土魔法を最強と信じて疑わないお爺ちゃん賢者が土魔法最弱の世界へとログインしました ~それでも儂は土魔法が大好きじゃ!~

パンダヒーロー

文字の大きさ
23 / 29
二章 王都編

お爺ちゃん賢者はギルドの内情を知りました。

しおりを挟む
  「ギルドがこのような状況に陥っている理由は……」


 そう言って説明を始めた受付嬢。

 簡単に説明してもらった内容によると、魔物の異常増殖が近辺で発生しまくっているらしく冒険者が多数死んでいるとのことだった。

 魔物の異常増殖は主に魔圧の変化や、魔暴嵐テンペストによって発生する。

 幸い、魔暴嵐テンペストは発生していないようなので魔圧の異常低下だろう、と儂はあたりを付けた。


 「最近、強大な魔物が接近しているという情報は無いか?」


 強大な魔物というのは、存在維持に多大な魔力を使う。

 そのせいで魔圧が異常低下したのだとしたら、その魔物を駆除すればまだ間に合うはずだ。


 「……ッ確かに一つ情報があります。しかしそれは機密情報なので……」


 やっぱりあったらしい。

 機密情報となると、国から情報提供を制限されていると考えた方が正しいだろうな。

 さて、それをどうやったら提供してもらえるか……

 賢者という地位を使ってキリルを脅せば問題ないとは思うが、おおかたキリルは文系の仕事を一切やってないんじゃろうと思う。

 王家でキリル以外に親しいものがいるわけでもないし、脅せば目を付けられるだけだ。

 やはりどうやったらそれを手に入れられるかは、受付嬢に聞いた方が早いだろうな。


 「情報は、この魔物の討伐を指名依頼で受領してくださった後にお伝えします。それでもよろしいですか?」


 なるほど。そういった手があるとは思いもせんかった。

 指名依頼を受けたら情報は渡してやる、なかなか良くできた制度じゃ。

 ただ……

 指名依頼はまだ早いかもしれんな。

 まだこの世界の魔物がどの程度の強さなのか良く分からないし、ずいぶん前に設計したAIを活用した機動武装ソルドアームすらまだ完成していないからだ。

 とりあえずは機動武装を完成させてからだな。


 「……というわけでまだ勘弁してほしい。依頼の期限は何時だ?」

 「一週間後ですが……本当に受けていただけるんですか?」


 ギルドとしては、もうほとんど諦めていた事案らしい。

 報告を受けた強さの魔物を倒すことはギルド所属のSクラス冒険者では到底届かないし、倒せるとしても各国の魔王ぐらいだったからだ。

 もちろん人間と敵対している魔王たちを依頼に参加させるわけにはいかないし、参加してくれない。

 もうリリムに任せればいいんじゃね?と思うが、魔王はダメなんだろうか。


 「とにかく、依頼は受けますよ。では」

 「どうも……どうも有難うございますッ!」


 受付嬢の方は涙を流して感動していた。

 ぶっちゃけ意味は良く分からないが、とりあえず機動武装完成させてその魔物倒そう。

 儂はギルドの前で待っていたシルに一言詫びてから、支給された豪邸に帰っていった。





                  ****




  何時だったか忘れたが、だいぶ前にAIの自由意思作成を始めたような気がする。

 目の前の青い溶液に満たされた容器を見ながら、儂は妙な感動を覚えていた。


 「地球でも再現できなかったという【自由意思】……まさかこの手で再現できるとは」


 ……結果的に言えば、自由意思の確立というのはそれほど難しい話でもなかった。

 儂は地球の文明を尊敬してはいるが、如何せん地球には魔力という概念が無いらしい。

 魔力という概念さえあればもっと素晴らしい技術が発展していたかもしれんのう。


 「さて、完成した【自由意思】だが……」


 如何に「自由意思」といえども、教育していくわけではないのである程度の思考プロセスと知識を与えなければならない。

 知識に関しては、儂の魔法や社会に関する知識を全て与えた。

 儂の知らないことはまあ仕方がないが、この【自由意思】にはよりたくさんの事を知っていてほしい。


 「思考プロセスはchで埋め込むか……」


 思考プロセスを埋め込むことに関しては、chで代用することにした。

 もともと、行動プロセスということで考案したchは思考プロセスともに通うところがあったからだ。

 埋め込むchは【鉄壁】と【破壊】と【理性】にした。

 それぞれ、【防御】、【攻撃】、【思考】の上位版だ。

 戦いの際には【鉄壁】【破壊】があればいいし、命令を伝える際には【理性】があればいい。

 思考パターンが少なすぎやしないかとは自分でも思うが、その都度変えていけばいい。


 こうして、儂が手掛けた【自由意思】の第一号は完成した。



        ****



 さて、自由意思を確立させたからと言って、それを支える体格ボディが無いことには何も始まらない。

 ブラックチタンは事前に掘り出しておいたので好き放題使える。

 まずは頭部だ。

 基本的にデザインは人間と一緒だが、聴覚や嗅覚と言った外からの情報を感知する機関には少しだけ白銀ミスリルを使用した。

 ブラックチタンには柔軟性は皆無なので、感覚器官を作る材料としては少し劣るところがあるからだ。


 「よし、これで頭部は完成っと……」


 ブラックチタンで固めた頭蓋骨格の中、つまり本来脳が入る場所に今回は機動原核ソルドコアを投入した。

 先ほど完成した自由意思を搭載した機動武装ソルドアームの核となる部位だ。


 「んーと、これで全部完成かの」


 頭部以外はそれほど細かい工夫はいらない。

 賢者としての技能をフル活用して取り組んだ制作は、意外と早く終わった。

 作業の後は、儂の体にフィットするように作られた本体を細かく収納して異空間に保存しておく。

 詠唱と同じ「開錠アンロック」の言葉を呟けば出てくるという仕組みだ。


 「ブツブツ……」


 儂はその詠唱を開始した。

しおりを挟む
感想 8

あなたにおすすめの小説

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

処理中です...