【朝起きたら】人狼になったけど質問ある？生放送【イケメンに(ただし人外)】

【どうして】人狼になったけど質問ある？生放送2【こうなった？】1

 衝撃の生放送が終わった後、当然の様に某Chに一つのスレがたった。

【マジ？】人狼になったけど質問ある？生放送　検証スレ【ガセ？】Part1

　何の掲示板かは、スレのタイトルどおり、ついこの間○コ動で生放送された【朝起きたら】人狼になったけど質問ある？生放送【イケメンに(人外)】に出てきた人狼が本当に人狼なのか？という事だ。

　生放送終了後、生放送を見逃した人達が○コ動にある人狼のコミュニティサイトに突撃した。
　コミュニティサイトとは簡単に言えば、○コ動内でのサークルみたいな物だ。○コ動でコミュニティサイトを作ると生放送を放送したり、コミュニティサイト専用の掲示板が持てたりするのだ。そして、その中には過去に生放送した番組を期限内ならいつでも最初から見る事が出来たりするタイムシフト視聴と言う機能もある。
　突撃してきた人達は、このタイムシフト視聴をしようとしたのだが、慣れない人狼の不手際により生放送で推奨していない環境で放送していた為、○コ動のサーバでの録画に失敗しており、見る事は出来なかった。

　それでもコミュニティの参加者が爆発的に増え、コミュニティサイトのレベルが74にまで跳ね上がった。
　コミュニティサイトにはレベルがあり、コミュニティ参加者が増えるとレベルが上がる。レベルが上がると生放送の最大視聴者数が増えたりするなど、特権がそのコミュニティサイトの持ち主に付与さる。

　生放送を録画していた人も数は少ないが、いた。しかし、そもそも無名生放送主の初回放送を最初から録画している物好きな視聴者などおらず、録画している人も生放送の後半から…。しかも画質もあまり良くなく。細かい部分がぼやけてしまっていた。要所要所でスクリーンショットを取っている視聴者も居たがごく少数だ。

　スクリーンショットは事細かに解析され、本当に被り物または特殊メイクではないか徹底的に調べられた。だが不特定多数の人間が使うことの出来るネットの常で。あからさまに偽者と分かる画像が人狼の画像として貼り付けられたり、中には実際のスクリーンショットを巧妙に加工した物など、面白半分の妨害工作(？)されたりと正に混乱状態だった。

　それでもスレも進んでいくと、それらも落ち着いていき、アップされた画像が実際に放送されたものか動かも判定し検証が進んでいった。
　ボディービル板の住人が人狼の肉体美を賞賛し、ゲーム板の住人が好きなゲームから人狼の年代を特定。もちろんケモナー板の住人も検証に参加し、人狼の頭部の狼がシンリンオオカミの頭部と酷似している事も調べ上げた。だがこのスレは、最大の問題に突き当たる。やはり検証するには、どうしても検証材料が足りないのだ。
　数十分の画質の悪い動画と、画質はマシだが動かない静止画。それ以外は実際に生放送を見ていた視聴者の証言のみ。やはりそれだけでは、全員が納得する事ができる結論へはいたる事は出来なかった。
　更にスレのパートが増えるにつれ、次第に話題はループしだし、スレは勢いを失った。

　そんな時、人狼のコミュニティサイトに生放送の予約が入った。

　タイトルは【どうして】人狼になったけど質問ある？生放送2【こうなった？】

　スレは一気に勢いを取り戻した。
　特にタイトルにある【どうして】【こうなった？】の部分についての議論が活発だった。
　あるものは、"いたずら気分で生放送したらこんだけ大事になってビビッて謝罪会見でもするんだろ"と予想した。
　又あるものは、"きっと紙袋のケモナーから逃だして、どっかに隠れながら放送しようとしてるだ"と予想する。
　そして又あるものは"いや、きっと紙袋のケモナーを殺っちまったんだ。だからどうしてこうなったって思ってるんだろう"と予想した。
　とはいえ、【どうして】【こうなった？】の意味は本人しかわからない。スレの住人達はもどかしい思いを抱えつつ生放送当日を待った。

　生放送当日、人狼の生放送の放送ページが解禁されると、今か今かと待ちかねたユーザー達が一気になだれ込んだ。コミュニティサイトのレベルが74にまで上がっているので視聴者は1500まで入る事が出来るのだが、あっと言う間に席は埋まってしまった。その為視聴できなかったユーザーが検証スレに突撃し、運よく視聴する事が出来る人に実況または、ミラー放送を願い出た。
　そして生放送が始まった。
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｜　　ザワザワ　　　　　　　　　　　　　　　　｜
｜　　　わこつー　　　　　　　　　　　　　　　｜
｜　　　　　よっしゃ立ち見じゃねぇ　　　　　　｜
｜　　　　　　ワクテカ　　　　　　　　　　　　｜
｜　　　　　　　88888888　　　　　　　　　　　｜
｜　　　　　　　　　祭りの時間じゃー！　　　　｜
｜　　　　あの後ほんとどうなったのか？　　　　｜
｜　　人狼…無事だと良いが…　　　　　　　　　｜
｜　　　　　　　　　　　　　　　ってあれ？　　｜
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　カメラに映ったのは、前回の放送があった抱き枕カバーで作られた暖簾がかかった部屋ではなく、真っ白い壁のあるシンプルな部屋だった。他にも何かあるかもしれないが、画面に映ったのはそれだけだ。
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｜　部屋が違う　　　　　　　　　　　　　　　　｜
｜　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｜
｜　　　　　あの暖簾はどうした？　　　　　　　｜
｜　人狼の部屋じゃないって事は・・・　　　　　｜
｜　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｜
｜　　あの暖簾は恥ずかしくて無くしたか　　　　｜
｜　　　　まっまさか　　　　　　　　　　　　　｜
｜　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｜
｜　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｜
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　前回の部屋と違う事に少なからず視聴者達は戸惑った。てっきりあの抱き枕カバーの暖簾がまた掛かっているものだと思っていたからだ。
「はい皆様。お久しぶりです。初めての方は始めまして。人狼です」
　今回の最初も前回と同様人狼はカメラの見える範囲外から喋っていた。
「いやーどうも。ネット界隈では色々騒がれてびっくりしました」
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｜　そんな事良いから出て来い　　　　　　　　　｜
｜　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｜
｜　　　　謝罪会見はよ　　　　　　　　　　　　｜
｜　　　人狼ご無事で何より　　　　　　　　　　｜
｜　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｜
｜　　　　　　　　アレからどうなった？　　　　｜
｜　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｜
｜　　　　　　　あの紙袋のケモナーはどうした？｜
｜　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｜
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「今日の放送は、皆さんにちょっとご報告したい事がありまして…あっもちろん謝罪会見じゃないですよ。俺は正真正銘元人間の現人狼です。それで報告したい事なんですが…これも見てもらったほうが早いかな…」
　すると画面の端からゆっくりと人狼が姿を現した。今回はカメラから少し離れた場所からフレームインしたおかげで最初から全身が見える。
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｜　　ふぁっ！？　　　　　　　　　　　　　　　｜
｜　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｜
｜　　　　何その格好？　　　　　　　　　　　　｜
｜　　　何それ！？　　　　　　　　　　　　　　｜
｜　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｜
｜　　　　　　　　似合ってる　　　　　　　　　｜
｜　　おお見事な狼へっど　　　　　　　　　　　｜
｜　　　　　　　タキシード着た人狼だと！？　　｜
｜　　　　　　　　　かっけ～　　　　　　　　　｜
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　視聴者が驚いたのは、首から上ではなく、その下…。人狼はあの赤ジャージの上下ではなく、タキシードを着ていた。本来人間の頭がある場所に狼の頭が出ている性で違和感が物凄いが、まるで神話上の光景である様な、ある種の荘厳さみたいな物があった。
「どうですか？似合いますか？」
　人狼はその場で軽く回りながら、視聴者達に自分のタキシード姿を披露する。一通り見せると、カメラの前に気をつけの姿勢をとって宣言した。
「何故こんな格好しているかと言うと実は…。俺…結婚することになりました！」
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｜　　　？　　　　　　　　　　　　　　　　　　｜
｜　　　誰と結婚すんだよ？　　　　　　　　　　｜
｜　　　　はぁ？　　　　　　　　　　　　　　　｜
｜　　　とうとう頭もイカレタのか？　　　　　　｜
｜　　　　　ここに病院を建てよう　　　　　　　｜
｜　　　　　もしかして、ケモナーとか！　　　　｜
｜　　結…婚だと　　　何があったんだよ！？　　｜
｜　　　　　　　　　　　ここに墓を立てよう　　｜
｜はぁ嗚呼ああああああああああああああああ！？｜
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　唐突な結婚します発言によって混乱する視聴者達。それもそうだ。前回の放送から大体一ヶ月程度しかたっていないのだ。それでいきなり結婚とか言われても何の冗談？と思われても仕方が無い。
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｜　　　  　　　　　　　　　　　　　　　　　　｜
｜　　　人狼って結婚できるの？　　　　　　　　｜
｜　　                  　まぁ戸籍あるからなあ｜
｜　　　相手は！相手は誰だ！　　？　　　　　　｜
｜　　　　　　　　　　詳細説明希望　　　　　　｜
｜ケモナーお前かぁ！　　　　爆発しろ！　　　　｜
｜　　結…婚　　　　そうなった経緯を説明しろ！｜
｜　　　　　　結婚おめ　　　　　　　　　　　　｜
｜　　　　　　　　よし、俺も風邪引いて人狼に　｜
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「はい。何故このような事になったかはちゃんと説明します」
　そう言うと人狼は画面外から持ってきた椅子に座り、静かに語りだした。
「俺はあの後、彼女の家に連れて行かれました。あっ！幸いあの時は他の人に合う事はありませんでした！
　それで彼女は上機嫌で俺を家のリビングに案内してくれました。そこで改めて俺は説得しようとしたんですよ。
　なにせ私の物にするって言われちゃいましたからね。しっかり誠心誠意向き合ってお断りしようとしたんです。けど言う前に彼女が"ちょっと待っててくださいね"って言ってキッチンの方に行っちゃいましてね。出来なかったんです。それで、リビングでそわそわしながら待っていたんですよ。
　実を言うと女の子の家に呼ばれたのは初めてだったんで緊張しました。
　そしたらですね。キッチンの方からジャッジャッって何かを料理する音と良い匂いがするんですよ。
　その音がやんだら、彼女がお盆を一つ持って出てきたんです。お盆の上には二人分の香ばしい匂いをさせてるチャーハンと飲み物が乗ってました。
　初の女の子の家への御呼ばれで初女の子の手料理ですよ！思わず俺は固まっちゃいましたよ。んで彼女が"どうぞ、食べてください。食料が尽きたって言ってたのでおなかすいてるでしょう？話はそれを食べてからにしましょう"って。おなかもグゥってなって。思わずコクコク頷いて食べましたよ。おいしかったなぁ。それ食べて満腹なったら俺、急に眠くなっちゃいましてね。きっと久々に満腹になって気が抜けちゃったんだろう思うんですけど…」
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｜　　　うらやましぃ　　　　　　　　　　　　　｜
｜　　　　　　爆発しろ　　　　　　　　　　　　｜
｜　　　　　　　ケモナーやさしいなぁ　　　　　｜
｜　　うわっ童貞くさっ！　　　　　　　　　　　｜
｜　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｜
｜　　　俺も手調理食べたい　　　　　　　　　　｜
｜　　　　　　　　　　待て…　　　　　　　　　｜
｜　　　　　　食べちゃらめー！　　　　　　　　｜
｜　　　　　　　　食べたら眠くなった？　　　　｜
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　明らかに何か睡眠薬的なモノを食べさせられたであろう状況に視聴者達の背筋が寒くなった。
「目が覚めると、どっかの部屋に布団しかれて寝かされてたんですよ。しかもケモナーさんずっとそばで俺が起きるの待っていてくれたんです。時間はもう午前零時を越えてましたね。大事な話をするつもりだったのに寝ちゃって本当申し訳なかったなぁ」
　人狼は遠い目をしながら言った。だが、その目には何故か諦めのような物が見え隠れしている。
「でも彼女は、"いいんです。気にしないでください。これまで大変だったでしょう"って…思わず泣きたくなりましたよ。でもまぁ時間も遅いんで話は次の日にしようって事になりまして…。その日は彼女の家に泊まる事になりました。帰ろうかと思ったんですけど、やっぱり外に出るのは怖くて…」
「彼女は学校もあるので、話し合いは彼女が家に帰ってきてから。って事になってその間俺は彼女の家で待っている事になりました。彼女と朝食を一緒に食べて、彼女を学校に見送ると俺は、待っているあいだずーっとテレビ見ながら待ってました。昼食は彼女の作ってくれたお弁当を食べました。昼食を食べた後は直ぐに眠くなったので寝ました。彼女が帰ってきたら起してくれるだろうって思ってましたから。それで彼女が帰ってきて、起されたんですけど、何か彼女の様子がおかしいんですよね。なんか申し訳なさそうって感じで。どうしたの？って聞いたら今日友達呼んでたの忘れてたって。それで俺に隠れて欲しいって。俺も他の人にばれるのは勘弁して欲しいですから、止まった部屋に隠れたんですよ。そしたら彼女が外からその部屋の鍵を掛けたんですよ。…今の時代ってすごいですよね。鍵の付いていない扉に素人が後付で鍵を付けれるんですから…」
このあたりからだんだんと人狼の目にかげりが出始めた。
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｜　　　やべぇ　　　　　　　　　　　　　　　　｜
｜　　　　学校！？ケモナーは学生か！　　　　　｜
｜　　　　　　　　ああ、やべぇな　　　　　　　｜
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｜　　　　　　　　　　そんなのあるんだ　　　　｜
｜　　　　　　これは・・・　　　　　　　　　　｜
｜　　　　　　　　女子校生と同棲・・・憎い　　｜
｜　　　　　　　　　　ミザリー臭　　　　　　　｜
｜　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｜
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「それから、誰かが彼女の家に入ってきた気配がするんですが何か様子がおかしいんですよね。普通友達が結構わいわいがやがやするもんじゃないですか？俺には友達いませんので、本当に正しいか分かりませんが…けど、扉の向こうから聞こえてくる声はな～んか丁寧なんですよね。何かお客さんと店員みたいな。そんでしばらくガチャガチャ音がしてるなぁって思ってたら、ありがとうございました～って言って誰か男の人が帰っていったんですよ。そしたら直ぐに彼女は扉を開けてくれました。時間は…そうですね。時間は一時間はたってなかったでしょうかね」
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｜　　何してたんだ？　　　　　　　　　　　　　｜
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｜　　　　　それ本当に友達？　　　　　　　　　｜
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｜　　　ガチャガチャって　　　　　　　　　　　｜
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｜　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｜
｜　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｜
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「まぁ部屋から出ても、特に何か変わった事もなかったんですけどね。それで部屋から出ると一緒に夕食を食べながら話し合う事になりました。ですけど結局前回の繰り返しになっちゃいました。結局、双方妥協して彼女と一ヶ月程、同棲生活して、それから決めるって事になりました。ここまで出何か質問ありますか？」
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｜　同棲うらやましい　　　　　　　　　　　　　｜
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｜　　　　　何かケモナーの策に嵌まって…　　　｜
｜　　　じゃあ放送してるのケモナーの家？　　　｜
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｜　　ケモナーって素顔かわいいの？誰似？　　　｜
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｜　　　　　何で同棲したし？　　　　　　　　　｜
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「はい。彼女の家で俺の部屋ですね」
「ケモナーさんは素顔はかわいいですよ。誰似って言われても芸能人とかモデルとか分からんから答えられません」
「当初の目論見としては思いっきりダメ男な自分を見せて、彼女が呆れるのを待つって作戦だったんです…が」
　人狼はそこまで言うと、決まり悪そうに頭を掻いた。