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第1章
第41話 襲撃者の能力
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突然の襲撃に遭った清志とアイナは、可能な限り周囲を巻き込まない場所を探して二手に分かれて行動を始めた。
Sランク2人に推定Aランクらしき2人が、ごく普通の住宅地で派手に戦闘を行えば甚大な被害が出るのは避けられない。
いたずらに死傷者を出していては、何の為の魔導協会なのか分かったものではない。それ故にそれなりの広さと、人的な被害が出難い場所に移動する必要があった。
もちろんその合間で、魔導協会への緊急連絡も行っている。恐らく一連の事件と関係があると判断した2人は即座に連絡を入れている。
「安達さん! 襲撃を受けた! 恐らく中東解放戦線だ」
『嘘でしょ!? どうして突然そんな』
「理由は分からないけど、とりあえず対処するから追跡して欲しい」
タイミングとしてはやや不自然な襲撃に、魔導協会も混乱していた。監査チームを襲撃するならまだしも、このタイミングでわざわざSランクコンビを狙う理由が無かった。
アイナからも連絡が入っている為に、オペレータールームはちょっとした騒ぎとなっている。
その間にも清志は、相手が使う魔術で被害が出ない様に対処しながら駆けて行く。土で出来た槍を破壊し、石弾を撃ち落とし岩塊を粉砕する。
そこまで目立った被害を出す事もなく移動した、山中の広場で清志は足を止めた。追跡して来た男も同様に足を止めた。
「それで、名乗りもせずに攻撃して来たお前は何者だ?」
「……」
「卑怯者に常識な回答を求めても仕方ないか」
「卑怯者、違う。オレ、カミル」
「こりゃ失礼、無口なだけね」
そう返しながら清志はカミルに向けて突撃する。どちらかと言えば近接戦闘の方が得意な清志は、自分の得意な距離へと持ち込む。
剣よりは遠く、槍よりは近い絶妙な距離感で戦闘を進める。その間にも通信で確認を取った情報から、相手の詳細が判明した。
今清志が対峙しているのは、中東解放戦線のナンバー3。カミル・ラドワーンと言う名前と使用魔術だけが判明していた男だった。ここに来て本命の幹部が登場した事に清志は喜んでいた。
「アンタを潰せば、結構な痛手になりそうだな!」
「オレ、負けた事、ない」
「なら初めての敗北を経験して貰う!」
果敢に攻め立てる清志に、徐々に押され始めるカミル。SランクとAランクの壁は厚い。そもそもの魔力量が違い過ぎるので、全力で魔術を行使されるといずれ押し負ける。
どれだけ戦場で経験を積んでいても、その差を覆すのは容易ではない。それに清志は素人ではなく、戦闘経験も豊富だ。
実戦経験の差なども2人の間には殆ど無い。誰にも邪魔をされない環境下で、好きな様に戦える。その状況では清志に有利で当然だった。
「これで終わりだ!」
「ぐっ」
「はぁっ!!」
大鎌によって斬り裂かれたカミルの右腕が宙を舞う。肩から先を失ったカミルの右肩から、鮮血が噴き出す。
激痛に蹲るカミルに切っ先を向けた清志は、最後通告を伝える為に口を開こうとした。その瞬間に事態は急変する。
いつの間にか失った筈のカミルの右腕は元に戻っていた。一瞬にして生えて来た新たな腕で、カミルは土槍を振り回す。
「どうなっている!? 回復魔術でもそんなに早く回復しないぞ!?」
「オレ、無敵」
「だったらこれで!」
今度は左足を斬り飛ばし、倒れたカミルの右腕を再び斬り飛ばす。そんな清志の攻撃も虚しく、またしてもカミルの体は再生する。
回復魔術を使えば切断された手足の再生や、失われた臓器の再生も可能となる。しかしそれは、今起きている様に一瞬で新たに生えると言うものではない。
完全に切断された腕の場合、すぐに治すには斬られた腕が必要だ。新たに生やすとなれば、数ヶ月は必要となる。それにも関わらず、ほんの数秒で完治するなど普通は有り得ない。
「どうなっているんだ安達さん!? こいつ斬ってもすぐ回復するんだけど!?」
『ちょっと待って!? そんな能力報告に無いわ!』
「こんなの有り得ないって! 不死者でもないのにどうなっているんだ!?」
傷を負っても自然治癒するのは一部の不死者が持つ能力だ。だがそれは、生きた人間には使えない力だ。
不死者の回復は、死体の再生に過ぎず生きた肉体を復活させる力ではない。死んだ細胞は死んだままであり、本当にただ元に戻るだけ。
死体が元あった状態に戻るだけで、こんな風に生きた人間の肉体を瞬時に生きた状態に戻す力は存在しない。
それならこの状態は何だと言う事になるが、魔導協会としても未知の力としか判断は出来ない。
「まさか、あの不死者と関係あるのか? なら阻害魔術で!」
「無駄、効かない」
「別の力なのか!? 魔術じゃない!?」
清志は例の不死者事件と同じ様に、阻害魔術を使えば再生力も失うのではないかと判断した。しかしそれでも効果は見られず、また斬られた場所が回復してしまった。
死なない兵士と化した相手は、清志としても非常にやり辛い。幾ら戦力に差があったとしても、死なない相手が死を恐れずに攻めて来るとなると話は変わる。
どれだけ斬っても死なない相手に、清志も流石に疲れが出始める。大量の魔力があっても、肉体的な限界はある。
Sランクと言えども、いつまでもずっと戦い続けられるわけでは無い。当然戦っていれば疲労は溜まる。
今すぐ倒れるほど清志は貧弱ではないものの、このままではいずれ限界が来てしまう。
「クソッ! アイナの方は大丈夫なのか!?」
恐らくは同じ力を使用しているであろう、もう一人の男と戦闘している筈のパートナー。そして自分の相手への対処、少しずつ悪くなって行く状況に清志は焦りを感じ始めていた。
Sランク2人に推定Aランクらしき2人が、ごく普通の住宅地で派手に戦闘を行えば甚大な被害が出るのは避けられない。
いたずらに死傷者を出していては、何の為の魔導協会なのか分かったものではない。それ故にそれなりの広さと、人的な被害が出難い場所に移動する必要があった。
もちろんその合間で、魔導協会への緊急連絡も行っている。恐らく一連の事件と関係があると判断した2人は即座に連絡を入れている。
「安達さん! 襲撃を受けた! 恐らく中東解放戦線だ」
『嘘でしょ!? どうして突然そんな』
「理由は分からないけど、とりあえず対処するから追跡して欲しい」
タイミングとしてはやや不自然な襲撃に、魔導協会も混乱していた。監査チームを襲撃するならまだしも、このタイミングでわざわざSランクコンビを狙う理由が無かった。
アイナからも連絡が入っている為に、オペレータールームはちょっとした騒ぎとなっている。
その間にも清志は、相手が使う魔術で被害が出ない様に対処しながら駆けて行く。土で出来た槍を破壊し、石弾を撃ち落とし岩塊を粉砕する。
そこまで目立った被害を出す事もなく移動した、山中の広場で清志は足を止めた。追跡して来た男も同様に足を止めた。
「それで、名乗りもせずに攻撃して来たお前は何者だ?」
「……」
「卑怯者に常識な回答を求めても仕方ないか」
「卑怯者、違う。オレ、カミル」
「こりゃ失礼、無口なだけね」
そう返しながら清志はカミルに向けて突撃する。どちらかと言えば近接戦闘の方が得意な清志は、自分の得意な距離へと持ち込む。
剣よりは遠く、槍よりは近い絶妙な距離感で戦闘を進める。その間にも通信で確認を取った情報から、相手の詳細が判明した。
今清志が対峙しているのは、中東解放戦線のナンバー3。カミル・ラドワーンと言う名前と使用魔術だけが判明していた男だった。ここに来て本命の幹部が登場した事に清志は喜んでいた。
「アンタを潰せば、結構な痛手になりそうだな!」
「オレ、負けた事、ない」
「なら初めての敗北を経験して貰う!」
果敢に攻め立てる清志に、徐々に押され始めるカミル。SランクとAランクの壁は厚い。そもそもの魔力量が違い過ぎるので、全力で魔術を行使されるといずれ押し負ける。
どれだけ戦場で経験を積んでいても、その差を覆すのは容易ではない。それに清志は素人ではなく、戦闘経験も豊富だ。
実戦経験の差なども2人の間には殆ど無い。誰にも邪魔をされない環境下で、好きな様に戦える。その状況では清志に有利で当然だった。
「これで終わりだ!」
「ぐっ」
「はぁっ!!」
大鎌によって斬り裂かれたカミルの右腕が宙を舞う。肩から先を失ったカミルの右肩から、鮮血が噴き出す。
激痛に蹲るカミルに切っ先を向けた清志は、最後通告を伝える為に口を開こうとした。その瞬間に事態は急変する。
いつの間にか失った筈のカミルの右腕は元に戻っていた。一瞬にして生えて来た新たな腕で、カミルは土槍を振り回す。
「どうなっている!? 回復魔術でもそんなに早く回復しないぞ!?」
「オレ、無敵」
「だったらこれで!」
今度は左足を斬り飛ばし、倒れたカミルの右腕を再び斬り飛ばす。そんな清志の攻撃も虚しく、またしてもカミルの体は再生する。
回復魔術を使えば切断された手足の再生や、失われた臓器の再生も可能となる。しかしそれは、今起きている様に一瞬で新たに生えると言うものではない。
完全に切断された腕の場合、すぐに治すには斬られた腕が必要だ。新たに生やすとなれば、数ヶ月は必要となる。それにも関わらず、ほんの数秒で完治するなど普通は有り得ない。
「どうなっているんだ安達さん!? こいつ斬ってもすぐ回復するんだけど!?」
『ちょっと待って!? そんな能力報告に無いわ!』
「こんなの有り得ないって! 不死者でもないのにどうなっているんだ!?」
傷を負っても自然治癒するのは一部の不死者が持つ能力だ。だがそれは、生きた人間には使えない力だ。
不死者の回復は、死体の再生に過ぎず生きた肉体を復活させる力ではない。死んだ細胞は死んだままであり、本当にただ元に戻るだけ。
死体が元あった状態に戻るだけで、こんな風に生きた人間の肉体を瞬時に生きた状態に戻す力は存在しない。
それならこの状態は何だと言う事になるが、魔導協会としても未知の力としか判断は出来ない。
「まさか、あの不死者と関係あるのか? なら阻害魔術で!」
「無駄、効かない」
「別の力なのか!? 魔術じゃない!?」
清志は例の不死者事件と同じ様に、阻害魔術を使えば再生力も失うのではないかと判断した。しかしそれでも効果は見られず、また斬られた場所が回復してしまった。
死なない兵士と化した相手は、清志としても非常にやり辛い。幾ら戦力に差があったとしても、死なない相手が死を恐れずに攻めて来るとなると話は変わる。
どれだけ斬っても死なない相手に、清志も流石に疲れが出始める。大量の魔力があっても、肉体的な限界はある。
Sランクと言えども、いつまでもずっと戦い続けられるわけでは無い。当然戦っていれば疲労は溜まる。
今すぐ倒れるほど清志は貧弱ではないものの、このままではいずれ限界が来てしまう。
「クソッ! アイナの方は大丈夫なのか!?」
恐らくは同じ力を使用しているであろう、もう一人の男と戦闘している筈のパートナー。そして自分の相手への対処、少しずつ悪くなって行く状況に清志は焦りを感じ始めていた。
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