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頭はいいんだけど…
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菜月は頭がいい。というより、効率がいいのかもしれない。
高校の五教科の免許は全て持っている。プラスアルファで中学の英語だけは取ったのだとか。
考えていることはよく分からない。
しかし、そのよく分からない考えは生徒から好評で自他ともに認める人気だ。
もちろん、菜月のことを好まない生徒もいる。それを全員から好かれることは無理だと言いながらも、投げやりになるわけではなく、受け入れているところが、人間的に凄いところだと思う。
けれど、馬鹿だ。
「お前、熱あるだろ。」
「ひぇ?僕?」
額に当てた手からはいつもより、ほんのりと熱い体温が伝わってくる。
なんとも間抜けな声を出してから、オレをみた。
「あぁ、オレは今、菜月に話しかけてるからな。早めに上がれば?」
「うーん、仕事的には定時に上がれるんだけどね。生徒と約束があるからちょっと遅くまで残るよ。」
「…ムリすんなよ。」
「って言ったよな?」
「ご、めん…。けほっ、」
約束の生徒と思われる子に勉強を教え終わって椅子から立ち上がる瞬間を見てしまった。
一瞬ふらついて、机に手をついた。頭痛がするのかこめかみに手を当てていた。これも一瞬だった。
たまたま見てしまったオレは菜月を強制的に上がらせて、自分も上がってオレの家に菜月を連れ帰った。
「、、ねぇ、ぼく、がここにいたら、、弥生が…」
「オレのことは気にしない。今日うちに泊まってもいいから、ゆっくりしていけ。」
体温計とか氷枕とか色々用意して、菜月の傍へと戻る。
「げほっ、ごほ…。ん。こほっ。。」
「咳出てきたか。辛いな。体起こすか?」
菜月が頷いたのを見て、背中に手を回してゆっくりと起こしてやる。
触れた部分から感じる熱は夕方、額に触れたものより確実に熱い。
「こほっ!けほっ、、げほ、っ…ひゅ、」
「落ち着け。」
「ごほっ…つっ、、ひゅっぅ。。」
「深呼吸。大丈夫。菜月、ゆっくり。」
だんだんと呼吸がおかしくなってきているのに気づいて、菜月を抱きしめる。
菜月に伝わるように、少し大袈裟に深呼吸すれば、しっかりと真似てくれて、酷くなりすぎる前に治まった。
「ごほっ、ごめっん。。」
「別に謝ることじゃないでしょ。」
「……」
「菜月、オレ怒ってないよ?」
「?え…」
少し言葉遣いが悪い自覚はある。普段それは気にされない程度のものだが、今の菜月には少し堪えたようだ。
怒っていないといえば嘘になる。ムリするなとは言ったが、こいつがムリすることをわかっていて、止められなかった自分に腹は立っている。
「オレの方こそ、ムリする前に止めてやれなくて悪かった。」
「僕が、かってに、したこと…だけど。」
「その性格を知った上で止められなかったってこと。ほんと、余計なこと気にしなくていいから、身体休めることに神経注げよ。」
この気持ちをオレなりの言葉で表現してみたが、やはり少しズレて伝わったかもしれない。どうしても上手く伝わらない。
けれど、何故か先程と違って、ふわりと笑っている菜月。
結果的にはいい方に進んだかもしれない。
オレはそっと菜月の頭を撫でた。
高校の五教科の免許は全て持っている。プラスアルファで中学の英語だけは取ったのだとか。
考えていることはよく分からない。
しかし、そのよく分からない考えは生徒から好評で自他ともに認める人気だ。
もちろん、菜月のことを好まない生徒もいる。それを全員から好かれることは無理だと言いながらも、投げやりになるわけではなく、受け入れているところが、人間的に凄いところだと思う。
けれど、馬鹿だ。
「お前、熱あるだろ。」
「ひぇ?僕?」
額に当てた手からはいつもより、ほんのりと熱い体温が伝わってくる。
なんとも間抜けな声を出してから、オレをみた。
「あぁ、オレは今、菜月に話しかけてるからな。早めに上がれば?」
「うーん、仕事的には定時に上がれるんだけどね。生徒と約束があるからちょっと遅くまで残るよ。」
「…ムリすんなよ。」
「って言ったよな?」
「ご、めん…。けほっ、」
約束の生徒と思われる子に勉強を教え終わって椅子から立ち上がる瞬間を見てしまった。
一瞬ふらついて、机に手をついた。頭痛がするのかこめかみに手を当てていた。これも一瞬だった。
たまたま見てしまったオレは菜月を強制的に上がらせて、自分も上がってオレの家に菜月を連れ帰った。
「、、ねぇ、ぼく、がここにいたら、、弥生が…」
「オレのことは気にしない。今日うちに泊まってもいいから、ゆっくりしていけ。」
体温計とか氷枕とか色々用意して、菜月の傍へと戻る。
「げほっ、ごほ…。ん。こほっ。。」
「咳出てきたか。辛いな。体起こすか?」
菜月が頷いたのを見て、背中に手を回してゆっくりと起こしてやる。
触れた部分から感じる熱は夕方、額に触れたものより確実に熱い。
「こほっ!けほっ、、げほ、っ…ひゅ、」
「落ち着け。」
「ごほっ…つっ、、ひゅっぅ。。」
「深呼吸。大丈夫。菜月、ゆっくり。」
だんだんと呼吸がおかしくなってきているのに気づいて、菜月を抱きしめる。
菜月に伝わるように、少し大袈裟に深呼吸すれば、しっかりと真似てくれて、酷くなりすぎる前に治まった。
「ごほっ、ごめっん。。」
「別に謝ることじゃないでしょ。」
「……」
「菜月、オレ怒ってないよ?」
「?え…」
少し言葉遣いが悪い自覚はある。普段それは気にされない程度のものだが、今の菜月には少し堪えたようだ。
怒っていないといえば嘘になる。ムリするなとは言ったが、こいつがムリすることをわかっていて、止められなかった自分に腹は立っている。
「オレの方こそ、ムリする前に止めてやれなくて悪かった。」
「僕が、かってに、したこと…だけど。」
「その性格を知った上で止められなかったってこと。ほんと、余計なこと気にしなくていいから、身体休めることに神経注げよ。」
この気持ちをオレなりの言葉で表現してみたが、やはり少しズレて伝わったかもしれない。どうしても上手く伝わらない。
けれど、何故か先程と違って、ふわりと笑っている菜月。
結果的にはいい方に進んだかもしれない。
オレはそっと菜月の頭を撫でた。
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