婚約破棄され家を出た傷心令嬢は辺境伯に拾われ溺愛されるそうです 〜今更謝っても、もう遅いですよ?〜

八代奏多

文字の大きさ
134 / 155

134. 捜索

しおりを挟む
「フィーナ、もし王子が攻撃してきたらどうする?
 王子もそこまで馬鹿ではないだろうから、魔法は対策されていると思う。万が一があり得るから対策しておきたい」


 屋敷を出てからすぐ、馬車の中でジーク様が口にしたのは私を心配する言葉だった。


「あの人が私を傷つけることは出来ないわ。狙ってる女性が軽い怪我をするのを拒絶するような人だから」

「だが、万が一があるだろ?」

「もし私が斬られたら、助けて欲しいわ。あと、王子の護衛は任せるわね」

「分かった……」


 ため息をつくジーク様。

 今の状態で魔法を使えば、加減が出来なくて王子を手にかけかねないから仕方ないのよ。ジーク様はジーク様で王子の首を刎ねかねないし……。

 
「フィーナって魔法を使わないで王子に勝ったことはあるのか?」

「無いわよ?」

「大丈夫なのか?」

「問題ないわ。本気を出さなくても勝てるから」


 婚約者の関係だった頃に護身術の練習と称して剣を交えたことがあるから、王子の強さはある程度把握している。
 だから、私だけでも勝てると確信している。


 私達が王子をどう始末しようか話し合っていると、後ろから追いついた家の護衛から何かを受け取った御者さんが声をかけてきた。


「お嬢様、お嬢様宛の手紙です! 今すぐご確認ください」

「分かったわ」


 御者台に繋がる窓を開けて手紙を受け取る私。
 その手紙にはこんなことが書かれていた。


『ルシアを返して欲しければ、フィーナ一人で地図に記した場所に来るように』


 やっぱり、王子の狙いは私だけみたい……。


「王子のいる建物の前で待つよ。1分経ったら俺も入る」

「分かったわ」


 そう答えた時だった。
 私はルシアの魔力が飛んできたのを感じた。


「ルシアが危ないわ……急いで!」

「分かりました」


 魔力を飛ばしてくるなんて、何かあったに違いないわ……!
 お願い……無事でいて……!


「フィーナ、何があった?」

「ルシアが魔力を飛ばしてきたのよ!」

「そう言うことか……。あとどれくらいで着くか?」

「あと5分はかかります。騎乗ならもっと早くなりますが……」


 言いにくそうに口にする御者さん。
 それもそのはず、この場には乗れる馬がないから。


「分かった。ここで止めて馬をニ頭貸してくれ」

「ちょっと待って、馬具が無いのにどうするのよ⁉︎」


 ジーク様のまさかの行動に思わず声を上げる私。


「手綱があれば問題ない。股が痛くなるなら風魔法で身体を浮かせればいい」

「そんなこと急に言われても……」

「男なら打ち所次第で大惨事になるが、女なら大丈夫なはずだ」

「分かったわ……怖いけどやるしかないわよな……」

 そうして、私達は手綱以外の乗馬具が無い状態で騎乗で移動することに……ならなかった。


「話は聞きましたよ! お嬢様、我々の馬をお使いください!」


 騎乗でついてきていた護衛さん達が馬を貸してくれることになったから。
しおりを挟む
感想 141

あなたにおすすめの小説

婚約破棄で悪役令嬢を辞めたので、今日から素で生きます。

黒猫かの
恋愛
「エリー・オルブライト! 貴様との婚約を破棄する!」 豪華絢爛な夜会で、ウィルフレッド王子から突きつけられた非情な宣告。 しかし、公爵令嬢エリーの心境は……「よっしゃあ! やっと喋れるわ!!」だった。

実は家事万能な伯爵令嬢、婚約破棄されても全く問題ありません ~追放された先で洗濯した男は、伝説の天使様でした~

空色蜻蛉
恋愛
「令嬢であるお前は、身の周りのことは従者なしに何もできまい」 氷薔薇姫の異名で知られるネーヴェは、王子に婚約破棄され、辺境の地モンタルチーノに追放された。 「私が何も出来ない箱入り娘だと、勘違いしているのね。私から見れば、聖女様の方がよっぽど箱入りだけど」 ネーヴェは自分で屋敷を掃除したり美味しい料理を作ったり、自由な生活を満喫する。 成り行きで、葡萄畑作りで泥だらけになっている男と仲良くなるが、実は彼の正体は伝説の・・であった。

好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】

皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」 「っ――――!!」 「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」 クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。 ****** ・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。

悪役令嬢に転生したと気付いたら、咄嗟に婚約者の記憶を失くしたフリをしてしまった。

ねーさん
恋愛
 あ、私、悪役令嬢だ。  クリスティナは婚約者であるアレクシス王子に近付くフローラを階段から落とそうとして、誤って自分が落ちてしまう。  気を失ったクリスティナの頭に前世で読んだ小説のストーリーが甦る。自分がその小説の悪役令嬢に転生したと気付いたクリスティナは、目が覚めた時「貴方は誰?」と咄嗟に記憶を失くしたフリをしてしまって──…

婚約破棄に、承知いたしました。と返したら爆笑されました。

パリパリかぷちーの
恋愛
公爵令嬢カルルは、ある夜会で王太子ジェラールから婚約破棄を言い渡される。しかし、カルルは泣くどころか、これまで立て替えていた経費や労働対価の「莫大な請求書」をその場で叩きつけた。

王妃の仕事なんて知りません、今から逃げます!

gacchi(がっち)
恋愛
側妃を迎えるって、え?聞いてないよ? 王妃の仕事が大変でも頑張ってたのは、レオルドが好きだから。 国への責任感?そんなの無いよ。もういい。私、逃げるから! 12/16加筆修正したものをカクヨムに投稿しました。

挙式後すぐに離婚届を手渡された私は、この結婚は予め捨てられることが確定していた事実を知らされました

結城芙由奈@コミカライズ3巻7/30発売
恋愛
【結婚した日に、「君にこれを預けておく」と離婚届を手渡されました】 今日、私は子供の頃からずっと大好きだった人と結婚した。しかし、式の後に絶望的な事を彼に言われた。 「ごめん、本当は君とは結婚したくなかったんだ。これを預けておくから、その気になったら提出してくれ」 そう言って手渡されたのは何と離婚届けだった。 そしてどこまでも冷たい態度の夫の行動に傷つけられていく私。 けれどその裏には私の知らない、ある深い事情が隠されていた。 その真意を知った時、私は―。 ※暫く鬱展開が続きます ※他サイトでも投稿中

侯爵家のお飾り妻をやめたら、王太子様からの溺愛が始まりました。

二位関りをん
恋愛
子爵令嬢メアリーが侯爵家当主ウィルソンに嫁いで、はや1年。その間挨拶くらいしか会話は無く、夜の営みも無かった。 そんな中ウィルソンから子供が出来たと語る男爵令嬢アンナを愛人として迎えたいと言われたメアリーはショックを受ける。しかもアンナはウィルソンにメアリーを陥れる嘘を付き、ウィルソンはそれを信じていたのだった。 ある日、色々あって職業案内所へ訪れたメアリーは秒速で王宮の女官に合格。結婚生活は1年を過ぎ、離婚成立の条件も整っていたため、メアリーは思い切ってウィルソンに離婚届をつきつけた。 そして王宮の女官になったメアリーは、王太子レアードからある提案を受けて……? ※世界観などゆるゆるです。温かい目で見てください

処理中です...