4 / 4
4. その後
しおりを挟む
あれから1週間、婚約破棄したばかりだというのに私は平穏な日々を送っていた。
私が浮気をしたという噂が流されたりはしたのだけど、すぐに嘘だとバレて広まることはなかった。
そして、アドルフの浮気が公に広まることになった。
そんな中、今日はとある人物を呼び出している。
「お嬢様、念のためこれを」
「ありがとう」
今は呼び出している人物が怒り狂っても大丈夫なように、ドレスの下に防具を身につけている。
それから1時間、呼び出している人物がやってきた。
「あらぁ、こんなに護衛を付けてくれるなんて、気がきくのねぇ」
例の男の浮気相手こと子爵令嬢のアンナは満足そうにしている。
この護衛はただの監視役で、守る対象は私達だけなのに、随分と都合のいい頭をしているみたい。
「ええ、大事な客人ですので」
そう簡潔に説明する執事さん。
ちなみに子爵夫妻は申し訳なさそうに後ろで小さくなっている。
それでも、アンナの舌は止まることを知らず、慰謝料の話を切り出すまで続いた。
「早速本題に入りますが、よろしいですか?」
「「はい」」
頷く子爵夫妻。
それを見て、お父様がこう切り出した。
「そちらのアンナさんに慰謝料を請求させていただきます」
「なんで私なのよ! アドルフが払うのよね⁉︎」
「アドルフ君が払うのは半分ですよ。もう半分は貴女に支払ってもらいます」
淡々と告げるお父様。
この時は全員納得して、上手く話がまとまった。
でも、その翌日だった。
「アンタがいなければこんな目に遭わなかったのよ!」
歩いて宝石店に向かう途中、そんな声と共に前からアンナが突進してきた。
手には銀色の何かが握られていて、陽の光を反射している。
咄嗟に護身用の短剣を抜こうとした私だったけど、通行人に扮した護衛にあっけなく取り押さえられていた。
「認めなさいよ! 私が悪かったですって!
認めなかったら殺してやる!」
そんな不愉快な声が響く中、護衛さんは淡々と縄を結んでいき、アンナはあっという間に王都の衛兵の詰所に連れて行かれた。
この後の調査で分かったことなのだけど、アンナは勘当されて私に一方的に恨みを募らせたらしい。
鉱山送りに処された彼女と会うことはもうないと思うけど、慰謝料は彼女の少ない給金から払われることに決まった。
本来、この給金は鉱山から出る時の生活の糧になる。でも、彼女にはそれがないから、この先どうやって生きていくのかは分からない。
ちなみに私の方はというと、いくつか縁談が舞い込んでいた。
でも、それを受ける気はなかった。
きっと権力に目が眩んでいるだけだから。
容姿だけでなく性格までイケメンと名高い公爵令息様からのもの以外は。
今度こそ失敗しない。
そんな思いで、私は縁談の話を少しずつ、慎重に進めていた。
***********
ここまでお付き合いいただきありがとうございました。
私が浮気をしたという噂が流されたりはしたのだけど、すぐに嘘だとバレて広まることはなかった。
そして、アドルフの浮気が公に広まることになった。
そんな中、今日はとある人物を呼び出している。
「お嬢様、念のためこれを」
「ありがとう」
今は呼び出している人物が怒り狂っても大丈夫なように、ドレスの下に防具を身につけている。
それから1時間、呼び出している人物がやってきた。
「あらぁ、こんなに護衛を付けてくれるなんて、気がきくのねぇ」
例の男の浮気相手こと子爵令嬢のアンナは満足そうにしている。
この護衛はただの監視役で、守る対象は私達だけなのに、随分と都合のいい頭をしているみたい。
「ええ、大事な客人ですので」
そう簡潔に説明する執事さん。
ちなみに子爵夫妻は申し訳なさそうに後ろで小さくなっている。
それでも、アンナの舌は止まることを知らず、慰謝料の話を切り出すまで続いた。
「早速本題に入りますが、よろしいですか?」
「「はい」」
頷く子爵夫妻。
それを見て、お父様がこう切り出した。
「そちらのアンナさんに慰謝料を請求させていただきます」
「なんで私なのよ! アドルフが払うのよね⁉︎」
「アドルフ君が払うのは半分ですよ。もう半分は貴女に支払ってもらいます」
淡々と告げるお父様。
この時は全員納得して、上手く話がまとまった。
でも、その翌日だった。
「アンタがいなければこんな目に遭わなかったのよ!」
歩いて宝石店に向かう途中、そんな声と共に前からアンナが突進してきた。
手には銀色の何かが握られていて、陽の光を反射している。
咄嗟に護身用の短剣を抜こうとした私だったけど、通行人に扮した護衛にあっけなく取り押さえられていた。
「認めなさいよ! 私が悪かったですって!
認めなかったら殺してやる!」
そんな不愉快な声が響く中、護衛さんは淡々と縄を結んでいき、アンナはあっという間に王都の衛兵の詰所に連れて行かれた。
この後の調査で分かったことなのだけど、アンナは勘当されて私に一方的に恨みを募らせたらしい。
鉱山送りに処された彼女と会うことはもうないと思うけど、慰謝料は彼女の少ない給金から払われることに決まった。
本来、この給金は鉱山から出る時の生活の糧になる。でも、彼女にはそれがないから、この先どうやって生きていくのかは分からない。
ちなみに私の方はというと、いくつか縁談が舞い込んでいた。
でも、それを受ける気はなかった。
きっと権力に目が眩んでいるだけだから。
容姿だけでなく性格までイケメンと名高い公爵令息様からのもの以外は。
今度こそ失敗しない。
そんな思いで、私は縁談の話を少しずつ、慎重に進めていた。
***********
ここまでお付き合いいただきありがとうございました。
117
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(8件)
あなたにおすすめの小説
酔って婚約破棄されましたが本望です!
神々廻
恋愛
「こ...んやく破棄する..........」
偶然、婚約者が友達と一緒にお酒を飲んでいる所に偶然居合わせると何と、私と婚約破棄するなどと言っているではありませんか!
それなら婚約破棄してやりますよ!!
愚かこそが罪《完結》
アーエル
恋愛
貴族として、まあ、これで最後だと私は開き直ってでたパーティー。
王家主催だから断れなかったと言う理由もある。
そんなパーティーをぶち壊そうとする輩あり。
はあ?
私にプロポーズ?
アンタ頭大丈夫?
指輪を勝手に通そうとしてもある契約で反発している。
って、それって使用禁止の魔導具『隷属の指輪』じゃん!
このバカ、王太子だけどぶっ飛ばしちゃってもいいよね?
他社でも公開
王子でもある婚約者から「父を裏で殺めようとしていたそうだな!?」などと言われ婚約破棄されました。
四季
恋愛
王女セレス・ペスカトーレは婚約者で王子であるエリッツ・フォンドより婚約破棄を告げられてしまう。
その原因はセレスが国王暗殺を企んでいるというエリッツの母妹らによる嘘で……。
(完結)あなたが婚約破棄とおっしゃったのですよ?
青空一夏
恋愛
スワンはチャーリー王子殿下の婚約者。
チャーリー王子殿下は冴えない容姿の伯爵令嬢にすぎないスワンをぞんざいに扱い、ついには婚約破棄を言い渡す。
しかし、チャーリー王子殿下は知らなかった。それは……
これは、身の程知らずな王子がギャフンと言わされる物語です。コメディー調になる予定で
す。過度な残酷描写はしません(多分(•́ε•̀;ก)💦)
それぞれの登場人物視点から話が展開していく方式です。
異世界中世ヨーロッパ風のゆるふわ設定ご都合主義。タグ途中で変更追加の可能性あり。
釣り合わないと言われても、婚約者と別れる予定はありません
しろねこ。
恋愛
幼馴染と婚約を結んでいるラズリーは、学園に入学してから他の令嬢達によく絡まれていた。
曰く、婚約者と釣り合っていない、身分不相応だと。
ラズリーの婚約者であるファルク=トワレ伯爵令息は、第二王子の側近で、将来護衛騎士予定の有望株だ。背も高く、見目も良いと言う事で注目を浴びている。
対してラズリー=コランダム子爵令嬢は薬草学を専攻していて、外に出る事も少なく地味な見た目で華々しさもない。
そんな二人を周囲は好奇の目で見ており、時にはラズリーから婚約者を奪おうとするものも出てくる。
おっとり令嬢ラズリーはそんな周囲の圧力に屈することはない。
「釣り合わない? そうですか。でも彼は私が良いって言ってますし」
時に優しく、時に豪胆なラズリー、平穏な日々はいつ来るやら。
ハッピーエンド、両思い、ご都合主義なストーリーです。
ゆっくり更新予定です(*´ω`*)
小説家になろうさん、カクヨムさんでも投稿中。
婚約破棄?悪役令嬢の復讐は爆速で。
八雲
恋愛
「リリム・フォン・アスタロト! 貴様との婚約を破棄する!」
卒業パーティーの最中、婚約者である王太子エリオットから身に覚えのない罪を突きつけられた公爵令嬢リリム。隣には「真実の愛」を語るマシュマロ系男爵令嬢シャーリーの姿。
普通の令嬢なら泣き崩れる場面――だが、リリムは違った。
姉の所為で全てを失いそうです。だから、その前に全て終わらせようと思います。もちろん断罪ショーで。
しげむろ ゆうき
恋愛
姉の策略により、なんでも私の所為にされてしまう。そしてみんなからどんどんと信用を失っていくが、唯一、私が得意としてるもので信じてくれなかった人達と姉を断罪する話。
全12話
誰も残らなかった物語
悠十
恋愛
アリシアはこの国の王太子の婚約者である。
しかし、彼との間には愛は無く、将来この国を共に治める同士であった。
そんなある日、王太子は愛する人を見付けた。
アリシアはそれを支援するために奔走するが、上手くいかず、とうとう冤罪を掛けられた。
「嗚呼、可哀そうに……」
彼女の最後の呟きは、誰に向けてのものだったのか。
その呟きは、誰に聞かれる事も無く、断頭台の露へと消えた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
誤字報告ありがとうございます。
修正いたしました。
コメントありがとうございます。
誤字の方は修正いたしました。