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入学前編
1. プロローグ
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豪奢な門をくぐった先にある豪華絢爛なお屋敷ーーコンスリア公爵邸。
そこで開かれる夜会に私は来ている。
会場内は数々の装飾品で彩られていて、このお屋敷の持ち主……コンスリア公爵家の凄さが一目で分かる。
貧乏伯爵家の令嬢な私は装飾品を壊してしまうのが怖くて近づくことすら出来ない。
弁償なんてできないから!
この夜会が私リリアーナ・クライシスの初社交になるけど、正直に言って来たくなかった。
こんなネガティブなことを考えてるけど、これでも15歳になったばかりなのよね……。
ちなみに、貴族界には15歳を迎えてから社交界にデビューするという慣例があって、私もその慣例にのっとってデビューした。
さらに、1ヶ月後には王都にある王立学院への入学も控えている。
聞いた話だと、貴族の子息にとって一番大変なのがこの時期らしい。
それはともかく、社交界では地位が高い方々の機嫌を損ねないように注意しないといけないし、弱みになるような失言をしないように気をつけないといけないしで、とにかく大変で精神的にかなり疲れる。
良家のお嬢様の機嫌を損ねてしまったら虐めの標的になりかねないし、最悪家が潰れてしまう事もあるというから、疲れないはずがない。
こんなに怖くて疲れる場所、喜んで来るはずがないのよ!
こころの中で愚痴る私は、この雰囲気から逃げ出したくて庭園に出ることにした。
そこで何が起きているのかも知らずに……。
「……やめてください」
破れたドレスを着ている令嬢が4人のご令嬢に囲まれて、涙目になりながらそう声を漏らした。
地面に倒れて、汚れてもいる。
驚きの光景に足を止めたけど、もう手遅れだった。
こんな場所で足音を立ててしまって私が気付かれないはずはなく……
「貴女、何をしに来ましたの?」
そんな言葉と共に金髪のご令嬢に睨まれた私は震え上がった。
「に、庭を見に来ただけです」
とっさに思いついた言い訳はそれくらいだった。
ああ、終わったわ……。ごめんなさい、お父様、お母様……。
「邪魔したら許しませんわよ」
「も、申し訳ありませんでした!」
私は慌てて頭を下げてその場から逃げ出した。
結局、少しも会場から抜け出すことは出来なかった。
それから数分後、私を睨んだあのご令嬢が王子殿下に寄り添っていることに気付いた。
こんな風に、他のお嬢様方は素敵な殿方の心を掴むために努力しているけれど、私は正直どうでもいい。
大した特徴もない地味っ娘を好きになる殿方はいらっしゃらないだろうし、そもそも私に気になるお方もいない。
適齢期に入ったばかり、ピチピチの16歳なのに。
恋とかそういうのは小説で満足しているから、わざわざドロドロしたご令嬢方の争いに参加したくないというのもあるけど……。
下手に出しゃばってしまえば、さっきの令嬢みたいにボロボロになるまで虐められてしまう。
そんな仕打ちを受けて私が耐えられるはずがないから、目をつけられないためにも目立たないように行動しようと思っている。
既に目を付けられてしまっている気がするけれど……。
「はぁ……」
現実の深刻さにため息をついた時だった。
「やあ、見ない顔だけど初めて参加するのかな?」
声をかけられて振り向くと、目の前に美形王子様のお顔があって思わず後ずさった。
な、なんで私なんかに王子殿下がーー⁉︎
はい、絶賛パニック中です。
と、とりあえず笑顔で殿下の機嫌を損ねないように挨拶しないと……!
「お初目にかかります、殿下。この度、社交界デビューを迎えましたリリアーナ・クライシスと申します」
「リリアーナ嬢ね。よろしく」
「よ、よろしくお願いします」
視線をたくさん感じるし、さっきのご令嬢も私を見てるし……緊張しすぎて噛んでしまった。
私なんて見ても面白くないですよ~、って言いたい。
この後、王子殿下が離れた後も私は注目されたままだった。
社交界デビュー初日にいきなり先行きが怪しくなってきて、私は不安しか感じなかった。
そこで開かれる夜会に私は来ている。
会場内は数々の装飾品で彩られていて、このお屋敷の持ち主……コンスリア公爵家の凄さが一目で分かる。
貧乏伯爵家の令嬢な私は装飾品を壊してしまうのが怖くて近づくことすら出来ない。
弁償なんてできないから!
この夜会が私リリアーナ・クライシスの初社交になるけど、正直に言って来たくなかった。
こんなネガティブなことを考えてるけど、これでも15歳になったばかりなのよね……。
ちなみに、貴族界には15歳を迎えてから社交界にデビューするという慣例があって、私もその慣例にのっとってデビューした。
さらに、1ヶ月後には王都にある王立学院への入学も控えている。
聞いた話だと、貴族の子息にとって一番大変なのがこの時期らしい。
それはともかく、社交界では地位が高い方々の機嫌を損ねないように注意しないといけないし、弱みになるような失言をしないように気をつけないといけないしで、とにかく大変で精神的にかなり疲れる。
良家のお嬢様の機嫌を損ねてしまったら虐めの標的になりかねないし、最悪家が潰れてしまう事もあるというから、疲れないはずがない。
こんなに怖くて疲れる場所、喜んで来るはずがないのよ!
こころの中で愚痴る私は、この雰囲気から逃げ出したくて庭園に出ることにした。
そこで何が起きているのかも知らずに……。
「……やめてください」
破れたドレスを着ている令嬢が4人のご令嬢に囲まれて、涙目になりながらそう声を漏らした。
地面に倒れて、汚れてもいる。
驚きの光景に足を止めたけど、もう手遅れだった。
こんな場所で足音を立ててしまって私が気付かれないはずはなく……
「貴女、何をしに来ましたの?」
そんな言葉と共に金髪のご令嬢に睨まれた私は震え上がった。
「に、庭を見に来ただけです」
とっさに思いついた言い訳はそれくらいだった。
ああ、終わったわ……。ごめんなさい、お父様、お母様……。
「邪魔したら許しませんわよ」
「も、申し訳ありませんでした!」
私は慌てて頭を下げてその場から逃げ出した。
結局、少しも会場から抜け出すことは出来なかった。
それから数分後、私を睨んだあのご令嬢が王子殿下に寄り添っていることに気付いた。
こんな風に、他のお嬢様方は素敵な殿方の心を掴むために努力しているけれど、私は正直どうでもいい。
大した特徴もない地味っ娘を好きになる殿方はいらっしゃらないだろうし、そもそも私に気になるお方もいない。
適齢期に入ったばかり、ピチピチの16歳なのに。
恋とかそういうのは小説で満足しているから、わざわざドロドロしたご令嬢方の争いに参加したくないというのもあるけど……。
下手に出しゃばってしまえば、さっきの令嬢みたいにボロボロになるまで虐められてしまう。
そんな仕打ちを受けて私が耐えられるはずがないから、目をつけられないためにも目立たないように行動しようと思っている。
既に目を付けられてしまっている気がするけれど……。
「はぁ……」
現実の深刻さにため息をついた時だった。
「やあ、見ない顔だけど初めて参加するのかな?」
声をかけられて振り向くと、目の前に美形王子様のお顔があって思わず後ずさった。
な、なんで私なんかに王子殿下がーー⁉︎
はい、絶賛パニック中です。
と、とりあえず笑顔で殿下の機嫌を損ねないように挨拶しないと……!
「お初目にかかります、殿下。この度、社交界デビューを迎えましたリリアーナ・クライシスと申します」
「リリアーナ嬢ね。よろしく」
「よ、よろしくお願いします」
視線をたくさん感じるし、さっきのご令嬢も私を見てるし……緊張しすぎて噛んでしまった。
私なんて見ても面白くないですよ~、って言いたい。
この後、王子殿下が離れた後も私は注目されたままだった。
社交界デビュー初日にいきなり先行きが怪しくなってきて、私は不安しか感じなかった。
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