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第1章
第34話 大人の事情と未成年
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「西山製薬の強制捜査が出来ないって、どう言う事ですか!?」
「どうもこうもあらへんて。向こうさんもアホやないって事や」
清志とアイナの2人が得た手掛かり、それによって進展する切っ掛けになると思われていた不死者事件。しかし残念ながらそうならなかった。
魔導協会京都支部の支部長室で、支部長である波多野圭一に清志が思わず詰め寄る。
彼を責めても仕方がないのだが、だからと言って清志達としては到底納得が行く話ではない。
せっかくテロリスト達の動向を探れる筈が、白紙に戻されたとなっては簡単には首を縦には振れない。
「何があったと言うの?」
「まあ、良くある話やけどね。これ見たら分かるわ」
波多野が支部長室のモニターを付ける。そこでは西山製薬の上層部が行っている、謝罪会見の様子が中継されていた。
先日特別講義の為に、嵯峨学園に来ていた斎藤和真を筆頭に会社の役員達が質疑に答えている。
責任問題や倫理的な問題、道徳的にかなりの問題があるのではないかと記者達から質問が飛ぶ。
その一つ一つに役員達が返答を返して行く。良くある光景と言えばそれまでの、既視感が溢れる映像が続いて行く。
『今回の責任について、どうお考えですか?』
『下請けと一部の社員が行った事とは言え、今まで気付けなかった我々の責任は重く受け止めております』
『今後の管理体制などは、どうなるのでしょうか?』
『先ずは警察と魔導協会の監査の結果を受けてから、改めて第三者を招き二度とこの様な事が起きない管理体制を整えて行くつもりです』
斎藤和真がハキハキと今後の展開について答えて行く。絵面だけで言えば、実に無難で在り来りだ。
しかし改善点は自信満々に、かつ失態については申し訳なさそうに話す姿は好意的に見えるだろう。
今勢いのある会社の、40代の責任者が真摯に答える姿は実にテレビ映えしていた。そこだけを見れば殆どの人間は納得してしまうだろう。
裏ではとんでもない悪事を働いていたとしても、そんな疑いを掛ける一般人は早々居ないだろう。
「監査止まりですか!? そんなの証拠を隠されて終わりでしょう!」
「仕方ないんや、えらい長い尻尾があるみたいやしな」
「攻め立てても、逃げる口実は幾らでもありそうね」
「クソッ! また最初からかよ」
実質的にはスタート地点へ逆戻りした様なもの。別口から攻められるかと思いきや、素早いトカゲの尻尾切りで対応されてしまった。
テロリストと関係を持つ様な企業が、簡単に手の内を晒す様な真似はしないと言えばそれまでだ。
実に周到に立ち回っているらしく、この程度では揺らぎもしないらしい。この様子では似たような別口から攻めたとしても、同じ様に躱されてしまうだろう。
後日行われる監査の方も、恐らくは何の効果も無いだろう。探られて痛む様な腹は事前に綺麗にされてしまう。
「あんまり若い子の前ではこんな事言いた無いけどな、お金と根回しがあったらこうなるんが大人の世界や」
「はぁ……どこの国も一緒なのね」
「嫌な話だ」
こればかりは仕方がない。正式な手順を持って、辻褄を合わされてしまえばそれまでだ。疑わしきは罰せよで好きなだけ攻める事は出来ない。
怪しいから、なんて理由だけでは警察も魔導協会も強引な手段に出る事は出来ない。今回の件については、警察も煮え湯を飲まされている。
怪しいのは分かっていても、証拠が何もないのでは話にならない。そして今回の相手は、見事にその尻尾すら掴ませてくれない。目の前に容疑者が居ると言うのに、何とも歯痒い話であった。
「で、このまま黙っているの?」
「そんなわけあらへん。監査には君等も参加して貰うよ」
「俺達が?」
波多野圭一と言う男は、ここで攻め手を引っ込める様な存在ではない。そちらがその気であるならば、こちらも全力で攻めようと言う考えだ。
敵の本拠地に貴重なSランク魔術師の投入、切り札を出し惜しみせずしっかり切って行く。押して駄目なら更に強く押すスタイルだ。
どちらが先に音を上げるか、そう言う戦いへと移行するつもりだ。このまま黙って手をこまねいていても進展はしない。ならば全力前進で突き進むまで。
「幾らSランクや言うても好奇心旺盛な学生やんか~? 途中でどっか行ってもうても仕方ないやんなぁ? そう思わへん?」
「あ~確かにそうかも。私、昔から落ち着きが無いって良く言われていたのよ~」
「なるほど、そう言う事ですか」
言い分としては中々に厳しいものがある。Sランクの執行者が監査の途中でフラフラと何処かへ行く筈がない。
しかし先にそう言う方向性で舵を切ったのは西山製薬だ。魔導協会側が同じ白を切ったとて文句は言えない。
あとは波多野が如何に上手く切り抜けるかだけの話である。それに執行者と言っても、清志もアイナも未成年である。
子供がやった事だから、と言う万能の魔法が使えるのだ。魔力を消費しない素晴らしい現代魔法である。
「探検の最中に変なもん見付けてしまったらしゃーないやん? って事で宜しく頼むわ」
「任せて頂戴!」
「分かりました!」
西山製薬への監査、そのメンバーに世界最高峰の魔術師でありながらも、とてもやんちゃな少年少女が混ざり込む事になった。
「どうもこうもあらへんて。向こうさんもアホやないって事や」
清志とアイナの2人が得た手掛かり、それによって進展する切っ掛けになると思われていた不死者事件。しかし残念ながらそうならなかった。
魔導協会京都支部の支部長室で、支部長である波多野圭一に清志が思わず詰め寄る。
彼を責めても仕方がないのだが、だからと言って清志達としては到底納得が行く話ではない。
せっかくテロリスト達の動向を探れる筈が、白紙に戻されたとなっては簡単には首を縦には振れない。
「何があったと言うの?」
「まあ、良くある話やけどね。これ見たら分かるわ」
波多野が支部長室のモニターを付ける。そこでは西山製薬の上層部が行っている、謝罪会見の様子が中継されていた。
先日特別講義の為に、嵯峨学園に来ていた斎藤和真を筆頭に会社の役員達が質疑に答えている。
責任問題や倫理的な問題、道徳的にかなりの問題があるのではないかと記者達から質問が飛ぶ。
その一つ一つに役員達が返答を返して行く。良くある光景と言えばそれまでの、既視感が溢れる映像が続いて行く。
『今回の責任について、どうお考えですか?』
『下請けと一部の社員が行った事とは言え、今まで気付けなかった我々の責任は重く受け止めております』
『今後の管理体制などは、どうなるのでしょうか?』
『先ずは警察と魔導協会の監査の結果を受けてから、改めて第三者を招き二度とこの様な事が起きない管理体制を整えて行くつもりです』
斎藤和真がハキハキと今後の展開について答えて行く。絵面だけで言えば、実に無難で在り来りだ。
しかし改善点は自信満々に、かつ失態については申し訳なさそうに話す姿は好意的に見えるだろう。
今勢いのある会社の、40代の責任者が真摯に答える姿は実にテレビ映えしていた。そこだけを見れば殆どの人間は納得してしまうだろう。
裏ではとんでもない悪事を働いていたとしても、そんな疑いを掛ける一般人は早々居ないだろう。
「監査止まりですか!? そんなの証拠を隠されて終わりでしょう!」
「仕方ないんや、えらい長い尻尾があるみたいやしな」
「攻め立てても、逃げる口実は幾らでもありそうね」
「クソッ! また最初からかよ」
実質的にはスタート地点へ逆戻りした様なもの。別口から攻められるかと思いきや、素早いトカゲの尻尾切りで対応されてしまった。
テロリストと関係を持つ様な企業が、簡単に手の内を晒す様な真似はしないと言えばそれまでだ。
実に周到に立ち回っているらしく、この程度では揺らぎもしないらしい。この様子では似たような別口から攻めたとしても、同じ様に躱されてしまうだろう。
後日行われる監査の方も、恐らくは何の効果も無いだろう。探られて痛む様な腹は事前に綺麗にされてしまう。
「あんまり若い子の前ではこんな事言いた無いけどな、お金と根回しがあったらこうなるんが大人の世界や」
「はぁ……どこの国も一緒なのね」
「嫌な話だ」
こればかりは仕方がない。正式な手順を持って、辻褄を合わされてしまえばそれまでだ。疑わしきは罰せよで好きなだけ攻める事は出来ない。
怪しいから、なんて理由だけでは警察も魔導協会も強引な手段に出る事は出来ない。今回の件については、警察も煮え湯を飲まされている。
怪しいのは分かっていても、証拠が何もないのでは話にならない。そして今回の相手は、見事にその尻尾すら掴ませてくれない。目の前に容疑者が居ると言うのに、何とも歯痒い話であった。
「で、このまま黙っているの?」
「そんなわけあらへん。監査には君等も参加して貰うよ」
「俺達が?」
波多野圭一と言う男は、ここで攻め手を引っ込める様な存在ではない。そちらがその気であるならば、こちらも全力で攻めようと言う考えだ。
敵の本拠地に貴重なSランク魔術師の投入、切り札を出し惜しみせずしっかり切って行く。押して駄目なら更に強く押すスタイルだ。
どちらが先に音を上げるか、そう言う戦いへと移行するつもりだ。このまま黙って手をこまねいていても進展はしない。ならば全力前進で突き進むまで。
「幾らSランクや言うても好奇心旺盛な学生やんか~? 途中でどっか行ってもうても仕方ないやんなぁ? そう思わへん?」
「あ~確かにそうかも。私、昔から落ち着きが無いって良く言われていたのよ~」
「なるほど、そう言う事ですか」
言い分としては中々に厳しいものがある。Sランクの執行者が監査の途中でフラフラと何処かへ行く筈がない。
しかし先にそう言う方向性で舵を切ったのは西山製薬だ。魔導協会側が同じ白を切ったとて文句は言えない。
あとは波多野が如何に上手く切り抜けるかだけの話である。それに執行者と言っても、清志もアイナも未成年である。
子供がやった事だから、と言う万能の魔法が使えるのだ。魔力を消費しない素晴らしい現代魔法である。
「探検の最中に変なもん見付けてしまったらしゃーないやん? って事で宜しく頼むわ」
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