6 / 18
6 禁煙します
しおりを挟む
「では祝福されるべき勉強初日、まずはお互いに知るべきだと思うので君の好きなタイプを教えてもらえるかね?」
「初日から何をしに来たんですか……」
スーツをビシッと決め、髪型もしっかりセットして、彼女に少しでも魅力的に見られるようにしてきたので、まるで胡散臭いものを見るように呆れた目をされた。
「てか、誰ですか!? 先生っていつも髪ボサボサで死んだ目をしてて、さらに気だるそうな猫背をするだらしない人だったじゃないですか! あっ、でも死んだ目だけはいつも通りですね」
「お、おま……俺をそんな目で見ていたのね」
なんだかショックだ。
これほどまでに決めてきたのにひどい。
さらに目については酷評ありだ。
俺はやってられねえと元々のボサボサ頭に戻した。
「あー、俺も合わねえと思ったよ。だから早く好きなタイプ教えなさい!」
「そこはブレないんですね。てか教えませんよ、先生はそれに似せようとしそうですもん」
勘の良い奴め。
だがあまりふざけすぎると本当に通報されかねん。
バッグからプリントを取り出して、それを彼女の机の上に置いた。
「まずは実力を測るテストをやるぞ。俺たちには時間がない」
「今までのくだりって全部先生のせいですよね?」
どんどん彼女の中で俺の評価が下がっている気がする。
ごほんっと咳払いをしてテストを促した。
数学と英語の二年生までの範囲をまとめたテストで、うちの会社で作られたモノだ。
彼女も真面目に取り組み、すぐに二時間が経った。
「ふぅ……」
久々のテストで体力を使ったようで疲れが見える。
俺はすぐさま採点していくと、分かりやすい得点となっていた。
「なるほどな。英語はまあ良いとして、数学は2・Bがほぼ全滅か。1・Aはケアレスミスが少しあるな」
二年生の半分以上を学校に行けなかった風花は、二年生範囲は習っていないところが多い。
しかし英語は想像以上に良かったので、問題は俺の指導力が彼女を導けるかに掛かっていた。
「あぁー本当に私ってダメ……死にたい」
だが彼女は自分の実力に絶望してしまっていた。
この時期でこれならそんなに悪くないが、おそらく不登校になる前は成績も良かったせいで比べてしまうのだろう。
「そう落ち込むなって。学校に行ってなくてこれなら十分だよ。正直、これなら難関大だって今から目指せる」
「そんなお世辞なんて──」
何を言ってもこれでは自分を追い詰めてしまいそうだ。
俺は優しく彼女の肩に手を置いた。
そして顔をそっと近づけて目線を合わせた。
「俺がお前に嘘を付くわけないだろ?」
ジーッと目が合い、彼女はハッとなると目を背けられた。
「は、早く勉強を教えてください!」
少し頬に赤みが増していた。
落ち込みがなくなったのならそれでいい。
「それにテストを二時間も頑張ったんだ、ご褒美も用意しているぞ」
俺は持ってきたドリンクを机の上に置いた。
栄養ドリンクでもしもの時のために渡す。
「先生、これってビールですよね?」
「えっ……」
箱詰めされたビールが彼女の机の上に乗っている。
栄養ドリンクも同じく箱詰めされていたから、間違えて取り出したのだ。
彼女は急にスマホを取り出して、耳に当ててどこかに電話をする。
「もしもし、警察ですか?」
「だー! 違う、違う! こっちだ、こっち!」
俺は慌てて本物の栄養ドリンクを机の上に差し替えた。
彼女は嘆息してスマホをしまう。
本気で通報されなくて安堵する。
「でもご褒美が栄養ドリンクって死ぬ気で勉強しろって言ってるみたいですね。でもありがとうございます」
「悪いな。ちょっと金欠でな。合格したら美味しいご飯奢ってやるから勘弁してくれ」
確かにご褒美で栄養ドリンクはあまり嬉しくないかもしれない。
しかし彼女の顔はそこまで嫌がっていないように見えた。
「さて、まだ時間もあるんだ。勉強始めるぞ。まずは基礎固めとして数学と英語だけをやるぞ」
「他はやらなくていいんですか?」
「勉強は積み重ねだ。伸びにくい国数英を真っ先に勉強して、残りの時間で歴史と理科はやる方がいい」
俺はまず作成した計画表を彼女に渡した。
五月まで数学と英語、それから徐々に科目を増やしていく算段だ。
その時、彼女が俺の顔をジーッと見ていることに気が付いた。
「目に隈が出来ていると思っていましたが、この計画表って徹夜で作ったんですか?」
どうやら最初の死んだ目というのは、目の隈のことを指していたようだ。
せっかく服装をビシッとしたのになびかないのは、この目のせいだったとは。
「ああ、計画表は早いうちから欲しいと思ってな。それに生徒がこんなもん作るのは時間が勿体ない。家庭教師とはいわば生徒の面倒な仕事を片付けるためにあると思え。だから何でも俺に言うんだぞ?」
「はい……」
どうしてそこで計画表で顔を隠す。
まあいいと俺は胸ポケットからタバコを取り出そうとした。
「おっと、あぶねえ。いつもの癖が出た」
前も家庭教師中にベランダでタバコを吸って怒られたんだった。
この子の前では絶対にやらないようにと思っていたのに、普段の習慣とは恐ろしい。
「タバコ吸うんですか?」
「いや、吸わねえ。今回は真面目に教えたいでね」
「いつもは真面目じゃないんですね」
痛いところを突いてくる。
俺としてもこの子にだけは嫌われたくないので、なるべくタバコをバッグに入れて注意しようと思った。
「あまりタバコは吸わない方がいいですよ」
「わかってるよ。俺だって追い出されたくねえからな」
「そうじゃなくて……」
彼女はもじもじとし出して、計画表越しに目をチラチラと見てくる。
「先生には健康で居てほしいから……」
ズドッーンと今、俺の頭から何かが突き抜けていった気がした。
照れながらも俺の身を心配してくれた風花に俺は自分の行動が恥ずかしくなった。
「ふうか……」
「もう何も言いませんよ」
「禁煙何日続けたらキスしてくれる?」
「しません!」
無事に今日の家庭教師も終わり、俺は一度会社に帰社する。
まだ仕事をしている同僚たちが俺をチラッと見て侮辱の目を向ける。
いつものことのため俺は無視して自分の席に座って仕事の続きを始める。
明日以降の教材のコピーや自習用の問題集を探す。
「よっ、今日は自分から残業なんて珍しいな?」
声を掛けてきたのは上司の富岡さんだ。
面倒見の良い人で、俺に対してもよくしてくれる。
だがこの前は流石に怒らせてしまい少し気まずさが残っていた。
「俺もたまに頑張りたいんですよ。あっ、そうだ富岡さん。禁煙するんで、タバコ残りあげます。確か同じ銘柄でしたよね?」
「おっ、いいのか! でも急に禁煙なんて、本当にどうしたんだ? 体の調子でも悪いのか?」
普段の素行の悪い俺が急に真面目に仕事をして、禁煙まで始めたらそう思っても仕方ないだろ。
俺は笑って誤魔化した。
「健康を意識するようになっただけですよ」
富岡さんは特にふーん、頷いて手を振って席へと戻っていく。
今日も徹夜になりそうだ。
「初日から何をしに来たんですか……」
スーツをビシッと決め、髪型もしっかりセットして、彼女に少しでも魅力的に見られるようにしてきたので、まるで胡散臭いものを見るように呆れた目をされた。
「てか、誰ですか!? 先生っていつも髪ボサボサで死んだ目をしてて、さらに気だるそうな猫背をするだらしない人だったじゃないですか! あっ、でも死んだ目だけはいつも通りですね」
「お、おま……俺をそんな目で見ていたのね」
なんだかショックだ。
これほどまでに決めてきたのにひどい。
さらに目については酷評ありだ。
俺はやってられねえと元々のボサボサ頭に戻した。
「あー、俺も合わねえと思ったよ。だから早く好きなタイプ教えなさい!」
「そこはブレないんですね。てか教えませんよ、先生はそれに似せようとしそうですもん」
勘の良い奴め。
だがあまりふざけすぎると本当に通報されかねん。
バッグからプリントを取り出して、それを彼女の机の上に置いた。
「まずは実力を測るテストをやるぞ。俺たちには時間がない」
「今までのくだりって全部先生のせいですよね?」
どんどん彼女の中で俺の評価が下がっている気がする。
ごほんっと咳払いをしてテストを促した。
数学と英語の二年生までの範囲をまとめたテストで、うちの会社で作られたモノだ。
彼女も真面目に取り組み、すぐに二時間が経った。
「ふぅ……」
久々のテストで体力を使ったようで疲れが見える。
俺はすぐさま採点していくと、分かりやすい得点となっていた。
「なるほどな。英語はまあ良いとして、数学は2・Bがほぼ全滅か。1・Aはケアレスミスが少しあるな」
二年生の半分以上を学校に行けなかった風花は、二年生範囲は習っていないところが多い。
しかし英語は想像以上に良かったので、問題は俺の指導力が彼女を導けるかに掛かっていた。
「あぁー本当に私ってダメ……死にたい」
だが彼女は自分の実力に絶望してしまっていた。
この時期でこれならそんなに悪くないが、おそらく不登校になる前は成績も良かったせいで比べてしまうのだろう。
「そう落ち込むなって。学校に行ってなくてこれなら十分だよ。正直、これなら難関大だって今から目指せる」
「そんなお世辞なんて──」
何を言ってもこれでは自分を追い詰めてしまいそうだ。
俺は優しく彼女の肩に手を置いた。
そして顔をそっと近づけて目線を合わせた。
「俺がお前に嘘を付くわけないだろ?」
ジーッと目が合い、彼女はハッとなると目を背けられた。
「は、早く勉強を教えてください!」
少し頬に赤みが増していた。
落ち込みがなくなったのならそれでいい。
「それにテストを二時間も頑張ったんだ、ご褒美も用意しているぞ」
俺は持ってきたドリンクを机の上に置いた。
栄養ドリンクでもしもの時のために渡す。
「先生、これってビールですよね?」
「えっ……」
箱詰めされたビールが彼女の机の上に乗っている。
栄養ドリンクも同じく箱詰めされていたから、間違えて取り出したのだ。
彼女は急にスマホを取り出して、耳に当ててどこかに電話をする。
「もしもし、警察ですか?」
「だー! 違う、違う! こっちだ、こっち!」
俺は慌てて本物の栄養ドリンクを机の上に差し替えた。
彼女は嘆息してスマホをしまう。
本気で通報されなくて安堵する。
「でもご褒美が栄養ドリンクって死ぬ気で勉強しろって言ってるみたいですね。でもありがとうございます」
「悪いな。ちょっと金欠でな。合格したら美味しいご飯奢ってやるから勘弁してくれ」
確かにご褒美で栄養ドリンクはあまり嬉しくないかもしれない。
しかし彼女の顔はそこまで嫌がっていないように見えた。
「さて、まだ時間もあるんだ。勉強始めるぞ。まずは基礎固めとして数学と英語だけをやるぞ」
「他はやらなくていいんですか?」
「勉強は積み重ねだ。伸びにくい国数英を真っ先に勉強して、残りの時間で歴史と理科はやる方がいい」
俺はまず作成した計画表を彼女に渡した。
五月まで数学と英語、それから徐々に科目を増やしていく算段だ。
その時、彼女が俺の顔をジーッと見ていることに気が付いた。
「目に隈が出来ていると思っていましたが、この計画表って徹夜で作ったんですか?」
どうやら最初の死んだ目というのは、目の隈のことを指していたようだ。
せっかく服装をビシッとしたのになびかないのは、この目のせいだったとは。
「ああ、計画表は早いうちから欲しいと思ってな。それに生徒がこんなもん作るのは時間が勿体ない。家庭教師とはいわば生徒の面倒な仕事を片付けるためにあると思え。だから何でも俺に言うんだぞ?」
「はい……」
どうしてそこで計画表で顔を隠す。
まあいいと俺は胸ポケットからタバコを取り出そうとした。
「おっと、あぶねえ。いつもの癖が出た」
前も家庭教師中にベランダでタバコを吸って怒られたんだった。
この子の前では絶対にやらないようにと思っていたのに、普段の習慣とは恐ろしい。
「タバコ吸うんですか?」
「いや、吸わねえ。今回は真面目に教えたいでね」
「いつもは真面目じゃないんですね」
痛いところを突いてくる。
俺としてもこの子にだけは嫌われたくないので、なるべくタバコをバッグに入れて注意しようと思った。
「あまりタバコは吸わない方がいいですよ」
「わかってるよ。俺だって追い出されたくねえからな」
「そうじゃなくて……」
彼女はもじもじとし出して、計画表越しに目をチラチラと見てくる。
「先生には健康で居てほしいから……」
ズドッーンと今、俺の頭から何かが突き抜けていった気がした。
照れながらも俺の身を心配してくれた風花に俺は自分の行動が恥ずかしくなった。
「ふうか……」
「もう何も言いませんよ」
「禁煙何日続けたらキスしてくれる?」
「しません!」
無事に今日の家庭教師も終わり、俺は一度会社に帰社する。
まだ仕事をしている同僚たちが俺をチラッと見て侮辱の目を向ける。
いつものことのため俺は無視して自分の席に座って仕事の続きを始める。
明日以降の教材のコピーや自習用の問題集を探す。
「よっ、今日は自分から残業なんて珍しいな?」
声を掛けてきたのは上司の富岡さんだ。
面倒見の良い人で、俺に対してもよくしてくれる。
だがこの前は流石に怒らせてしまい少し気まずさが残っていた。
「俺もたまに頑張りたいんですよ。あっ、そうだ富岡さん。禁煙するんで、タバコ残りあげます。確か同じ銘柄でしたよね?」
「おっ、いいのか! でも急に禁煙なんて、本当にどうしたんだ? 体の調子でも悪いのか?」
普段の素行の悪い俺が急に真面目に仕事をして、禁煙まで始めたらそう思っても仕方ないだろ。
俺は笑って誤魔化した。
「健康を意識するようになっただけですよ」
富岡さんは特にふーん、頷いて手を振って席へと戻っていく。
今日も徹夜になりそうだ。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
【完結】好きって言ってないのに、なぜか学園中にバレてる件。
東野あさひ
恋愛
「好きって言ってないのに、なんでバレてるんだよ!?」
──平凡な男子高校生・真嶋蒼汰の一言から、すべての誤解が始まった。
購買で「好きなパンは?」と聞かれ、「好きです!」と答えただけ。
それなのにStarChat(学園SNS)では“告白事件”として炎上、
いつの間にか“七瀬ひよりと両想い”扱いに!?
否定しても、弁解しても、誤解はどんどん拡散。
気づけば――“誤解”が、少しずつ“恋”に変わっていく。
ツンデレ男子×天然ヒロインが織りなす、SNS時代の爆笑すれ違いラブコメ!
最後は笑って、ちょっと泣ける。
#誤解が本当の恋になる瞬間、あなたもきっとトレンド入り。
彼女に振られた俺の転生先が高校生だった。それはいいけどなんで元カノ達まで居るんだろう。
遊。
青春
主人公、三澄悠太35才。
彼女にフラれ、現実にうんざりしていた彼は、事故にあって転生。
……した先はまるで俺がこうだったら良かったと思っていた世界を絵に書いたような学生時代。
でも何故か俺をフッた筈の元カノ達も居て!?
もう恋愛したくないリベンジ主人公❌そんな主人公がどこか気になる元カノ、他多数のドタバタラブコメディー!
ちょっとずつちょっとずつの更新になります!(主に土日。)
略称はフラれろう(色とりどりのラブコメに精一杯の呪いを添えて、、笑)
S級ハッカーの俺がSNSで炎上する完璧ヒロインを助けたら、俺にだけめちゃくちゃ甘えてくる秘密の関係になったんだが…
senko
恋愛
「一緒に、しよ?」完璧ヒロインが俺にだけベタ甘えしてくる。
地味高校生の俺は裏ではS級ハッカー。炎上するクラスの完璧ヒロインを救ったら、秘密のイチャラブ共闘関係が始まってしまった!リアルではただのモブなのに…。
クラスの隅でPCを触るだけが生きがいの陰キャプログラマー、黒瀬和人。
彼にとってクラスの中心で太陽のように笑う完璧ヒロイン・天野光は決して交わることのない別世界の住人だった。
しかしある日、和人は光を襲う匿名の「裏アカウント」を発見してしまう。
悪意に満ちた誹謗中傷で完璧な彼女がひとり涙を流していることを知り彼は決意する。
――正体を隠したまま彼女を救い出す、と。
謎の天才ハッカー『null』として光に接触した和人。
ネットでは唯一頼れる相棒として彼女に甘えられる一方、現実では目も合わせられないただのクラスメイト。
この秘密の二重生活はもどかしくて、だけど最高に甘い。
陰キャ男子と完璧ヒロインの秘密の二重生活ラブコメ、ここに開幕!
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる