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二章 王都編
お爺ちゃん賢者は王都で新生活を始めました。
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翌日の早朝。
転移門は既に完成し、広場に集められた村人たちが転移の瞬間を今か今かと待ち構えている。
これも兄者と父上の迅速な対応のおかげだ。
あの二人はこれからも頼りになるだろう。
「整列終わったぞ息子よ」
「有難うございますじゃ父上」
父上の悪癖はいつもへらへらしていることじゃ。
それがまた村人からの人気と信望を集めているのじゃがのう。
儂もああなるべきなのじゃろうか(焦り)
「スキュラ。転移門を開いてくれ」
簡単に指示を出す。
転移門というのは、実際には門のような形ではなく半球状のドームだ。
事前に地面に書いてあった魔力線に沿って淡い水色の半球が象られていく。
それを見て、周囲からは感嘆の声が溢れる。
「行くぞ、いざ王都へ!」
『【球状集団転移】!!』
バチッという音と迸る青い閃光とともに、転移が始まった
****
集団転移と言っても、厳密には途中の異空間で集団は分離される。
こんなこと普通は不可能なのじゃが、スキュラと儂の魔力コントロールで強引に魔力の理を捻じ曲げている状態だ。
何故、分離させられるかというとそれは居住空間の違うからである。
儂やスキュラは公爵相当の宮殿に住まうことができるが、原則そのほかの村人は立ち入ることは出来ない。
急遽村人が付いてくることになったため、王都近くの山を全部買い占めそこに村を作って住んでもらうことにしたのじゃ。
金は、即席の神具を作って売り払って貯めた。
こんな儂について来てくれたのじゃから、せめて儂が生活の場を用意せんとな。
……さて、そろそろ転移が終了しそうじゃ。
目の前の大理石の屋敷が目に入ったところで、意識は暗転した。
****
この文明レベルで良く用意できたな、と思うほどの技術力がこの屋敷には集められておる。
大理石でできた壁もそうじゃし、伸びすぎず絶対に枯れない庭の草木などもじゃ。
貴族の趣が存分に表現されたこの屋敷は、些か儂には不向きだ。
儂は派手でなくても良いし、研究室と薬品が数百種類さえあれば満足なのじゃ。
「どうぞお入りくださいませご主人様」
メイドと思われる女が広大な庭を迷わないように案内してくれた。
ここで異世界人の男なら「生メイドだッツ!?」となるのじゃろうが(前世での目撃者)
儂はたいして驚きもしない。
この世界では当たり前の制度だからだ。
内装はそこまで凝っていなくて、むしろ意外なほどに質素な感じじゃった。
研究室が無かったのがネックだが。
こうして、王都での新しい生活が始まった。
****
この悪趣味な家も、その内改修せねばな。
そんなことを想いながら、儂は新しい屋敷を早速後にした。
「精々死ぬんじゃないよ~♪」
スキュラがまるで死刑宣告のようなことを言ってくる。
儂は顔を引き攣らせながら手を振って屋敷の庭から出る。
もはや転移から一日が経過しており、既に太陽は空で紅く燃え上がっている。
照り付ける日光を肌で感じながら、目視で見える金ピカの王宮へと移動する。
歩きながら転移魔法の魔力をため込んでいた儂はふと思った。
「なんで儂呼び出されたのじゃろう……?」
儂は転移の次の日から早速、王から呼び出しを食らっていた。
****
「堅苦しい礼儀は面倒じゃ。顔を上げろ」
「ハハッ!では……」
顔を上げて見えたのは、そこそこ作りがいい端正な顔をした壮年の男だった。
一時期は王であることを隠し、冒険者として名を上げたらしい。
腕の筋力の膨らみはいまだ衰えを見せておらず、儂の頬を冷や汗が伝う。
この者にはまだ勝てない。
久々に感じる、生理的な死の恐怖だった。
「そちを呼んだのは他でもない」
処刑でもされるのだろうか。
そうなったら儂は死ぬしかないじゃろう。
いざとなったら王宮ごと焼き払って逃げ出すことも考えていたが、この王がいる限りそれは不可能だ。
「俺と―――」
ああ、王の一人称は俺なのか。
そんなどうでもいいことを考えながら、次に発せられる言葉を予感して冷や汗を垂れ流す儂。
既に片目は恐怖で閉じられ、片目は逃走経路を必死で窺っている。
「勝負してくれんか?」
「…………………………………………は?」
予想外の申し出に、儂は口をパクパクさせて呆然としてしまった。
****
「いくぞ元賢者」
「……何故それをッツ!?」
いきなり秘密をばらされ、動揺する。
幸い、周囲には誰もいない。
ここは王都裏の訓練場だ。
連れていかれるにあたり、必死の抵抗をしたのだが抵抗むなしくここまで引き摺られてしまった。
「そんなもの、ステータスを覗けばすぐ分かる。俺に相応しい能力を引き出せることもな」
ステータス?初めて聞いた言葉じゃな。
じゃが、決して儂に良いものではあるまい。
「ほら、来いよ」
ここまで来たらやるしかない。
儂はそう腹を決めて、初手必勝とばかりに【原生簒奪】を放った。
転移門は既に完成し、広場に集められた村人たちが転移の瞬間を今か今かと待ち構えている。
これも兄者と父上の迅速な対応のおかげだ。
あの二人はこれからも頼りになるだろう。
「整列終わったぞ息子よ」
「有難うございますじゃ父上」
父上の悪癖はいつもへらへらしていることじゃ。
それがまた村人からの人気と信望を集めているのじゃがのう。
儂もああなるべきなのじゃろうか(焦り)
「スキュラ。転移門を開いてくれ」
簡単に指示を出す。
転移門というのは、実際には門のような形ではなく半球状のドームだ。
事前に地面に書いてあった魔力線に沿って淡い水色の半球が象られていく。
それを見て、周囲からは感嘆の声が溢れる。
「行くぞ、いざ王都へ!」
『【球状集団転移】!!』
バチッという音と迸る青い閃光とともに、転移が始まった
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集団転移と言っても、厳密には途中の異空間で集団は分離される。
こんなこと普通は不可能なのじゃが、スキュラと儂の魔力コントロールで強引に魔力の理を捻じ曲げている状態だ。
何故、分離させられるかというとそれは居住空間の違うからである。
儂やスキュラは公爵相当の宮殿に住まうことができるが、原則そのほかの村人は立ち入ることは出来ない。
急遽村人が付いてくることになったため、王都近くの山を全部買い占めそこに村を作って住んでもらうことにしたのじゃ。
金は、即席の神具を作って売り払って貯めた。
こんな儂について来てくれたのじゃから、せめて儂が生活の場を用意せんとな。
……さて、そろそろ転移が終了しそうじゃ。
目の前の大理石の屋敷が目に入ったところで、意識は暗転した。
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この文明レベルで良く用意できたな、と思うほどの技術力がこの屋敷には集められておる。
大理石でできた壁もそうじゃし、伸びすぎず絶対に枯れない庭の草木などもじゃ。
貴族の趣が存分に表現されたこの屋敷は、些か儂には不向きだ。
儂は派手でなくても良いし、研究室と薬品が数百種類さえあれば満足なのじゃ。
「どうぞお入りくださいませご主人様」
メイドと思われる女が広大な庭を迷わないように案内してくれた。
ここで異世界人の男なら「生メイドだッツ!?」となるのじゃろうが(前世での目撃者)
儂はたいして驚きもしない。
この世界では当たり前の制度だからだ。
内装はそこまで凝っていなくて、むしろ意外なほどに質素な感じじゃった。
研究室が無かったのがネックだが。
こうして、王都での新しい生活が始まった。
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この悪趣味な家も、その内改修せねばな。
そんなことを想いながら、儂は新しい屋敷を早速後にした。
「精々死ぬんじゃないよ~♪」
スキュラがまるで死刑宣告のようなことを言ってくる。
儂は顔を引き攣らせながら手を振って屋敷の庭から出る。
もはや転移から一日が経過しており、既に太陽は空で紅く燃え上がっている。
照り付ける日光を肌で感じながら、目視で見える金ピカの王宮へと移動する。
歩きながら転移魔法の魔力をため込んでいた儂はふと思った。
「なんで儂呼び出されたのじゃろう……?」
儂は転移の次の日から早速、王から呼び出しを食らっていた。
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「堅苦しい礼儀は面倒じゃ。顔を上げろ」
「ハハッ!では……」
顔を上げて見えたのは、そこそこ作りがいい端正な顔をした壮年の男だった。
一時期は王であることを隠し、冒険者として名を上げたらしい。
腕の筋力の膨らみはいまだ衰えを見せておらず、儂の頬を冷や汗が伝う。
この者にはまだ勝てない。
久々に感じる、生理的な死の恐怖だった。
「そちを呼んだのは他でもない」
処刑でもされるのだろうか。
そうなったら儂は死ぬしかないじゃろう。
いざとなったら王宮ごと焼き払って逃げ出すことも考えていたが、この王がいる限りそれは不可能だ。
「俺と―――」
ああ、王の一人称は俺なのか。
そんなどうでもいいことを考えながら、次に発せられる言葉を予感して冷や汗を垂れ流す儂。
既に片目は恐怖で閉じられ、片目は逃走経路を必死で窺っている。
「勝負してくれんか?」
「…………………………………………は?」
予想外の申し出に、儂は口をパクパクさせて呆然としてしまった。
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「いくぞ元賢者」
「……何故それをッツ!?」
いきなり秘密をばらされ、動揺する。
幸い、周囲には誰もいない。
ここは王都裏の訓練場だ。
連れていかれるにあたり、必死の抵抗をしたのだが抵抗むなしくここまで引き摺られてしまった。
「そんなもの、ステータスを覗けばすぐ分かる。俺に相応しい能力を引き出せることもな」
ステータス?初めて聞いた言葉じゃな。
じゃが、決して儂に良いものではあるまい。
「ほら、来いよ」
ここまで来たらやるしかない。
儂はそう腹を決めて、初手必勝とばかりに【原生簒奪】を放った。
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