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18. 部活に潰されそうな青春
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5月25日(金)。
28日(月)から1学期の中間テストが始まる。
ノリたちの通う学校ではテスト開始の3日前から部活が全面禁止となるため、今日は6時間目が終わった後生徒全員が下校した。
ノリ、光二、なーちゃん、優子の4人はノリの家でテスト勉強をすることにした。
「ノリぃ、これ分かんないよお。教えてよ」
数学が大の苦手の優子が、ノリに教えを乞う。この光景は小学生時代から続くもので、ノリは優子の算数の先生のようなものだった。
「しょうがないなあ。おれお前にかれこれ5年くらい算数教えてるぞ。全然進歩ないじゃん」
「うるさい、いいの。テストの時にできたらそれでいいんだから」
「あのね、yってのは1×yってことでね、2y-yは…」
「おい優子、めちゃくちゃ基本的なことじゃねえか、笑っちゃうぜ」
勉強も昔からそこそこできた光二は、優子を馬鹿にして言った。
「光二!殴るわよ!」
しばらくノリのスパルタ指導が続き、それが終わると一同は沈黙の中勉強を進めた。そして1時間ほど経ち、なーちゃんがゆっくり口を開いた。
「もう17時前か。ちょっと休憩しようよ」
「待ってました!なーちゃんのその一言!やっと休憩!長かったぜ。」
光二はこんな時もお調子者の本領を発揮する。ある意味明るくていい性格だなとノリは感じている。
「みんな、部活はどんな感じなの?」
優子が突然部活の話を始めた。
「あたしさあ、土日丸々テニスに費やして、疲労困憊でまた月曜から学校行くでしょ。そんでまたテニスで…。これでいいのかなって思っちゃったんだよね。確かにテニスは楽しいけど、休日なくなっちゃうんじゃねえ。どうなのかなと思うのよ」
優子が所属する女子ソフトテニス部は、学内でも厳しい部活で有名で、土日の休みはほどんどない。あるとすれば大会後かテスト前のどちらかだけだ。
「しかも先生ずっとキレてるし。みんな恐怖で顔が死んでるの。まさに昨日の体育みたいな感じ」
昔から多少文句言いなところがある優子だが、今回はいつもよりかなり表情が暗い。大丈夫か優子、と思いながらノリは頷いた。
「確かに相当な時間を費やすことになるよね、部活って。勉強する時間とか遊ぶ時間とか、他にもいろんな活動がをする時間がほぼゼロだもんな。特に女テニは」
光二は口には出さなかったが、バスケ部がそこまで練習日数が多い部活でなくてホッとしている。
「先生も大変だよな。俺らの休みがないってことは先生も休みないんだもんな」
「噂によると部活出てもほぼ給料変わらないらしいよ。タダ働き。可哀想。その辺もなんか変わればいいのにね」
議論は大いに盛り上がっている。そんな中、珍しくなーちゃんが暗い顔をしている。
「吹部はどうなの?」優子が尋ねる。
「全然休みない。ゴールデンウィーク明けてから今日まで木曜以外休みなかったよ。たくさん練習したらまあまあ上手にはなるんだけど、もっと他にもしたいことあるし、どうなのかなと思うな。もっとみんなで遊んだり勉強したり旅行行ったりしたい。この生活続けてると、大人になった時に人間としての深みがなくなっちゃいそうな気がする」
なーちゃんの意見に、一同は大いに納得した。
「んん、確かに。経験できることが減っちゃいそう。いろんなことしたいよね。私たちまだまだ若いんだし。まだ部活始まって1か月しか経ってないけど、もう部活に束縛されてる気がしてきた」
他の中学校や高校でもそうなのかもしれないが、いわゆる「ブラック部活」のせいで勉強する時間が無くなったり遊ぶ時間が無くなったり、さらには睡眠時間が短くなって体調を崩す子どもたちが多い。これは教師も同様で、早急に改善すべき問題なのかもしれない。
ひとしきり話が終わると、4人は再び勉強を始めた。
28日(月)から1学期の中間テストが始まる。
ノリたちの通う学校ではテスト開始の3日前から部活が全面禁止となるため、今日は6時間目が終わった後生徒全員が下校した。
ノリ、光二、なーちゃん、優子の4人はノリの家でテスト勉強をすることにした。
「ノリぃ、これ分かんないよお。教えてよ」
数学が大の苦手の優子が、ノリに教えを乞う。この光景は小学生時代から続くもので、ノリは優子の算数の先生のようなものだった。
「しょうがないなあ。おれお前にかれこれ5年くらい算数教えてるぞ。全然進歩ないじゃん」
「うるさい、いいの。テストの時にできたらそれでいいんだから」
「あのね、yってのは1×yってことでね、2y-yは…」
「おい優子、めちゃくちゃ基本的なことじゃねえか、笑っちゃうぜ」
勉強も昔からそこそこできた光二は、優子を馬鹿にして言った。
「光二!殴るわよ!」
しばらくノリのスパルタ指導が続き、それが終わると一同は沈黙の中勉強を進めた。そして1時間ほど経ち、なーちゃんがゆっくり口を開いた。
「もう17時前か。ちょっと休憩しようよ」
「待ってました!なーちゃんのその一言!やっと休憩!長かったぜ。」
光二はこんな時もお調子者の本領を発揮する。ある意味明るくていい性格だなとノリは感じている。
「みんな、部活はどんな感じなの?」
優子が突然部活の話を始めた。
「あたしさあ、土日丸々テニスに費やして、疲労困憊でまた月曜から学校行くでしょ。そんでまたテニスで…。これでいいのかなって思っちゃったんだよね。確かにテニスは楽しいけど、休日なくなっちゃうんじゃねえ。どうなのかなと思うのよ」
優子が所属する女子ソフトテニス部は、学内でも厳しい部活で有名で、土日の休みはほどんどない。あるとすれば大会後かテスト前のどちらかだけだ。
「しかも先生ずっとキレてるし。みんな恐怖で顔が死んでるの。まさに昨日の体育みたいな感じ」
昔から多少文句言いなところがある優子だが、今回はいつもよりかなり表情が暗い。大丈夫か優子、と思いながらノリは頷いた。
「確かに相当な時間を費やすことになるよね、部活って。勉強する時間とか遊ぶ時間とか、他にもいろんな活動がをする時間がほぼゼロだもんな。特に女テニは」
光二は口には出さなかったが、バスケ部がそこまで練習日数が多い部活でなくてホッとしている。
「先生も大変だよな。俺らの休みがないってことは先生も休みないんだもんな」
「噂によると部活出てもほぼ給料変わらないらしいよ。タダ働き。可哀想。その辺もなんか変わればいいのにね」
議論は大いに盛り上がっている。そんな中、珍しくなーちゃんが暗い顔をしている。
「吹部はどうなの?」優子が尋ねる。
「全然休みない。ゴールデンウィーク明けてから今日まで木曜以外休みなかったよ。たくさん練習したらまあまあ上手にはなるんだけど、もっと他にもしたいことあるし、どうなのかなと思うな。もっとみんなで遊んだり勉強したり旅行行ったりしたい。この生活続けてると、大人になった時に人間としての深みがなくなっちゃいそうな気がする」
なーちゃんの意見に、一同は大いに納得した。
「んん、確かに。経験できることが減っちゃいそう。いろんなことしたいよね。私たちまだまだ若いんだし。まだ部活始まって1か月しか経ってないけど、もう部活に束縛されてる気がしてきた」
他の中学校や高校でもそうなのかもしれないが、いわゆる「ブラック部活」のせいで勉強する時間が無くなったり遊ぶ時間が無くなったり、さらには睡眠時間が短くなって体調を崩す子どもたちが多い。これは教師も同様で、早急に改善すべき問題なのかもしれない。
ひとしきり話が終わると、4人は再び勉強を始めた。
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