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第三章 不夜城攻略編
第39話 訓練場
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訓練場の中は眩しい程の照明に照らされ、また軽快な音楽が流れている。
かなりの人数のウミヘビも中に居て、ビルに入ってきたモーズらに気付くと遠巻きに視線を向けてきた。皆、物珍しそうに見てくる。
新人のモーズが居るのだから、当然といえば当然なのだが。
「見た目はまんまゲームセンターだよな~」
「ゲームセンター……。行った事がないな」
「えっ!? ねぇの? マジで!?」
キックボクシングマシン。ダーツマシン。モデルガンが付いたガンシミュレーター。ハンドルが付いたレーシングシミュレーター。その他アーチェリー、ピッチングなど的を狙う、遊戯場にも置かれているような物が訓練場には多々ある。
だがどれも、モーズには見慣れない物であった。
「学業に専念したかったのもあるが、そもそも遊びに行けるほどの金銭が……。孤児院育ちなもので、懐に余裕がなかった」
「はぁ~。そうだったんだなぁ」
そこでフリーデンはふと今更な事を訊く。
「あれ? モーズって今年で年幾つだっけ?」
「誕生日がわからないので大凡だが、26になる」
「げ、俺より年上……」
ちなみにフリーデンは今年で24歳になるらしい。年下だろうと予想をつけていたモーズはさして驚かなかった。
「じゃなくて、ならもしかしてモーズって『災害孤児』か?」
災害孤児。
20年前、珊瑚症が確認されたと同時に首都を中心に巻き起こった感染爆発は多くの生物災害を引き起こし、巻き込まれた人間の命を落とした。
その際、多くの孤児ができた。
これは子供に珊瑚症がやや感染しにくくかった事と、大人の方が行動範囲が広く胞子と遭遇し易かった事が原因だ。また例え感染せず【処分】対象にならずも、ステージ5となった感染者に殺される場合も多かった。これも行動範囲が広い大人の方が、突発的に起こる災害に巻き込まれやすかった。
24世紀最悪の幕開けとなった珊瑚症感染爆発の第一波は、結果的に数多の孤児を作ったのだ。
「いいや」
しかしモーズは自身が災害孤児である事を否定した。
「私はパンデミックが起こる以前、赤子の頃に教会の前に捨てられていたらしくてな。災害とは関係ない。……ただ、私の昔馴染みフランチェスコはそうだった」
モーズが6歳になろうとしていた頃、昔馴染みのフランチェスコはシスターに手を引かれて教会の門を潜った。
その彼との出会い日を、モーズは昨日の事のように思い出せる。
「20年前の当時は彼のような子供が沢山、孤児院に来ていたよ」
「そっか~。俺は辺鄙な田舎町で育ったもんだから、第一波や第二波、何なら第三波の混乱とも無縁だったんだよなぁ。田舎まで感染広がった第四波の頃にはワクチン出来てたし」
「混乱を避けられるのならばそれに越した事はないだろう。ちなみに余暇を過ごす時は身近な植物の写生か読書か、その昔馴染みとボードゲームをしていたな。チェスなど数え切れないほど対戦をしていた」
「モーズの頭脳戦強そっ」
ドンッ! ドンッ! ドンッ!
その時、ガンシミュレーターが置かれた箇所から規則的な電子音の銃声が聞こえてきた。「うわ~!」「全弾命中!?」「先輩えげつねぇ~!」というウミヘビ達の野次と共に。
人集りが出来ているガンシミュレーターの中心、
『スコア5000!! ノーミスクリア!! パーフェクト!!』
と軽快な電子音と音楽と共に表示された画面の前。そこに佇んでいたのは黒いモデルガンを片手にタバコを吸うニコチンであった。
彼を見付けたモーズは人混みを掻き分け、迷わず声をかける。
「そこに居たのか、ニコチン」
「あ゙ぁ゙? 何しに来たんだお前ぇ」
「何……。ええと、見学、かな」
迷わず声をかけに来たはいいが特に用はなかった事を思い出し、しどろもどろに答えるモーズ。
すると後を追ってきたフリーデンがモーズをガンシミュレーターの足場、ニコチンが立っている場所まで背中を押してきた。
「見学だけじゃ味気ねぇだろ。折角来たんだしモーズも訓練しようぜ!」
「ウミヘビでなくとも使えるのか?」
「そりゃ勿論! ほらこれ持って。やり方は~……」
ガンシミュレーターに設置されてある2丁目のモデルガンをモーズに持たせ、テキパキと説明をするフリーデン。勝手にシミュレーターを占領された形になったが、ニコチンはさして気にする様子もなくタバコの煙を吐いている。
ただクロールは、モーズとフリーデンが親しく接しているのを見て、美しい顔を歪め一人ギリギリと奥歯を噛み締めていた。
ドンッ! ドンッ! ドンッ!
動く的、小さな的、丸ではなく変形的な的。様々な的が画面を縦横無尽に動く中、中心を撃ち抜くガンシミュレーター。
『スコア3294!! グゥッッド!!』
その的全てを、中心とは限らなかったが当て切ったモーズは、初挑戦にも関わらず四桁のスコアを叩き出した。3000台のスコアは銃の扱いに慣れていない者には出せない点数。
異様に高いそのスコアに、フリーデンは一瞬、硬直してしまう。
「……。ゲーセン未経験って言ってなかったか?」
「未経験だが、軍医時代に射撃訓練はしていた」
「怖……。隙なしかよ」
「しかし随分と軽い銃だな。手元が狂う」
「ハッ。下手くそ」
スコアを見てボソリと呟いたニコチンの言葉に、モーズの肩がピクリと強張る。
「フリーデン、もう一度やりたい」
「お、おう」
フリーデンに頼み込み、再びガンシミュレーターに挑戦をするモーズ。
『スコア3896!! ベリーグゥッド!!』
「もう一度」
『スコア4289!! ワンダホォーッ!!』
「もう一度」
『スコア4394!! グレェエートッ!!』
「もう一度」
『スコア4518!! エクセレントッ!!』
「5000に達していないな。もう一度」
「お前さてはめちゃくちゃ負けず嫌いだな!?」
その事実に気付いたフリーデンは、モーズから慌ててモデルガンを取り上げた。
「ニコチンに張り合っていたら日が暮れるぞ!? あいつ射撃の成績ダントツだからな? 戦闘力の高いウミヘビの中でトップ争いしているような奴だからな!?」
「むぅ」
モーズはフリーデンに背中を押してシミュレーターに入れられたというのに、今度は背中を押して追い出されてしまった。
しかし達成したスコアは納得のいくスコアではなかったようで、不満げな声をあげている。
「フリーデン先生に迷惑かけんな雑魚」
「クロールは黙っててな? それより訓練場の醍醐味、シミュレーションルームの仮想空間見るぞ仮想空間! そんでアイギスの練習っ!」
「むぅ。それではニコチン、失礼する」
「おう。さっさと散れ散れ」
そしてモーズら三人は訓練場の二階、シミュレーションルームへ向かったのだった。
かなりの人数のウミヘビも中に居て、ビルに入ってきたモーズらに気付くと遠巻きに視線を向けてきた。皆、物珍しそうに見てくる。
新人のモーズが居るのだから、当然といえば当然なのだが。
「見た目はまんまゲームセンターだよな~」
「ゲームセンター……。行った事がないな」
「えっ!? ねぇの? マジで!?」
キックボクシングマシン。ダーツマシン。モデルガンが付いたガンシミュレーター。ハンドルが付いたレーシングシミュレーター。その他アーチェリー、ピッチングなど的を狙う、遊戯場にも置かれているような物が訓練場には多々ある。
だがどれも、モーズには見慣れない物であった。
「学業に専念したかったのもあるが、そもそも遊びに行けるほどの金銭が……。孤児院育ちなもので、懐に余裕がなかった」
「はぁ~。そうだったんだなぁ」
そこでフリーデンはふと今更な事を訊く。
「あれ? モーズって今年で年幾つだっけ?」
「誕生日がわからないので大凡だが、26になる」
「げ、俺より年上……」
ちなみにフリーデンは今年で24歳になるらしい。年下だろうと予想をつけていたモーズはさして驚かなかった。
「じゃなくて、ならもしかしてモーズって『災害孤児』か?」
災害孤児。
20年前、珊瑚症が確認されたと同時に首都を中心に巻き起こった感染爆発は多くの生物災害を引き起こし、巻き込まれた人間の命を落とした。
その際、多くの孤児ができた。
これは子供に珊瑚症がやや感染しにくくかった事と、大人の方が行動範囲が広く胞子と遭遇し易かった事が原因だ。また例え感染せず【処分】対象にならずも、ステージ5となった感染者に殺される場合も多かった。これも行動範囲が広い大人の方が、突発的に起こる災害に巻き込まれやすかった。
24世紀最悪の幕開けとなった珊瑚症感染爆発の第一波は、結果的に数多の孤児を作ったのだ。
「いいや」
しかしモーズは自身が災害孤児である事を否定した。
「私はパンデミックが起こる以前、赤子の頃に教会の前に捨てられていたらしくてな。災害とは関係ない。……ただ、私の昔馴染みフランチェスコはそうだった」
モーズが6歳になろうとしていた頃、昔馴染みのフランチェスコはシスターに手を引かれて教会の門を潜った。
その彼との出会い日を、モーズは昨日の事のように思い出せる。
「20年前の当時は彼のような子供が沢山、孤児院に来ていたよ」
「そっか~。俺は辺鄙な田舎町で育ったもんだから、第一波や第二波、何なら第三波の混乱とも無縁だったんだよなぁ。田舎まで感染広がった第四波の頃にはワクチン出来てたし」
「混乱を避けられるのならばそれに越した事はないだろう。ちなみに余暇を過ごす時は身近な植物の写生か読書か、その昔馴染みとボードゲームをしていたな。チェスなど数え切れないほど対戦をしていた」
「モーズの頭脳戦強そっ」
ドンッ! ドンッ! ドンッ!
その時、ガンシミュレーターが置かれた箇所から規則的な電子音の銃声が聞こえてきた。「うわ~!」「全弾命中!?」「先輩えげつねぇ~!」というウミヘビ達の野次と共に。
人集りが出来ているガンシミュレーターの中心、
『スコア5000!! ノーミスクリア!! パーフェクト!!』
と軽快な電子音と音楽と共に表示された画面の前。そこに佇んでいたのは黒いモデルガンを片手にタバコを吸うニコチンであった。
彼を見付けたモーズは人混みを掻き分け、迷わず声をかける。
「そこに居たのか、ニコチン」
「あ゙ぁ゙? 何しに来たんだお前ぇ」
「何……。ええと、見学、かな」
迷わず声をかけに来たはいいが特に用はなかった事を思い出し、しどろもどろに答えるモーズ。
すると後を追ってきたフリーデンがモーズをガンシミュレーターの足場、ニコチンが立っている場所まで背中を押してきた。
「見学だけじゃ味気ねぇだろ。折角来たんだしモーズも訓練しようぜ!」
「ウミヘビでなくとも使えるのか?」
「そりゃ勿論! ほらこれ持って。やり方は~……」
ガンシミュレーターに設置されてある2丁目のモデルガンをモーズに持たせ、テキパキと説明をするフリーデン。勝手にシミュレーターを占領された形になったが、ニコチンはさして気にする様子もなくタバコの煙を吐いている。
ただクロールは、モーズとフリーデンが親しく接しているのを見て、美しい顔を歪め一人ギリギリと奥歯を噛み締めていた。
ドンッ! ドンッ! ドンッ!
動く的、小さな的、丸ではなく変形的な的。様々な的が画面を縦横無尽に動く中、中心を撃ち抜くガンシミュレーター。
『スコア3294!! グゥッッド!!』
その的全てを、中心とは限らなかったが当て切ったモーズは、初挑戦にも関わらず四桁のスコアを叩き出した。3000台のスコアは銃の扱いに慣れていない者には出せない点数。
異様に高いそのスコアに、フリーデンは一瞬、硬直してしまう。
「……。ゲーセン未経験って言ってなかったか?」
「未経験だが、軍医時代に射撃訓練はしていた」
「怖……。隙なしかよ」
「しかし随分と軽い銃だな。手元が狂う」
「ハッ。下手くそ」
スコアを見てボソリと呟いたニコチンの言葉に、モーズの肩がピクリと強張る。
「フリーデン、もう一度やりたい」
「お、おう」
フリーデンに頼み込み、再びガンシミュレーターに挑戦をするモーズ。
『スコア3896!! ベリーグゥッド!!』
「もう一度」
『スコア4289!! ワンダホォーッ!!』
「もう一度」
『スコア4394!! グレェエートッ!!』
「もう一度」
『スコア4518!! エクセレントッ!!』
「5000に達していないな。もう一度」
「お前さてはめちゃくちゃ負けず嫌いだな!?」
その事実に気付いたフリーデンは、モーズから慌ててモデルガンを取り上げた。
「ニコチンに張り合っていたら日が暮れるぞ!? あいつ射撃の成績ダントツだからな? 戦闘力の高いウミヘビの中でトップ争いしているような奴だからな!?」
「むぅ」
モーズはフリーデンに背中を押してシミュレーターに入れられたというのに、今度は背中を押して追い出されてしまった。
しかし達成したスコアは納得のいくスコアではなかったようで、不満げな声をあげている。
「フリーデン先生に迷惑かけんな雑魚」
「クロールは黙っててな? それより訓練場の醍醐味、シミュレーションルームの仮想空間見るぞ仮想空間! そんでアイギスの練習っ!」
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