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入学前編
5. 公爵家のお茶会
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招待状のお返事を書いてから4日、初のお茶会に参加する私は色々なことに驚いていた。
今回のお茶会はたくさんの方を招待していないらしく、参加者は私を含めて6人だ。
この人数自体は普通なのだけど、テーブルの上に並ぶお菓子がパーティーなのかってくらいに豪華なのよね。それも全部最高級品だから、驚かないはずがないわ。
「ごきげんよう、リリアーナ様」
「ごきげんよう。ミリア様から声をかけていただけるとは思っていませんでしたわ」
クラリシア公爵令嬢のミリア様はこの前お会いしたリーシェ様のご友人の一人で、リーシェ様とは幼い頃から付き合いがあるそう。
礼儀には結構煩い方だけど、根はいい人だと思っている。
ちなみに、殿方も参加している。
社交界デビューの日に私に声をかけてきた第一王子のアラン様とリーシェ様のお兄様、ユースリア公爵家のレオン様、それに……名前を聞いていないけれど王子殿下のご友人の方。
この4人が殿方の参加者だから、一番身分が低い私は肩身の狭い思いをしている。
居心地が悪い……もう帰りたいわ……。
私が心の中でそう呟いた時だった。
「……今度みなさんと勉強会をしたいですわ。みなさんはどう思われますか?」
さっきから学院の話題だったのだけど、ミリア様がそんな事を口にした。
「いいですわね」
「学院の授業は難しいと聞きますし、予習しておいた方が良さそうですものね」
説得力のある言葉を口にするリーシェ様。
その言葉に他のご令嬢がこんな事を口にした。
「特に魔法学が難しいと聞きますわ。魔法なんて簡単に使えるから必要ないと思いますのに……」
「みなさん賛成のようですし、来週わたくしのところで開きましょう。皆さん、予定は空いていまして?」
そう問いかけるミリア様。
来週はちょうど領地に行くことになっているから、予定は空いていない。
「すみません。来週領に行くことになっていて……再来週なら参加できるのですが……」
「わたくし達だけ先に進めるのは申し訳ないですけど、その分リリアーナ様にしっかり教えられるようになりますわ! ですので、リリアーナ様は安心して再来週から参加してくださいまし」
それって、みなさんに特訓させられるという事ですか……?
皆さんのレベルには私なんて追いつけないですよ。
「お心遣いありがとうございます」
そんな不安があったけど、私は感謝の気持ちを伝えた。
「他に都合が悪い方はいらっしゃいませんか?」
その言葉に返す人はいなかった。
私の味方はいないみたいね……。
「大丈夫そうですわね。来週からよろしくお願いしますわ」
「よろしくお願いします」
「よろしく」
「よろしくお願いしますね」
殿下を含めた参加者全員がそう口にするのだった。
それから少しして、リーシェ様がこんな事を言い出した。
「魔法学の勉強には魔力量が関わると聞きますわ。ですから、皆さんの実力を知るためにもここで魔力量を測りませんこと」
それを聞いて私は冷や汗を浮かべた。
私の魔力量は貴族の中でも高い方だから、もし私の魔力量がここにいる誰かよりも多いなんてことがあったら……嫉妬から虐めの標的にされてしまうかもしれないし、なにより注目されてしまう。
ほぼ確実にそうなるから、私は正直やりたくなかった。
「わざわざ測る必要ってありますの?」
私の言いたい事を代弁してくれるミリア様。意思疎通をしたわけではないけど、ありがたいです。
「わたくし、自分の目で確かめないと信じることができませんのよ?」
「そうでしたわね……」
そう口にするミリア様は嫌そうな顔をしていた。
今回のお茶会はたくさんの方を招待していないらしく、参加者は私を含めて6人だ。
この人数自体は普通なのだけど、テーブルの上に並ぶお菓子がパーティーなのかってくらいに豪華なのよね。それも全部最高級品だから、驚かないはずがないわ。
「ごきげんよう、リリアーナ様」
「ごきげんよう。ミリア様から声をかけていただけるとは思っていませんでしたわ」
クラリシア公爵令嬢のミリア様はこの前お会いしたリーシェ様のご友人の一人で、リーシェ様とは幼い頃から付き合いがあるそう。
礼儀には結構煩い方だけど、根はいい人だと思っている。
ちなみに、殿方も参加している。
社交界デビューの日に私に声をかけてきた第一王子のアラン様とリーシェ様のお兄様、ユースリア公爵家のレオン様、それに……名前を聞いていないけれど王子殿下のご友人の方。
この4人が殿方の参加者だから、一番身分が低い私は肩身の狭い思いをしている。
居心地が悪い……もう帰りたいわ……。
私が心の中でそう呟いた時だった。
「……今度みなさんと勉強会をしたいですわ。みなさんはどう思われますか?」
さっきから学院の話題だったのだけど、ミリア様がそんな事を口にした。
「いいですわね」
「学院の授業は難しいと聞きますし、予習しておいた方が良さそうですものね」
説得力のある言葉を口にするリーシェ様。
その言葉に他のご令嬢がこんな事を口にした。
「特に魔法学が難しいと聞きますわ。魔法なんて簡単に使えるから必要ないと思いますのに……」
「みなさん賛成のようですし、来週わたくしのところで開きましょう。皆さん、予定は空いていまして?」
そう問いかけるミリア様。
来週はちょうど領地に行くことになっているから、予定は空いていない。
「すみません。来週領に行くことになっていて……再来週なら参加できるのですが……」
「わたくし達だけ先に進めるのは申し訳ないですけど、その分リリアーナ様にしっかり教えられるようになりますわ! ですので、リリアーナ様は安心して再来週から参加してくださいまし」
それって、みなさんに特訓させられるという事ですか……?
皆さんのレベルには私なんて追いつけないですよ。
「お心遣いありがとうございます」
そんな不安があったけど、私は感謝の気持ちを伝えた。
「他に都合が悪い方はいらっしゃいませんか?」
その言葉に返す人はいなかった。
私の味方はいないみたいね……。
「大丈夫そうですわね。来週からよろしくお願いしますわ」
「よろしくお願いします」
「よろしく」
「よろしくお願いしますね」
殿下を含めた参加者全員がそう口にするのだった。
それから少しして、リーシェ様がこんな事を言い出した。
「魔法学の勉強には魔力量が関わると聞きますわ。ですから、皆さんの実力を知るためにもここで魔力量を測りませんこと」
それを聞いて私は冷や汗を浮かべた。
私の魔力量は貴族の中でも高い方だから、もし私の魔力量がここにいる誰かよりも多いなんてことがあったら……嫉妬から虐めの標的にされてしまうかもしれないし、なにより注目されてしまう。
ほぼ確実にそうなるから、私は正直やりたくなかった。
「わざわざ測る必要ってありますの?」
私の言いたい事を代弁してくれるミリア様。意思疎通をしたわけではないけど、ありがたいです。
「わたくし、自分の目で確かめないと信じることができませんのよ?」
「そうでしたわね……」
そう口にするミリア様は嫌そうな顔をしていた。
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