148 / 155
148. 積み込まれる王子
しおりを挟む
王子がイストリア帝国送りになることが決まってから2週間が経つ今日、いよいよ王子がイストリアに行く日になった。
今日はリーシェ様と王子が送り出される様子を見に行くことになっているから、いつもより忙しい朝になっている。
「今日は商人の娘風なのだけど、こんな感じで大丈夫かしら?」
「なぜお忍びの格好をされるのですか?」
「見つかって縋られるのが嫌だからよ。リーシェ様と合わせることにしているの」
「なるほど、姉妹風にするんですね」
王子に気付かれないように、髪型もいつもとは違うものにしてもらっている。
ちなみにだけど、王子が馬車に乗せられるのは城の前ということになっているから、かなりの人が集まると思う。
だから普段通りの格好でも見つかることはないと思うけど、万全にしておきたいのよね……。
「お嬢様、出来ましたよ」
「ありがとう。まだ時間あるから庭に行ってくるわ」
「行ってらっしゃいませ」
それから十数分後、リーシェ様がやって来て私達はうちのお忍び用の馬車で王城に向けて出発した。
ちなみに、リーシェ様の服のデザインは私の着ているものとは違うものだけど、雰囲気は似ているものになっている。
幸いにも、髪の色は似ているから姉妹と言っても疑われることはないと思う。
「フィーナ様、陛下から王子と会って欲しいって言われたと聞きましたけど、本当ですか?」
「本当ですわよ。昨日手紙で言われて驚きましたわ」
「実は、私にもこんな手紙が届きまして……」
そう言って手紙を差し出すリーシェ様。
その手紙に目を通すと、信じられない内容が書かれているのが分かった。
私にも手紙は送ったけど、会って慰めてくれない可能性が高いから説得してくれだなんて……そんなことを頼む神経が分からないわ!
私を怒らせて何が楽しいのかしら?
「もう言いたいこと全部言おうかしら……」
「その方がスッキリしていいと思いますわ」
「見つかったらそうしますわね」
この後は他愛ない雑談をして、間もなく王城前に到着した。
そこには……
「思ってたよりも人が少ないですわね」
「ええ、これの倍はいると思ってましたのに……」
……思っていたよりも小さな人だかりが出来ていた。
ちなみに、私達は王城に出入りしている商人を装って王城の中から見ることにしているから、そのまま門の中に向かった。
そして予定していた位置に着いてから十分後、手を後ろに縛られた王子が武装した騎士さん達に囲まれて姿を見せた。
その直後、王子の目線がこちらに向いて……
「フィーナ、助けてくれ! 今までのことは謝るから頼む!」
……そんなことを叫び始めた。
「離れましょう」
「ええ」
私の言葉に頷くリーシェ様。
「行かないでくれ! 雰囲気は違うけど、顔も胸も足もフィーナで間違いないんだ……! 何故無視する!」
「一体どこ見てたのよ……変態……」
「フィーナ様……ご愁傷様です」
「まだ死んでないわよ⁉︎」
そんな会話をしていると、王子が突然こちらに向かって駆け出した。
こちらの方が3メートルくらい高くなっているから来ることはできないはずだけど、何をされるか分からないから私は攻撃魔法の準備をした。
「フィーナ、頼む! 許してくれれば僕は解放されるんだ!」
「罪人が私に何の用ですか?」
「嘘……だろ?」
「フィーナ様は貴方に無実の罪をかけられたショックで貴方のことを覚えていませんのよ。フィーナ様の記憶にあるのは貴方に襲われて、大切な物を奪われそうになったことだけ。
あとはもう、分かりますね?」
示し合わせたわけでもないのに、そう合わせてくれるリーシェ様。
「そんな……フィーナの中では僕はただの罪人だと……。嘘だ……嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ……」
「罪人が馴れ馴れしく私に話しかけていいと思っていますの? 早く私の目の前から消えなさい」
私がそう告げると、王子だった人は糸が切れたように地面に倒れ込んで、騎士さんたちに無理矢理立たせられていた。
これだけショックを受けていれば、もう話しかけてこないわよね?
今日はリーシェ様と王子が送り出される様子を見に行くことになっているから、いつもより忙しい朝になっている。
「今日は商人の娘風なのだけど、こんな感じで大丈夫かしら?」
「なぜお忍びの格好をされるのですか?」
「見つかって縋られるのが嫌だからよ。リーシェ様と合わせることにしているの」
「なるほど、姉妹風にするんですね」
王子に気付かれないように、髪型もいつもとは違うものにしてもらっている。
ちなみにだけど、王子が馬車に乗せられるのは城の前ということになっているから、かなりの人が集まると思う。
だから普段通りの格好でも見つかることはないと思うけど、万全にしておきたいのよね……。
「お嬢様、出来ましたよ」
「ありがとう。まだ時間あるから庭に行ってくるわ」
「行ってらっしゃいませ」
それから十数分後、リーシェ様がやって来て私達はうちのお忍び用の馬車で王城に向けて出発した。
ちなみに、リーシェ様の服のデザインは私の着ているものとは違うものだけど、雰囲気は似ているものになっている。
幸いにも、髪の色は似ているから姉妹と言っても疑われることはないと思う。
「フィーナ様、陛下から王子と会って欲しいって言われたと聞きましたけど、本当ですか?」
「本当ですわよ。昨日手紙で言われて驚きましたわ」
「実は、私にもこんな手紙が届きまして……」
そう言って手紙を差し出すリーシェ様。
その手紙に目を通すと、信じられない内容が書かれているのが分かった。
私にも手紙は送ったけど、会って慰めてくれない可能性が高いから説得してくれだなんて……そんなことを頼む神経が分からないわ!
私を怒らせて何が楽しいのかしら?
「もう言いたいこと全部言おうかしら……」
「その方がスッキリしていいと思いますわ」
「見つかったらそうしますわね」
この後は他愛ない雑談をして、間もなく王城前に到着した。
そこには……
「思ってたよりも人が少ないですわね」
「ええ、これの倍はいると思ってましたのに……」
……思っていたよりも小さな人だかりが出来ていた。
ちなみに、私達は王城に出入りしている商人を装って王城の中から見ることにしているから、そのまま門の中に向かった。
そして予定していた位置に着いてから十分後、手を後ろに縛られた王子が武装した騎士さん達に囲まれて姿を見せた。
その直後、王子の目線がこちらに向いて……
「フィーナ、助けてくれ! 今までのことは謝るから頼む!」
……そんなことを叫び始めた。
「離れましょう」
「ええ」
私の言葉に頷くリーシェ様。
「行かないでくれ! 雰囲気は違うけど、顔も胸も足もフィーナで間違いないんだ……! 何故無視する!」
「一体どこ見てたのよ……変態……」
「フィーナ様……ご愁傷様です」
「まだ死んでないわよ⁉︎」
そんな会話をしていると、王子が突然こちらに向かって駆け出した。
こちらの方が3メートルくらい高くなっているから来ることはできないはずだけど、何をされるか分からないから私は攻撃魔法の準備をした。
「フィーナ、頼む! 許してくれれば僕は解放されるんだ!」
「罪人が私に何の用ですか?」
「嘘……だろ?」
「フィーナ様は貴方に無実の罪をかけられたショックで貴方のことを覚えていませんのよ。フィーナ様の記憶にあるのは貴方に襲われて、大切な物を奪われそうになったことだけ。
あとはもう、分かりますね?」
示し合わせたわけでもないのに、そう合わせてくれるリーシェ様。
「そんな……フィーナの中では僕はただの罪人だと……。嘘だ……嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ……」
「罪人が馴れ馴れしく私に話しかけていいと思っていますの? 早く私の目の前から消えなさい」
私がそう告げると、王子だった人は糸が切れたように地面に倒れ込んで、騎士さんたちに無理矢理立たせられていた。
これだけショックを受けていれば、もう話しかけてこないわよね?
79
あなたにおすすめの小説
婚約破棄で悪役令嬢を辞めたので、今日から素で生きます。
黒猫かの
恋愛
「エリー・オルブライト! 貴様との婚約を破棄する!」
豪華絢爛な夜会で、ウィルフレッド王子から突きつけられた非情な宣告。
しかし、公爵令嬢エリーの心境は……「よっしゃあ! やっと喋れるわ!!」だった。
実は家事万能な伯爵令嬢、婚約破棄されても全く問題ありません ~追放された先で洗濯した男は、伝説の天使様でした~
空色蜻蛉
恋愛
「令嬢であるお前は、身の周りのことは従者なしに何もできまい」
氷薔薇姫の異名で知られるネーヴェは、王子に婚約破棄され、辺境の地モンタルチーノに追放された。
「私が何も出来ない箱入り娘だと、勘違いしているのね。私から見れば、聖女様の方がよっぽど箱入りだけど」
ネーヴェは自分で屋敷を掃除したり美味しい料理を作ったり、自由な生活を満喫する。
成り行きで、葡萄畑作りで泥だらけになっている男と仲良くなるが、実は彼の正体は伝説の・・であった。
好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】
皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」
「っ――――!!」
「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」
クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。
******
・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。
悪役令嬢に転生したと気付いたら、咄嗟に婚約者の記憶を失くしたフリをしてしまった。
ねーさん
恋愛
あ、私、悪役令嬢だ。
クリスティナは婚約者であるアレクシス王子に近付くフローラを階段から落とそうとして、誤って自分が落ちてしまう。
気を失ったクリスティナの頭に前世で読んだ小説のストーリーが甦る。自分がその小説の悪役令嬢に転生したと気付いたクリスティナは、目が覚めた時「貴方は誰?」と咄嗟に記憶を失くしたフリをしてしまって──…
婚約破棄に、承知いたしました。と返したら爆笑されました。
パリパリかぷちーの
恋愛
公爵令嬢カルルは、ある夜会で王太子ジェラールから婚約破棄を言い渡される。しかし、カルルは泣くどころか、これまで立て替えていた経費や労働対価の「莫大な請求書」をその場で叩きつけた。
王妃の仕事なんて知りません、今から逃げます!
gacchi(がっち)
恋愛
側妃を迎えるって、え?聞いてないよ?
王妃の仕事が大変でも頑張ってたのは、レオルドが好きだから。
国への責任感?そんなの無いよ。もういい。私、逃げるから!
12/16加筆修正したものをカクヨムに投稿しました。
挙式後すぐに離婚届を手渡された私は、この結婚は予め捨てられることが確定していた事実を知らされました
結城芙由奈@コミカライズ3巻7/30発売
恋愛
【結婚した日に、「君にこれを預けておく」と離婚届を手渡されました】
今日、私は子供の頃からずっと大好きだった人と結婚した。しかし、式の後に絶望的な事を彼に言われた。
「ごめん、本当は君とは結婚したくなかったんだ。これを預けておくから、その気になったら提出してくれ」
そう言って手渡されたのは何と離婚届けだった。
そしてどこまでも冷たい態度の夫の行動に傷つけられていく私。
けれどその裏には私の知らない、ある深い事情が隠されていた。
その真意を知った時、私は―。
※暫く鬱展開が続きます
※他サイトでも投稿中
侯爵家のお飾り妻をやめたら、王太子様からの溺愛が始まりました。
二位関りをん
恋愛
子爵令嬢メアリーが侯爵家当主ウィルソンに嫁いで、はや1年。その間挨拶くらいしか会話は無く、夜の営みも無かった。
そんな中ウィルソンから子供が出来たと語る男爵令嬢アンナを愛人として迎えたいと言われたメアリーはショックを受ける。しかもアンナはウィルソンにメアリーを陥れる嘘を付き、ウィルソンはそれを信じていたのだった。
ある日、色々あって職業案内所へ訪れたメアリーは秒速で王宮の女官に合格。結婚生活は1年を過ぎ、離婚成立の条件も整っていたため、メアリーは思い切ってウィルソンに離婚届をつきつけた。
そして王宮の女官になったメアリーは、王太子レアードからある提案を受けて……?
※世界観などゆるゆるです。温かい目で見てください
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる