転生したらストーカーも転生したようなので、魔術師団に入ります。

館花陽月

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異世界

騎士団の精鋭。

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次にパチリと目を開けると、薄いモスグリーンの天蓋が見えた。

シルクのケットが掛けられ、ふかふかの大きな枕の上で眠っていたようだった。

さっきまでの夢の余韻のせいか、涙袋に温かい涙が溜まっていた。
私は、すーっと息を吐き気持ちを落ち着かせる。

真横を見て、・・ギョッと驚いて我に返った。

ランドルと、クレードと、クリスが口喧嘩を繰り広げている真っ最中だったのであった。

「何で休みの日に、セレーナと街に居たんだよ!!
しかも、倒れさせるなんてよっぽど空気を読まずに連れまわしたんじゃないのか!?」

椅子から立ち上がり、ランドルにいちゃもんをつけているクレード。

「・・婚約者と、休日に街でデートする事の何が悪い?
連れまわそうとは思っていたが、まだ食事を終えたばかりだった。
アスコットの事が余程ショックだったんじゃないのか?!考えが浅いぞ・・・クレード。」

部屋中の水分を凍らせられそうな、極寒の瞳でクレードを睨み付けていた。

「ランドル様、多分今のはクレード様がこの間姉さんにお誘いして断られた事への
只の八つ当たりなので。スルーしてもらって結構です。」

「お前は誰の護衛なんだ?!たまには味方しろよー。」


「まぁまぁ、落ち着けよ。それよりも・・。お目覚めのようだぞ。」

ケイレブは、いち早くセレーナの目覚めに気づいたようだった。
3人の罵り合いにポカンと口を開けた私は、起き上がれずに横を向いたまま固まっていたのだった。

「・・あの、すみません。
団長の怪我の知らせを聞いて・・ショックで倒れてしまったようで・・。」

私はゆっくりと起き上がり、皆へと頭を下げた。

「「「セレーナ!!!」」」

喧嘩を辞めた3人は、興奮気味に喜び合っていた。

「姉さん、心配したんだよ??大丈夫?」

クリスが心配そうに私の顔を覗き込んだ。と、思ったらベリッとクレードに引き剥がされる・・。

「セレーナ、無理してたんじゃないのか?魔術師団に入ってからは無理をしていた
様だし・・。アスコットの事は我ら師団長に任せて、休んでいても良いぞ?」

「クレード、近いぞ。
距離感が分からぬのですか?セレーナが怯えております。
しかし確かに、体は心配だが・・。
アスコットはお前の師団長でもあるから、動けるなら連れて行くが?
ここでジッとしているのは、君の本意ではないだろう?」

ランドルの言葉に私は大きく頷いた。

「・・・大丈夫です。
最近、私の周りにお怪我をする方が増えていて。
数か月前にも、私のお義兄も急に襲われ怪我をなさっているんです。
立て続けに不幸が続いていたので、少々動揺をしてしまいました。
皆さまには、ご心配をかけて申し訳ありませんでした。」

クリスも納得した様子で頷く。
彼も我が家の周りに起こる・・不穏な様子に気づいていたようだった。

「そうか・・。
しかし、それなら君の心は大丈夫か?
身体もそうだが、魔術は心が直接反映されるモノだからな。
今回のマグダリア行きには、少々キナ臭さがあるのでな。
・・・・戦闘となることも考えられるよ?」

壁に凭れ掛かった姿勢でケイレブは蒼色の鋭い眼差しを皆に向けていた。
部屋には一瞬、緊張感が走った。

「ケイレブ総長!!私の気持ちは、ランドル様の仰る通りです!
私は大丈夫、戦えます・・!
と後悔したくないのです。
・・・・どうか団長の側に行かせてください!!!」

「私も、第1師団は私と2名の精鋭を連れて行く。
アスコットの状況と、何故王族がメディテリアに搬送することが吉だと
判断したのかに疑問がある以上、最悪の事態を考えた上での判断が必要だろう。」

「勿論、僕も行く。第2師団からは攻撃と、回復魔法の最上ランクを扱える者を選抜する。
この判断を下したのがだとしたら、僕も、
・・ランドルも行かねばならぬしな!
クリス、しっかり護衛を頼むぞ!!」

落ち着いた様子のクリスは静かに頷いて礼を取った。

「よし、では急ぎ旅支度と、召集を頼む!!
転位魔術を使える私は先にアスコットの元へ行く。
我が国の魔術より、メディテリアの方が安全と判断したのなら、・・助かっている筈だ。」

・・ケイレブは、転移魔法を使える事に驚いているのは私だけだった・・。
周知の事実なんですね!!

魔術での治癒より、メディテリアへの搬送を選んだ王族・・・。
その選択に違和感があったのは私だけではないのね。

私の得意とする水の属性の最大呪文・金剛癒こんごうちは、
死んでいないなら、大概の状態異常から回復が可能となるはず・・。

近くに魔術者が居たとすれば何故、治療をさせなかったのかが疑問となる。

「分かった、国の方は王立騎士団と、第1師団、第2師団の残りの者数十名から暫定の団長代理を
立て任務にあたらせる。あと2時間後の夕刻にマグダリアへ向けて出立する。・・以上だ!」


皆が、散り散りに部屋を出て行った。

不安そうに窓の外を見ていた私の方へ、部屋に残ったクリスが近づいて来る。

私が振り向くと、私を見て微笑んだ。

「・・・姉さんのせいじゃないよ。
でも、姉さんの周りで起こっているこれらの事には全て意味があると僕は思う。
もし・・。僕の勧があっていれば、いつか僕も危ない目に合うかもしれない。
その時は、必ず姉さんにヒントを残すよ。」

「クリス?!・・どういう意味?
危ない事はやめて・・。
貴方・・もしかして!
誰がこのような事を起こしているか・・気が付いているの・・・??」

驚いた私はクリスの腕を握り、不安そうな瞳で同じ色の瞳を見つめる。

「まだ、確証はない。
だけど、多分そうだと思う。それを確かめたいとは思っている・・。」

「辞めて!!クリス駄目よ。
あの・・アスコット団長までもが危険な目に合っているの・・。
どうか、何もしないで。
確かめるとしたら、皆で確かめましょう。
絶対、一人で行動しちゃ駄目よ?」

苦しそうな声に、クリスはビクリと震えた。

「分かったよ。もし、それを確かめる時は・・姉さんにもちゃんと伝えるね。」

「クリス・・・。絶対よ!約束してね・・。もう誰かが傷つくのは嫌なの。」

私は、大切な弟の手をぎゅっと強く握りしめた。

儚く笑ったクリスに、私は不安を拭い去る事が出来なかった。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

魔術師団の詰め所前の噴水の前に、魔術師団の中でも総勢9名の精鋭が集う。

第1師団からは師団長、ランドル=クラリシッド
(19)

 土と火と風を守護に持つ、エミール=アクセルロッド(19)
   水と光を守護に持つ、カイン=ブレナン(17)

第2師団からは師団長、クレード=アルベルロッサ=エル=カルドリア(15)
  闇と風と水を守護に持つ、エミリア=ランベリード(18)
  火と土と水を守護に持つ、アレクシス=フィリップス(17)

第3師団からは
   光、火、水、風を守護に持つ、セレーナ=アルベルディア(16)
       火と風を守護に持つ、リンダ=ラクシャータ(17)

王立騎士団からはクリス=アルベルディアがクレードの護衛として付き従う。


この魔術師団の中でもトップクラスのエリート達の精鋭部隊であった。

予定の刻限、馬車に乗り込んだ。

一路、隣国マグダリアにある「メディテリア」へと向かうのであった。

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