死神の神子と魔弾の機工士

ナカジマ

文字の大きさ
173 / 184
第4章

第174話 清志と戦士長

しおりを挟む
 アイナが戦士長と戦っていた頃、清志せいじもまた同じ古代の戦士達と戦っていた。
 トリッキーな戦法の多いアイナとは違い、正統派な戦法で戦い抜いた清志。彼にとってこの連戦は非常に良い経験になっている。
 かつての戦士達が使う古の戦闘術は、現代の近接戦闘はかなり違っていた。
 恐らくは過去の再現で彼らが戦っていた悪魔達と、如何に上手く戦うかを突き詰めて行った先の技術。

 現代の魔術師は主に戦う相手は人間で、古代の戦士達とは大きく違っていた。もちろん現代でも人外と戦う事もあるが、主な相手ではない。
 その違いが戦闘技術に出ている。最初から自分よりも強く、肉体性能も高い相手と戦う為の武術。
 しっかりと見極めて的確な反撃を返す戦い方。無理な攻めは行わず確実な一撃を与える思考を元に、上手く組み立てられた戦術。

「%$#%¥##!」

「チッ!」

 パワーより技術を重視するタイプの清志だが、戦士長達はそれ以上に技術重視の戦法を取っている。
 彼らの特徴は目の良さにある。アイナが撃った銃弾を避けて見せたように、異様に優れた認識力。
 現代人を上回る高い視力と反射神経。日々人外を相手にせねばならないが故の、磨かれて来た高い能力。
 現代人の中高生は視力の平均が1.0と言われている。対して昔の人々は環境が全く違う為、現代人より動体視力が高かった事が分かっている。

「はぁっ!」

 カウンターで返された一撃を、ギリギリで避けた清志が反撃を行う。重い一撃を戦士長は受け止めるが、純粋な武器の重量差で圧される。
 清志は軽々と振るっているが、死神の大鎌はかなりの重量を誇る。石を加工した古の剣よりも重く大きい。


「%$#!?」

 思った以上に鋭い返しだったのか、戦士長は驚いている。清志はこの戦いを通じて、確実に戦闘技術が向上している。
 良い鍛錬なんて表現では足りないぐらい、参考になる戦法を見せられた。古の剣術、槍術、そして古代魔術。
 どれを取っても一流で、対峙した清志の血肉となっていく。自身の錬金術師しか使えないアイナと違い、清志は理解さえすれば古代魔術だって使える。すなわち。

「風よ!」

 現代の魔術は即応性を高める為に詠唱を必要としない。だがそれは効率化と研究が進んだ末の結果だ。
 まだ完全に理解していない清志は、幾つかのワードを唱える方法でしか古代魔術を使えない。何より現代の魔術は込められた魔力が感知し易い。
 そのせいで古代の戦士達に良く回避されていた。だが隠密性の高い古代の風魔術を身に着けた清志は、感知するのが難しい風の刃を放つ。

「¥&%$!?」

「まだまだ!」

 現代兵器というアドバンテージがあったアイナと違い、あくまで近接戦闘が主体の清志は純粋な技術で拮抗していた。
 だが戦いの中で成長していく清志が、少しずつ戦士長を押して行く。より重くなる一撃、より速くなる斬撃、的確なカウンター。
 清志がSランク魔術師になれたのは、何も血筋だけではない。清志本人が持っていた、身に着けるスピードにある。
 黄泉津大神よもつおおかみや黄泉の国で暮らす戦士達から、教えを受け続けた清志。その中で確実に磨かれて行った才能。
 相手を見極めて、取り入れられるモノは自分の技術とする。その才能がこの戦いでも十全に発揮されていた。

「&%&$$!!」

 戦士長が押され気味な現状を打破する為に、起死回生の反抗に出る。

「それはもう理解した!」

 ここまで戦った古代の戦士達が使う技術。強力な反撃で逆転を狙う構え。だがその技はもう清志には通じない。
 発生の速い雷魔術を撃ち込んで、戦士長の体勢を崩す。初動を潰された戦士長へ、猛攻を仕掛ける清志。
 横に薙ぎ払う一撃を、跳躍で躱す戦士長。だがそれは清志の狙い通りで、空中で逃げられない戦士長へ向けて勢いの乗った回し蹴りを放つ。

「#%!?」

「吹っ飛べ!」

 身体強化の魔術により脚力が大きく上昇した一撃が、戦士長の脇腹に突き刺さる。蹴られた戦士長は大きく飛ばされる。
 地面を転がりかけた戦士長だったが、どうにか剣を地面に突き刺して勢いを殺す。
 転倒こそ避けられたが、ダメージが大きかったのか戦士長はすぐに立ち上がれない。そこに清志からの追撃の魔術が飛ぶ。
 古代魔術と現代魔術を織り交ぜた牽制は、現代魔術を使えない戦士長には防御が難しい。感知し易い現代魔術がフェイントに使われ、本命の古代魔術が戦士長に命中する。

「これでっ!」

 清志は大きく振りかぶった斬撃が、袈裟斬りに振り下ろされた。死神の大鎌が戦士長を鎧ごと切り裂いて、戦士長の姿が消えていく。

「&%¥」

 消えて行く戦士長は、男臭い笑みを浮かべていた。良くやった戦士よ、清志はそう言われた気がした。

「ありがとうございました!」

 清志は消えていく戦士長に向けて、しっかりと頭を下げた。とても良い戦いが出来たと、晴れやかな気持ちで清志は戦いの余韻に浸っている。
 黄泉津大神達とはまた違った、良い師と刃を交えられたと清志は思っている。今よりも強くなりたいと思って居る清志にとって、最高の体験となった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

距離を置きたい女子たちを助けてしまった結果、正体バレして迫られる

歩く魚
恋愛
 かつて、命を懸けて誰かを助けた日があった。  だがその記憶は、頭を打った衝撃とともに、綺麗さっぱり失われていた。  それは気にしてない。俺は深入りする気はない。  人間は好きだ。けれど、近づきすぎると嫌いになる。  だがそんな俺に、思いもよらぬ刺客が現れる。  ――あの日、俺が助けたのは、できれば関わりたくなかった――距離を置きたい女子たちだったらしい。

ダンジョン学園サブカル同好会の日常

くずもち
ファンタジー
ダンジョンを攻略する人材を育成する学校、竜桜学園に入学した主人公綿貫 鐘太郎(ワタヌキ カネタロウ)はサブカル同好会に所属し、気の合う仲間達とまったりと平和な日常を過ごしていた。しかしそんな心地のいい時間は長くは続かなかった。 まったく貢献度のない同好会が部室を持っているのはどうなのか?と生徒会から同好会解散を打診されたのだ。 しかしそれは困るワタヌキ達は部室と同好会を守るため、ある条件を持ちかけた。 一週間以内に学園のため、学園に貢献できる成果を提出することになったワタヌキは秘策として同好会のメンバーに彼の秘密を打ちあけることにした。

罰ゲームから始まった、五人のヒロインと僕の隣の物語

ノン・タロー
恋愛
高校2年の夏……友達同士で行った小テストの点を競う勝負に負けた僕、御堂 彼方(みどう かなた)は、罰ゲームとしてクラスで人気のある女子・風原 亜希(かざはら あき)に告白する。 だが亜希は、彼方が特に好みでもなく、それをあっさりと振る。 それで終わるはずだった――なのに。 ひょんな事情で、彼方は亜希と共に"同居”することに。 さらに新しく出来た、甘えん坊な義妹・由奈(ゆな)。 そして教室では静かに恋を仕掛けてくる寡黙なクラス委員長の柊 澪(ひいらぎ みお)、特に接点の無かった早乙女 瀬玲奈(さおとめ せれな)、おまけに生徒会長の如月(きさらぎ)先輩まで現れて、彼方の周囲は急速に騒がしくなっていく。 由奈は「お兄ちゃん!」と懐き、澪は「一緒に帰らない……?」と静かに距離を詰める。 一方の瀬玲奈は友達感覚で、如月先輩は不器用ながらも接してくる。 そんな中、亜希は「別に好きじゃないし」と言いながら、彼方が誰かと仲良くするたびに心がざわついていく。 罰ゲームから始まった関係は、日常の中で少しずつ形を変えていく。 ツンデレな同居人、甘えたがりな義妹、寡黙な同クラ女子、恋愛に不器用な生徒会長、ギャル気質な同クラ女子……。 そして、無自覚に優しい彼方が、彼女たちの心を少しずつほどいていく。 これは、恋と居場所と感情の距離をめぐる、ちょっと不器用で、でも確かな青春の物語。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【魔物島】~コミュ障な俺はモンスターが生息する島で一人淡々とレベルを上げ続ける~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
【俺たちが飛ばされた魔物島には恐ろしいモンスターたちが棲みついていた――!?】 ・コミュ障主人公のレベリング無双ファンタジー! 十九歳の男子学生、柴木善は大学の入学式の最中突如として起こった大地震により気を失ってしまう。 そして柴木が目覚めた場所は見たことのないモンスターたちが跋扈する絶海の孤島だった。 その島ではレベルシステムが発現しており、倒したモンスターに応じて経験値を獲得できた。 さらに有用なアイテムをドロップすることもあり、それらはスマホによって管理が可能となっていた。 柴木以外の入学式に参加していた学生や教師たちもまたその島に飛ばされていて、恐ろしいモンスターたちを相手にしたサバイバル生活を強いられてしまう。 しかしそんな明日をも知れぬサバイバル生活の中、柴木だけは割と快適な日常を送っていた。 人と関わることが苦手な柴木はほかの学生たちとは距離を取り、一人でただひたすらにモンスターを狩っていたのだが、モンスターが落とすアイテムを上手く使いながら孤島の生活に順応していたのだ。 そしてそんな生活を一人で三ヶ月も続けていた柴木は、ほかの学生たちとは文字通りレベルが桁違いに上がっていて、自分でも気付かないうちに人間の限界を超えていたのだった。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語

jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
 中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ  ★作品はマリーの語り、一人称で進行します。

ダンジョントランスポーター ~ 現代に現れたダンジョンに潜ったらレベル999の天使に憑依されて運び屋になってしまった

海道一人
ファンタジー
二十年前、地球の各地に突然異世界とつながるダンジョンが出現した。 ダンジョンから持って出られるのは無機物のみだったが、それらは地球上には存在しない人類の科学や技術を数世代進ませるほどのものばかりだった。 そして現在、一獲千金を求めた探索者が世界中でダンジョンに潜るようになっていて、彼らは自らを冒険者と呼称していた。 主人公、天城 翔琉《あまぎ かける》はよんどころない事情からお金を稼ぐためにダンジョンに潜ることを決意する。 ダンジョン探索を続ける中で翔琉は羽の生えた不思議な生き物に出会い、憑依されてしまう。 それはダンジョンの最深部九九九層からやってきたという天使で、憑依された事で翔は新たなジョブ《運び屋》を手に入れる。 ダンジョンで最強の力を持つ天使に憑依された翔琉は様々な事件に巻き込まれていくのだった。

処理中です...