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夏バテと笑顔
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数日前、というか本格的な暑さとなってからずっと体がだるい様な気がしていた。だけど、ここまで酷くなるなんて、想像もしていなかったのだ。多少夏バテしているだけだろう、くらいにしか思っていなかった。
徐々に食欲が落ちてきて、それに逆らうことなく食べられる量だけ食べていたら、どんどん体重が落ちてきて、連日軽い頭痛がするようになった。
職場の人にはバレていないが、さすがに恋人で同居人の晴人にはバレた。
椅子に座って机の上に手を組んでその上に頭をのせる。
心臓の動きに合わせて波打つように痛む頭に出来るだけ刺激を与えないように。
そして、胸のあたりをグルグルと渦巻く不快感も刺激しないように。
「大丈夫?サラダうどんにしてみたけど、食べれそう?」
晴人が二人分の晩御飯を持って台所から出てきた。
体を起こして晴人と目を合わせて「食べる。」と答える。
「無理して食べなくていいからね。」
「うん。」
とは言ったものの、食べなければいけないことはわかっている。
けれど、今無理に食べれば戻してしまう気もしている。
そんな真逆の考えを持ちつつ、晴人が机に置いてくれたあっさりとしたうどんを啜った。
「どう?」
「うん。美味しい。」
「味じゃなくて。いや嬉しいんだけど。」
「…」
食べれる、とも食べられない、とも言えず、ただ微笑んで晴人を見つめた。
それに対して晴人は困ったように笑いながら、それでも笑顔を返してくれた。
少しずつ口に運んでいたうどんも、だんだんペースが落ちてきた。それは自分でもわかるほど。それに晴人が気づいていないはずはない。僕をずっと見て、自分の食事が止まっていることからそれはわかる。
これ以上は僕自身も、無理だと思うし、晴人にそんな顔をして欲しい訳でもない。
「ご馳走様。ごめんね。もう…ちょっと、、」
「いいよ。無理しちゃダメだから。」
そう言って笑顔を向けてくれる晴人は本当に優しい。
「今日はもう先休んでおく??」
「あはは…今日、も、だけど…。そうする。」
片付けもやってくれるという晴人に、それは申し訳なさすぎるから、と自分の分だけは片付ける。もちろん、捨てるなんて選択肢はないから、キチンとラップをして冷蔵庫に入れる。
晴人のお大事に、という声にもう一度笑顔を向けて、寝室に向かった。
徐々に食欲が落ちてきて、それに逆らうことなく食べられる量だけ食べていたら、どんどん体重が落ちてきて、連日軽い頭痛がするようになった。
職場の人にはバレていないが、さすがに恋人で同居人の晴人にはバレた。
椅子に座って机の上に手を組んでその上に頭をのせる。
心臓の動きに合わせて波打つように痛む頭に出来るだけ刺激を与えないように。
そして、胸のあたりをグルグルと渦巻く不快感も刺激しないように。
「大丈夫?サラダうどんにしてみたけど、食べれそう?」
晴人が二人分の晩御飯を持って台所から出てきた。
体を起こして晴人と目を合わせて「食べる。」と答える。
「無理して食べなくていいからね。」
「うん。」
とは言ったものの、食べなければいけないことはわかっている。
けれど、今無理に食べれば戻してしまう気もしている。
そんな真逆の考えを持ちつつ、晴人が机に置いてくれたあっさりとしたうどんを啜った。
「どう?」
「うん。美味しい。」
「味じゃなくて。いや嬉しいんだけど。」
「…」
食べれる、とも食べられない、とも言えず、ただ微笑んで晴人を見つめた。
それに対して晴人は困ったように笑いながら、それでも笑顔を返してくれた。
少しずつ口に運んでいたうどんも、だんだんペースが落ちてきた。それは自分でもわかるほど。それに晴人が気づいていないはずはない。僕をずっと見て、自分の食事が止まっていることからそれはわかる。
これ以上は僕自身も、無理だと思うし、晴人にそんな顔をして欲しい訳でもない。
「ご馳走様。ごめんね。もう…ちょっと、、」
「いいよ。無理しちゃダメだから。」
そう言って笑顔を向けてくれる晴人は本当に優しい。
「今日はもう先休んでおく??」
「あはは…今日、も、だけど…。そうする。」
片付けもやってくれるという晴人に、それは申し訳なさすぎるから、と自分の分だけは片付ける。もちろん、捨てるなんて選択肢はないから、キチンとラップをして冷蔵庫に入れる。
晴人のお大事に、という声にもう一度笑顔を向けて、寝室に向かった。
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