土魔法を最強と信じて疑わないお爺ちゃん賢者が土魔法最弱の世界へとログインしました ~それでも儂は土魔法が大好きじゃ!~

パンダヒーロー

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一章 村編

お爺ちゃん賢者は七歳になりました。

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 とぼとぼとぼ……

 落ち込みながら、家へと帰りの道を急ぐ。

 威力制御が出来なかった。

 下手に魔力圧のジャイロ回転なんか起こそうとするからじゃ。

 自分でも問題は分かっていた。

 「でもさぁ。あんなに威力が出るとは聞いてないんじゃぞぉ……」

 勇者へと心の中で猛烈な批判をする。



 「すごーいこの黒いの!」

 快活モンスターことシルはこんな時でも元気じゃ。

 沈んだ心にちょうど良いビタミン剤だの。

鼓膜を本当に破りに来ているのかと思うほどのアホみたいな声量はどうかと思うが、最近の儂の癒しはこれぐらいしかない。

 遠くの遥か地平線の小島で、勇者集団が困り切っていることも知らずに、呑気にスローライフな爺さん賢者。

 勇者の誘いの手は、飛竜の速度に乗って着々と爺さんへと向かっていた。



       
            ****



 「おぉシル!久しぶりだな!……と、クレイお前か」

 「ラルク兄ちゃん久しぶり!ねぇ兄ちゃん、クレイがね、すごい発明したんだよぉ!」

 「……ックそうかシル。クレイは凄いなー……ッチ」

 露骨な舌打ちが、儂を射抜く。

 ふん!四天王や魔王の威圧に比べればカス以下でしかないわ(基準が違うw)

 「それはそうとシル。今度遊ばない?」

 兄者がシルを誘う。

 兄者はシルとあったときはいつもこんな感じだ。

 何故なら……

 「ごめんクレイと遊ぶ!」

 そういって銃を握りしめ、恍惚の表情を浮かべるシル。

 もうそれやるよワシは疲れた……と言おうとしたところで兄者の視線がすっと固まる。

 「……っそうかシル。じゃ、また今度な」

 畑仕事をしていた兄者は、なぜか走って家へと戻っていく。

 その背中はどこか、悲しそうであった。

 「……ふむ」

 単刀直入に言うと、兄者はシルに好意を持っておる。

 尋常じゃないくらい、な。

 それが拒否されたとなると、ショックは大きいじゃろうなぁ……

 儂も若いころはよくやった。

 これで兄者が成長してくれればいいのじゃが……

 実の兄を見る目線が、限りなく親に近いお爺ちゃん賢者であった。



             
            ****




 「今回の研究の成果はどうだったのクレイ?」

 夕食中、食べ物を口に運ぶ動作を止めて両親が聴いてくる。

 こういうところは二人とも行動が揃うんじゃの。

 不思議じゃ。

 「今回は成果という成果はあまりなかったの。【銃】という兵器による大幅な火力確保をしたかったのじゃが」

 「威力が出すぎなくて失敗したのか?」

 兄者が嘲笑交じりに問いかけてくる。

 「いや、逆じゃ。威力が出すぎて海蒸発させてしもうた。島もおそらく何個か吹っ飛んどるじゃろうな」

 ええーーー!!!みたいなオーバーリアクションな表情で両親は驚く。

 リアクション大きいなこの二人。


 ……そしてなんだかんだで、儂は七歳になった。




       ****


 よっぽどの事でない限り、アンチマテリアルは封印しよう。

 その決心を固めたのは割とすぐだった。

 非実体弾銃ディフェクトマテリアルでも、そこそこの威力は確保できそうじゃしな。

 何より、連射性能はこちらのほうが断然高い。




 ……さて、銃はこのくらいにして、別のものの開発に移ろうじゃないかのぉ。

 無事、区画整理は終わったようじゃし、儂は農民関係ではもう関わらないようにしよう。

 そういうのは父にやらせておけばよいのじゃ。

 儂がすべきは、現時点での勢力拡大及び、村の立て直しじゃの。

 そのためにはどうすべきか。

 次に開発する物は、というとそれは機動武装ソルドアームである。

 銃に搭載したAIだけの性能では心ともないのと、狙撃精度を上げる為だ。

 しかしこの武装を作るためには、しばしの期間を必要とする。

 地球とやらから持ってきたAIを解析し、【自由意思】を確立させるための時間だ。

 その間は……

 「反乱の種でも毟り取っておこうかのぉ」

 ニヤリ、とかつての魔王が心底怖がった謎の笑みを浮かべる。

 本人の自覚はないだろうが、この世界に来てから、というか世界を渡ってからお爺ちゃん賢者の力は格段に上昇している。

 クレイは現在七歳となり、転生からすでに一年の月日が経っていた。




         ****



 儂は、農業の見回りを父に申し付けられて近隣の農村を見て回っていた。

 儂が銃を作っておる間、農場の区画整理は順調に進められていたらしい。

 見た感じだと、農場全体がカクカクしており農作業もしやすそうじゃ。

 季節は夏の終わり。

 いまにも収穫できそうな大きな実をつけた野菜たちが自己主張するかのように大きく畑へと居座っていた。





 ……しかしどうも、父が『この政策はクレイが開発した』と言いふらしたせいなのか……

 村の様子がおかしい。

 「クレイ様!そのご尊顔を崇められる日をどれだけ心待ちにしていたことか!」

 「クレイ様!あなたは神の御子に違いない!」

 儂をたたえる新興宗教のような言葉の数々がこれでもかと連射されてくる。



 ……どうしてこうなったんじゃ。

 儂は体が小さいことをいいことに、周りの大人に体をがっちりホールドされてされるがままになっていた。

 やめろ儂はそっち系の趣味は無いんじゃぞ、と言おうとしたら口まで塞がれた。

 呆然とした様子で、村民の賛辞を一身に浴びている儂。

 もはやクーデターレベルじゃぞこれ。




 しばらくして周りが静寂に包まれ、何か小さな物体が集団から飛び出してくる。

 「クレイ様のおかげだよーこれ受け取ってね?」

 そう言って飛び出してきたのは、同じ年齢くらいの少年だ。

 その両手には、野菜がたくさん握られていた。

 ふむ、やはり少年は癒しじゃな。

 村人地獄から一時の開放を得た儂は、一人安堵する。



 「ウオォォォォォォオオオ!!!」



 ……そしてその気分を絶妙なタイミングで粉々に粉砕したのは野太い男の声。

 そのまま、体をがっちりホールドされる。

 野菜もろとも持ち上げられた次の瞬間。

 「やめろオオオオォォォォォオ!?」

 所詮小さな子供である儂は完全に夜空へと投げ出された。

  夜空に向かって凄い速度で数十メートル近く上昇した儂。

 夜空に舞い上がったことで冷静な思考を失ってしまったのか、つい反射で儂を受け止めようとしている村人の群れにディフェクトマテリアルを撃ち込んだ。

 もちろん威力は軽め、速度にいたっては論外レベルまで落として。

 そうしたら撃ち落とした場所に村人が群がってきた。

 「ァアッ!!!……」

 「グフッ……心地よい痛み……」

 「私にも当ててください!」

 「僕にも!」

 「はあぁ……気持ちイイ」

 最後の奴は恍惚とした表情で儂の知らない世界へと沈んでいった。

 もちろんそいつには連射性能を最大限まで開放して二百万発ぐらいぶっ放してやった。

 もはや怒りを通り越してキモい。



 この村民たちはキチガイなんじゃろうな。

 すべての村民がこうでないことを一心不乱に祈るお爺ちゃん賢者の姿が、教会で目撃された。







―――――――――――――――――――――


 どうもパンダヒーローです。
 思ったよりアクセスが増えて皆さんに感謝の気持ちでいっぱいです。
 ですが、作品の出来自体は余り良く分かってないので、作品について何か意見をいただければ嬉しいです。
 今後もよろしくお願いします。


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