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二章 王都編
お爺ちゃん賢者はギルドの内情を知りました。
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「ギルドがこのような状況に陥っている理由は……」
そう言って説明を始めた受付嬢。
簡単に説明してもらった内容によると、魔物の異常増殖が近辺で発生しまくっているらしく冒険者が多数死んでいるとのことだった。
魔物の異常増殖は主に魔圧の変化や、魔暴嵐によって発生する。
幸い、魔暴嵐は発生していないようなので魔圧の異常低下だろう、と儂はあたりを付けた。
「最近、強大な魔物が接近しているという情報は無いか?」
強大な魔物というのは、存在維持に多大な魔力を使う。
そのせいで魔圧が異常低下したのだとしたら、その魔物を駆除すればまだ間に合うはずだ。
「……ッ確かに一つ情報があります。しかしそれは機密情報なので……」
やっぱりあったらしい。
機密情報となると、国から情報提供を制限されていると考えた方が正しいだろうな。
さて、それをどうやったら提供してもらえるか……
賢者という地位を使ってキリルを脅せば問題ないとは思うが、おおかたキリルは文系の仕事を一切やってないんじゃろうと思う。
王家でキリル以外に親しいものがいるわけでもないし、脅せば目を付けられるだけだ。
やはりどうやったらそれを手に入れられるかは、受付嬢に聞いた方が早いだろうな。
「情報は、この魔物の討伐を指名依頼で受領してくださった後にお伝えします。それでもよろしいですか?」
なるほど。そういった手があるとは思いもせんかった。
指名依頼を受けたら情報は渡してやる、なかなか良くできた制度じゃ。
ただ……
指名依頼はまだ早いかもしれんな。
まだこの世界の魔物がどの程度の強さなのか良く分からないし、ずいぶん前に設計したAIを活用した機動武装すらまだ完成していないからだ。
とりあえずは機動武装を完成させてからだな。
「……というわけでまだ勘弁してほしい。依頼の期限は何時だ?」
「一週間後ですが……本当に受けていただけるんですか?」
ギルドとしては、もうほとんど諦めていた事案らしい。
報告を受けた強さの魔物を倒すことはギルド所属のSクラス冒険者では到底届かないし、倒せるとしても各国の魔王ぐらいだったからだ。
もちろん人間と敵対している魔王たちを依頼に参加させるわけにはいかないし、参加してくれない。
もうリリムに任せればいいんじゃね?と思うが、魔王はダメなんだろうか。
「とにかく、依頼は受けますよ。では」
「どうも……どうも有難うございますッ!」
受付嬢の方は涙を流して感動していた。
ぶっちゃけ意味は良く分からないが、とりあえず機動武装完成させてその魔物倒そう。
儂はギルドの前で待っていたシルに一言詫びてから、支給された豪邸に帰っていった。
****
何時だったか忘れたが、だいぶ前にAIの自由意思作成を始めたような気がする。
目の前の青い溶液に満たされた容器を見ながら、儂は妙な感動を覚えていた。
「地球でも再現できなかったという【自由意思】……まさかこの手で再現できるとは」
……結果的に言えば、自由意思の確立というのはそれほど難しい話でもなかった。
儂は地球の文明を尊敬してはいるが、如何せん地球には魔力という概念が無いらしい。
魔力という概念さえあればもっと素晴らしい技術が発展していたかもしれんのう。
「さて、完成した【自由意思】だが……」
如何に「自由意思」といえども、教育していくわけではないのである程度の思考プロセスと知識を与えなければならない。
知識に関しては、儂の魔法や社会に関する知識を全て与えた。
儂の知らないことはまあ仕方がないが、この【自由意思】にはよりたくさんの事を知っていてほしい。
「思考プロセスはchで埋め込むか……」
思考プロセスを埋め込むことに関しては、chで代用することにした。
もともと、行動プロセスということで考案したchは思考プロセスともに通うところがあったからだ。
埋め込むchは【鉄壁】と【破壊】と【理性】にした。
それぞれ、【防御】、【攻撃】、【思考】の上位版だ。
戦いの際には【鉄壁】【破壊】があればいいし、命令を伝える際には【理性】があればいい。
思考パターンが少なすぎやしないかとは自分でも思うが、その都度変えていけばいい。
こうして、儂が手掛けた【自由意思】の第一号は完成した。
****
さて、自由意思を確立させたからと言って、それを支える体格が無いことには何も始まらない。
ブラックチタンは事前に掘り出しておいたので好き放題使える。
まずは頭部だ。
基本的にデザインは人間と一緒だが、聴覚や嗅覚と言った外からの情報を感知する機関には少しだけ白銀を使用した。
ブラックチタンには柔軟性は皆無なので、感覚器官を作る材料としては少し劣るところがあるからだ。
「よし、これで頭部は完成っと……」
ブラックチタンで固めた頭蓋骨格の中、つまり本来脳が入る場所に今回は機動原核を投入した。
先ほど完成した自由意思を搭載した機動武装の核となる部位だ。
「んーと、これで全部完成かの」
頭部以外はそれほど細かい工夫はいらない。
賢者としての技能をフル活用して取り組んだ制作は、意外と早く終わった。
作業の後は、儂の体にフィットするように作られた本体を細かく収納して異空間に保存しておく。
詠唱と同じ「開錠」の言葉を呟けば出てくるという仕組みだ。
「ブツブツ……」
儂はその詠唱を開始した。
そう言って説明を始めた受付嬢。
簡単に説明してもらった内容によると、魔物の異常増殖が近辺で発生しまくっているらしく冒険者が多数死んでいるとのことだった。
魔物の異常増殖は主に魔圧の変化や、魔暴嵐によって発生する。
幸い、魔暴嵐は発生していないようなので魔圧の異常低下だろう、と儂はあたりを付けた。
「最近、強大な魔物が接近しているという情報は無いか?」
強大な魔物というのは、存在維持に多大な魔力を使う。
そのせいで魔圧が異常低下したのだとしたら、その魔物を駆除すればまだ間に合うはずだ。
「……ッ確かに一つ情報があります。しかしそれは機密情報なので……」
やっぱりあったらしい。
機密情報となると、国から情報提供を制限されていると考えた方が正しいだろうな。
さて、それをどうやったら提供してもらえるか……
賢者という地位を使ってキリルを脅せば問題ないとは思うが、おおかたキリルは文系の仕事を一切やってないんじゃろうと思う。
王家でキリル以外に親しいものがいるわけでもないし、脅せば目を付けられるだけだ。
やはりどうやったらそれを手に入れられるかは、受付嬢に聞いた方が早いだろうな。
「情報は、この魔物の討伐を指名依頼で受領してくださった後にお伝えします。それでもよろしいですか?」
なるほど。そういった手があるとは思いもせんかった。
指名依頼を受けたら情報は渡してやる、なかなか良くできた制度じゃ。
ただ……
指名依頼はまだ早いかもしれんな。
まだこの世界の魔物がどの程度の強さなのか良く分からないし、ずいぶん前に設計したAIを活用した機動武装すらまだ完成していないからだ。
とりあえずは機動武装を完成させてからだな。
「……というわけでまだ勘弁してほしい。依頼の期限は何時だ?」
「一週間後ですが……本当に受けていただけるんですか?」
ギルドとしては、もうほとんど諦めていた事案らしい。
報告を受けた強さの魔物を倒すことはギルド所属のSクラス冒険者では到底届かないし、倒せるとしても各国の魔王ぐらいだったからだ。
もちろん人間と敵対している魔王たちを依頼に参加させるわけにはいかないし、参加してくれない。
もうリリムに任せればいいんじゃね?と思うが、魔王はダメなんだろうか。
「とにかく、依頼は受けますよ。では」
「どうも……どうも有難うございますッ!」
受付嬢の方は涙を流して感動していた。
ぶっちゃけ意味は良く分からないが、とりあえず機動武装完成させてその魔物倒そう。
儂はギルドの前で待っていたシルに一言詫びてから、支給された豪邸に帰っていった。
****
何時だったか忘れたが、だいぶ前にAIの自由意思作成を始めたような気がする。
目の前の青い溶液に満たされた容器を見ながら、儂は妙な感動を覚えていた。
「地球でも再現できなかったという【自由意思】……まさかこの手で再現できるとは」
……結果的に言えば、自由意思の確立というのはそれほど難しい話でもなかった。
儂は地球の文明を尊敬してはいるが、如何せん地球には魔力という概念が無いらしい。
魔力という概念さえあればもっと素晴らしい技術が発展していたかもしれんのう。
「さて、完成した【自由意思】だが……」
如何に「自由意思」といえども、教育していくわけではないのである程度の思考プロセスと知識を与えなければならない。
知識に関しては、儂の魔法や社会に関する知識を全て与えた。
儂の知らないことはまあ仕方がないが、この【自由意思】にはよりたくさんの事を知っていてほしい。
「思考プロセスはchで埋め込むか……」
思考プロセスを埋め込むことに関しては、chで代用することにした。
もともと、行動プロセスということで考案したchは思考プロセスともに通うところがあったからだ。
埋め込むchは【鉄壁】と【破壊】と【理性】にした。
それぞれ、【防御】、【攻撃】、【思考】の上位版だ。
戦いの際には【鉄壁】【破壊】があればいいし、命令を伝える際には【理性】があればいい。
思考パターンが少なすぎやしないかとは自分でも思うが、その都度変えていけばいい。
こうして、儂が手掛けた【自由意思】の第一号は完成した。
****
さて、自由意思を確立させたからと言って、それを支える体格が無いことには何も始まらない。
ブラックチタンは事前に掘り出しておいたので好き放題使える。
まずは頭部だ。
基本的にデザインは人間と一緒だが、聴覚や嗅覚と言った外からの情報を感知する機関には少しだけ白銀を使用した。
ブラックチタンには柔軟性は皆無なので、感覚器官を作る材料としては少し劣るところがあるからだ。
「よし、これで頭部は完成っと……」
ブラックチタンで固めた頭蓋骨格の中、つまり本来脳が入る場所に今回は機動原核を投入した。
先ほど完成した自由意思を搭載した機動武装の核となる部位だ。
「んーと、これで全部完成かの」
頭部以外はそれほど細かい工夫はいらない。
賢者としての技能をフル活用して取り組んだ制作は、意外と早く終わった。
作業の後は、儂の体にフィットするように作られた本体を細かく収納して異空間に保存しておく。
詠唱と同じ「開錠」の言葉を呟けば出てくるという仕組みだ。
「ブツブツ……」
儂はその詠唱を開始した。
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