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4章 友達はいかがでしょうか
27 フーガ族との交渉
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シリウスとエマが、国に恨みを持つフーガ族に捕まってしまったらしく、私達は救出のために動いていた。
とうとう二人の姿を見つけ、色々ミスをやらかした後に、私はフーガ族に姿を現した。
どうやってここから窮地を脱しようか頭を悩ませていると、シリウスが大きな声を上げる。
「カナリア逃げろ!」
私だって逃げたい。
大勢の武器を持った者達と対峙したことなんてないからだ。
だけど良く見ると相手もこちらを警戒しているようにも感じた。
おそらくは不発になったが、爆弾を屋内で爆発させたことで、危ない輩だと思われているのだろう。
「おい、嬢ちゃん。そこは危ねえぞ!」
後ろからハロルドが警告する。
だけどここは前に出るべきだ。
「ここのリーダーは誰ですか? 私は対話を望みます」
ざわっと周りが騒つく。
私の行動を怪しんでいるようだった。
「俺だ」
先ほどエマを殺そうと指示を出した男だ。
その目は誰よりも殺意を持っており、私を目だけで殺しそうであった。
「あんたが帝国の令嬢さんか。お前らの国と戦争したせいで俺たちがこんな風になっているのに、何を話し合うっていうんだ?」
脅しの言葉は私の恐怖心を煽る。
だけどここで引いては舐められてしまう。
何か一気に興味を惹きつけることを言わないといけない。
だけど間を空けてはいけないと気が逸ってしまった。
「一緒にこの国に復讐をしないかしら?」
「……は?」
──私、何を言っているの!?
後ろからもチクチクと痛い視線が来る。
焦りから汗がダラダラと流れてくる。
こうなればもうヤケだ。
「お前、俺たちを馬鹿にしているのか? 帝国から来た箱入り娘がナメてるんじゃねえ! 俺らはな、お前みたいにぬくぬくとした環境で生きてねえんだよ!」
リーダーの男が私へ恫喝してくる。
今すぐにでも逃げ出したいが、私はお腹に力を入れて虚勢を張った。
それに今の発言には私も反論したかった。
「あら、知らないのかしら? 私は帝国から国外追放を受けたのよ。国家反逆の罪でね」
初めて聞いたかのように周りが騒ぎ出す。
おそらくは平民達にはそういった情報が流れていないのだろう。
今思うとどんどん苛立ってきた。
「初めての夜会で毒を飲ませられるわ。お母様の大事なドレスにワインを掛けようとするわ……挙句に国王陛下の治療をしようとすれば断られ、私は太陽神の試練を受けなくてはならなくなりましたし……失敗すれば祖国に送還されて、私は断頭台に立たされることになるのよ……だからこうやって頑張っているのに、頑張っているのに」
何だかどんどん腹立たしい感情が表に出てきた。
これからやらないといけないことも多いのに、油を売っている場合ではない。
「お、お前がどれだけ苦労していようが関係ねえ!」
リーダーの男の一言にとうとう堪忍袋の緒が切れた。
「お黙りなさい!」
私は扇子を取り出して、手のひらへパチーンと大きな音を出した。
「貴方達は何をしているのか、分かってますの? ヴィヴィ達の家族が匿ってくれたはずなのに、それを恩を仇で返しましたのよ!」
ヴィヴィの家族は見つかれば罰が下るのにそれでも行き場を無くしたこの者達を守り続けたのだ。
フーガ族もそれに関しては思うところがあるようで、自信なさげに地面を見つめる者が多かった。
「でも貴方達の気持ちも分かります。慣れ親しんだ土地を奪われ辛かったと思います。わたくしが必ず貴方達へ土地を用意します」
「ちょっと、待ちなお嬢ちゃん!」
後ろからハロルドが私の腕を掴んで止めてくる。
そしてメルクも剣を抜いて、私の前に出た。
「叔父上、どうしてこちらに!?」
「説明は後だ。お前の婚約者はちと暴走しすぎだ。こんなことなら連れてこなければよかったぜ」
私の腕を強く掴み、眉間にシワを寄せて怒っていた。
フーガ族と協力することを認めないようだった。
「ハロルド王弟だ!?」
「戦争の英雄までも連れてきてやっぱり話し合いなんてする気がなかったんだ!」
フーガ族もハロルドの姿を見て怯え出した。
ただの王族ではないと思っていたが、どうやら戦士としても有名でもあるようだ。
また一触即発に戻ろうとしている。
「フーガ族、悪いが今のはこの嬢ちゃんが暴走しただけだ。王族を攫ったんだ。全員捕まえる」
本物の戦士のみが持つ怖さを持っていた。
このままでは取り返しが付かなくなる。
「シリウス、すぐに助けてやるからジッとしてろ!」
だが、シリウスは予想外の返事をした。
「お断りします」
「はぁ!?」
ハロルドは素っ頓狂な声を上げた。
それを無視するようにシリウスはフーガ族のリーダーを真っ直ぐと見ていた。
「フーガ族達よ、其方達には二つの道がある。このまま叔父上に捕まるか、それともカナリアの言葉を信じて待つか?」
シリウスの言葉にフーガ族は悩み出す。
ハロルドの力がどれほどか分からないが、相手は勝ち目がないと戦意を失っているのだ。
リーダーの男は私を見た。
「一体、何をされるつもりですか? この地に余っている場所はありません。あっても不毛な土地なだけだ。結局は我々を僻地へ追いやるだけではないのですか?」
「何を言ってますの。無ければ、作ればいいではありませんか」
「なっ!?」
私が当たり前のように答えると、周りが一斉に驚愕の声を上げた。
とうとう二人の姿を見つけ、色々ミスをやらかした後に、私はフーガ族に姿を現した。
どうやってここから窮地を脱しようか頭を悩ませていると、シリウスが大きな声を上げる。
「カナリア逃げろ!」
私だって逃げたい。
大勢の武器を持った者達と対峙したことなんてないからだ。
だけど良く見ると相手もこちらを警戒しているようにも感じた。
おそらくは不発になったが、爆弾を屋内で爆発させたことで、危ない輩だと思われているのだろう。
「おい、嬢ちゃん。そこは危ねえぞ!」
後ろからハロルドが警告する。
だけどここは前に出るべきだ。
「ここのリーダーは誰ですか? 私は対話を望みます」
ざわっと周りが騒つく。
私の行動を怪しんでいるようだった。
「俺だ」
先ほどエマを殺そうと指示を出した男だ。
その目は誰よりも殺意を持っており、私を目だけで殺しそうであった。
「あんたが帝国の令嬢さんか。お前らの国と戦争したせいで俺たちがこんな風になっているのに、何を話し合うっていうんだ?」
脅しの言葉は私の恐怖心を煽る。
だけどここで引いては舐められてしまう。
何か一気に興味を惹きつけることを言わないといけない。
だけど間を空けてはいけないと気が逸ってしまった。
「一緒にこの国に復讐をしないかしら?」
「……は?」
──私、何を言っているの!?
後ろからもチクチクと痛い視線が来る。
焦りから汗がダラダラと流れてくる。
こうなればもうヤケだ。
「お前、俺たちを馬鹿にしているのか? 帝国から来た箱入り娘がナメてるんじゃねえ! 俺らはな、お前みたいにぬくぬくとした環境で生きてねえんだよ!」
リーダーの男が私へ恫喝してくる。
今すぐにでも逃げ出したいが、私はお腹に力を入れて虚勢を張った。
それに今の発言には私も反論したかった。
「あら、知らないのかしら? 私は帝国から国外追放を受けたのよ。国家反逆の罪でね」
初めて聞いたかのように周りが騒ぎ出す。
おそらくは平民達にはそういった情報が流れていないのだろう。
今思うとどんどん苛立ってきた。
「初めての夜会で毒を飲ませられるわ。お母様の大事なドレスにワインを掛けようとするわ……挙句に国王陛下の治療をしようとすれば断られ、私は太陽神の試練を受けなくてはならなくなりましたし……失敗すれば祖国に送還されて、私は断頭台に立たされることになるのよ……だからこうやって頑張っているのに、頑張っているのに」
何だかどんどん腹立たしい感情が表に出てきた。
これからやらないといけないことも多いのに、油を売っている場合ではない。
「お、お前がどれだけ苦労していようが関係ねえ!」
リーダーの男の一言にとうとう堪忍袋の緒が切れた。
「お黙りなさい!」
私は扇子を取り出して、手のひらへパチーンと大きな音を出した。
「貴方達は何をしているのか、分かってますの? ヴィヴィ達の家族が匿ってくれたはずなのに、それを恩を仇で返しましたのよ!」
ヴィヴィの家族は見つかれば罰が下るのにそれでも行き場を無くしたこの者達を守り続けたのだ。
フーガ族もそれに関しては思うところがあるようで、自信なさげに地面を見つめる者が多かった。
「でも貴方達の気持ちも分かります。慣れ親しんだ土地を奪われ辛かったと思います。わたくしが必ず貴方達へ土地を用意します」
「ちょっと、待ちなお嬢ちゃん!」
後ろからハロルドが私の腕を掴んで止めてくる。
そしてメルクも剣を抜いて、私の前に出た。
「叔父上、どうしてこちらに!?」
「説明は後だ。お前の婚約者はちと暴走しすぎだ。こんなことなら連れてこなければよかったぜ」
私の腕を強く掴み、眉間にシワを寄せて怒っていた。
フーガ族と協力することを認めないようだった。
「ハロルド王弟だ!?」
「戦争の英雄までも連れてきてやっぱり話し合いなんてする気がなかったんだ!」
フーガ族もハロルドの姿を見て怯え出した。
ただの王族ではないと思っていたが、どうやら戦士としても有名でもあるようだ。
また一触即発に戻ろうとしている。
「フーガ族、悪いが今のはこの嬢ちゃんが暴走しただけだ。王族を攫ったんだ。全員捕まえる」
本物の戦士のみが持つ怖さを持っていた。
このままでは取り返しが付かなくなる。
「シリウス、すぐに助けてやるからジッとしてろ!」
だが、シリウスは予想外の返事をした。
「お断りします」
「はぁ!?」
ハロルドは素っ頓狂な声を上げた。
それを無視するようにシリウスはフーガ族のリーダーを真っ直ぐと見ていた。
「フーガ族達よ、其方達には二つの道がある。このまま叔父上に捕まるか、それともカナリアの言葉を信じて待つか?」
シリウスの言葉にフーガ族は悩み出す。
ハロルドの力がどれほどか分からないが、相手は勝ち目がないと戦意を失っているのだ。
リーダーの男は私を見た。
「一体、何をされるつもりですか? この地に余っている場所はありません。あっても不毛な土地なだけだ。結局は我々を僻地へ追いやるだけではないのですか?」
「何を言ってますの。無ければ、作ればいいではありませんか」
「なっ!?」
私が当たり前のように答えると、周りが一斉に驚愕の声を上げた。
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