転生伯爵令嬢は、裏切り者からの寵愛に戸惑う。

館花陽月

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騎士団との旅立ち。

神力ファーマシスト⑧

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その日の夕方、調薬の仕事が終わって帰途に就こうとしていたファーマシスト達が
研究棟の大講堂に集められた。

私とユヴェールは、研究棟で薬の調合を行っていたが
招集を促す放送を聞いて、すぐにこの大講堂へやって来た。

大きくざわついたままのファーマシスト達の並ぶ列へと並んでいた。

「・・・って訳だからぁ、騎士団と一緒にロージアナへ同行し、
現地の怪我人達の治療の為、薬を調合するファーマシストを募集する。
誰か俺たちに着いてくる気概の在る奴いるかぁ?」


「どういう事だ??ロージアナなんて、ただの平和な農村だろ??」

「騎士団が出ると言ってたけど・・。それって現場はどんな状況なんだろう。」

集められたファーマシスト達は、全く見えない現地の状況に更に混乱した様子だった。

「まぁなぁ・・。普段は平和な農村なんだけどな。
可笑しな薬の影響で死者まで出るような悲惨な状態なんだよ。
ここは、俺らファーマシストが行って、薬の調合をして助けてやるしか
ないだろうが。違うのか?おいっ。」

「ルカ、理由と状況説明が全くなってないよ。この説明じゃ、全然意味が解らないと思うけど・・。」

呆れた様子で、クリスがため息を吐いた。

気のせいだろうか?
みんながざわつくのが理解出来るんだけど・・。

色々な主語、修飾語や述語等が省略されすぎていて意味不明!!


「要は・・。アルトハルトの中でも、あの薬を使った事件が起きてるってことなんだね。」

ボソッと聞こえたユヴェールの言葉に、私は王立学院での様々な事件を思い出していた。

薬を飲んで、目の色を変えて理性を壊し暴れ出す者・・。
記憶を失くす者や、死に至らしめる毒となる薬の流通が王立学院の中で横行していた。

様々な中枢神経系に異常を来たす力を持つ、薬の存在。


かく言うアレクシアだって、その薬の被害者だった。

緑色の目を鋭くしたユヴェールは前に並んで立っていたレオのほうを注視していた。

「ジュリー達が入っていた・・。秘密結社ね。
確か、名前は・・。青薔薇の栄光ローゼングローリーだったわね。」

「キーーーンッ・・!!・・あ、おいっ!!何だよ、お前・・。ぐぉ、いてっ。」

頭をどつかれたルーカスは頭を押さえながら、大声を出した。

大きく引き締まった肢体を持ち、威圧感を持つエリアスがマイクを持っていた。

「あー・・。あっ。
・・・ファーマシストの諸君、研究や職務で多忙な君たちに集まってもらって申し訳ない。」


鬼より怖い騎士団長と噂のエリアスの登場に大講堂は水を打ったように静まり返った。

「ファーマシストの諸君、どうかちゃんとこの話を聞いて欲しい・・!!
ここから100キロ以上離れた平和な農村であったロージアナの近辺で、ある薬を使用したことによる
中毒死や、精神に異常を来す病にかかった者が多く出ている。現地へは、天子であるレオノールと、我が騎士団の視察に向かったのだが、想定以上の混乱が起きていたのだ。薬の解毒薬は予め出来てある。
ただし、その数は500本ほど予備で調合してあったのだが、到底足りないことが分かった。」


その言葉に、また行動内がざわっと揺れた。

「500本で足りないって・・。一体どんな状況なんですか??ロージアナに住む人々は大丈夫なんですか??」

1人の男性の質問に、エリアスは頷いて答えた。

「恐らくだが・・、数千人規模の被害が予想されている。
現地には、騎士団の第二陣が派遣され、仮設テントを装設して医師数名と、神力を持つ
者たちで救助を行っている状況だ。物資もリオルグ様より順に届けられてはいるが、食料や
医薬品も薬も足りない状況なんだ。」

エリアスの隣に、黙って並んでいたレオが
みんなに呼びかけるように、ゆっくりと言葉を紡いだ。

「現地では、更に火災や、更なる人災が起きている・・。
隠しても仕方ないので言うが、ロージアナで蔓延している薬は「人の心を壊す」毒薬なのだ。
しかし、既にこの薬の解毒薬は開発してあることが唯一の希望なのだ。
ファーマシストの諸君には、現地でその薬を作り、どうか一人でも多くの人命を取り留めてもらいたい!!」

レオの表情は冷静だが、聡明な蒼いサファイアのような瞳の中に憂いが見えた。

あれ・・??私、どうしてさっき気づかなかったんだろう・・。



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