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二章 王都編
お爺ちゃん賢者はキリルと戦いました。
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「【原生簒奪】」
手始めに放った鎖状の魔素円環。
それはやがて十六の円環に分裂し、十六方位から回転しつつ国王キリルに襲い掛かる。
その包囲の幅はやがて狭まり、標的の逃げ道を無くす。
もはや上下にしか逃げ道はない。
そう考えたのだろうか、キリルは上方へと跳躍する。
しかし、脱出はさせない。
『【円環半球結界陣】』
書き込んでいたchを解放する。
前回からかなり改良した術式で、十六方位の円環が上方に爆散し半球結界を作る。
上へと接触しようものなら、塵雷の鎖が襲い掛かるようになっていてもはやキリルに逃げ場はない。
高位殲滅型の魔法じゃ。
「……終わったか?」
この訓練場は特殊な結界に守られていてどれだけ攻撃しても物理的ダメージを負うことは無い。
それが全て精神的ダメージに換算され、死ぬほどのダメージを負うとどんな者でも気絶するという制度だ。
あれだけの技で生き残れるわけがあるまい。
幾らか儂が気を緩めていると―――
「初手にしてはなかなかの技だったぞ」
背後で殺気が急速に膨らむ。
直前に感じた悪寒を頼りに、背後に土龍碧を急いで構築する。
相当な気合を込めて放たれた長剣での振り下ろしは、急いで作った壁にいとも簡単にヒビを作る。
だが、これで不意打ちは防いだ。
急いで近接戦闘向きの長剣を作り出す。
周囲から硬度の高い鉱石を集め錬成し、【接触物理破壊】のエンチャントを付けて完成じゃ。
それで先ほど壁を破ったキリルの長剣を迎え撃つ。
ガキィィィィィィィイン!!!
凄まじい音でぶつかり合う両者。
どちらも力は互角で、壮絶な鍔迫り合いを繰り返す。
やがて、軍配はクレイに傾く。
勢いで力の差を埋めていたキリルだが、勢いがだんだん失われて元の自力でクレイが推しているからだ。
「……クッ!?」
自分より遥かに小さい少年が一体何故これほどの力を持っているのか。
表情に戸惑いが隠せないキリルだったが、そのまま押し切られて吹っ飛ばされる。
勢いのまま転倒し、クレイが作り出した【原生簒奪】の鎖がキリルを束縛する。
「これで終わりじゃァァァァァアア!!!【原核歔欷ッ!】」
他を寄せ付けぬ絶大な威力を纏った光線は、大きな槍となって標的を貫く。
ジュッという音でキリルの体は蒸発した――――ように思われた。
****
土煙が晴れるころには、キリルは自力で立ち上がっていた。
しかしその足は既に震えており、物理的ダメージは全て精神的ダメージへと換算されて彼に多大な衝撃を与える。
気絶はしていないようだから、致死傷までは与えられなかったのじゃろう。
あれだけやって死なないとは、流石有能な元冒険者じゃ。
この国では力が何より優先され、国王は世襲制ではない。
国王になったのはそれが原因じゃろうと儂は思う。
「はぁ……はぁ……はぁ……なかなかやるな……お前……」
結構可哀想だったので、儂の大嫌いな聖属性魔法で精神の安定を促してやった。
チッ……魔力効率悪すぎなんじゃよ聖属性。
でも役に立つから捨ててはおけんのが悔しい所よのぉ……
****
「あいつ誰だか知らんが凄いぞ……?」
「国王が、膝を……」
「ところでおい、アイツの剣見えたか?」
「見えるわけが無い。見えたやつは化け物か最近幻覚が見えるようになった奴らだけだろうよ」
いつの間にか、訓練場はギャラリーでいっぱいになっていた。
何でも、キリルが密かに政権有力者を集合させていたのだとか。
昔、権力を争った儂にこの理由が分からぬはずもない。
要は、有力者への顔見世とその力を示すことじゃ。
ではないと、儂を戦線で重役につけたりしたときに有力者からの不満が爆発するじゃろうということをキリルは知っていたのだ。
「皆の者!よく聞け!」
キリルが大声で騒ぐ有力者たちを静まらせる。
ふむ、力だけが能みたいな脳筋バカではなくてよかった、というところじゃろうか。
キリルには統率力まで惜しみなく備わっている。
惜しむらくはその若さか。
もう少し経験を積めば必ずや善王になるに違いない。
「今からこの者を『小隊長』とする!」
「「え、ええええええ!?」」
……予想通りやっちゃったか。
こういうところが経験無しっていうんじゃろうな。
****
「いや、なんでじゃよ……何となくってノリが軽すぎる」
「いやーああいうのは勘がすべてだからなー」
「棒読み辞めろ。最初からその気だったんだろ」
「ばれたら仕方がねえ」
……儂は、王室へと招待されてキリルと話していた。
側ではシルとスキュラが黙々と夕食を食べていた。
儂が家族もいるから帰るわ、とか言ったもんだから、だったら家族を連れて王室にこい、と言われた。
この二人は要は妻扱いじゃ。
二人には悪いが、無駄な縁談が来ないように繕ってもらおう。
二人の表情が心なしか嬉しそうなのは気のせいじゃろう。
「今日は泊っていけ。明日就任セレモニーがあるからな」
話が一段落したところで、そういってキリルは席を立った。
仮にも国王なのだから公務は山ほどあるのか。
そんな忙しい奴を引き留めるわけにもいくまい。
「頑張れよ」
とだけ言って、儂らも王室を後にした。
手始めに放った鎖状の魔素円環。
それはやがて十六の円環に分裂し、十六方位から回転しつつ国王キリルに襲い掛かる。
その包囲の幅はやがて狭まり、標的の逃げ道を無くす。
もはや上下にしか逃げ道はない。
そう考えたのだろうか、キリルは上方へと跳躍する。
しかし、脱出はさせない。
『【円環半球結界陣】』
書き込んでいたchを解放する。
前回からかなり改良した術式で、十六方位の円環が上方に爆散し半球結界を作る。
上へと接触しようものなら、塵雷の鎖が襲い掛かるようになっていてもはやキリルに逃げ場はない。
高位殲滅型の魔法じゃ。
「……終わったか?」
この訓練場は特殊な結界に守られていてどれだけ攻撃しても物理的ダメージを負うことは無い。
それが全て精神的ダメージに換算され、死ぬほどのダメージを負うとどんな者でも気絶するという制度だ。
あれだけの技で生き残れるわけがあるまい。
幾らか儂が気を緩めていると―――
「初手にしてはなかなかの技だったぞ」
背後で殺気が急速に膨らむ。
直前に感じた悪寒を頼りに、背後に土龍碧を急いで構築する。
相当な気合を込めて放たれた長剣での振り下ろしは、急いで作った壁にいとも簡単にヒビを作る。
だが、これで不意打ちは防いだ。
急いで近接戦闘向きの長剣を作り出す。
周囲から硬度の高い鉱石を集め錬成し、【接触物理破壊】のエンチャントを付けて完成じゃ。
それで先ほど壁を破ったキリルの長剣を迎え撃つ。
ガキィィィィィィィイン!!!
凄まじい音でぶつかり合う両者。
どちらも力は互角で、壮絶な鍔迫り合いを繰り返す。
やがて、軍配はクレイに傾く。
勢いで力の差を埋めていたキリルだが、勢いがだんだん失われて元の自力でクレイが推しているからだ。
「……クッ!?」
自分より遥かに小さい少年が一体何故これほどの力を持っているのか。
表情に戸惑いが隠せないキリルだったが、そのまま押し切られて吹っ飛ばされる。
勢いのまま転倒し、クレイが作り出した【原生簒奪】の鎖がキリルを束縛する。
「これで終わりじゃァァァァァアア!!!【原核歔欷ッ!】」
他を寄せ付けぬ絶大な威力を纏った光線は、大きな槍となって標的を貫く。
ジュッという音でキリルの体は蒸発した――――ように思われた。
****
土煙が晴れるころには、キリルは自力で立ち上がっていた。
しかしその足は既に震えており、物理的ダメージは全て精神的ダメージへと換算されて彼に多大な衝撃を与える。
気絶はしていないようだから、致死傷までは与えられなかったのじゃろう。
あれだけやって死なないとは、流石有能な元冒険者じゃ。
この国では力が何より優先され、国王は世襲制ではない。
国王になったのはそれが原因じゃろうと儂は思う。
「はぁ……はぁ……はぁ……なかなかやるな……お前……」
結構可哀想だったので、儂の大嫌いな聖属性魔法で精神の安定を促してやった。
チッ……魔力効率悪すぎなんじゃよ聖属性。
でも役に立つから捨ててはおけんのが悔しい所よのぉ……
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「あいつ誰だか知らんが凄いぞ……?」
「国王が、膝を……」
「ところでおい、アイツの剣見えたか?」
「見えるわけが無い。見えたやつは化け物か最近幻覚が見えるようになった奴らだけだろうよ」
いつの間にか、訓練場はギャラリーでいっぱいになっていた。
何でも、キリルが密かに政権有力者を集合させていたのだとか。
昔、権力を争った儂にこの理由が分からぬはずもない。
要は、有力者への顔見世とその力を示すことじゃ。
ではないと、儂を戦線で重役につけたりしたときに有力者からの不満が爆発するじゃろうということをキリルは知っていたのだ。
「皆の者!よく聞け!」
キリルが大声で騒ぐ有力者たちを静まらせる。
ふむ、力だけが能みたいな脳筋バカではなくてよかった、というところじゃろうか。
キリルには統率力まで惜しみなく備わっている。
惜しむらくはその若さか。
もう少し経験を積めば必ずや善王になるに違いない。
「今からこの者を『小隊長』とする!」
「「え、ええええええ!?」」
……予想通りやっちゃったか。
こういうところが経験無しっていうんじゃろうな。
****
「いや、なんでじゃよ……何となくってノリが軽すぎる」
「いやーああいうのは勘がすべてだからなー」
「棒読み辞めろ。最初からその気だったんだろ」
「ばれたら仕方がねえ」
……儂は、王室へと招待されてキリルと話していた。
側ではシルとスキュラが黙々と夕食を食べていた。
儂が家族もいるから帰るわ、とか言ったもんだから、だったら家族を連れて王室にこい、と言われた。
この二人は要は妻扱いじゃ。
二人には悪いが、無駄な縁談が来ないように繕ってもらおう。
二人の表情が心なしか嬉しそうなのは気のせいじゃろう。
「今日は泊っていけ。明日就任セレモニーがあるからな」
話が一段落したところで、そういってキリルは席を立った。
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