転生伯爵令嬢は、裏切り者からの寵愛に戸惑う。

館花陽月

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騎士団との旅立ち。

神力ファーマシスト②

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クリスが入室を許可すると

いつも冷静なエーテルが、肩までの銀色の髪をサラリと揺らして静かに入室した。


「訓練中、失礼いたします。アレクシア様・・・。」

「天帝リオルグ様より。
謁見室に来て欲しいとお呼びのようですが・・。どう・・・。ぎ、ぎゃぁあぁぁああっ・・!!」


エーテルの紅い瞳は信じられない物でも捉えたかのように零れそうなくらいに全開だった。


「・・・エ、エーテル??」

私は驚いて彼女を見上げた。

ドアへと這うように戻っていく彼女は、草食動物のようだ。

「す、すみません・・。アレクシア様に、リオルグ様が大至急来て欲しいとお呼びでございます!!
あの、しっ、失礼いたしました・・!!」

「おいっ、どうした!?エーテル??」

バタン・・。

「あ、閉まった・・・。いつも冷静沈着な彼女が珍しいわねぇ?」

呼びに来たはずのエーテルが、返事を聞かずにすぐに逃げるように走り去った。

「我が妹ながら、勤務中に情けない声を・・。後で叱責せねばな。」

クリスが、呆れたようにため息をついた。

うーん・・。何だ、この違和感??

私はさっき一瞬だけ、エーテルが見つめた先に視線を投げた。

片隅に映ったある人物の表情にも違和感・・。




「あぁ・・。それよりも不思議なこったなぁー。
さっき、嬢ちゃんの魔方陣から、確かに強い閃光が見えた気がしたんだけどなぁ。
まぁ、・・・異質だったけどよぉ。」

「やっぱり?ルカも感じたよね・・・。
でも、神力とは、ちょっと違うっていうか・・。」

渋い表情のクリスは、ブツブツ喋りながら何かを整理していた。

「残念だったね、シア・・。」

「ええ、仕方ないわ!!持ってる方が奇特な力だと聞いてるし・・。
ユヴェールや、みんなが凄いのよ!!
力が無いなら無いで、人を救う良い薬を生み出すことを頑張るだけよ!!」

「そうだよね・・・。ファーマシストも驚かせるような新しい物を
発明していると聞いてるし・・、シアにしか出来ないことは沢山あるもんね!!」

笑顔でユヴェールを見ると、眩しい物でも見るかのように私を麒麟と一緒に見下ろしていた。

麒麟の表情が優しい。

・・神獣って、シンクロしてるのかしら?



ひとまず、エーテルも心配だし。

お呼びがかかった、天帝リオルグの所に行くことにした。

「みんな、付き合ってくれて有難う。ちょっと天帝に会いに行ってくるわね!!」

「シア、一人で行く?俺も一緒に着いてこうか??」

「・・・ユヴェール、麒麟の側にいてあげてちょうだい。
知らない世界に出て来たばかりなのよ!!ちゃんとお世話を宜しくね、パパ!!」

「・・・パパ?えっ・・。パパって・・。ああぁっ、なんか良い・・!!」

ユヴェールは何か悶絶しながらブツブツ言っていた。

「シアさん、フレンドリーすぎますよ。リオルグ様はこの世界の神なんだけどな・・・。
でもそれを言ったらレオも時期・・。ああっ、末恐ろしい!!」

「嬢ちゃん、気にすんなよ。
神力なんかなくても、あんたにはこっそり調合しまくってる痺れ薬と眠り薬と毒薬があるし。
さっきの破壊兵器があるんだから前線でもファーマシストとして、全然オッケーだぜぇ!!」

毒薬と、眠り薬と痺れ薬の調合の件
何で知ってるの!?

・・・ルカのはフォローになってないけど、その鋭さに驚いた。

顔を引きつらせながらも、背を向けてドアへと歩き出した。

ペタペタ・・。


「ん‥!?何だあれ??おいっ、嬢ちゃん!?」

ルーカスは何かを目にして、珍しく動揺の声を上げた。

「・・・何だよ。ん・・っ!?・・うえぇええっ!?何、あれ!???」


クリスとルカの焦った声が届くこともなく、私は部屋を後にしたのだった。

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