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入学前編
3. 呼び出しの目的
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「立ち話もなんですから、部屋に入ってください」
そう言って私をソファの前まで案内するリーシェ様。
まるで私が客人であるかのような丁重な扱いに戸惑っている。
「貴女、王子殿下になにをしましたの⁉︎ 滅多に笑わない王子殿下が貴女に笑顔を見せていたので気になりまして」
「な、なにもしておりません。殿下が勝手に話しかけてきたんです」
顔を輝かせながら詰め寄られたから、少し引きながら答えた。
リーシェ様、色々な意味でちょっと怖いです……。
「使えないわね……。慣れてないから仕方ないのかしら……」
不機嫌さ全開のリーシェ様の様子に、私はやってしまったと思ったり
どうすればいいの⁉︎ とりあえず謝らないと……!
そう考えた私はすぐに頭を下げた。
「使えなくて申し訳ありません」
「はい……? はっ……」
一瞬きょとんするリーシェ様だったけど、次の瞬間息を飲むのが分かった。
「わ、私の方こそ、失礼なことを言ってしまい申し訳ありませんでしたわ」
公爵家のお嬢様ーーリーシェ様は理不尽な要求ばかりする酷い人と消えていたけど、普通のお嬢様にしか思えない。
「こんなことを言っておいて申し訳ないのですけど、次からの社交界で私のそばにいてもらってもよろしくって?」
「はい……?」
「貴女が私のそばにいれば殿下は必然的に私に近付くでしょう? だから、次のパーティーで私のそばにいなさい!」
お願いじゃなくて命令されてしまったら私は断れない。
目立ってしまうのは嫌だけど、この命令を聞き入れなかったら何をされるか分からない。
「拒否してもよろしいですけど、その後どうなるのか分かりますわよね?」
「私でよろしければ、協力させていただきます」
脅しまでかけられた私は反射的にそう口にしていた。
「ふふ、ありがとう。明日、わたくしのお友達を紹介しようと思いますの。時間は空いていて?」
「はい、大丈夫です」
「よかったわ。明日の夕方に待ってるわ」
この後は、リーシェ様のご友人の方のお名前を教えてもらって話を終えた。
お礼にと、うちでは買えなさそうなお菓子を頂いてしまった。断るわけにもいかないから素直に受け取ってしまったけど、罠だったらどうしよう……。
☆ ☆ ☆
「困ったことがあったらいつでも頼ってくださいね」
「私達は仲間ですから、頼っていただけないと困りますわ」
不安を抱えたまま挨拶に向かったけれど、リーシェ様のご友人方に快く迎えてもらえた。
心配は杞憂だったみたいで安心した。
……とはいっても、失礼があってはいけないから緊張が和らぐことはない。
「ありがとうございます。その時は頼りにさせていただきます」
「受け入れていただけそうで安心しましたわ」
そんなことを言ってもらえて少し安心した。
少しくらいのお願いなら聞いてもらえるかもしれない。そう考えた私はあることを口にした。
「ご迷惑でなければ、お願いしたいことがありますの。私、まだ社交界に慣れていないので目立ちたくありませんの。ですので、しばらくは皆さんと離れて行動してもよろしいですか?」
「それではわたくしが王子殿下にお近付きになれませんわ! 申し訳ないのですけど、これだけは譲れませんわ」
キッパリと、断られてしまった。
でも仕方ないと割り切っていたから、この後の周りの反応は意外だった。
「リーシェ様、リリアーナ様にあまり負担をかけるべきではありませんわ。ここは少し我慢してくださいませ」
「殿下の印象のためにも、ここはリリアーナ様の意見を優先してくださいませ」
なんと、彼女たちはリーシェ様に意見していた。
家格が低い人から意見されることを嫌っている人は多いけど、リーシェ様はそうではないと分かった。
「確かにそうですわね。少し慣れてきてからお願いしますわ」
「お気遣いありがとうございます」
リーシェ様にそう言ってもらえた私は、頭を下げてお礼を口にするのだった。
そう言って私をソファの前まで案内するリーシェ様。
まるで私が客人であるかのような丁重な扱いに戸惑っている。
「貴女、王子殿下になにをしましたの⁉︎ 滅多に笑わない王子殿下が貴女に笑顔を見せていたので気になりまして」
「な、なにもしておりません。殿下が勝手に話しかけてきたんです」
顔を輝かせながら詰め寄られたから、少し引きながら答えた。
リーシェ様、色々な意味でちょっと怖いです……。
「使えないわね……。慣れてないから仕方ないのかしら……」
不機嫌さ全開のリーシェ様の様子に、私はやってしまったと思ったり
どうすればいいの⁉︎ とりあえず謝らないと……!
そう考えた私はすぐに頭を下げた。
「使えなくて申し訳ありません」
「はい……? はっ……」
一瞬きょとんするリーシェ様だったけど、次の瞬間息を飲むのが分かった。
「わ、私の方こそ、失礼なことを言ってしまい申し訳ありませんでしたわ」
公爵家のお嬢様ーーリーシェ様は理不尽な要求ばかりする酷い人と消えていたけど、普通のお嬢様にしか思えない。
「こんなことを言っておいて申し訳ないのですけど、次からの社交界で私のそばにいてもらってもよろしくって?」
「はい……?」
「貴女が私のそばにいれば殿下は必然的に私に近付くでしょう? だから、次のパーティーで私のそばにいなさい!」
お願いじゃなくて命令されてしまったら私は断れない。
目立ってしまうのは嫌だけど、この命令を聞き入れなかったら何をされるか分からない。
「拒否してもよろしいですけど、その後どうなるのか分かりますわよね?」
「私でよろしければ、協力させていただきます」
脅しまでかけられた私は反射的にそう口にしていた。
「ふふ、ありがとう。明日、わたくしのお友達を紹介しようと思いますの。時間は空いていて?」
「はい、大丈夫です」
「よかったわ。明日の夕方に待ってるわ」
この後は、リーシェ様のご友人の方のお名前を教えてもらって話を終えた。
お礼にと、うちでは買えなさそうなお菓子を頂いてしまった。断るわけにもいかないから素直に受け取ってしまったけど、罠だったらどうしよう……。
☆ ☆ ☆
「困ったことがあったらいつでも頼ってくださいね」
「私達は仲間ですから、頼っていただけないと困りますわ」
不安を抱えたまま挨拶に向かったけれど、リーシェ様のご友人方に快く迎えてもらえた。
心配は杞憂だったみたいで安心した。
……とはいっても、失礼があってはいけないから緊張が和らぐことはない。
「ありがとうございます。その時は頼りにさせていただきます」
「受け入れていただけそうで安心しましたわ」
そんなことを言ってもらえて少し安心した。
少しくらいのお願いなら聞いてもらえるかもしれない。そう考えた私はあることを口にした。
「ご迷惑でなければ、お願いしたいことがありますの。私、まだ社交界に慣れていないので目立ちたくありませんの。ですので、しばらくは皆さんと離れて行動してもよろしいですか?」
「それではわたくしが王子殿下にお近付きになれませんわ! 申し訳ないのですけど、これだけは譲れませんわ」
キッパリと、断られてしまった。
でも仕方ないと割り切っていたから、この後の周りの反応は意外だった。
「リーシェ様、リリアーナ様にあまり負担をかけるべきではありませんわ。ここは少し我慢してくださいませ」
「殿下の印象のためにも、ここはリリアーナ様の意見を優先してくださいませ」
なんと、彼女たちはリーシェ様に意見していた。
家格が低い人から意見されることを嫌っている人は多いけど、リーシェ様はそうではないと分かった。
「確かにそうですわね。少し慣れてきてからお願いしますわ」
「お気遣いありがとうございます」
リーシェ様にそう言ってもらえた私は、頭を下げてお礼を口にするのだった。
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