土魔法を最強と信じて疑わないお爺ちゃん賢者が土魔法最弱の世界へとログインしました ~それでも儂は土魔法が大好きじゃ!~

パンダヒーロー

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二章 王都編

お爺ちゃん賢者とリリムです。

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 「はぁ……ここはいい国なのだ……」

 「悪いがさっさと出て行ってくれないだろうか」


 あの後、龍神族魔王という立派な肩書を持ったアホの子魔王リリムは一週間この国に滞在し続けた。

 ぶっちゃけうるさいので早く帰って欲しいというのが現状である。


 「そんなこと言っていいのだ?滅ぼすのだ」

 「それだけはやめてくれ」


 ……そして早く帰らせる、というか追い払おうとしても強制できないのが現状だ。

 こいつ、あの時は手加減していたとか言っていて本気で相手したら儂でも歯が立たなかったのじゃ。

 九尾を一瞬で吹き飛ばして儂をペシャンコにして終わり。

 文字通り瞬殺だった。


 「まあ、戦争のときはちゃんと助けてやるのだ。それまで我慢するのだ」

 「はぁ……戦争位儂一人で十分じゃぞ?」

 「じゃ、ここ攻めよーっと」

 「やめて」


 アホの子属性の上に我が儘属性とかマジ要らない。

 それを今更痛感した儂だった。



         ****



    <冒険者ギルドside>




 「はぁ……一体どうしたんだろう……?」


 私は人間国本部の冒険者ギルドで受付嬢を務めている、レミルと言います。

 私の仕事はもちろん、冒険者の依頼なども含めて幅広く冒険者を見守るのが本領です。

 ところが、最近冒険者の事故死亡件数がたくさん発生しているのです。


 「うう……レミルさん……ギンの奴が……ギンの奴がァァァッ!」


 こうして今日も冒険者の死亡報告が届きます。

 それを聞くと、いつでも切ない気持ちになって思わず泣いてしまいます。

 冒険者は皆、新人からベテランまで私が知っているわけですから尚の事悲しいことです。


 「ううう……ギン……」


 今、報告してくれた子はとても勇敢だと思います。

 死亡した子はこの子の親友だったのですが、この前一人で森へと狩りに行ったときに死体で見つかったそうです。

 そうして親しい人を失った冒険者は、悲しいことに後を追って自殺することも少なくはないのです。

 増してや、このように報告してくれることはさらに少ない。


 「すいません……今までありがとうございました」


 この子は、冒険者を辞めて親の仕事を継ぐことにしたそうです。

 『僕は立派な冒険者になるんだ!』と初めてギルドにやって来た時のことが今でも忘れられません。

 ああ、誰かこの無間地獄を止めてくれる方はいないのでしょうか。

 冒険者は日に日に減っていき、今はピークの半分近くにまで減っています。



 ……そういえば、さいきん王宮に入った方で竜種を圧倒した超人がいるそうです。

 このギルドのSクラスの方たちも、その映像を見て恐怖していました。

 その方でもいいから、どうかこの流れを止めてくれないでしょうか。

 そんなことを、いつも考えてしまいます。




              ****



  リリムが住み着いてからはや一週間。

 キリル(国王)からは「たぶん暫く戦争無いから休んでいいよ」と休暇を出されたため暇を持て余している。

 といっても王宮の中の我が家にいるとリリムがうるさいので、シルを付き合わせて王都をぶらついていた。


 「ねえねえクレイ!あれ美味しそう!」

 「はいはい。……すいません。それ一つくださいっと」

 「「まいどありぃ!!」」


 儂の発明で稼いだ莫大な金を湯水のごとく使いながらこんな感じで商店街を歩き回っている。

 儂の眼は完全に保護者のそれとなっていて、周りの人からはかなり同情的な目線で見られた。

 別に金には困ってないから湯水のごとく使われても問題は無いんじゃがのう。

 別に儂は特殊性癖の変態ではないが、こうしてシルの笑顔を見ると落ち着くというかなんというか。

 おおかた、孫娘を見守ってる感覚じゃろうか。

 こうして買い物をすることは苦ではないし、むしろ楽しかったりする。


 「……ねえ!ねえってば!」

 「……おぉどうした?」


 ……考え事をしていてはシルには付いていけない。

 冷や汗が頬を流れる。


 「あれはなんていうの?」

 「あれはだな……」


 シルが指をさしたのは冒険者ギルド。

 なぜか前世の世界と全く同じマークを採用している冒険者ギルドの本部は、どこか退廃的で哀愁が漂っていた。

本来なら王都にある冒険者ギルドはもっと華やかで、生き生きとしているはずだ。

 そんなギルドがこの様子とは……?

 気になった儂は、シルに断りを入れてそのギルドに入っていった。



          ****



 扉を開けてから一瞬で、その場にいた者たちの視線が集まる。

 懐かしい、強者の集団の雰囲気だ。

 値踏みをするような視線が幾つも絡まる中、儂はすたすたと歩いて受付嬢のもとへと向かう。


 「あ、あなたは……!?」


 顔を隠しもせずに入ってきたのが不味かったか。

 受付嬢は儂の正体にだいたい気づいているらしい。


 「失礼します。あなたが王宮に新規で入ったと言われる【竜殺し】のクレイ様ですか?」


 堂々と聞いてくるあたり、流石王都の冒険者ギルド受付嬢ともいうべきか。

 まあ、ここまで退廃しておればやる気も起こらんじゃろうがの。


 「いかにも」


 ……一気に場が騒然となった。



         ****




 「あいつが噂の【竜殺し】か……」

 「見たところ華奢な感じはするけどな」

 「いやしかし竜を素手で投げ飛ばしたと言われてるぞ?」

 「あの小さい体のどこにそんな力が?」


 騒然となったギルドでは、そんな会話が繰り広げられていた。

 まあ、小さいと言ったのは無理もあるまい。

 儂は子供体型、まだ十代の体を使ってるわけじゃからな。

 ちなみにリリムが本気でやったら今度は儂が投げ飛ばされるし、その噂は信じない方が良いと思うぞ。


 「すいません。このように最近のクレイ様の人気は大変なものでして……」


 受付嬢がすまなさそうに謝ってくる。


 「いや、それは別にいいんじゃが……このギルドの退廃的な様子は一体どうしたのじゃ?」

 「……………」


 儂の核心を突く質問に、あれだけ騒いでいたギルドは水を打ったように静まり返った。






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