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4話
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家に戻るとお父様がアメリアを呼んだ。
どうやらお城から招集の手紙だった。
その中身は信じられないことが書かれていた。
「自分から振っておいて、執務が追いつかないからと復縁の案内だとッ──!?」
こんなふざけた王子にアメリアを戻したくない。
だがアメリアの返答は意外なものだった。
「一度王城へ戻ります。レイラも付いてきてください」
止めたかった。
だが私の気持ちを伝えてしまったため、遅かれ早かれあちらに戻るのだ。
私はその命令に従うしかなかった。
馬車の中で無言が続き、私から話題を振っても空返事だけだった。
──また婚約したら辞職しよう。
彼女の元に私がいても気持ち悪いだけだ。
それなら自分からいなくなった方がいい。
重い足取りで、玉座まで二人で向かう。
多くの重鎮が見守る中で、レオン王子が縛られていた。
一体どうしたのかと思っていると、国王が自ら頭を下げた。
「この度は我が馬鹿息子がすまないことをした!」
話を聞くと国王はアメリアの功績を知っており、彼女が王妃になってくれることを望んでいたらしい。
だがレオン王子が遠征中の国王に報告しないまま、帰国して初めてそのことを知ったらしい。
「むぐううう!」
レオン王子は口に布を入れられて全く喋れなくなっていた。
普段はかっこいいと噂される彼は見る影もなく、おそらく助けてくれと言っているのだろう。
アメリアはそんな王子に目を向けず、国王に強い力のこもった目を返す。
「私にまたこの方との婚姻を結び直せということでしょうか?」
「いいや、レオンは王位継承権を剥奪する。第二王子が王位継承権一位になるので、第二王子を支えてやってくれんか」
第二王子は比較的まともな方だ。
頭もよく、馬術、剣術とレオン王子と比べて比較にならないほど優秀だ。
しかしアメリアは首を振った。
「申し訳ございませんが、どちらともお断りさせていただきます」
アメリアの答えに国王は頭を悩ませた。
それほど彼女の才能は捨てがたいのだ。
「そうか……こちらからしたこととはいえ其方の才は得難い。どうか手伝いだけでももらえないだろうか」
「それでしたら構いません。私も今の公爵家であるスカーレットの家督争いに参加するつもりでしたので」
辺りがざわつき出す。
女が当主を目指すなんて本来は無謀だ。
誰もが納得する成果をあげなければ、正当な男子が受け継ぐからだ。
アメリアのお父様も驚いて固まっているではないか。
「それとレオン王子?」
アメリアは清々しいほどの笑顔をレオン王子へ向けた。
「わたくしも貴方様がお嫌いでしたので、婚約を無効にしてくださいましてありがとうございます」
そのレオン王子の顔は滑稽だったが、私にはアメリアのことが気がかりだった。
アメリアは私と共に屋敷へ戻る。
家族と話すのは後回しにして部屋へと直行するのだった。
今日はもう食事はいらないからと、全ての面会を断ることを執事へ伝えた。
そして彼女は部屋に戻るとすぐにベッドにそのまま倒れた。
「久々の家ね……」
「はしたないですよー」
乾いた笑いが出てしまった。
もう私は辞めるのだ。
今なら二人っきりなので絶好の機会だ。
「アメリア、その、私は──」
「レイラ、こっち来て」
勇気があるうちに辞職をしようと思ったが、呼ばれたので言われた通りに近くに寄った。
するといきなり抱きつかれ、唇を奪われた。
「ぅんんッ──!」
完全に油断していたため、アメリアの力でベッドの上に転ばされた。
私は天蓋を見ながら、アメリアの顔を間近で見る。
そして永遠と思えるほどの長い接触の後に、アメリアの目がとろけており、少しだけ悪戯っ子のように可愛く笑っていた。
「やっと馬鹿王子と離れられた……」
「アメリア、どうした、んっ──!」
またもや長い時間、お互いに口を付けた。
私の頭がもう真っ白になるほどに……。
「私もずっと好きだった……。だからいっぱい考えたんだから」
アメリアと初めての本当の夜がやってきた。
誰かが部屋に来るまで、お互いの気持ちがある限り、長い夜を過ごす。
好きな人と一緒に幸せになり、この先がどうなっていくのかより、今の幸せを味わう。
お互いの色々なものが混ざり合うせる、心も体も全て。
たまらなく愛おしい彼女に、次は私が彼女を悦ばせよう──。
どうやらお城から招集の手紙だった。
その中身は信じられないことが書かれていた。
「自分から振っておいて、執務が追いつかないからと復縁の案内だとッ──!?」
こんなふざけた王子にアメリアを戻したくない。
だがアメリアの返答は意外なものだった。
「一度王城へ戻ります。レイラも付いてきてください」
止めたかった。
だが私の気持ちを伝えてしまったため、遅かれ早かれあちらに戻るのだ。
私はその命令に従うしかなかった。
馬車の中で無言が続き、私から話題を振っても空返事だけだった。
──また婚約したら辞職しよう。
彼女の元に私がいても気持ち悪いだけだ。
それなら自分からいなくなった方がいい。
重い足取りで、玉座まで二人で向かう。
多くの重鎮が見守る中で、レオン王子が縛られていた。
一体どうしたのかと思っていると、国王が自ら頭を下げた。
「この度は我が馬鹿息子がすまないことをした!」
話を聞くと国王はアメリアの功績を知っており、彼女が王妃になってくれることを望んでいたらしい。
だがレオン王子が遠征中の国王に報告しないまま、帰国して初めてそのことを知ったらしい。
「むぐううう!」
レオン王子は口に布を入れられて全く喋れなくなっていた。
普段はかっこいいと噂される彼は見る影もなく、おそらく助けてくれと言っているのだろう。
アメリアはそんな王子に目を向けず、国王に強い力のこもった目を返す。
「私にまたこの方との婚姻を結び直せということでしょうか?」
「いいや、レオンは王位継承権を剥奪する。第二王子が王位継承権一位になるので、第二王子を支えてやってくれんか」
第二王子は比較的まともな方だ。
頭もよく、馬術、剣術とレオン王子と比べて比較にならないほど優秀だ。
しかしアメリアは首を振った。
「申し訳ございませんが、どちらともお断りさせていただきます」
アメリアの答えに国王は頭を悩ませた。
それほど彼女の才能は捨てがたいのだ。
「そうか……こちらからしたこととはいえ其方の才は得難い。どうか手伝いだけでももらえないだろうか」
「それでしたら構いません。私も今の公爵家であるスカーレットの家督争いに参加するつもりでしたので」
辺りがざわつき出す。
女が当主を目指すなんて本来は無謀だ。
誰もが納得する成果をあげなければ、正当な男子が受け継ぐからだ。
アメリアのお父様も驚いて固まっているではないか。
「それとレオン王子?」
アメリアは清々しいほどの笑顔をレオン王子へ向けた。
「わたくしも貴方様がお嫌いでしたので、婚約を無効にしてくださいましてありがとうございます」
そのレオン王子の顔は滑稽だったが、私にはアメリアのことが気がかりだった。
アメリアは私と共に屋敷へ戻る。
家族と話すのは後回しにして部屋へと直行するのだった。
今日はもう食事はいらないからと、全ての面会を断ることを執事へ伝えた。
そして彼女は部屋に戻るとすぐにベッドにそのまま倒れた。
「久々の家ね……」
「はしたないですよー」
乾いた笑いが出てしまった。
もう私は辞めるのだ。
今なら二人っきりなので絶好の機会だ。
「アメリア、その、私は──」
「レイラ、こっち来て」
勇気があるうちに辞職をしようと思ったが、呼ばれたので言われた通りに近くに寄った。
するといきなり抱きつかれ、唇を奪われた。
「ぅんんッ──!」
完全に油断していたため、アメリアの力でベッドの上に転ばされた。
私は天蓋を見ながら、アメリアの顔を間近で見る。
そして永遠と思えるほどの長い接触の後に、アメリアの目がとろけており、少しだけ悪戯っ子のように可愛く笑っていた。
「やっと馬鹿王子と離れられた……」
「アメリア、どうした、んっ──!」
またもや長い時間、お互いに口を付けた。
私の頭がもう真っ白になるほどに……。
「私もずっと好きだった……。だからいっぱい考えたんだから」
アメリアと初めての本当の夜がやってきた。
誰かが部屋に来るまで、お互いの気持ちがある限り、長い夜を過ごす。
好きな人と一緒に幸せになり、この先がどうなっていくのかより、今の幸せを味わう。
お互いの色々なものが混ざり合うせる、心も体も全て。
たまらなく愛おしい彼女に、次は私が彼女を悦ばせよう──。
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