人酔いした恋人

トウモロコシ

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人酔いした恋人

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赤信号で止まったタイミングで、助手席に座る恋人の顔を覗く。
先程、青くなっていた顔色から変っていなかった。
下を向いて、ぎゅっと目を瞑っていた。

「大丈夫か?」
「…ん。」

問いかけに曖昧な返事しか返ってこない。まあこの顔色で大丈夫かと言うのもも愚問なのだが。

美都が初詣に年越しに行きたいと言ったから、連れてきた所までは良かったのだが、想像以上に人が多く、人酔いをしてしまったのだ。
結局、賽銭はしないまま行列を抜けて、車に戻ってきたのだ。
はじめの方こそ、「僕から言い出したのにごめん」などと言っていたが、今はその気力すらもないようだった。

「車混んでるな。」
「…うん。っ」

なかなか進まない渋滞の列。車の中は頭がぼうっとしてくるような生暖かい空気が充満していて、酔っていない俺ですらも頭痛がしてくる。

「ちょっと窓開けるな。空気入れ替えるために」
「…」

一言入れてから窓を開ける。外からは気持ちは良いが冷たい空気が入ってくる。

開けて五分も経たないうちに、美都が腕をさすり出した。

「寒い?」
「うん。。」
「おけ。じゃあ閉める。」

しばらく無言の時間が続いたがその時間を切ったのは美都だった。
車は少しずつ進んでいて、ブレーキを踏んだりアクセルを踏んだり、と忙しい動きをしていた。

「…なぁ、」
「ん?どした?」

前を見たまま答える。

「、、、はきそ、。。。」
「!…もうちょい我慢できる?すぐそこ、コンビニだから。車、動いてきてるし、あと10分ほどで着くと思う。」
「…が、んばる…」

進んだり止まったりの振動が酔いを助長したのだろう。真っ青な顔して、口元を手で抑える姿から、限界が近いことは悟ったが、今すぐに介抱してあげられるほどの余裕はない。



ブレーキを踏む度に早くしてくれとイラつきながら願うこと数十分。
やっとの思いでコンビニに着いた頃には、美都は少しだけ、吐き出してしまっていた。


「ほら、美都。」

目の前にビニールを広げて出すと、直ぐにそこに吐き出した。


「ヴぇ、ごほっ!うっ、えぇ!」
「よしよし、よくがまんしたな。」 
「んっ、ごほっ、げぇ」

背中を擦りながら声を掛けていると、全て吐ききった美都が声をかけてきた。

「もういい。だいぶスッキリした。」
「顔色も良くなったな。寝れるなら寝てていいよ。」
「ごめん、そうする。しんど。初詣、金輪際、もうごめんだわ。」

それだけ言うと直ぐに寝息が聞こえてきた。
俺は苦笑いをして、美都の頭をぽんぽんと撫でた。
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