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来客と刺客
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カランカラン
扉が開かれる音と共に入ってきたのは、玉ねぎの根の二人だった。
「スノゥちゃん、久しぶりね。タック坊やにたくさんご飯食べさせてもらえてる?あら、前より血色がいいじゃない。よかったわ。ほら、お土産もあるのよ。ロブスター。茹でて塩を振って食べると美味しいのよ。あと、パウンドケーキもあるの。一緒に食べましょう。ほら、席に座って。大丈夫よ。紅茶も熱々のものが用意できてる。ほら」
黒帽子のバスキアが、扉が開ききる前から息をつかずに喋り続ける。
息継ぎをしなくても話し続ける魔法でもあるのだろうか。
時空間魔術で、机の上に次々と料理や飲み物が揃っていく。やはり魔法使いは凄い。
「久しぶり…バスキア、リリキア。そんなに久しぶりじゃない気もするけど…」
スノゥは終始押され気味だが、バスキアは気にすることなくスノゥの頭をわしゃわしゃ撫で回している。
鎧の人、リリキアが申し訳なさそうに俺を見てくる。
「急にごめんね。土木の依頼をお願いしたいっていうのは間違い無いんだけど、ほら、アレがアレだから、先にお食事にしない?」
リリキアはバスキアの方をチラと見て、こちらに手を合わせてきた。
「美味そうな料理までありがとうございます。お言葉に甘えて、食事にしましょう」
「…うん」
テーブルの上には溢れんばかりの料理が並んでいた。海の幸に、肉料理、サラダまで揃っている。
「いただきます」
「召し上がれ」
リリキアは鎧を脱がず、口元だけ装具を外して食べ始めた。
「鎧、脱がないんですね」
「まあね。これ脱いだらセクシーすぎるから」
カンカンと鎧を指で弾き、音を鳴らすリリキア。
冗談で返されたが、きっと理由があるのだろう。
食事を食べていると、ガンッという音と共に、リリキアの鎧の胸の部分が少し凹んだ。
「おいでなすった。バスキア、いける?」
「場所がわからないから、半径100mの生き物全部眠らせちゃうわよ」
バスキアが言い切る前に、俺の瞼は重くなり、抗えない睡魔と共に眠りについた。
不思議な夢を見た。
バスキアの膝の上で、頭を撫でられている。
頭だけじゃない。僕の上半身はもう膝の上に乗っている。
あれ、僕は、、、
バスキアを見上げるが、顔は見えない。
あれ、大きいな。
バスキアの顔が遠くて見えない。
全身が彼女の膝の上だ。
というか、彼女の膝がどこまでも続いている。地平線のようだ。
顔を見上げる。
どこまでも高く、見上げる。
あれ、僕は、、、どこかでこれを見たような、、、
「おはよう。タック坊や」
手で触れられ、目が覚めた。
頭がぼんやりする。
頭を振りながら立ち上がると、スノゥも同じように頭を振っていた。
「この子たちに見覚えは?」
リリキアに促され、目線を向けると、ガリガリに痩せ細った長身の女と、顔中に真っ黒のタトゥーを掘り込んだ小柄な男が三人倒れている。
痩せ細った女の顔は、どこか少しスノゥを思わせる輪郭だ。
フルフルと首を振り、スノゥを見る。
「…わからない。施設にはこんな人たち居なかった。見たことない」
「俺も、わかりません」
バスキアは困ったような顔をする。
「あたしたちが狙われた?」
リリキアは首を振る。
「だとしたら情報収集が甘すぎる。胸への攻撃は、おそらく突き刺すような攻撃だった。あたしたちに物理攻撃を仕掛けるなんて、無知もいいところ」
鎧の窪みを撫でる。
「まあ、自信があったのかもしれないけど」
「リリキアさん、物理攻撃が効かないって、どういうことですか?」
ああ、そっか。知らないよね。
鎧を撫でる。先程できた窪みがみるみるうちに無くなっていく?
「あたしの鎧は、身代わり鎧。あたしの守りたいものへのダメージを代わりに受け持つ。そんで、これはアダマンタインで出来ているし、魔法で自動超高速再生を常にしてるの。それにカウンターでスタンの呪いもかける。だから、あたしたちに物理攻撃しても、決定打に欠けるし、逆にやられちゃうってわけ」
最強ではないか。
「残念なのは、誰への攻撃かがわからなかったことね。誰か起こして聞いてみましょうか。このガリガリちゃんがボスっぽいから、手前のおじさんにしましょ。さ、離れて」
顔一面黒の男が、ううっ、とうめきながら起き上がる。
こちらと目が合うと、即座に横にいた二人の男とガリガリの女にナイフを投げつけた。それぞれの首筋に命中し、ドクドクと血が流れ出す。
「おい、お前、何やってるんだよ」
男は懐からナイフを取り出し、スノゥめがけて投げつけるが、俺が土壁で払う。
それを見た男は、即座にナイフで自分の首を断ち切り、絶命した。
「なに、これ」
スノゥはぺたんと座り込む。
「この気合いの入り方、王の刺客ね。スノゥちゃん、ご両親にあったことは?」
「…ない。知らないし」
スノゥが体育座りになり震えて答える。
よしよし、と横に座り背をさすると、脂汗だろうか、背中がグッショリと濡れていた。
「たぶん、スノゥちゃんは王の落とし物ね。タック坊や、腹を括りなさい。スノゥちゃんを守りたければ、この国を叩き潰すくらい強くならなきゃいけないわ」
扉が開かれる音と共に入ってきたのは、玉ねぎの根の二人だった。
「スノゥちゃん、久しぶりね。タック坊やにたくさんご飯食べさせてもらえてる?あら、前より血色がいいじゃない。よかったわ。ほら、お土産もあるのよ。ロブスター。茹でて塩を振って食べると美味しいのよ。あと、パウンドケーキもあるの。一緒に食べましょう。ほら、席に座って。大丈夫よ。紅茶も熱々のものが用意できてる。ほら」
黒帽子のバスキアが、扉が開ききる前から息をつかずに喋り続ける。
息継ぎをしなくても話し続ける魔法でもあるのだろうか。
時空間魔術で、机の上に次々と料理や飲み物が揃っていく。やはり魔法使いは凄い。
「久しぶり…バスキア、リリキア。そんなに久しぶりじゃない気もするけど…」
スノゥは終始押され気味だが、バスキアは気にすることなくスノゥの頭をわしゃわしゃ撫で回している。
鎧の人、リリキアが申し訳なさそうに俺を見てくる。
「急にごめんね。土木の依頼をお願いしたいっていうのは間違い無いんだけど、ほら、アレがアレだから、先にお食事にしない?」
リリキアはバスキアの方をチラと見て、こちらに手を合わせてきた。
「美味そうな料理までありがとうございます。お言葉に甘えて、食事にしましょう」
「…うん」
テーブルの上には溢れんばかりの料理が並んでいた。海の幸に、肉料理、サラダまで揃っている。
「いただきます」
「召し上がれ」
リリキアは鎧を脱がず、口元だけ装具を外して食べ始めた。
「鎧、脱がないんですね」
「まあね。これ脱いだらセクシーすぎるから」
カンカンと鎧を指で弾き、音を鳴らすリリキア。
冗談で返されたが、きっと理由があるのだろう。
食事を食べていると、ガンッという音と共に、リリキアの鎧の胸の部分が少し凹んだ。
「おいでなすった。バスキア、いける?」
「場所がわからないから、半径100mの生き物全部眠らせちゃうわよ」
バスキアが言い切る前に、俺の瞼は重くなり、抗えない睡魔と共に眠りについた。
不思議な夢を見た。
バスキアの膝の上で、頭を撫でられている。
頭だけじゃない。僕の上半身はもう膝の上に乗っている。
あれ、僕は、、、
バスキアを見上げるが、顔は見えない。
あれ、大きいな。
バスキアの顔が遠くて見えない。
全身が彼女の膝の上だ。
というか、彼女の膝がどこまでも続いている。地平線のようだ。
顔を見上げる。
どこまでも高く、見上げる。
あれ、僕は、、、どこかでこれを見たような、、、
「おはよう。タック坊や」
手で触れられ、目が覚めた。
頭がぼんやりする。
頭を振りながら立ち上がると、スノゥも同じように頭を振っていた。
「この子たちに見覚えは?」
リリキアに促され、目線を向けると、ガリガリに痩せ細った長身の女と、顔中に真っ黒のタトゥーを掘り込んだ小柄な男が三人倒れている。
痩せ細った女の顔は、どこか少しスノゥを思わせる輪郭だ。
フルフルと首を振り、スノゥを見る。
「…わからない。施設にはこんな人たち居なかった。見たことない」
「俺も、わかりません」
バスキアは困ったような顔をする。
「あたしたちが狙われた?」
リリキアは首を振る。
「だとしたら情報収集が甘すぎる。胸への攻撃は、おそらく突き刺すような攻撃だった。あたしたちに物理攻撃を仕掛けるなんて、無知もいいところ」
鎧の窪みを撫でる。
「まあ、自信があったのかもしれないけど」
「リリキアさん、物理攻撃が効かないって、どういうことですか?」
ああ、そっか。知らないよね。
鎧を撫でる。先程できた窪みがみるみるうちに無くなっていく?
「あたしの鎧は、身代わり鎧。あたしの守りたいものへのダメージを代わりに受け持つ。そんで、これはアダマンタインで出来ているし、魔法で自動超高速再生を常にしてるの。それにカウンターでスタンの呪いもかける。だから、あたしたちに物理攻撃しても、決定打に欠けるし、逆にやられちゃうってわけ」
最強ではないか。
「残念なのは、誰への攻撃かがわからなかったことね。誰か起こして聞いてみましょうか。このガリガリちゃんがボスっぽいから、手前のおじさんにしましょ。さ、離れて」
顔一面黒の男が、ううっ、とうめきながら起き上がる。
こちらと目が合うと、即座に横にいた二人の男とガリガリの女にナイフを投げつけた。それぞれの首筋に命中し、ドクドクと血が流れ出す。
「おい、お前、何やってるんだよ」
男は懐からナイフを取り出し、スノゥめがけて投げつけるが、俺が土壁で払う。
それを見た男は、即座にナイフで自分の首を断ち切り、絶命した。
「なに、これ」
スノゥはぺたんと座り込む。
「この気合いの入り方、王の刺客ね。スノゥちゃん、ご両親にあったことは?」
「…ない。知らないし」
スノゥが体育座りになり震えて答える。
よしよし、と横に座り背をさすると、脂汗だろうか、背中がグッショリと濡れていた。
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