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エピローグ
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「ジャンプ買ってきたよ」
流介が病室に入って来るなり、紙袋からジャンプを出して俺に渡した。
「あぁ、サンキュ」
俺は早速ページをめくり、流介はベッドの横のパイプ椅子に腰掛けてスマホを見る。
俺はなんとか一命を取り留めた。あいつに放り投げられた後、落下したのは屋上だった。最高到達点からの距離があんまりなかったので、助かった。ただ、頭を打って意識不明になったらしい。却ってそれが良かった。あいつに咬まれた腹と背中の痛みがわからなくなったからだ。傷は幸い、致命傷となる箇所を避けていたらしい。更にラッキーなことに、近藤を病院に運ぶための船で、ついでに俺も運んでもらえた。気が付いたらベッドの上で、色々管を付けられていた。ちなみに近藤も無事輸血が間に合い、助かったらしい。先に退院した近藤は、わざわざ挨拶に来てくれた。
あの後、桐谷たちの攻撃は成功したそうだ。ただ、結局逃げられたらしい。だから、今もあいつは学校近辺にいる可能性は高い。現在学校は閉鎖されている。あいつの存在は全国どころか、世界的に知られる存在となってしまった。生徒がスマホで写真や動画を撮影し、SNSで拡散したからだ。毎日のように関連のニュースを見るし、ネットでも常にトレンドに上っている。
そんなわけで巨大で危険な生物の存在を国も認めないわけにはいかず、その危険性を鑑みて、自衛隊が出動することとなった。しかし、連日捜索が行われているが、現在まで見つかっていない。
「葉月先生、最近大変だね」
流介がスマホを見ながら言った。
「え? あぁ……」
巨大生物は自然界に存在していたのではなく、人工的に作り出された可能性があるという記事が週刊誌に掲載された。
「七瀬は?」
流介は首を横に振った。あの日以来、未だに学校へは来ていないようだ。
「仇は取れたみたいだね」
ふいに流介がそんなことを言った。
「え? あー、仇ねぇ……」
それにしても、あいつはどこへ行ったのか。
願わくば、どこか遠く、広い海で、のんびり暮らしていて欲しい。
了
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