二者択一で転生した令嬢は将来も選択したい

館花陽月

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魔術VS医術。

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青空診療所は今日も大盛況だった。

陛下も視察に見えたり、アーネル様やリリア様もお手伝いに来てくれたり。
フェナルデイ伯爵と宰相であるエレンシュタット公爵も金銭的なサポートを願い出てくれて薬や
手伝いを率先して望む者や、医師を目指したいと出向いて来る人も増えた。

毎日朝から晩まで充実した日々を送るようになった。

「渋谷より、やっぱモヤイ!」

夜は他愛もない話を虹色の猫が嬉しそうに聞いてくれた。

アドバイスも沢山してくれて、救急車替わりに救急馬車を考案してくれたり。
ただし・・・救急馬車は破壊力も凄いので、馬力でなく車力の考案を考えていかなければ死者が出そうな
勢いだった。

あっという間に王城での暮らしも。3週間以上の月日が過ぎていた。


「やぁ。久しぶりだね。ルナ姫。」

太陽が昇り切った頃、青空診療所にエミリアン王子がひょっこり顔を出した。

あまりの珍客に作業を止めて対応する。「あのー。。今日はどうなされたんですか?」

「勿論、君に会いに来たに決まっているだろう。」私はぽかーんと口を開けた。はあ・・・いるのよね。
こういう冷やかし。

「そうですか、恐れ入りますが、お帰りはあちらです。」右手で出入り口を指した。

「ふははは。本当に君は素直だな。言動と心の一致が素晴らしい。」

褒めてないでしょ。それ・・・。
冷やかしに使う時間なんてナイのに。

「私の国は医術は石器時代の文化なのだ。我が国には優れた魔術師がいる。 薬や医者など居なくとも手を翳したり、力を送るだけで治せる。だから、君のこの取り組みに驚きを隠せなくてな。」

診療所の手伝い当番だったサイラスが、エミリアン王子の登場に驚き、アルベルトの元へ取り急ぎ伝令を飛ばしていた。

「ルナ?!どうしたの? エミリアン王子がここに来ているって聞いたけど・・・。」

騒がしくなった診療所にアルベルトとカイザルが辿り着いた時には・・・。何故か甘い空気も皆無。
ルナとエミリアンの痴話喧嘩状態になっていた。

「医術は学問の集積と、経験が必要で簡単に治療は出来ぬ。しかし魔術使いなら血で力を使うことが出来るのだからあっという間に治療が出来るんだ!」

「ふーん。魔術ってそんなに凄いのー?見たことないからよく分かんなーい。」

アルベルトはエミリアン王子との横柄にタメ口で話すルナにひぃっと焦りを覚える。

「見たことないとは。やはりルーベリアは経済や産業は最先端だが、魔術においては未開程の地程の遅れがあるのだな・・・。見たいならアルベルト殿下で試してみようか?」

ルナのタメ口の不敬さも咎めない位の仲なの?!

状況が理解出来ない周りと、二人にはベルリンの壁ほどの認知の壁があった。

「え?実験的な?アルベルト様にあんまり痛い事しないであげてね?病み上がりですから。」

「ルナー・・・。エミリアン殿下?いや、ちょっと・・・。僕で試すとか可笑しいでしょ。やめて欲しいかな?」

美しいお顔には冷や汗が滲み出ていた。

めちゃくちゃ嫌そうだ。
カイザルとサイラスも護衛をしていいのか、生暖かく見守るべきなのか判断が出来ない様子だった。

エミリアン王子の背後から、魔法使いを主張したような長い杖と、紫色のマントで頭を隠した男が進み出た。
杖を翳すと、光の玉が大きく浮かび上がりアルベルトに向けて飛んで行った。

「うわっ。なんだこれ」 全身が光の玉にすっぽり包まれ数秒。
光の玉が消滅した時には、まだ少し残ってきた痣や、怪我までが綺麗に消えていた。

ふん。どうだ?然な顔でエミリアンはルナの顔を見る。
が、そのリアクションにまた驚く。
ルナは目をキラキラさせて見ている。

「す・・す、すっごーい!!魔法、便利ですね。私も魔法使いになりたいっ。これ・・すごく硬いのね。」

魔術者の杖を握ってブンブン振っていた。

「「「「・・・・え?」」」」

エミリアンだけでなく、アルベルトや他2人もルナの反応に驚く。

「凄いじゃないですか!一瞬で死にかけた全治2か月程度のアルベルト様の体が完治したのよ!
一瞬で人を癒せる力を持ってるなんて凄いじゃない。素晴らしい力だわ。」

カイザルはこの言葉にビクリと反応した。

それを横目で見ていた、エミリアンはその表情を見逃さなかった。


全身の痛みが一気に消滅したアルベルトは、急に不安を感じていた。
<確かに。この力は防御にもなるが、攻撃に使ったら戦いの勝敗は一瞬で采配が決してしまうような力なのだろう。シェンブルグは他国への侵略はしないと公言しているが、もし・・・・。>

自分たちの力では塞ぎきれない強大な力を持った魔術の国の存在は・・・末恐ろしかった。

「確かに、魔法は万能ね・・・。でも私は医術のほうが凄いと信じてる。」

「ほう、それは何故?」興味深そうにエミリアンは先を促した。

ルナは頷き、言葉を静かに紡いだ。

「選民主義的な、魔法を使える人間の’血’や’力’だけに頼るよりも、沢山の生身の人間の努力により医術は何か起こった時に家で治療出来る薬や、安静を助ける知識になったり。予防の観点から、病気にかかりにくくする知識を得ることで人を病気にしない万能薬にもなるのよ。
起こったことを治すよりも、誰でも、誰かを助けられる力があった方がいいと思うの。」

ルナの言葉に周りが静まる。

エミリアンは面白そうな顔をしている。
アルベルトや、カイザルはルナの方を見ながら、この空気に不安を感じていた。

「・・・・なるほど。やはり貴方は面白いな。」エミリアンは嬉しそうに、ニヤリと笑う。


「そう聞くと、予防が出来る医術にも興味が少し沸いた。楽しい議論だった・・ありがとう。」

「それは良かったです。私も魔術に興味しかありませんよ?魔術を初めて見て、魔術師の方を尊敬致しました。」

「ふーん、それならば・・・」アルベルトと、カイザル、サイラスは即座に身構えた。

「ルナ=フェナルデイ。我が国の王太子妃として私とシェンブルグに来ぬか?」


「・・・はぁ???なんでそうなるんですか?」

意味がわからない!
困惑顔でこちらを見るルナに、もう鈍感なのも大概にしてー。。。と思う3人だった。

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