転生伯爵令嬢は、裏切り者からの寵愛に戸惑う。

館花陽月

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アルトハルト神聖国編 プロローグ。

プロローグ。④

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「ひどい・・・。ひどいわ!!レオノール様!!」

その言葉に、眉をぎゅうっと寄せて次第に怒りを孕んだ瞳へと変貌した
アイーネは、立ち上がって苦しそうにレオの胸に拳を投げつけて取り乱した。


「あんな女!!私は認めない!
ファーマシストだか何だか知らないけれど・・。
マルダリア王国なんかの一介の伯爵令嬢風情が
このアルトハルトの天子であるレオ様にあんな無礼で、
お粗末な振る前をして威厳を傷つけるような態度を取るなんて許しがたいわ。」


アイーネの情熱的で怒りを孕んだ言葉に、私は頭に「?」が浮かんだ。

首を傾げながらユヴェールの方を向いて質問した


「えー・・・?そんなに私のレオの扱い、雑かしら?」

水色の瞳をパチクリさせた。

「その質問は濁したいとこだけど。雑だよ?
レオだけに限らず、カイルや、他の王子や天族達にも同じだと思う。
・・・平等に雑かな。」


「ああそうか、やっぱり雑なのよね?なんとなく気づいていたんだけど。」

冷たい声音で、レオが忌々し気にアイーネを見下ろした。

「俺の婚約者を否定する言葉は謹んでもらいたいな。
確かに雑で、破滅的な鈍感だが・・・、アレクシアにだって、素晴らしい所もあるんだ。」


・・・素晴らしい所もあるって何だ。

雑で鈍感って。

今のは絶対に本音よね?

レオは、相変わらずフォロー下手ね。

まぁ、いいけど。


「どうしてですの??私には判りません!!
私は、絶対にあんな女認めないわ!!」

涙を流しながらも、レオにすがりつこうとするアイーネからは
健気で一途な想いが見て取れた。


「アイーネ姫も、きっと解ってくれるよ。
俺には素晴らしい所しか映らないけどな・・・。」

「レオに悪気はないし、あれでかなりフォローしてるのよ。
大丈夫だから、気にしなくていいのよ。」

耳元で、小さく励ましてくれた声に私は笑顔で答えた。

「クロードのことがあって傷ついた君が、どうしてこうも最悪な現場に何度も遭遇するんだろうな。
マルダリアでも、シアのことがずっと心配だった。大好きな君のことばかり考えて苦しくて・・。」

いつも優しくフォローしてくれるユヴェールが、私を真っすぐに見つめていた。


・・んんっ!?

気のせいか?

甘い!!

ユヴェールが甘いんだけど!!

いや、大好きって・・。
それは友人としてのソレよね??

「ユヴェール??今のは・・・。」

軽く頭がパニックになった私は、意味も解らずに目をぱちくりさせていた。


次の瞬間、引き寄せられるように優しく髪に触れられる。

「ずっと会いたかったんだ。
だから、元気そうで安心した。」

ユヴェールはそっと私の額に小さく口づけを落とした。

「どっ・・。ええっ?どどどしたのユヴェール!?」

目を大きく見開いた私の水色の瞳に
真剣な色を浮かべたエメラルドのような碧眼のユヴェールが映し出された。

な。なんだ・・。

なんなんだ、今の!!??

洗濯王子は脱水気味?(意味不明)

驚きに目を見開いた私の耳に、鋭い一喝が届いた。

「・・おい。」

「そこにいる2人、何をしている?さっきから、距離が近いぞ!」


私は何もしてないのに、その言葉に心臓がビクリと飛び上がった私は
足がもつれ気味で、前のめりにビッターンと倒れ込んだ。


大理石の床に額が当たって痛みが走った。

「うわっ・・。イタタタ。」

「シア、大丈夫!?すごい音がしたけど・・・。」

痛みを感じて鼻をさする私の手をそっと引き離し、ユヴェールが心配そうに私の顔を覗き込んだ。

ユヴェールの背後には、見たくない光景がどうしても目に入ってくる。

驚いた表情のアイーネが震える表情で、私を睨むように見つめていた。

その金色の瞳は、涙が滲んでいた。

レオノールは、表情のないままだった。

スッと固まったままのアイーネを押しのけて立ち上がると

ユヴェールの側へツカツカ歩いてきて、いつもの胡散臭い笑顔で微笑んだ。


「なぁ、ユヴェール。
親友だと思ったいた君の今の行動は、俺に決闘を申し出たのだと受け取ってもいいのか?」


「あれっ俺?・・・うわあっ!!ごめん、レオ!!つい本音が・・。」

ユヴェールは、ビクッと肩を震わせて立ち上がった。

「それで何処からが本音なんだ?大好きだと言う告白が、お前の本音でいいんだな?」


「ユヴェールの大好きって告白なの??嫌だ。それ、違うでしょ。」

ケラケラと笑う私を深刻な者でも見つめるように、レオが白けた表情で見つめていた。

そんなの、一介の友人に対する大好きでしょう?

額に口づけるのは誤解させちゃうし、駄目だと思うけど・・・。

私は動揺を隠せず、確信を得る為にユヴェールを見上げた。

「いや、俺は・・。」

赤くなったまま口ごもるユヴェールに、冷たい一瞥を落としたレオは私の肩をガシッと掴んだ。


「「告白なの?」じゃないだろ!?いつもながら罪深い女だな・・。
鈍感は罪だぞ?大国の王子相手なら重罪だ。女が、戦争の火だねにもなるんだぞ?」


呆れた表情で、私を見下ろしていた。


「・・・ぐっ。い、痛いわよ?レオったら、相変わらず馬鹿力じゃない?
トロイのヘレンじゃないんだから!!そもそも私、鈍くないし!」


「トロイって何かしら?」

ボソッとアイーネが呟いた。

ああ、そうだ。

ここは異世界で、歴史が異なるんだった・・・。


「相変わらずか・・。自覚がないなら、もはや重度の疾患だぞ。
治療が必要なレベルなんだからコレットに言っていい医師を治療してもらえ!
この国は、すぐにいい薬を出してもらえるぞ?」

「・・ちょっと、軽く病人扱いしないでよ。」

焼石に水なんですけど。

鈍感が薬で治らないでしょうが・・。


「レオの方こそ、真昼間から女に押し倒されてるなんて情けない!
最近、鍛錬が足りないんじゃないの?」

私の特性である、瞬間記憶のせいでさっきの押し倒されたシーンが脳内で何度も再生された。

なんか不快!!

カッと頬を赤くしたレオは、更に肩に力が入った。

「鍛錬は朝夕と、騎士団と稽古をつけてる。
さっきのは・・。ちょっと油断した隙に、ハイヒールで転ばされただけだ。
この下りは恥ずかしいから、二度と説明させないでくれ。」
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