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学院編
26. 試験の結果
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「お姉様、お帰りなさい。顔赤いけど熱でもあるの?」
玄関に入ると、ちょうど通りかかっていたアレクにそんな事を言われた。
「だ、大丈夫よ」
それだけ言って、階段を駆け上がって部屋に飛び込んだ。
そしてそのまま枕に顔を埋める。
胸の高鳴りは中々収まりそうになかった。
☆ ☆ ☆
翌日、学院ではクラスメイト達が色めき立っていた。
というのも、今日が試験返却日だからだ。
「リリアーナ様は今回の試験自信ありますの?」
「自分で確認したら、全科目で8割は超えてましたわ」
「すごいですわ。私は数学以外なら8割超えてますのに、数学が半分しか出来ていなくて……。もっと練習しておけば良かったですわ」
恥ずかしそうに口にするアエリア様。
ちなみに、数学の平均点は6割に満たないらしい。
「数学は半分取れていれば何も問題ないと聞きますわ。それに、次もありますからそこで挽回しましょう!」
「言われなくてもそのつもりですわ」
そんな会話をしているうちに試験結果が渡される時間になったようで、授業の始まりを知らせる鐘が鳴った。
「では、順番にお返しするので呼ばれたら前に取りに来てください」
その言葉に続けて先生が名前を呼んでいく。
試験結果は封筒に入っているみたいで、渡された人がすぐに表情を変えることはなかった。
ちなみに、試験の結果は点数順に全員分が貼り出されることになっている。
「……クライシスさん」
「はい」
返事をして結果を受け取りに前に行く私。
平均点は先に発表されているとは言っても、平均点を超えられているかは心配になってしまう。
伯爵家の者として、恥にならないように最低でも平均点は取らなくてはいけないから。
もちろん、王子殿下や公爵家と侯爵家の方々の点数を超えるのも良くない。
まあ、リーシェ様達はお茶会を毎日開く余裕があるみたいだから心配してないけど、アエリア様に勝ってしまっているのは問題かもしれない。
アエリア様は気にしていないみたいだけど、順位を見た他の誰かが私に何かをしてこないとは限らないから……。
「リリー様、私採点ミスをしていましたわ。数学で間違えていたのが1問だけでしたの」
「すごいですわ。私は5問間違えてました……」
どうミスをすれば1問間違えが半分間違えたことになるのか不思議だわ……。
「これでお母様とお父様に顔向け出来ますわ」
嬉しそうな表情を浮かべるアエリア様。
私もアエリア様に勝っていなくて少しだけ安心した。
もちろん、手を抜いたりはしていないけど。
☆ ☆ ☆
試験の解説授業を終えた私は生徒会室に向かった。
「お待たせしました」
生徒会室の中にレオン様の姿を認めた私はそう口にした。
「僕もちょうど来たところだよ」
そう口にするレオン様はソファに腰掛けていた。
私はその隣に腰を下ろす。
今日は生徒会の活動はお休みだから、私達以外にここに来る人はいない。
一応、念のため扉に鍵もかけておいたから安心して隣に座れる。
「早速本題に入るけど、次の休みに行くのはここでいいかな?」
付箋が貼ってある地図を広げてそう口にするレオン様。
「ここってどんな場所ですの?」
「ここはね……」
この後、デートのこと以外の話題でも盛り上がってしまって、20分近く話し込んでしまった。
玄関に入ると、ちょうど通りかかっていたアレクにそんな事を言われた。
「だ、大丈夫よ」
それだけ言って、階段を駆け上がって部屋に飛び込んだ。
そしてそのまま枕に顔を埋める。
胸の高鳴りは中々収まりそうになかった。
☆ ☆ ☆
翌日、学院ではクラスメイト達が色めき立っていた。
というのも、今日が試験返却日だからだ。
「リリアーナ様は今回の試験自信ありますの?」
「自分で確認したら、全科目で8割は超えてましたわ」
「すごいですわ。私は数学以外なら8割超えてますのに、数学が半分しか出来ていなくて……。もっと練習しておけば良かったですわ」
恥ずかしそうに口にするアエリア様。
ちなみに、数学の平均点は6割に満たないらしい。
「数学は半分取れていれば何も問題ないと聞きますわ。それに、次もありますからそこで挽回しましょう!」
「言われなくてもそのつもりですわ」
そんな会話をしているうちに試験結果が渡される時間になったようで、授業の始まりを知らせる鐘が鳴った。
「では、順番にお返しするので呼ばれたら前に取りに来てください」
その言葉に続けて先生が名前を呼んでいく。
試験結果は封筒に入っているみたいで、渡された人がすぐに表情を変えることはなかった。
ちなみに、試験の結果は点数順に全員分が貼り出されることになっている。
「……クライシスさん」
「はい」
返事をして結果を受け取りに前に行く私。
平均点は先に発表されているとは言っても、平均点を超えられているかは心配になってしまう。
伯爵家の者として、恥にならないように最低でも平均点は取らなくてはいけないから。
もちろん、王子殿下や公爵家と侯爵家の方々の点数を超えるのも良くない。
まあ、リーシェ様達はお茶会を毎日開く余裕があるみたいだから心配してないけど、アエリア様に勝ってしまっているのは問題かもしれない。
アエリア様は気にしていないみたいだけど、順位を見た他の誰かが私に何かをしてこないとは限らないから……。
「リリー様、私採点ミスをしていましたわ。数学で間違えていたのが1問だけでしたの」
「すごいですわ。私は5問間違えてました……」
どうミスをすれば1問間違えが半分間違えたことになるのか不思議だわ……。
「これでお母様とお父様に顔向け出来ますわ」
嬉しそうな表情を浮かべるアエリア様。
私もアエリア様に勝っていなくて少しだけ安心した。
もちろん、手を抜いたりはしていないけど。
☆ ☆ ☆
試験の解説授業を終えた私は生徒会室に向かった。
「お待たせしました」
生徒会室の中にレオン様の姿を認めた私はそう口にした。
「僕もちょうど来たところだよ」
そう口にするレオン様はソファに腰掛けていた。
私はその隣に腰を下ろす。
今日は生徒会の活動はお休みだから、私達以外にここに来る人はいない。
一応、念のため扉に鍵もかけておいたから安心して隣に座れる。
「早速本題に入るけど、次の休みに行くのはここでいいかな?」
付箋が貼ってある地図を広げてそう口にするレオン様。
「ここってどんな場所ですの?」
「ここはね……」
この後、デートのこと以外の話題でも盛り上がってしまって、20分近く話し込んでしまった。
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