悪役令嬢への未来を阻止〜〜人は彼女を女神と呼ぶ〜〜

まさかの

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第二章 騎士祭までに噂なんて吹き飛ばしちゃえ!

ジョセフィーヌ領で不穏な影

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 ジョセフィーヌ領から通信の魔道具でわたしに通達がきたのだ。
 わざわざお父さまからわたしに連絡があること自体、急を要することの裏返しだ。
 クロートが受け取り、わたしにその内容を告げた。


「どうやらリムミントとアスカが犯罪組織を制圧するのに失敗したようです。ですがそれだけで終わらず、私兵の数人は死んで派遣された騎士たちも重傷を負ったと報告があります。シルヴィから一度城に戻るように命令も来ております」
「リムミント、アスカが……。分かりました。すぐに向かいましょう」


 まだわたしの失敗は続いたままだ。
 全てを側近たちに任せっきりにしたせいで、最悪の状況をつくりだした。
 わたしは早く準備するよう側近たちに伝えようとしたが、クロートの顔を見て動きを止めた。
 まだこれだけではない様子でクロートも重々しく続きを話した。


「それともう一つ。ゴーステフラートでかなりの発展があり、貢献度を九位から七位へと上がることが決まったそうです」
「そうなのですか! かなり良い話ではありませんか」


 わたしは喜んでみせたが本当は分かっている。
 クロートがここまで不機嫌になっている顔をしているのなら、決して良い話ではないのだろう。

「ヨハネさまがゴーステフラートで大改革をもたらしたようです。経済の発展が今後の模範として王都でも取り入れるべきだと話があったみたいです。この功績を称えて、ゴーステフラートはジョセフィーヌ領の管理から離れてゼヌニム領が管理する領土へするべきと声が高まっているそうです」
「そんな……。お父さまはそれに何を言わなかったのですか?」


 管理する領土が変わるなんて前代未聞だ。
 統合はこれまであったが、それは五大貴族が統治する領土内での話だ。
 まずそのような話が自体出ること自体おかしなことだ。
 しかしクロートの次の言葉に一同驚愕した。

「ドルヴィもその話に関してはゼヌニムの肩を持っているようで、シルヴィ・ジョセフィーヌは劣勢に追い込まれています」
「ドルヴィがなぜそんな滑稽な話に乗ろうというの!?」


 ヨハネとジョセフィーヌの確執については王であるドルヴィも知っているはずだ。
 それなのにヨハネの要求に応じようなどと、ガイアノスの件も含めてこちらを蔑ろにしすぎではないか。
 それになぜヨハネがゴーステフラートにいたのか。


「ヨハネ……、フォアデルへに嫁いでからも機会を窺っていたのね」
「姉上……」

 わたしの呟きを拾ってセルランも少しばかり心が乱れている。
 姉が自領に対して不利益を出そうとしているのだ、セルランといえども身内に敵がいるのはあまりにも気分が悪いだろう。

「レイナ、ヨハネさまはどういった理由でこの領土から出されたのかご存知ですか?」
「ラケシスはまだ知らなかったでしたね。マリアさま、ラケシスに伝えてもよろしいでしょうか」

 ラケシスがこちらに帰ってきた時にはもうすでにヨハネはフォアデルへの領主と結婚していた。
 わたしは側近もこの話は知っていた方がいいとの思いで了承した。

 ヨハネは生まれた時から賢い人間だった。
 魔力量も五大貴族の血族で強大な魔力を持っていた。
 学業も優秀で王国院が始まるまでに勉強も終わっていたほどだ。
 ヨハネを慕う貴族を増やしていき、そのカリスマは磨かれていった。
 ヨハネを次期当主とするべきという声は高まったが、それほどの才を持っていても彼女は当主にはなれない。
 何故なら蒼の髪を持ったわたしが生まれていたからだ。
 他者の追随を許さないその魔力量だけは、どんなに才能に恵まれたヨハネといえども覆せなかった。
 そんな彼女は計画を練ってわたしを殺そうとした。
 しかし、それは下僕の手によって阻まれたのだ。


「げ、下僕!?」


 ラケシスが驚きの声を上げた。
 知らない者が聞けば全員が驚いてしまうだろうが、下僕がいなければわたしは死んでいた。

「そうよ。昔は下僕と城から抜け出して遊んでいたのですけど、その時は側近なんて考えてなかった。だけど下僕はその頭を使ってヨハネを出し抜いてわたしを助けてくれた。だから彼を誘ったのよ」
「……マリアさま、わたしもその中に入れて欲しいのですが」

 セルランが拗ねた。
 わたしは自分より年上の従兄弟がたまに子供っぽいところを見せるので、自然と笑いがこぼれた。

「ええ、そうね。セルランと下僕が助けてくれたの」


 セルランはヨハネに逆らうことがないようにきつく躾けられていた。
 だがわたしを守るためにその呪縛を解いて、姉からわたしを守ったのだ。
 そしてヨハネはその罪の罰としてフォアデルへに嫁がせて、当主への夢を諦めさせたのだ。
 だがヨハネは居なくなってもその影響力は残り続けている。
 事実上はわたしが次の当主だが、それでもなおヨハネがまた当主の座を取りに来るのではないかと、派閥が二分したままだ。


「しかし、今はここで話し合っていても仕方がありませんね。ジョセフィーヌ領に戻ればさらに情報が手に入るでしょう」


 クロートの言葉に頷いて、わたしたちは馬車に乗ってジョセフィーヌの城へと向かった。
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