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第1章 王国編
第19話 魔王
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――数日後
「とりあえず地図見て王都まで行って、着いたら何とかしてその手紙を陸軍第2師団のドパルデュー中将に渡してね。そしたら多分なんとかしてくれると思うから」
ドレイクはカミラさんの笑顔をにらみつけると杖を向けて青い炎を発射した。
カミラさんは高笑いしながら、軽々とそれを打ち消した。なんだか本物の魔王みたいだ、魔王がいるのかは知らないけど。
「それじゃあ行ってらっしゃーい!」
見送りに来ていたカミラさんとオスカー先生がごま粒のようになった頃、僕はドレイクに質問してみた。
「ねえドレイク、魔王っているの?」
「ん? ああいるぞ」
「いるんだ」
「今はたしか9人だったかな? 前までは10人くらいいたはずなんだが一人寿命で死んじゃったんだよな」
「あ、寿命があるんだ?」
「当たり前だろう、生きてるんだから」
「まあそりゃそうか」
「ただ魔王にとっては寿命なんてあってないようなもんだからな、こないだ死んだ力魔王ヴィノシュは1000年以上生きてたらしいからな」
「あれ? ドラゴンってそれくらい生きなかったっけ?」
「ドラゴンはヒトっていうより神とか悪魔のほうが近いからな」
「ん? 魔王ってヒトなの?」
「あたりまえだろ、まあヒトって言ってもエルフだったり巨人族だったり半竜人だったりいろいろだけどな」
「!? エルフ!? 巨人!? 半竜人!!?」
「おう、なにに驚いてんだ? たぶん王都いったらたくさんいるぞ」
「たくさんいるの!?」
「ああ、カミラもエルフだぞ」
「そうなの!?!?」
「そうじゃなきゃあんな強いのおかしいだろ」
「え、じゃ、じゃあドレイクも普通の人じゃなかったりするの?」
「ああそうだぞ」
「ええ!! 何族なの?」
「あ、それ気をつけろよ、もう族とかいう風に区別はしてない事になってるんだ。王都でそれやったら変な奴らにめちゃめちゃ絡まれるからだめだぞ、もし言うんなら出身だな」
「うん、気をつけるよ」
「おう、そうしろ」
「それであの、ドレイクの出身は、どこなの?」
「ん? ああ、おれの出身か・・」
「うん」
「・・なんだと思う」
「普通の人に見えるけど、」
「正解!」
「え、だけどさっき普通の人じゃないって」
「冗談だよ冗談」
「・・なーんだ」
「なんか文句あんのかよ」
「別にないよーだ」
二人がそうこう言いながら踏みならされた道を歩いていると、突然目の前に分かれ道が現れた。
「あれ、これどっち行ったほうがいいんだ?」
「地図は書いてないの?」
「この地図安物だからな、大体の方向と山とか川の位置しか書かれてないからわかんないんだよな」
「なんでそんなのもってきたの!!!」
「だって金ないんだもん」
「いやケチるとこおかしいでしょうが! それ知ってたらさっきの行商の人から果物買うの止めてたよ!」
「いやお前腹が減っては戦は出来んだろうが」
「違うでしょ! 地図がちゃんとしてなかったら死んじゃうでしょうが!」
「そんなカリカリすんなって、最悪お前が空飛んで回り確認すればいいじゃん?」
「ああ、そっか、忘れてた」
「お前ほんとにドラゴンかよ~、ドラゴンが飛べること忘れてるって、それ人間が歩けるの忘れてるようなもんだろ~。しっかりしてくれよ~」
「しっかりするのはドレイクでしょうが!」
「じゃあ早速上からどっちの道行った方がいいか確認してくれよ」
「しょうがないなぁ」
そう言って僕は羽ばたいた。
まさかあんなのが来るなんて、このときは思ってもいなかった。
「とりあえず地図見て王都まで行って、着いたら何とかしてその手紙を陸軍第2師団のドパルデュー中将に渡してね。そしたら多分なんとかしてくれると思うから」
ドレイクはカミラさんの笑顔をにらみつけると杖を向けて青い炎を発射した。
カミラさんは高笑いしながら、軽々とそれを打ち消した。なんだか本物の魔王みたいだ、魔王がいるのかは知らないけど。
「それじゃあ行ってらっしゃーい!」
見送りに来ていたカミラさんとオスカー先生がごま粒のようになった頃、僕はドレイクに質問してみた。
「ねえドレイク、魔王っているの?」
「ん? ああいるぞ」
「いるんだ」
「今はたしか9人だったかな? 前までは10人くらいいたはずなんだが一人寿命で死んじゃったんだよな」
「あ、寿命があるんだ?」
「当たり前だろう、生きてるんだから」
「まあそりゃそうか」
「ただ魔王にとっては寿命なんてあってないようなもんだからな、こないだ死んだ力魔王ヴィノシュは1000年以上生きてたらしいからな」
「あれ? ドラゴンってそれくらい生きなかったっけ?」
「ドラゴンはヒトっていうより神とか悪魔のほうが近いからな」
「ん? 魔王ってヒトなの?」
「あたりまえだろ、まあヒトって言ってもエルフだったり巨人族だったり半竜人だったりいろいろだけどな」
「!? エルフ!? 巨人!? 半竜人!!?」
「おう、なにに驚いてんだ? たぶん王都いったらたくさんいるぞ」
「たくさんいるの!?」
「ああ、カミラもエルフだぞ」
「そうなの!?!?」
「そうじゃなきゃあんな強いのおかしいだろ」
「え、じゃ、じゃあドレイクも普通の人じゃなかったりするの?」
「ああそうだぞ」
「ええ!! 何族なの?」
「あ、それ気をつけろよ、もう族とかいう風に区別はしてない事になってるんだ。王都でそれやったら変な奴らにめちゃめちゃ絡まれるからだめだぞ、もし言うんなら出身だな」
「うん、気をつけるよ」
「おう、そうしろ」
「それであの、ドレイクの出身は、どこなの?」
「ん? ああ、おれの出身か・・」
「うん」
「・・なんだと思う」
「普通の人に見えるけど、」
「正解!」
「え、だけどさっき普通の人じゃないって」
「冗談だよ冗談」
「・・なーんだ」
「なんか文句あんのかよ」
「別にないよーだ」
二人がそうこう言いながら踏みならされた道を歩いていると、突然目の前に分かれ道が現れた。
「あれ、これどっち行ったほうがいいんだ?」
「地図は書いてないの?」
「この地図安物だからな、大体の方向と山とか川の位置しか書かれてないからわかんないんだよな」
「なんでそんなのもってきたの!!!」
「だって金ないんだもん」
「いやケチるとこおかしいでしょうが! それ知ってたらさっきの行商の人から果物買うの止めてたよ!」
「いやお前腹が減っては戦は出来んだろうが」
「違うでしょ! 地図がちゃんとしてなかったら死んじゃうでしょうが!」
「そんなカリカリすんなって、最悪お前が空飛んで回り確認すればいいじゃん?」
「ああ、そっか、忘れてた」
「お前ほんとにドラゴンかよ~、ドラゴンが飛べること忘れてるって、それ人間が歩けるの忘れてるようなもんだろ~。しっかりしてくれよ~」
「しっかりするのはドレイクでしょうが!」
「じゃあ早速上からどっちの道行った方がいいか確認してくれよ」
「しょうがないなぁ」
そう言って僕は羽ばたいた。
まさかあんなのが来るなんて、このときは思ってもいなかった。
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