二者択一で転生した令嬢は将来も選択したい

館花陽月

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神の裁き。

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カディール王の前に初めて姿を現したカイザルを見て捉えた王は、慌て慄いた。

「あいつを。。あいつを殺せ!!!今すぐに!!!!」

兵や宰相に力の限り怒鳴り、吠えたのだった。
控えていた魔術師達は逃げる人の群れで中々、入り口から祭壇までは辿り着くのが憚られていた。

しかも、兵と魔術師の数は半減していた。

「なんだ!??何故こんなに聖堂の守りが手薄なのだ!?」王は叫ぶと、宰相が青白い顔で伝令から話を伝え聞き、困惑の表情で王に伝える。

「・・・今朝の朝食に毒薬や劇薬が混ぜられてきたと!!兵の半分が医務室や、自室で寝込んでしまっている状態であると連絡が入りました!!!」

まさか・・。とカディールは、エミリアンの方を鋭い形相で睨み付ける。

「馬鹿な・・・。貴様ら、・・・エミリアン!
まさか、そなたが手引きを・・・。」

表情も変えず、堂々としたエミリアンは笑顔で答えた。

「当たり前でしょう。貴方に真正面から向かっていく馬鹿がどこにいますか!!
魔術師で己を守り固め、術の力も倍増する「薬」を作らせ、術使や民を実験台にしてきた貴方など・・、謀って葬るしかないだろう!!」

ブチ切れた王は、エミリアンを目指して剣を構える。

「おのれ・・・。お前はもう我が息子ではない! 皆の者、エミリアンも殺せ!!もうこやつは王子ではない!!遠慮せず・・・殺すがいい!!」

ここで、普通なら父を止めるように説得するのが母親だが。

エミリアンの母である王妃は、すでに自分の身の可愛さで聖堂を逃げ出していた。
そんな母であると分かっていたエミリアンは、姿がすでにない事を確認し、「王妃でも、母でもないとは情けない女だ・・。」と呟き笑った。

父の刃が自分を捉えたのを確認したエミリアンは、思い切り自分の剣で払いのける。
悔しそうな父の姿に更に笑みを濃くした。

アルベルト、サイラスも兵や魔術師に次々襲われ動きが取れずにいた。
しかし、カイザルは壇上へと歩きながら向かってくる兵士を次々に神力で吹っ飛ばし、後ろから狙って
きた敵をも振り向き在間に霧散させる。

その光景を見たカディールは、呆然となり。恐れ慄いた。

「まさか・・・そんな。赤子の手を捻るような・・・。くそっ・・。」王は焦り、後退する。

しかし、吹っ飛ばされた魔術師が生気のない様で次々と起き上がり、サイラスやアルベルトに立ち塞がる。

「カイザル、兵も魔術師も変だ!!力を強めているだけじゃない・・・。まるで体だけで向かってくる。
命が入ってないようだ!!倒しても起き上がる・・。殺さないと駄目なのか?!罪のない民を!」

アルベルトが苦しそうに叫ぶ。
カイザルも唖然とした様子で回りの様相を確かめる。

何度も起き上がる兵、疲弊していくアルベルトやエミリアン、サイラス・・・。
このままじゃ・・・!!

カイザルが目を瞑り瞠目する。

アルベルトとサイラスは、罪のない民を殺すことが出来ずにフラフラになって戦っている。
このままでは、いつかは二人も殺されてしまう・・。

どうしたらいい!!!?

カイザルは自分の力の「足りなさ」に、闇の選択が心に浮かぶ。
私にもっと・・力があれば・・・。


そんな時だった。




空が一瞬光り輝き、雲が晴れ、聖堂に強い光が差した。

「カイザル・・。ルナ、いやエリカの歌だ!!」アルベルトが喜び、空を仰ぎ、声を上げた。

歌が響き渡り、光の粒子がふわりと聖堂へと降り注ぐ・・・・・。
何度も起き上がっていた兵や魔術師の身体の中へ、光が入り込む。
光の粒が包み込み、砕けると生気が戻り、色味が灯った。

舞い散る光に包まれた聖堂の兵士は頽れ、倒れ出す。
そうして、何度も起き上がり続けた身体はもう二度と起き上がることをしなかった。


「エリカが、無事に神殿に辿り着き、神を使わせてくれた・・。やってくれたのだな。」
カイザルは、天を仰いだ。

王は茫然とその様子を見ていた。

「なんなんだ。。私は間違ってない・・!!愚かな王では・・・」
背中に衝撃が走り、カディールはゆっくりと振り返る。

「さようなら・・・、父上。」

王は口の端から血を流し、頽れ息絶えたのだった。

「民を想わぬ愚かな愚王の時代は終わりだ。」エミリオンが静かにその躯から剣を引き抜いた。

父の最期に涙も出ない自分に苦く笑った。


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