバルコニーへと辿り着いた。
先客もいなかったので、柱へ身を預けてほっと溜息をつく。

今日は真っ黒な夜空に星がキラキラと輝いていた。
形の良い満月が美しく漆黒に映えていた。

「アルベルト様は・・・もう眠っているかな・・。」

ボソッと呟く。

何故か私はここにはいないアルベルトに無性に会いたくなったのだった。

<喉が渇いたわ・・。何か頂いておけば良かった。>

ホールの人込みの中でのお喋りで喉がカラカラになっていたのに今更ながら気づく。

「シャンパンならありますよ。如何ですか?月の女神。」

低く落ち着いた声が聞こえた。
今の思いは声にしていなかったのに、タイミングよく飲み物を提供しょうとすることに
驚く。

「だ、誰・・?」慌てて声のした方を振り向いた。

月明りに照らし出された秀麗な姿に私は声を失った・・・。

真っ黒な髪を襟足を長く切り揃え、紫のアメジストのような美しい瞳の端正な顔に
闇に溶けるような黒のマントを羽織おり、首までの爪襟に金の豪奢な刺繍が施した黒い騎士服を着た男性が立っていた。

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