二者択一で転生した令嬢は将来も選択したい

館花陽月

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カイザルの選択。

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ああ、また真っ白だ・・・。白い空間に久しぶりに飛ぶ。

虹色の猫の姿から、神官の姿に戻ったイムディーナがそこに立っていた。

彼は静かに笑った。

「エリカ、君の選択は、間違っていないよ。」

エリカは状況を察知した。ルナの魂と自分の魂はまた交換されて、ルナが本体に戻ったのだと。

「・・・良かった。ルナはちゃんと、カイザルの元へ行ったのね・・・。」

「うん。君の思った通りだよ。カイザルを止められるのは、ルナ=フェナルデイだけだ。
アルベルトも、そう理解して選択したんだ。
彼は一度死んだ。だけど、あの二人の為に戻ったんだ。
二人に幸せな未来を選択させるために生きることを選び、あの最期を彼は自分で選択したんだ・・・。」

「そう・・・。アルベルト様は馬鹿ね!大馬鹿すぎて・・・。」

はははっと笑うんだけど
ボロボロ次から次へと涙が溢れて・・・止まらない。

「何で。。。前と同じじゃない!!
自分がいなければ、あの二人が幸せになるんだって一回死にかけてるのに・・・。
また、自分を犠牲にしてルナを守った。カイザルはそれでどれだけ傷ついたか!!・・・あの馬鹿王子!!」

何も生まない怒りと悲しみで一杯になった。
苦しい、胸が痛い、吐きそう・・。


「エリカ、それは違うよ・・。アルベルトはそんな自己犠牲的な選択はしていない。
彼は選んだんだ。ちゃんと自分の幸せが何処に続くのか、誰の側に居たいのか。」

え?なに?・・・・思考が最近働かなくて

「え?・・・どういう意味?」

虹色の光が強く輝く。
ぐにゃりと視界が歪み、イムディーナの金の瞳が遠くなって行く。

「答えは、君の人生の先にあるよ!!
さぁ、エリカ、君の人生はまだまだ続く。これからも、変わらずに人を照らす光になって。
・・・何処にいても、また会いに行くよ。」

「えっ?イムディーナ!!・・・私、トンネル崩落生き埋めエンドじゃないの?」


「ははは。君は生きてるよ!!嘘ついてごめん。
・・・また忙しい生活が始まるだろうけど、ご飯と睡眠忘れないでね!!」


え?ちょっとその嘘は酷い!!

神官が嘘は駄目、絶対。大声で叫びたい。

じゃあ、私は私に戻ることが出来るの?!

ぱあぁっと光り輝く猫がお座りをしてこちらを見ている。


光で少しずつ前が見えなくなっていく・・・。
最後に見えたイムディーナの顔は少し寂しそうに笑っていた。

私は「イムディーナ、有難う・・・。さようなら!!」と叫んだ。
・・・・彼の表情は見えなかった。

真っ白な世界が広がり、意識はまた遠くへと飛ばされたのだった。




バルバルバル・・・。
聞き覚えのある機械音が聞こえてきた・・。


「・・ねさん。聞こえますか?」

誰かの声が聞こえる・・・・。
私を呼ぶ声?


「初音さん!!初音恵里香さん!!・・・・意識が混濁してる。すぐにヘリに運んで!!」


バリバリと耳障りなヘリの音が聞こえた気がした。
すぐに意識が遠くなり私は、眠りに落ちた。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


虹色の光が放たれ、ルナ=フェナルデイの体から光が放出されていた。

眠っていた意識が自分の身体へと戻り、自分の手を見つめる。
自分の意志で、指が動くことに驚きを隠せなかった。

黒い闇に捕らわれてしまいそうになっているカイザルの姿をルナは捉えた。

「カイザル様!!!カイザル様・・・。駄目です!
その選択はアルベルト様の望む物でも、私の望むものでも、カイザル様の望む物でもありません!」

走りだし、困惑するカイザルを思いきり抱きしめた。

焦点の定まらない目に、瞠目したルナはカイザルの頬に手を触れる。

「カイザル様、貴方を死ぬほど愛しています。だから、もし貴方は闇を選択し、自らの滅びと消滅の選択をするなら貴方一人では行かせません。私も一緒に・・・今度は行かせてください。」

必死でカイザルを止めようと、強く抱きしめる。

「ルナ?!お前、ルナだな?!」

サイラスは妹が戻ったことにいち早く気が付き驚きの声を上げた。

「カイザル!!お前、忘れたのか?ルナの手紙を読んだ日のことを・・・。みんなが希望を持ち生きるための選択をするのだろう?!しっかりしろ!!!アルベルトの想いを無駄にしないでくれ・・・!」

サイラスもカイザルの側で、手を握りしめた。

カイザルは混乱の眼でルナ=フェナルデイを見つめた。
ラピスの瞳に、月の女神のような儚い相貌のルナの姿が映る。

一瞬、ハッと驚きルナをもう一度確認する。

「カイザル様、私は貴方と生きるための選択をしてここに戻ってきました。
エリカのお陰で、貴方と生きる未来が見えるのです。
・・・だから、どうか選んで下さい。人々や私たちの未来が明るく輝くような光の選択を!!」


闇が振り払われるように、光がルナ=フェナルデイの体とカイザルの体を包む。

アルベルト・・・。エリカ・・・。
二人はもう・・・。

そうだ。アルベルトが望んだ未来、エリカが望んでいた未来は破壊や崩壊ではなかった。
彼らが自分達のために、命を賭して希望を与えてくれたのに。

カイザルは、天に向かって大声で叫んだ。

「祝福の子、カイザル=エルタニアン=ルード=シェンブルグが選択する。
「光」の未来を選択し、この国に希望と、閉鎖的ではなく、外と通じ、民に魔術だけではなく医術の恩恵も届くように、共存しあえるような国の発展を望み、王としてこの国を守護する力をどうか私に授けてください!!」


シェンブルグはその日、光で包まれた。

霧の王都であったミストラルも、雲が去り晴れ渡り人々の上に美しい光が差していた。



「ルナ、お帰り。」

「カイザル様、ただいま帰りました。」

くしゃっとした笑みを向けたルナの身体を思いきり抱きしめた。

「もう、離さない。私は貴方と一緒の未来しか選びたくない。」ルナは笑いながら「私もです。」と答えた。

サイラスと、エミリアンは、その姿を嬉しそうに見守っていた。
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