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【9】殿下との密談
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ベルネット邸の応接間にて。
私が急いで向かうと、殿下は思いの外リラックスした様子で、私のお母様と談笑をしていた。
「おや、おかえり、エレノア」
「ごきげんよう、殿下」
「そう言うエレノアのご機嫌はよろしくないようだけどね」
殿下は苦笑すると、向かい側に座るようにと手で私を促した。
ちょうどその場に座っていた、お母様が優雅に立ち上がる。
「それでは殿下、エレノアも帰って来ましたし、わたくしはこれで」
「ベルネット夫人、急に押しかけて申し訳ありません」
「よいのですよ、殿下。
エレノア、失礼のないようにね」
「はい、お母様」
ふふ、と優しげに微笑って、お母様が退室する。
この場に残ったのは、私と殿下、そしてメイドのジーナだけだ。
「供もつけずに、このような場所にお越しになるなんて、なにか火急の用でも?」
「愛しい婚約者の顔を見に来ただけ、と言っても通じなさそうだね」
「それであれば、学園にいらっしゃればよろしいだけでしょう?」
「それはそうだけれど、でも、君と2人きりで会いたかったのも嘘じゃないよ」
クラスメイトで、同じ生徒会の人間なのだから、毎日のように顔を合わせているのに、何を今更、と私が呆れ混じりの視線を向けると、殿下は少し拗ねたように肩をすくめた。
「そういえば、それ、アニムスかい?」
「え?ええ。
あら、覚えてくださっていたのですのね」
「ぴぃ」
ぽふ、と私の肩の上でアニムスが跳ねる。
私が子供の頃、アニムスと出会った日。
殿下もその場にいらしたのだ。
アニムスが我が家で共に暮らすようになって、でも「アニムスは謎の生き物だからあまり外に出さないほうがいい」とお父様がおっしゃったから、これまで私はアニムスをほとんど外に連れ出したことはなかったし、誰かに会わせたこともほぼなかった。
アニムスの存在を知っているのは、アニムスと出会った時に一緒にいた殿下と、親友のクラウディアくらいである。
「懐かしいね。元気でいて安心したよ」
「申し訳ありません。連れて来るつもりはなかったのですけれど、今日に限って、私から離れてくれなくて……」
「いいんだよ、ひさしぶりにアニムスの姿が見られて私も嬉しい。
アニムス、こっちに来るかい?」
「ぴぁ~」
殿下が手のひらを差し出すと、アニムスはプイッとそっぽを向いてしまった。
あっさりと振られてしまった殿下は、おかしそうに笑うと、その手を引っこめる。
「私よりエレノアのほうがいいらしい」
「アニムスは私以外にはあまり懐かないのですわ」
「そういえば出会った時から、アニムスはエレノアにべったりだったね。
よほど好かれているみたいで羨ましい」
ちょっとだけ羨ましそうな顔をして、アニムスに触りたそうだった殿下だけど、明後日の方向を見たままの小さな毛玉に、仕方なく諦めのため息を吐いて、表情を引き締めた。
「今日ここに来たのはね、エレノア」
「ええ」
「メルム嬢が、教会の伝承にある聖女なのではないか、と。
今日大司教から報告があったからなんだよ」
ついに来たか、と私は身を固くする。
それにしても早すぎる。
まだ転校初日なのに、もうそんな話が持ち上がっているのか、と私は驚きを隠せなかった。
「聖女。女神マーテルの生まれ変わり、ですわね」
「そう。建国の女神マーテルの生まれ変わり。
1000年に1度現れるという救国の聖女さ」
芝居がかった調子で腕を広げて、殿下は苦笑する。
「本当なのかしら」
「さあ、どうかな。大司教は興奮していたけれど、まだ確証は何もないみたいだし」
「あら、確証もないのに、聖女だと断じておりますの?」
「教会屈指の光属性、数十年ぶりの逸材だからね。私は“そういうことにしたい“んじゃないかなと思ったんだけど」
殿下が思いのほか冷静に事態を観察していたことに、私は驚いた。
しかし、今の話でわかったことがある。
「シャーロット様が、聖女としての力を発現したわけではありませんのね?」
「ああ。あくまで聖女候補、といったところかな」
教会の期待を一心に背負った、聖女候補。
そんなものだと殿下は言った。
「そもそも、国が傾いてもいないのに、救国の聖女もないと思わないかい?」
「それは、その通りですわね」
我がアレクシス聖王国は、順風満帆。
他国との関係もよく、凶作にも見舞われておらず、現陛下の治世は実に穏やかだ。
救国ーー救うべきところなど、どこにも見当たらない。
「傾いているのは、教会のほうだよ」
「つまり殿下は、教会がシャーロット様を利用して、聖女をでっちあげるつもりだと?」
「そこまでは言わないけどね」
殿下が冷めた紅茶に手をつけようとしたので、私は紅茶を淹れ直すようにジーナへと指示を出す。
それに、ありがとう、と小さくお礼を述べてから、殿下は改めて湯気のたつカップに指を絡めた。
「教会の求心力は少しずつ失われている。
現在の教皇……、フレイシャー伯爵家の者が頑張っているけど、それでも昔ほどの力はもうない」
「神にすがる時代は終わった、ということですわね」
「そうだね、魔法技術が発達して、庶民の生活も少しずつ楽になってきている。
信仰は大事だけど、それだけで国と民を動かせる時代ではなくなったんだ」
だが私は知っている。
シャーロットが本物の聖女であることを。
現時点では教会のでっちあげだとしても、この先シャーロットが聖女として覚醒してしまうことを。
「それで、殿下。
私にこのお話をされた意図はなんですの?」
「今日、メルム嬢が初めて学園に登校してきただろう?」
「ええ」
「何か、変わったことはなかったかと思ってね」
ふむ、と私は小さく唸った。
この物言い。理由はわからないが、殿下はどうやらシャーロットを少なからず警戒しているらしい。
いや、無理もないかもしれない。
求心力の低下した教会から学園へ送られた、謎の聖女候補。
よくよく考えてみれば、初めからおかしかったのだ。
何故、入学式もとうに過ぎたこの時期に?
しかも学園でも最上位のクラスにやってきたのか。
冷静に考えれば、教会からのなんらかの意図、圧力があったと考えて然るべきなのだ。
「そうですわね、ひとつ、面白いことがありましたわ」
「なんだい?」
「テオドールが、シャーロット様に籠絡されたようですわよ」
「……それ、本当かい?」
なんでもないことのないように私が報告すると、殿下はため息を吐いて頭を抱えた。
「テオドールには、メルム嬢の動向を注意深く見守るように、と言いつけてあったはずなんだけどね」
「シャーロット様の背中を情けなく追いかけ回して、学園中に恥を晒すことを“注意深く見守る“とは言いませんわね」
「なにをやってるんだ……」
テオドールが殿下から指示を受けていたのならば、これでひとつハッキリとしたことがある。
シャーロットは、間違いなく魅了の魔法をテオドールにかけたということだ。
「テオドールは生粋の馬鹿ですが、それでも、殿下への忠誠を違えることだけはしませんわ」
「ああ、それは私もわかっているよ」
苦々しげに頷いて、殿下は私の瞳をしっかりと見据えた。
「教会とメルム嬢にどんな意図と関係があるにせよ、どうやら私達にとって益をもたらすような人物ではなさそうだ」
私が急いで向かうと、殿下は思いの外リラックスした様子で、私のお母様と談笑をしていた。
「おや、おかえり、エレノア」
「ごきげんよう、殿下」
「そう言うエレノアのご機嫌はよろしくないようだけどね」
殿下は苦笑すると、向かい側に座るようにと手で私を促した。
ちょうどその場に座っていた、お母様が優雅に立ち上がる。
「それでは殿下、エレノアも帰って来ましたし、わたくしはこれで」
「ベルネット夫人、急に押しかけて申し訳ありません」
「よいのですよ、殿下。
エレノア、失礼のないようにね」
「はい、お母様」
ふふ、と優しげに微笑って、お母様が退室する。
この場に残ったのは、私と殿下、そしてメイドのジーナだけだ。
「供もつけずに、このような場所にお越しになるなんて、なにか火急の用でも?」
「愛しい婚約者の顔を見に来ただけ、と言っても通じなさそうだね」
「それであれば、学園にいらっしゃればよろしいだけでしょう?」
「それはそうだけれど、でも、君と2人きりで会いたかったのも嘘じゃないよ」
クラスメイトで、同じ生徒会の人間なのだから、毎日のように顔を合わせているのに、何を今更、と私が呆れ混じりの視線を向けると、殿下は少し拗ねたように肩をすくめた。
「そういえば、それ、アニムスかい?」
「え?ええ。
あら、覚えてくださっていたのですのね」
「ぴぃ」
ぽふ、と私の肩の上でアニムスが跳ねる。
私が子供の頃、アニムスと出会った日。
殿下もその場にいらしたのだ。
アニムスが我が家で共に暮らすようになって、でも「アニムスは謎の生き物だからあまり外に出さないほうがいい」とお父様がおっしゃったから、これまで私はアニムスをほとんど外に連れ出したことはなかったし、誰かに会わせたこともほぼなかった。
アニムスの存在を知っているのは、アニムスと出会った時に一緒にいた殿下と、親友のクラウディアくらいである。
「懐かしいね。元気でいて安心したよ」
「申し訳ありません。連れて来るつもりはなかったのですけれど、今日に限って、私から離れてくれなくて……」
「いいんだよ、ひさしぶりにアニムスの姿が見られて私も嬉しい。
アニムス、こっちに来るかい?」
「ぴぁ~」
殿下が手のひらを差し出すと、アニムスはプイッとそっぽを向いてしまった。
あっさりと振られてしまった殿下は、おかしそうに笑うと、その手を引っこめる。
「私よりエレノアのほうがいいらしい」
「アニムスは私以外にはあまり懐かないのですわ」
「そういえば出会った時から、アニムスはエレノアにべったりだったね。
よほど好かれているみたいで羨ましい」
ちょっとだけ羨ましそうな顔をして、アニムスに触りたそうだった殿下だけど、明後日の方向を見たままの小さな毛玉に、仕方なく諦めのため息を吐いて、表情を引き締めた。
「今日ここに来たのはね、エレノア」
「ええ」
「メルム嬢が、教会の伝承にある聖女なのではないか、と。
今日大司教から報告があったからなんだよ」
ついに来たか、と私は身を固くする。
それにしても早すぎる。
まだ転校初日なのに、もうそんな話が持ち上がっているのか、と私は驚きを隠せなかった。
「聖女。女神マーテルの生まれ変わり、ですわね」
「そう。建国の女神マーテルの生まれ変わり。
1000年に1度現れるという救国の聖女さ」
芝居がかった調子で腕を広げて、殿下は苦笑する。
「本当なのかしら」
「さあ、どうかな。大司教は興奮していたけれど、まだ確証は何もないみたいだし」
「あら、確証もないのに、聖女だと断じておりますの?」
「教会屈指の光属性、数十年ぶりの逸材だからね。私は“そういうことにしたい“んじゃないかなと思ったんだけど」
殿下が思いのほか冷静に事態を観察していたことに、私は驚いた。
しかし、今の話でわかったことがある。
「シャーロット様が、聖女としての力を発現したわけではありませんのね?」
「ああ。あくまで聖女候補、といったところかな」
教会の期待を一心に背負った、聖女候補。
そんなものだと殿下は言った。
「そもそも、国が傾いてもいないのに、救国の聖女もないと思わないかい?」
「それは、その通りですわね」
我がアレクシス聖王国は、順風満帆。
他国との関係もよく、凶作にも見舞われておらず、現陛下の治世は実に穏やかだ。
救国ーー救うべきところなど、どこにも見当たらない。
「傾いているのは、教会のほうだよ」
「つまり殿下は、教会がシャーロット様を利用して、聖女をでっちあげるつもりだと?」
「そこまでは言わないけどね」
殿下が冷めた紅茶に手をつけようとしたので、私は紅茶を淹れ直すようにジーナへと指示を出す。
それに、ありがとう、と小さくお礼を述べてから、殿下は改めて湯気のたつカップに指を絡めた。
「教会の求心力は少しずつ失われている。
現在の教皇……、フレイシャー伯爵家の者が頑張っているけど、それでも昔ほどの力はもうない」
「神にすがる時代は終わった、ということですわね」
「そうだね、魔法技術が発達して、庶民の生活も少しずつ楽になってきている。
信仰は大事だけど、それだけで国と民を動かせる時代ではなくなったんだ」
だが私は知っている。
シャーロットが本物の聖女であることを。
現時点では教会のでっちあげだとしても、この先シャーロットが聖女として覚醒してしまうことを。
「それで、殿下。
私にこのお話をされた意図はなんですの?」
「今日、メルム嬢が初めて学園に登校してきただろう?」
「ええ」
「何か、変わったことはなかったかと思ってね」
ふむ、と私は小さく唸った。
この物言い。理由はわからないが、殿下はどうやらシャーロットを少なからず警戒しているらしい。
いや、無理もないかもしれない。
求心力の低下した教会から学園へ送られた、謎の聖女候補。
よくよく考えてみれば、初めからおかしかったのだ。
何故、入学式もとうに過ぎたこの時期に?
しかも学園でも最上位のクラスにやってきたのか。
冷静に考えれば、教会からのなんらかの意図、圧力があったと考えて然るべきなのだ。
「そうですわね、ひとつ、面白いことがありましたわ」
「なんだい?」
「テオドールが、シャーロット様に籠絡されたようですわよ」
「……それ、本当かい?」
なんでもないことのないように私が報告すると、殿下はため息を吐いて頭を抱えた。
「テオドールには、メルム嬢の動向を注意深く見守るように、と言いつけてあったはずなんだけどね」
「シャーロット様の背中を情けなく追いかけ回して、学園中に恥を晒すことを“注意深く見守る“とは言いませんわね」
「なにをやってるんだ……」
テオドールが殿下から指示を受けていたのならば、これでひとつハッキリとしたことがある。
シャーロットは、間違いなく魅了の魔法をテオドールにかけたということだ。
「テオドールは生粋の馬鹿ですが、それでも、殿下への忠誠を違えることだけはしませんわ」
「ああ、それは私もわかっているよ」
苦々しげに頷いて、殿下は私の瞳をしっかりと見据えた。
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