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第2章
第31話 鈍感は鈍感って気付かないから鈍感なわけ
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先生達と警察署の偉い人、そしてリフトのおじさん達にしこたま怒られた俺はやっと解放して貰えた。
「2時間は流石に長いって」
特に警察署の偉い人のお説教は長かった。こういう英雄的行為で生還出来る例は、そう多くないと懇々と説明された。それが当たり前と思って、大人になってはいけないと。
ただそれは別として、感謝状はくれるらしい。だからこそ、これほど怒られたのかも知れないな。
自惚れるなよと、そう言いたいのだろう。安心して欲しい、自惚れて痛い目を見る経験は、もう別件でしましたから。
それはそれとして、凛ちゃんが遭難しかけた原因を作った生徒が居たらしい。そいつには更に厳しいお説教が待っているらしい。
当たり前だ、人の命が危ぶまれた大事件だ。俺の様に、最早なれた鬼島の監視下で反省文を書くのに比べれば、遥かに重い罰が下るだろう。
本当ならぶん殴りたい所だが、その現場でキレた信也にだいぶ詰められたらしいから、まあもう良いだろう。後は凛ちゃんの体に問題が無いと分かれば無事解決だ。
「藤木君」
「……西田さん」
いや、まだ解決じゃ無かった。決着を着けないといけない問題はまだあった。俺はやっぱり、凛ちゃんが好きだ。
西田さんの好意は嬉しいけれど、応える事は出来ない。俺は山下先輩じゃないから、2人同時に愛するなんて無理だ。
「やっぱり勝てなかったかぁ」
「ゴメン。やっぱり嘘は吐けないから。西田さんを相手に」
「それぐらいには、大切にしてくれるんだね」
当たり前だ、良い友人だと思っている。だからこそ、嘘をついて曖昧な関係を続けたりはしない。そんな事はしたくない。
そんな凛ちゃんも西田さんも、両方傷付ける様な事はしない。俺はそう言うの、好きじゃないんだ。
「これだけ教えて? 清水さんじゃ無くて私だったら、探しに来てくれた?」
「当然だろ、行くよ」
「良かった」
女心が分からない俺でも、これだけは分かるよ。俺は早く、この場を去るのが正解だって。ここで俺が優しくするのは、彼女の為にならないし俺の役目でもない。
「それじゃあ」
「うん、またね」
こういうのって凄くこう、心に来るな。西田かんが魅力的じゃ無かった訳じゃない。もし中学の時に知り合って居たら、幼稚園が同じだったらどうなって居たか分からない。
それぐらいには、魅力的だと思う。でも、やっぱり大切な人は1人じゃないと駄目なんだ。
「あと、頼んで良いかな?」
「私達が余計な事をした結果だから。責任は取るよ」
「余計では無かったけど、頼んだよ吉田さん」
通路の角で待って居た吉田さんに後をお願いしておく。1人で居ても辛いだけだ。それを俺は知っているから。誰かが側に居るだけで、きっと色々違うと思う。
今度こそ決着だろう。これで、俺達が形成していた不思議な関係は終了だ。ハーレムなんてものは、創作の中だけで良い。現実で求めて良い関係性では無いのだから。
さあ、行こう。俺が取り戻した帰る場所へ。
「失礼します」
ノックをしてから一声掛けて、ホテルの医務室に入る。ここで病院から戻った凛ちゃんが療養しているらしい。
柴田さんに聞いたから間違いないだろう。衝立を迂回して、室内を見たらベッドに凛ちゃんが寝かされて居た。
「涼ちゃん」
「よ! だいぶ回復したみたいだな」
「うん、もう平気だよ」
少し悪かった顔色も、普段の凛ちゃんらしい色に戻っていた。短時間とは言え、下山中かなりの吹雪に晒されていたから心配だった。俺は頑丈だから平気だけど、凛ちゃんは違うから。
「ところで、先生とか居ないの?」
「さっきまで居たんだけど、忙しいみたい」
「そ、そうなんだ」
つまり今、凛ちゃんと密室で2人だけだと言う事だ。もちろん分かっている。この状況で、いやらしい事をするなんて有り得ない。
本当なら、早く寝てしまった方が良いのだから。あ、そっか。ならこう言う時はアレで良いんじゃないか?
「えっと、涼ちゃん?」
「あ、あれ? 違うの? 寝るまで手を握っておくパターンではない!?」
「フフフッ、そっか。ありがとうね」
何だか、やっとあの頃に戻ったみたいだ。まだちょっとだけ、空白があった分のぎこちなさは残っているけど。それでも俺達は元々、こうして笑い合っていたんだ。
「あ~その、えっと。あ! そうそう前から聞いてみたかったんだけど」
「何かな?」
「凛ちゃんって、いつから俺の事を?」
おっと、やっちまった地雷踏んだらしいぜやっべぇ。俺の手を握る凛ちゃんの手が、ギリギリと握り締められて行く。
案外力あったんだねぇ、痛い痛い折れるよーバキッと行くよーギブギブ!
「いつからでしょうか?」
「え、えっと……中1イタタタタタタッ!?」
「はぁ、もう良いよ。こう言うのも、ちゃんと言わないから駄目なんだよね」
お、お許し頂けたみたいで何よりで。うん、これからは凛ちゃんの地雷を踏まない様に全力で気を付けよう。
ガチで怒らせて、俺の救出劇が無駄になってはたまらない。今まで以上に、女心と言うモノを勉強して行こうと思います。
「幼稚園からずっとだよ」
「……え? マジ?」
「本当だよ。涼ちゃんを好きでいた期間の長さは、誰にも負けないからね」
そりゃあ、怒りたくもなりますよ。そんなに前からだったなんて。俺、やっぱり鈍感系主人公かも知れないわ。
「2時間は流石に長いって」
特に警察署の偉い人のお説教は長かった。こういう英雄的行為で生還出来る例は、そう多くないと懇々と説明された。それが当たり前と思って、大人になってはいけないと。
ただそれは別として、感謝状はくれるらしい。だからこそ、これほど怒られたのかも知れないな。
自惚れるなよと、そう言いたいのだろう。安心して欲しい、自惚れて痛い目を見る経験は、もう別件でしましたから。
それはそれとして、凛ちゃんが遭難しかけた原因を作った生徒が居たらしい。そいつには更に厳しいお説教が待っているらしい。
当たり前だ、人の命が危ぶまれた大事件だ。俺の様に、最早なれた鬼島の監視下で反省文を書くのに比べれば、遥かに重い罰が下るだろう。
本当ならぶん殴りたい所だが、その現場でキレた信也にだいぶ詰められたらしいから、まあもう良いだろう。後は凛ちゃんの体に問題が無いと分かれば無事解決だ。
「藤木君」
「……西田さん」
いや、まだ解決じゃ無かった。決着を着けないといけない問題はまだあった。俺はやっぱり、凛ちゃんが好きだ。
西田さんの好意は嬉しいけれど、応える事は出来ない。俺は山下先輩じゃないから、2人同時に愛するなんて無理だ。
「やっぱり勝てなかったかぁ」
「ゴメン。やっぱり嘘は吐けないから。西田さんを相手に」
「それぐらいには、大切にしてくれるんだね」
当たり前だ、良い友人だと思っている。だからこそ、嘘をついて曖昧な関係を続けたりはしない。そんな事はしたくない。
そんな凛ちゃんも西田さんも、両方傷付ける様な事はしない。俺はそう言うの、好きじゃないんだ。
「これだけ教えて? 清水さんじゃ無くて私だったら、探しに来てくれた?」
「当然だろ、行くよ」
「良かった」
女心が分からない俺でも、これだけは分かるよ。俺は早く、この場を去るのが正解だって。ここで俺が優しくするのは、彼女の為にならないし俺の役目でもない。
「それじゃあ」
「うん、またね」
こういうのって凄くこう、心に来るな。西田かんが魅力的じゃ無かった訳じゃない。もし中学の時に知り合って居たら、幼稚園が同じだったらどうなって居たか分からない。
それぐらいには、魅力的だと思う。でも、やっぱり大切な人は1人じゃないと駄目なんだ。
「あと、頼んで良いかな?」
「私達が余計な事をした結果だから。責任は取るよ」
「余計では無かったけど、頼んだよ吉田さん」
通路の角で待って居た吉田さんに後をお願いしておく。1人で居ても辛いだけだ。それを俺は知っているから。誰かが側に居るだけで、きっと色々違うと思う。
今度こそ決着だろう。これで、俺達が形成していた不思議な関係は終了だ。ハーレムなんてものは、創作の中だけで良い。現実で求めて良い関係性では無いのだから。
さあ、行こう。俺が取り戻した帰る場所へ。
「失礼します」
ノックをしてから一声掛けて、ホテルの医務室に入る。ここで病院から戻った凛ちゃんが療養しているらしい。
柴田さんに聞いたから間違いないだろう。衝立を迂回して、室内を見たらベッドに凛ちゃんが寝かされて居た。
「涼ちゃん」
「よ! だいぶ回復したみたいだな」
「うん、もう平気だよ」
少し悪かった顔色も、普段の凛ちゃんらしい色に戻っていた。短時間とは言え、下山中かなりの吹雪に晒されていたから心配だった。俺は頑丈だから平気だけど、凛ちゃんは違うから。
「ところで、先生とか居ないの?」
「さっきまで居たんだけど、忙しいみたい」
「そ、そうなんだ」
つまり今、凛ちゃんと密室で2人だけだと言う事だ。もちろん分かっている。この状況で、いやらしい事をするなんて有り得ない。
本当なら、早く寝てしまった方が良いのだから。あ、そっか。ならこう言う時はアレで良いんじゃないか?
「えっと、涼ちゃん?」
「あ、あれ? 違うの? 寝るまで手を握っておくパターンではない!?」
「フフフッ、そっか。ありがとうね」
何だか、やっとあの頃に戻ったみたいだ。まだちょっとだけ、空白があった分のぎこちなさは残っているけど。それでも俺達は元々、こうして笑い合っていたんだ。
「あ~その、えっと。あ! そうそう前から聞いてみたかったんだけど」
「何かな?」
「凛ちゃんって、いつから俺の事を?」
おっと、やっちまった地雷踏んだらしいぜやっべぇ。俺の手を握る凛ちゃんの手が、ギリギリと握り締められて行く。
案外力あったんだねぇ、痛い痛い折れるよーバキッと行くよーギブギブ!
「いつからでしょうか?」
「え、えっと……中1イタタタタタタッ!?」
「はぁ、もう良いよ。こう言うのも、ちゃんと言わないから駄目なんだよね」
お、お許し頂けたみたいで何よりで。うん、これからは凛ちゃんの地雷を踏まない様に全力で気を付けよう。
ガチで怒らせて、俺の救出劇が無駄になってはたまらない。今まで以上に、女心と言うモノを勉強して行こうと思います。
「幼稚園からずっとだよ」
「……え? マジ?」
「本当だよ。涼ちゃんを好きでいた期間の長さは、誰にも負けないからね」
そりゃあ、怒りたくもなりますよ。そんなに前からだったなんて。俺、やっぱり鈍感系主人公かも知れないわ。
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