13 / 16
忍び寄る魔の手
しおりを挟む
「そなたが見たのは、炎を操る銀髪の娘、で間違いないな?」
「はっ」
兵士が跪き、大臣の問いに答える。
二人のやりとりを、階段の上に置かれた豪華絢爛な椅子から、老人が見ていた。
この老人こそ、この国の王、ジエロ・アマスである。
この世のあらゆる魔法を扱うといい、いくつもの戦争を指先一つで終わらせた伝説をもつ。
「陛下、銀髪の女、記憶にございますか」
大臣がうやうやしく、言葉少なく聞く。
「両手じゃ足らぬ」
アマス王が右手で、側に控える銀髪の従者の髪を撫でる。
ほれ、と言うと、従者は王の衣服をめくり、奉仕を始めた。
この色狂いめ、大臣は心の中で毒づくが、表情には出さない。
アマス王のひどい女癖のせいで、王族特有の強力な魔法を扱う子供が時々でてくる。
その者が反乱を起こす可能性があるということで、見つけ次第順次殺害することになっている。
国家に協力的な者も、後継問題に発展するのを恐れ、死地たる戦線を転々とさせ、死ぬまで戦わせたり、不慮の事故として殺害している。
これまで国のために葬ってきた王の落し物は、百ではきかない。
やれやれ、大臣は舌で歯茎を押す。
兵士へ問いただす。
「なぜ、規則通り殺さなかった」
「はっ、A級冒険者の玉ねぎの根が、落し物の側を離れず、手が出せませんでした」
冒険者か。忌々しい。
国への感謝もなく、我が物顔で国が作った道路を歩き、橋を渡る。
実に無礼で不誠実なものどもだ。
しかも困ったことに、彼らは戦術兵器なみの戦闘力があるので迂闊に手が出せないときた。
「落とし物の名は」
「スノゥ、と申しておりました。今は南の、海岸沿いにおります」
苗字もなければ調べるのは困難を極める。
だが、居場所がわかっているならやることは一つだ。
「よい。下がれ」
王を見る。やれやれ、また子を増やすつもりか。
両手に女を侍らせ、弄り、お楽しみだ。
この状態の王に声をかけると、重力魔法で拳ほどの大きさに押し潰されてしまう。
たとえ大臣でも、、、
7代前の大臣が死んだのは、あの扉の前。
4代前の大臣が死んだのは、あの階段の二段目。
さてさて、どう対処するか。
王の落とし物も、ピンキリだ。
国家転覆の脅威となる強力な魔法使いから、冒険者となっても活躍できずに死に絶えるものまで。
今回のは、やや脅威だ。
なんせ、デーモンをやすやすと葬るのだ。
「ぶつけるか」
大臣は王の間を去り、地下牢へ向かった。
階段をおり、元A級冒険者が塞ぐ扉を開き、カツカツと歩るく。
牢屋だ。
10人以上いる。
皆両手を鎖に繋がれ、ガリガリに痩せ細っている。
王の落とし物たちだ。
「この中で火を扱う魔法使いを殺したいものはいるか。殺したら褒美をやろう」
沈黙が響く。
やれやれ、毎度毎度痛い目に合わないと返事も出来ないらしい。
立て掛けたムチを手に取る。
「や、やらせてください」
一人の女が蚊のような声を出した。
「お前はステューシアと言ったか。氷を扱う、だったか?氷で炎を倒せるか」
「暗殺なら、私の魔法は向いています」
「なにを望む」
ステューシアは俯き、地面を見つめる。
「スープを。温かいスープが飲みたいです。ここにいる全員で」
大臣は舌打ちをする。
「そんなものか。気味が悪い。自由とか金とか言っておれば可愛げがあるものの…ふん。まあ良い。影を付ける。裏切り者には死を。裏切り者の仲間には拷問を」
スティーリアがブルブル震える。
両目から涙がとめどなく流れている。
部屋中からシクシクと抑えて泣く声が漏れ聞こえる。
「裏切りません」
「わかった。スープを用意する。出発前に飲んでいけ。帰ってきたらチキンでも用意してやろう。では、準備をしろ」
顎で兵に指示し、ステューシアの鍵を外す。
ゆらゆらと部屋からでるステューシアは、疲労と絶望を感じさせる暗い顔をしている。
だが、長い足と引き締まったウエスト、割と大きめな臀部に大臣は唾を呑み込む。
「その前に、湯を浴びたらワシの部屋に来るように」
「…はい」
うっ、、、しくしく、、、
牢屋の中から押し殺すように泣く声が、部屋にじっとりと響いた。
「はっ」
兵士が跪き、大臣の問いに答える。
二人のやりとりを、階段の上に置かれた豪華絢爛な椅子から、老人が見ていた。
この老人こそ、この国の王、ジエロ・アマスである。
この世のあらゆる魔法を扱うといい、いくつもの戦争を指先一つで終わらせた伝説をもつ。
「陛下、銀髪の女、記憶にございますか」
大臣がうやうやしく、言葉少なく聞く。
「両手じゃ足らぬ」
アマス王が右手で、側に控える銀髪の従者の髪を撫でる。
ほれ、と言うと、従者は王の衣服をめくり、奉仕を始めた。
この色狂いめ、大臣は心の中で毒づくが、表情には出さない。
アマス王のひどい女癖のせいで、王族特有の強力な魔法を扱う子供が時々でてくる。
その者が反乱を起こす可能性があるということで、見つけ次第順次殺害することになっている。
国家に協力的な者も、後継問題に発展するのを恐れ、死地たる戦線を転々とさせ、死ぬまで戦わせたり、不慮の事故として殺害している。
これまで国のために葬ってきた王の落し物は、百ではきかない。
やれやれ、大臣は舌で歯茎を押す。
兵士へ問いただす。
「なぜ、規則通り殺さなかった」
「はっ、A級冒険者の玉ねぎの根が、落し物の側を離れず、手が出せませんでした」
冒険者か。忌々しい。
国への感謝もなく、我が物顔で国が作った道路を歩き、橋を渡る。
実に無礼で不誠実なものどもだ。
しかも困ったことに、彼らは戦術兵器なみの戦闘力があるので迂闊に手が出せないときた。
「落とし物の名は」
「スノゥ、と申しておりました。今は南の、海岸沿いにおります」
苗字もなければ調べるのは困難を極める。
だが、居場所がわかっているならやることは一つだ。
「よい。下がれ」
王を見る。やれやれ、また子を増やすつもりか。
両手に女を侍らせ、弄り、お楽しみだ。
この状態の王に声をかけると、重力魔法で拳ほどの大きさに押し潰されてしまう。
たとえ大臣でも、、、
7代前の大臣が死んだのは、あの扉の前。
4代前の大臣が死んだのは、あの階段の二段目。
さてさて、どう対処するか。
王の落とし物も、ピンキリだ。
国家転覆の脅威となる強力な魔法使いから、冒険者となっても活躍できずに死に絶えるものまで。
今回のは、やや脅威だ。
なんせ、デーモンをやすやすと葬るのだ。
「ぶつけるか」
大臣は王の間を去り、地下牢へ向かった。
階段をおり、元A級冒険者が塞ぐ扉を開き、カツカツと歩るく。
牢屋だ。
10人以上いる。
皆両手を鎖に繋がれ、ガリガリに痩せ細っている。
王の落とし物たちだ。
「この中で火を扱う魔法使いを殺したいものはいるか。殺したら褒美をやろう」
沈黙が響く。
やれやれ、毎度毎度痛い目に合わないと返事も出来ないらしい。
立て掛けたムチを手に取る。
「や、やらせてください」
一人の女が蚊のような声を出した。
「お前はステューシアと言ったか。氷を扱う、だったか?氷で炎を倒せるか」
「暗殺なら、私の魔法は向いています」
「なにを望む」
ステューシアは俯き、地面を見つめる。
「スープを。温かいスープが飲みたいです。ここにいる全員で」
大臣は舌打ちをする。
「そんなものか。気味が悪い。自由とか金とか言っておれば可愛げがあるものの…ふん。まあ良い。影を付ける。裏切り者には死を。裏切り者の仲間には拷問を」
スティーリアがブルブル震える。
両目から涙がとめどなく流れている。
部屋中からシクシクと抑えて泣く声が漏れ聞こえる。
「裏切りません」
「わかった。スープを用意する。出発前に飲んでいけ。帰ってきたらチキンでも用意してやろう。では、準備をしろ」
顎で兵に指示し、ステューシアの鍵を外す。
ゆらゆらと部屋からでるステューシアは、疲労と絶望を感じさせる暗い顔をしている。
だが、長い足と引き締まったウエスト、割と大きめな臀部に大臣は唾を呑み込む。
「その前に、湯を浴びたらワシの部屋に来るように」
「…はい」
うっ、、、しくしく、、、
牢屋の中から押し殺すように泣く声が、部屋にじっとりと響いた。
0
あなたにおすすめの小説
辺境貴族ののんびり三男は魔道具作って自由に暮らします
雪月夜狐
ファンタジー
書籍化決定しました!
(書籍化にあわせて、タイトルが変更になりました。旧題は『辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~』です)
壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。
辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。
しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。
俺、何しに異世界に来たんだっけ?
右足の指
ファンタジー
「目的?チートスキル?…なんだっけ。」
主人公は、転生の儀に見事に失敗し、爆散した。
気づいた時には見知らぬ部屋、見知らぬ空間。その中で佇む、美しい自称女神の女の子…。
「あなたに、お願いがあります。どうか…」
そして体は宙に浮き、見知らぬ方陣へと消え去っていく…かに思えたその瞬間、空間内をとてつもない警報音が鳴り響く。周りにいた羽の生えた天使さんが騒ぎたて、なんだかポカーンとしている自称女神、その中で突然と身体がグチャグチャになりながらゆっくり方陣に吸い込まれていく主人公…そして女神は確信し、呟いた。
「やべ…失敗した。」
女神から託された壮大な目的、授けられたチートスキルの数々…その全てを忘れた主人公の壮大な冒険(?)が今始まる…!
最強剣士が転生した世界は魔法しかない異世界でした! ~基礎魔法しか使えませんが魔法剣で成り上がります~
渡琉兎
ファンタジー
政権争いに巻き込まれた騎士団長で天才剣士のアルベルト・マリノワーナ。
彼はどこにも属していなかったが、敵に回ると厄介だという理由だけで毒を盛られて殺されてしまった。
剣の道を極める──志半ばで死んでしまったアルベルトを不憫に思った女神は、アルベルトの望む能力をそのままに転生する権利を与えた。
アルベルトが望んだ能力はもちろん、剣術の能力。
転生した先で剣の道を極めることを心に誓ったアルベルトだったが──転生先は魔法が発展した、魔法師だらけの異世界だった!
剣術が廃れた世界で、剣術で最強を目指すアルベルト──改め、アル・ノワールの成り上がり物語。
※アルファポリス、カクヨム、小説家になろうにて同時掲載しています。
異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~
宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。
転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。
良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。
例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。
けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。
同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。
彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!?
※小説家になろう様にも掲載しています。
『異世界ごはん、はじめました!』 ~料理研究家は転生先でも胃袋から世界を救う~
チャチャ
ファンタジー
味のない異世界に転生したのは、料理研究家の 私!?
魔法効果つきの“ごはん”で人を癒やし、王子を 虜に、ついには王宮キッチンまで!
心と身体を温める“スキル付き料理が、世界を 変えていく--
美味しい笑顔があふれる、異世界グルメファン タジー!
外れスキルは、レベル1!~異世界転生したのに、外れスキルでした!
武蔵野純平
ファンタジー
異世界転生したユウトは、十三歳になり成人の儀式を受け神様からスキルを授かった。
しかし、授かったスキルは『レベル1』という聞いたこともないスキルだった。
『ハズレスキルだ!』
同世代の仲間からバカにされるが、ユウトが冒険者として活動を始めると『レベル1』はとんでもないチートスキルだった。ユウトは仲間と一緒にダンジョンを探索し成り上がっていく。
そんなユウトたちに一人の少女た頼み事をする。『お父さんを助けて!』
ずっとヤモリだと思ってた俺の相棒は実は最強の竜らしい
空色蜻蛉
ファンタジー
選ばれし竜の痣(竜紋)を持つ竜騎士が国の威信を掛けて戦う世界。
孤児の少年アサヒは、同じ孤児の仲間を集めて窃盗を繰り返して貧しい生活をしていた。
竜騎士なんて貧民の自分には関係の無いことだと思っていたアサヒに、ある日、転機が訪れる。
火傷の跡だと思っていたものが竜紋で、壁に住んでたヤモリが俺の竜?
いやいや、ないでしょ……。
【お知らせ】2018/2/27 完結しました。
◇空色蜻蛉の作品一覧はhttps://kakuyomu.jp/users/25tonbo/news/1177354054882823862をご覧ください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる