二者択一で転生した令嬢は将来も選択したい

館花陽月

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その後

沈黙のサフィール。その4

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「エリカ様、・・・・やはり、戦は起こるのでしょうか?」

「そうね、・・イムディーナはどう思う?
私たちが先読みして、アンダルディアがまだ、作戦を練っている段階で援軍の申し出を行ったことで・・・。
何か未来は変わるのかしら?」

「そうですね・・。恐らく、違う未来へと行きつく選択の1つにはなるでしょう。
サフィール様が命を落とされる先読みは覆すことが出来るでしょう。
私と貴方がいれば・・。」


「当たり前よ!!・・・私はそのために来たの。
サフィール様は私の物ですもの!!死なせないわ。」

イムディーナは苦笑いをしながら、エリカを見つめる。
昔、月の出た夜に一緒にお茶をしていた誰かさん、そっくりであったのだ。

「姫は、本当にエリカにそっくりだね。」

「え?何?何か言った?」

「いいえ・・。何でもないです。」

窓から、美しい月が見えていた。



庭の隅にある噴水に腰かけたサフィールが月を見ていた。

「サフィール様・・・。眠れぬのですか?」

エリカが、そっとそこに現れた。

「いや、・・そうだな。不安はあるが、なるようにしかならないだろうね。」

澄んだ金色が悲しそうに笑う。

「サフィール様・・・。この戦、勝ったら私の申し出を聞いてもらえますか?」

「え?・・どんなお申し出だろう・・。内容によるな・・。」

くすくすと私を見て笑う。
また、子供扱いされてます!!

「サフィール様はどなたも娶られてないでしょう?
もう35歳なのですし、公爵様なら跡継ぎは必要ですよね。
私は若いので、いくらでもサフィール様のお子を授かってみせます!!

貴方の元へ嫁いでも宜しいですか?」

キラキラした瞳で、サフィールの眼前に歩み寄ったエリカは満面の笑みで
「お願い」をした。

「・・・・なんでそうなるの?
エリカ殿は若いし、美しい・・。そこら辺の王子や貴族からの
婚姻の申し出など掃いて捨てる程・・来るでしょう?」

非常に困った顔で見るサフィールに悲しくなった。

ずっと私は、サフィール様を慕っていた。
初めて会ったときから・・・。

翳りのある金の瞳に笑って欲しくて、無茶な要求をして振り回したり
彼を少しでも笑わせられる努力を幼いながらもしていたのであった。
大好きすぎて、父や母に幼いころから

「サフィール様でなければ嫁ぎません!!駄目なら私、家出をいたしますから!!」

やりそうだなぁと父である、カイザルに笑われる始末だった。

「・・・・ずっとです。ずっと変わらない気持です。」

「え?」

「父や母にも、ここへ来る前に私がサフィール様に申し込むと告げてまいりました。
お二人共、深く理解してくださいました!!
私は貴方の他は誰もいりません。
・・・・私がしつこいのは、母であるルナと父であるカイザルに似ておりますので
死んでも思いを遂げようとしますからね!!」

サフィールは少し思い当たる節を見つけて、俯く。
ルナは、カイザルのために死んだ。
そこにエリカが転生し、未来を変えた。

そのエリカを・・・アルベルトは深く愛した。

心が少し温かくなる。
エリカといると、温かいのだ。

努めて側にいないように、その気持ちに目隠しをしようとしても・・・。
無駄だった。

サフィールは、覚悟を決めた。

「・・・死ぬのは許しませんよ?」

「サ・・・サフィール様?!」

「私よりも早く死なないと約束してくれるのなら・・。
私は・・・嬉しいです。貴方を私の物にしても良いですか?」

頬を少し赤らめ、空を見つめながらしどろもどろで返す。

エリカは嬉しくて嬉しくて涙が止まらない。

「はい!!・・・あの・・。絶対ですよ?!」

サフィールは月のような笑みを浮かべ、エリカを抱きしめる。
エリカは驚きすぎて、目を見張った。
そこにサフィールが近づき唇を落とす。

「あ・・ああ。私、嬉しくて死にそう・・・です。」

エリカは、震える声でサフィールを見た。
美しい姫君へと成長したエリカの幼い頃の顔が思い出される。

金色の目は潤み、静かな光を称えていた。

「私よりも先に、あなたが死ぬことは許しません。そう申したばかりですよ?」

サフィールは銀色に輝く髪を落として、もう一度、優しい口づけをした。

幸せになるのにも、覚悟が必要だったサフィールは
もう自分の想いから逃げずに、只一人・・エリカを選択したのだった。

エリカの先読みにより、アンダルディアはシェンブルグからの援軍を知り
2つの大国との戦に竦み上がった。

カランと国境の丘にある兵を急ぎ撤退させ、和平交渉を行ってきたのだった。

ルーベリア王国は、父と母がこよなく愛する国であり、愛する人がいる国である。
エリカは先見の明で、無事に守ることが出来たのだった。


その後、辺境の地「カラン」の王城では小さな結婚式が執り行われた。

派手を好まないサフィールと、長年の想いを遂げたエリカ。

新郎の淑やかさと美麗な出で立ち、新婦の幸せそうな笑顔と誰にも負けないであろう
美貌とその胸の思いの強さは美しく輝いていた。

二人の幸せそうな様子に、近しい者だけを招いた厳粛な式場では出席者からの盛大な祝福を持って祝われたのだった。


カイザルは驚いた顔で、隣を見た。

「なんで、お前がそんなに泣くのだ・・?」

隣のサイラスは涙でダムが決壊した状況の号泣を見せていた。

「リアナの結婚式でも想像しているんではないのかしら?リアナの本番は大変そうだわ。」

クスクス変わらぬ美貌の女王リリアも笑う。


「お父様、お母様!!
サフィール様に93回目のお申し込みでね、漸く許可を頂いたわ!!」

帰国した日の嬉しそうな娘を思い出しながら、ルナはクスっと笑う。

「100回行く前で良かった!!」

そう言って嬉しそうに笑う娘は、今日は誰よりも綺麗だった。

「良かったね、エリカ。二人でちゃんと幸せになってね。・・不思議ね。何だか、涙が出るわ。」

「・・ルナ?どうしたのだ。寂しいのか。。?」

カイザルは心配そうに、少し屈みながらルナを優しく引き寄せた。

「いいえ、とても嬉しいの・・。アルベルト様が大切に思っていたサフィール様が、エリカと幸せになる選択をしてくれた。それが、とても嬉しくて。」

「そうだな。アルベルトが一番、・・・喜んでいるだろうな。」

カイザルも頷き、優しい目でルナを撫で笑った。


幸せそうに見つめあう、新郎新婦の前に急いで到着した者が進み出る。

「・・・・・おめでとうございます!!
間に合いました!!大変でしょうが、一途で誰よりも優しい自慢の姉です。
どうぞ末永く宜しくお願い致します。・・義兄上!!」

サフィールは顔を上げると、金色の髪をサラサラ流し、海のような青い瞳の王子が笑っていた。

涙が溢れそうになって、下を向く。

エリカはそんなサフィールの手をぎゅっと優しく握った。


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感想 6

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みんなの感想(6件)

kyamie
2017.07.02 kyamie

よく練られた良い作品で最後まで楽しく読みました。。小説らしい小説で、読みごたえがありました。これから寂しくなりますが、次が楽しみです。頑張って下さい。

2017.07.02 館花陽月

kyamieさま。

最後まで読んで頂きまして有難うございました!!

この作品は、書いてる内に主人公や周りのキャラクターに愛着が沸いてくる
私にも忘れられない作品になりました!!
また、楽しい作品を作りたいと思います。

温かい応援を頂きまして、どうも有難うございました(^^)

解除
teruri
2017.07.01 teruri
ネタバレ含む
2017.07.01 館花陽月

teruiさま。

ご感想、どうも有難うございます(^^)
文字数も長く、話数も多くなっちゃって自分でもビックリでした。

一週間で12万字のタイプしたのも生れて初めてです(笑)

続編行きますかー?!
キャラの背景も一人一人濃いーので、スピンオフでも、続編でも幾らでもおかわり書けそうです!!

意外と父を殺したり、エリカに振られた
エミリアンあたりを幸せにしたいので、近々スピンオフ書こうかと考えております。

サフィールも、幸せにしたいですね!!
そういったご意見も嬉しいです。また是非、読んでください。


解除
RYU*
2017.07.01 RYU*

すごい展開になってきて、毎日ドキドキしながら読んでます。
カイザルさん、てっきり血がつながってるとかそういう理由で父親が反対してるのかと思ってたら、実はお隣の王太子さま(仮)とは。
ところで、ルナさんてほんとに死んだんでしょうか。まさか、ひとつの身体に二つの魂とか、ないですよね?
なんだかすごく嫌な想像が最近、湧いてくるんです(;´Д`A ```
いなくなった弟殿下も何するかとか、ほんと、毎日の更新が楽しみです。

2017.07.01 館花陽月

RYU様、いつも有難うございます!!

そうなんだったんです。
ルナさんは、生きているか死んでいるかなんですが・・・。
それも多分、彼女に択一が求められる展開になるかもしれないですね。

生きる事は、自分の選択によって生かされる。
決まっていくことと思うので、登場人物全てが選択をしていきます。

主要人物が最後に導く、それぞれの選択をどうぞご覧ください!!

有難うございました(^^)

解除

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