死神の神子と魔弾の機工士

ナカジマ

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第4章

第162話 遺跡の存在意義

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 清志せいじとアイナは与那国島の海底遺跡の探索を続けている。単なる旅行のつもりだった2人は、ラフな格好で歩いている。
 短めの黒髪をセンターパートにセットした清志は、1日目に買ったアロハシャツと短パンを合わせている。
 アイナは金髪を後頭部でお団子ヘアーに纏めている。彼女はヘソ出しのチビTシャツにデニムのショートパンツ。
 どちらもスニーカーを履いている。明らかに遺跡の探索をする服装ではないが、特に気にした様子も見せずに2人は先へと進んで行く。

「思った以上に大きいぞこの遺跡」

 清志は広い回廊を進みながら呟く。少しずつ地下へ地下へと降りて行きながら。

「海の中にこれだけの規模の遺跡があったなんて、不思議よねぇ。外からは探知出来ない様な仕掛けでもあるのかもね」

 アイナは壁を調べながら歩いている。相変わらず壁画が描かれており、何かを後世に伝えようと遺されたのが分かる。
 あくまで学者ではないので勘でしかないが、アイナから見て少しずつ時代が変わって行っている様に感じる。
 古代人の歴史を遡って行っている様に、奥に進むにつれて壁画の内容が変わっていく。

「古代のセキュリティか……現代人が知らなさ過ぎて気づけないって可能性もあるか」

「そうそう、ロストテクノロジーみたいな」

 これだけ技術が進んだ現代でも、製法が分からない物体などがある。例えばピラミッドやナスカの地上絵など、出来上がったものと過程が一致しない代物。
 どう考えても当時の技術では作れない筈なのに、実際には完成してしまっている。それと近い何かがあるのではと、2人は考え始めた。

「レヴィアタンもそうだったけど、俺達の知らない事が多いよなぁ」

 現在でも分かっていない複数の謎。深海の探査や宇宙について。そもそも生命の神秘すらも、解き明かせていない事だらけだ。
 こうだったのではないか、という仮説なら沢山あっても真実はどうか分からない。今2人が居る遺跡の様に、何も分かっていない古代文明が幾つも残されている。

「アメリカにもまだハッキリとしていない古代文明が色々とあるわ」

 マヤ文明消失の真相や、メソアメリカ関連の遺跡、古代プエブロ人についてなど。現代人が今もまだ謎を追い続けている文明は複数ある。
 まだ発見出来ていない文明もまだまだあると思われている。特に近年注目されているのは、失われた古代魔術に関する情報だ。
 今ほど医療技術が発展していなかったのに、古代魔術で治療を施していた可能性が浮上した。
 現代医療と変わらない程の優れた魔術が、あったのではないか。そんな説が唱えられて、研究者達を賑わせた。

「ここを調べて何か分かれば良いけど……それにしても何の施設なんだ?」

 未だにこの遺跡が何をする為に作られたのか分からない。現状は古代人の生活や人生についての記録がただ只管に綴られているだけだ。

「ずっと通路が続くだけじゃねぇ。何とも言えないわ」

 もう30分近く歩いているが、地下へと下りる緩やかな坂が螺旋状に続いているだけ。
 この通路にも何か意味はあるのだろうが、2人の知識では判断が出来ない。そろそろ同じ景色に飽き始めた頃、明確な変化が現れ始める。
 清志が一歩踏み出した先で、床が少し沈み込む。

「ん? ……おわっ!?」

 壁から石槍が清志を目掛けて突き出してきた。ギリギリの所で回避し、どうにか負傷を免れる。

「なるほど、ここからはそんな感じなのね」

 ただの廊下は終了し、ここからはトラップがあるらしい。壁画も今までと変わっており、何らかの文字がただ書かれているだけ。
 意味は分からないが、恐らくは注意喚起でも書かれているのだろうと2人は判断した。

「この門をくぐる者がどうとか、そういう事か?」

「多分そうじゃない? 気をつけて進みましょう」

 そうは言っても2人はこの手のプロではない。清志も簡単な探査の魔術は使えるが、どんな罠か正確に把握出来るだけの精度はない。
 そしてアイナは錬金術しか使えない。必然的に2人の対処方法、優れた反射神経と高い戦闘能力を活かす形になる。

「おっと、危ないわね」

 いつの間にかアイナの手に握られていた2丁の拳銃が、発砲音を立てて飛来する矢を撃ち落とす。 
「今度は天井か!」

 大鎌を出現させた清志は、天井から降って来る大量の針を迎撃する。

「これ、多分何かの毒だよな?」

「中々の殺意ねぇ」

 木材を尖らせた太い針には、何らかの液体が塗られていた。殺傷性の高い毒なのか、それとも神経毒の類か。
 少なくとも健康に良さそうには見えない毒々しい紫色をしていた。急に跳ね上がった危険度に、2人は警戒しながら先へと進む。

「でもこの罠、致命的なのは無いなぁ。水責めとか」

「確かに。全部対処可能なものばかりね」

 それは2人の戦闘能力が高いからでもあるが、急に爆発したり回避不能だったりはしない。
 武器や防具を持っていれば、対処のしようはあるものばかり。まるで対応力を試すアスレチックの様だと2人は感じていた。

「ここからが本番って事か?」

「どうやらそうみたいね」

 この遺跡が持つ本当の姿が、少しずつ見え始めた。2人は罠の数々を跳ね除けながら更に奥を目指す。
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