22 / 29
二章 王都編
お爺ちゃん賢者とリリムです。
しおりを挟む
「はぁ……ここはいい国なのだ……」
「悪いがさっさと出て行ってくれないだろうか」
あの後、龍神族魔王という立派な肩書を持ったアホの子魔王リリムは一週間この国に滞在し続けた。
ぶっちゃけうるさいので早く帰って欲しいというのが現状である。
「そんなこと言っていいのだ?滅ぼすのだ」
「それだけはやめてくれ」
……そして早く帰らせる、というか追い払おうとしても強制できないのが現状だ。
こいつ、あの時は手加減していたとか言っていて本気で相手したら儂でも歯が立たなかったのじゃ。
九尾を一瞬で吹き飛ばして儂をペシャンコにして終わり。
文字通り瞬殺だった。
「まあ、戦争のときはちゃんと助けてやるのだ。それまで我慢するのだ」
「はぁ……戦争位儂一人で十分じゃぞ?」
「じゃ、ここ攻めよーっと」
「やめて」
アホの子属性の上に我が儘属性とかマジ要らない。
それを今更痛感した儂だった。
****
<冒険者ギルドside>
「はぁ……一体どうしたんだろう……?」
私は人間国本部の冒険者ギルドで受付嬢を務めている、レミルと言います。
私の仕事はもちろん、冒険者の依頼なども含めて幅広く冒険者を見守るのが本領です。
ところが、最近冒険者の事故死亡件数がたくさん発生しているのです。
「うう……レミルさん……ギンの奴が……ギンの奴がァァァッ!」
こうして今日も冒険者の死亡報告が届きます。
それを聞くと、いつでも切ない気持ちになって思わず泣いてしまいます。
冒険者は皆、新人からベテランまで私が知っているわけですから尚の事悲しいことです。
「ううう……ギン……」
今、報告してくれた子はとても勇敢だと思います。
死亡した子はこの子の親友だったのですが、この前一人で森へと狩りに行ったときに死体で見つかったそうです。
そうして親しい人を失った冒険者は、悲しいことに後を追って自殺することも少なくはないのです。
増してや、このように報告してくれることはさらに少ない。
「すいません……今までありがとうございました」
この子は、冒険者を辞めて親の仕事を継ぐことにしたそうです。
『僕は立派な冒険者になるんだ!』と初めてギルドにやって来た時のことが今でも忘れられません。
ああ、誰かこの無間地獄を止めてくれる方はいないのでしょうか。
冒険者は日に日に減っていき、今はピークの半分近くにまで減っています。
……そういえば、さいきん王宮に入った方で竜種を圧倒した超人がいるそうです。
このギルドのSクラスの方たちも、その映像を見て恐怖していました。
その方でもいいから、どうかこの流れを止めてくれないでしょうか。
そんなことを、いつも考えてしまいます。
****
リリムが住み着いてからはや一週間。
キリル(国王)からは「たぶん暫く戦争無いから休んでいいよ」と休暇を出されたため暇を持て余している。
といっても王宮の中の我が家にいるとリリムがうるさいので、シルを付き合わせて王都をぶらついていた。
「ねえねえクレイ!あれ美味しそう!」
「はいはい。……すいません。それ一つくださいっと」
「「まいどありぃ!!」」
儂の発明で稼いだ莫大な金を湯水のごとく使いながらこんな感じで商店街を歩き回っている。
儂の眼は完全に保護者のそれとなっていて、周りの人からはかなり同情的な目線で見られた。
別に金には困ってないから湯水のごとく使われても問題は無いんじゃがのう。
別に儂は特殊性癖の変態ではないが、こうしてシルの笑顔を見ると落ち着くというかなんというか。
おおかた、孫娘を見守ってる感覚じゃろうか。
こうして買い物をすることは苦ではないし、むしろ楽しかったりする。
「……ねえ!ねえってば!」
「……おぉどうした?」
……考え事をしていてはシルには付いていけない。
冷や汗が頬を流れる。
「あれはなんていうの?」
「あれはだな……」
シルが指をさしたのは冒険者ギルド。
なぜか前世の世界と全く同じマークを採用している冒険者ギルドの本部は、どこか退廃的で哀愁が漂っていた。
本来なら王都にある冒険者ギルドはもっと華やかで、生き生きとしているはずだ。
そんなギルドがこの様子とは……?
気になった儂は、シルに断りを入れてそのギルドに入っていった。
****
扉を開けてから一瞬で、その場にいた者たちの視線が集まる。
懐かしい、強者の集団の雰囲気だ。
値踏みをするような視線が幾つも絡まる中、儂はすたすたと歩いて受付嬢のもとへと向かう。
「あ、あなたは……!?」
顔を隠しもせずに入ってきたのが不味かったか。
受付嬢は儂の正体にだいたい気づいているらしい。
「失礼します。あなたが王宮に新規で入ったと言われる【竜殺し】のクレイ様ですか?」
堂々と聞いてくるあたり、流石王都の冒険者ギルド受付嬢ともいうべきか。
まあ、ここまで退廃しておればやる気も起こらんじゃろうがの。
「いかにも」
……一気に場が騒然となった。
****
「あいつが噂の【竜殺し】か……」
「見たところ華奢な感じはするけどな」
「いやしかし竜を素手で投げ飛ばしたと言われてるぞ?」
「あの小さい体のどこにそんな力が?」
騒然となったギルドでは、そんな会話が繰り広げられていた。
まあ、小さいと言ったのは無理もあるまい。
儂は子供体型、まだ十代の体を使ってるわけじゃからな。
ちなみにリリムが本気でやったら今度は儂が投げ飛ばされるし、その噂は信じない方が良いと思うぞ。
「すいません。このように最近のクレイ様の人気は大変なものでして……」
受付嬢がすまなさそうに謝ってくる。
「いや、それは別にいいんじゃが……このギルドの退廃的な様子は一体どうしたのじゃ?」
「……………」
儂の核心を突く質問に、あれだけ騒いでいたギルドは水を打ったように静まり返った。
「悪いがさっさと出て行ってくれないだろうか」
あの後、龍神族魔王という立派な肩書を持ったアホの子魔王リリムは一週間この国に滞在し続けた。
ぶっちゃけうるさいので早く帰って欲しいというのが現状である。
「そんなこと言っていいのだ?滅ぼすのだ」
「それだけはやめてくれ」
……そして早く帰らせる、というか追い払おうとしても強制できないのが現状だ。
こいつ、あの時は手加減していたとか言っていて本気で相手したら儂でも歯が立たなかったのじゃ。
九尾を一瞬で吹き飛ばして儂をペシャンコにして終わり。
文字通り瞬殺だった。
「まあ、戦争のときはちゃんと助けてやるのだ。それまで我慢するのだ」
「はぁ……戦争位儂一人で十分じゃぞ?」
「じゃ、ここ攻めよーっと」
「やめて」
アホの子属性の上に我が儘属性とかマジ要らない。
それを今更痛感した儂だった。
****
<冒険者ギルドside>
「はぁ……一体どうしたんだろう……?」
私は人間国本部の冒険者ギルドで受付嬢を務めている、レミルと言います。
私の仕事はもちろん、冒険者の依頼なども含めて幅広く冒険者を見守るのが本領です。
ところが、最近冒険者の事故死亡件数がたくさん発生しているのです。
「うう……レミルさん……ギンの奴が……ギンの奴がァァァッ!」
こうして今日も冒険者の死亡報告が届きます。
それを聞くと、いつでも切ない気持ちになって思わず泣いてしまいます。
冒険者は皆、新人からベテランまで私が知っているわけですから尚の事悲しいことです。
「ううう……ギン……」
今、報告してくれた子はとても勇敢だと思います。
死亡した子はこの子の親友だったのですが、この前一人で森へと狩りに行ったときに死体で見つかったそうです。
そうして親しい人を失った冒険者は、悲しいことに後を追って自殺することも少なくはないのです。
増してや、このように報告してくれることはさらに少ない。
「すいません……今までありがとうございました」
この子は、冒険者を辞めて親の仕事を継ぐことにしたそうです。
『僕は立派な冒険者になるんだ!』と初めてギルドにやって来た時のことが今でも忘れられません。
ああ、誰かこの無間地獄を止めてくれる方はいないのでしょうか。
冒険者は日に日に減っていき、今はピークの半分近くにまで減っています。
……そういえば、さいきん王宮に入った方で竜種を圧倒した超人がいるそうです。
このギルドのSクラスの方たちも、その映像を見て恐怖していました。
その方でもいいから、どうかこの流れを止めてくれないでしょうか。
そんなことを、いつも考えてしまいます。
****
リリムが住み着いてからはや一週間。
キリル(国王)からは「たぶん暫く戦争無いから休んでいいよ」と休暇を出されたため暇を持て余している。
といっても王宮の中の我が家にいるとリリムがうるさいので、シルを付き合わせて王都をぶらついていた。
「ねえねえクレイ!あれ美味しそう!」
「はいはい。……すいません。それ一つくださいっと」
「「まいどありぃ!!」」
儂の発明で稼いだ莫大な金を湯水のごとく使いながらこんな感じで商店街を歩き回っている。
儂の眼は完全に保護者のそれとなっていて、周りの人からはかなり同情的な目線で見られた。
別に金には困ってないから湯水のごとく使われても問題は無いんじゃがのう。
別に儂は特殊性癖の変態ではないが、こうしてシルの笑顔を見ると落ち着くというかなんというか。
おおかた、孫娘を見守ってる感覚じゃろうか。
こうして買い物をすることは苦ではないし、むしろ楽しかったりする。
「……ねえ!ねえってば!」
「……おぉどうした?」
……考え事をしていてはシルには付いていけない。
冷や汗が頬を流れる。
「あれはなんていうの?」
「あれはだな……」
シルが指をさしたのは冒険者ギルド。
なぜか前世の世界と全く同じマークを採用している冒険者ギルドの本部は、どこか退廃的で哀愁が漂っていた。
本来なら王都にある冒険者ギルドはもっと華やかで、生き生きとしているはずだ。
そんなギルドがこの様子とは……?
気になった儂は、シルに断りを入れてそのギルドに入っていった。
****
扉を開けてから一瞬で、その場にいた者たちの視線が集まる。
懐かしい、強者の集団の雰囲気だ。
値踏みをするような視線が幾つも絡まる中、儂はすたすたと歩いて受付嬢のもとへと向かう。
「あ、あなたは……!?」
顔を隠しもせずに入ってきたのが不味かったか。
受付嬢は儂の正体にだいたい気づいているらしい。
「失礼します。あなたが王宮に新規で入ったと言われる【竜殺し】のクレイ様ですか?」
堂々と聞いてくるあたり、流石王都の冒険者ギルド受付嬢ともいうべきか。
まあ、ここまで退廃しておればやる気も起こらんじゃろうがの。
「いかにも」
……一気に場が騒然となった。
****
「あいつが噂の【竜殺し】か……」
「見たところ華奢な感じはするけどな」
「いやしかし竜を素手で投げ飛ばしたと言われてるぞ?」
「あの小さい体のどこにそんな力が?」
騒然となったギルドでは、そんな会話が繰り広げられていた。
まあ、小さいと言ったのは無理もあるまい。
儂は子供体型、まだ十代の体を使ってるわけじゃからな。
ちなみにリリムが本気でやったら今度は儂が投げ飛ばされるし、その噂は信じない方が良いと思うぞ。
「すいません。このように最近のクレイ様の人気は大変なものでして……」
受付嬢がすまなさそうに謝ってくる。
「いや、それは別にいいんじゃが……このギルドの退廃的な様子は一体どうしたのじゃ?」
「……………」
儂の核心を突く質問に、あれだけ騒いでいたギルドは水を打ったように静まり返った。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】父が再婚。義母には連れ子がいて一つ下の妹になるそうですが……ちょうだい癖のある義妹に寮生活は無理なのでは?
つくも茄子
ファンタジー
父が再婚をしました。お相手は男爵夫人。
平民の我が家でいいのですか?
疑問に思うものの、よくよく聞けば、相手も再婚で、娘が一人いるとのこと。
義妹はそれは美しい少女でした。義母に似たのでしょう。父も実娘をそっちのけで義妹にメロメロです。ですが、この新しい義妹には悪癖があるようで、人の物を欲しがるのです。「お義姉様、ちょうだい!」が口癖。あまりに煩いので快く渡しています。何故かって?もうすぐ、学園での寮生活に入るからです。少しの間だけ我慢すれば済むこと。
学園では煩い家族がいない分、のびのびと過ごせていたのですが、義妹が入学してきました。
必ずしも入学しなければならない、というわけではありません。
勉強嫌いの義妹。
この学園は成績順だということを知らないのでは?思った通り、最下位クラスにいってしまった義妹。
両親に駄々をこねているようです。
私のところにも手紙を送ってくるのですから、相当です。
しかも、寮やクラスで揉め事を起こしては顰蹙を買っています。入学早々に学園中の女子を敵にまわしたのです!やりたい放題の義妹に、とうとう、ある処置を施され・・・。
なろう、カクヨム、にも公開中。
なんども濡れ衣で責められるので、いい加減諦めて崖から身を投げてみた
下菊みこと
恋愛
悪役令嬢の最後の抵抗は吉と出るか凶と出るか。
ご都合主義のハッピーエンドのSSです。
でも周りは全くハッピーじゃないです。
小説家になろう様でも投稿しています。
第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。
黒ハット
ファンタジー
前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
異世界に転移してしまった私、古民家をもらったのでカフェを始めたら大盛況。国王陛下が頻繁に来るのですが、どうしたらいいですか?
来栖とむ
ファンタジー
ブラック企業で疲れ果てた30歳の元OL・美里(みさと)が転移した先は、見渡す限りの深い森。
そこで彼女が授かったのは、魔女の称号……ではなく、一軒の**「日本の古民家」**だった!
亡き祖母が遺したその屋敷には、異世界では失われたはずの「お醤油」「お味噌」「白いお砂糖」という禁断の調味料が眠っていて――。
「えっ、唐揚げにそんなに感動しちゃうの?」
「プリン一口で、国王陛下が泣いちゃった……!?」
おにぎり、オムライス、そして肉汁溢れるハンバーグ。
現代日本の「当たり前」が、この世界では常識を覆す究極の美食に。
お掃除のプロな親子や、お忍びの王様、さらにはツンデレな宮廷料理人まで巻き込んで、
美味しい香りに包まれた、心もお腹も満たされるスローライフが今、始まります!
わたくしがお父様に疎まれている?いいえ、目に入れても痛くない程溺愛されております。
織り子
ファンタジー
王国貴族院の卒業記念パーティーの場で、大公家の令嬢ルクレツィア・アーヴェントは王太子エドワードから突然の婚約破棄を告げられる。
父であるアーヴェント大公に疎まれている――
噂を知った王太子は、彼女を公衆の面前で侮辱する。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる