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第2章
第67話 誰も居ない豪華客船
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救難信号が発信された海域は、小笠原諸島周辺から数kmほど西に進んだ位置だった。そこには少し年季の入った豪華客船が浮かんでおり、少なくとも海上に出ている船体に損傷は見られない。
調査船から見える範囲には乗員も見当たらず、人の気配がまるで感じられなかった。
「でけぇ船だな」
「ああ。富裕層向けのツアーか何かかな」
「あ、清志あそこ!」
アイナの指さす先では、ワタツミに所属する船員達が何やら困り果てた様子で調査船に戻って来ていた。
彼らの表情は困惑に満ちていた。救助者を連れて来てもいないし、ワタツミの船員が豪華客船からただ降りてくるばかり。
縄梯子を登って行った全員が帰還するも、船長達とただ話し込むだけ。何をするでも無く頭を悩ませる大人達に、清志達は声を掛ける事にした。
「何かあったんですか?」
「ああいや、どうも船員がいないらしくてね」
「え? 救難信号を出していたんですよね?」
「でも、操舵室に誰も居ないんだよ」
船内に入った者達が言うには、甲板や操舵室には誰も居ないとの事。流石に大きな船なので、数人で探し周るのも大変なので一度報告に戻ったらしい。
船員達は魔術師では無いので、魔術を使って捜索する事も出来ない。到着前の無線にも反応が無かった為、船長も不審には思っていたらしい。
それがこうなったのだから、船員達が対応に困るのも当然と言えた。まるで狐につままれたかの様な事態に、大人達は困惑していた。
「そんなホラームービーじゃないんだから」
「ちょ、止めて下さる!? 不謹慎でしてよ!」
「あ、もしかしてシャーロット怖いの苦手?」
アイナの発言に反応したシャーロットをアイナが誂う。留学生2人が騒いでいる間に、清志が船員達と話を進める。
亮二と茉莉の2人は探査系の魔術が使用出来る。箱の中身を調べたり、建物の中に居る人数を把握すると言った事が可能だ。
生憎と清志はあまり得意ではないので、殆ど使用する事はない。せいぜいお菓子の箱の中身を調べる程度が限界だ。
こう言う時は適材適所、得意な者が居るのだから任せれば良いと清志は判断した。しかし現実と言うのは、そう上手くはいかないものだ。
「駄目だ、妨害されていて殆ど分からねぇ」
「こっちも駄目ね、ジャミング装置でもあるのかも」
「おいおい、ただの豪華客船じゃないのか?」
清志の問いに答えられる者は居ない。触れた建物や乗り物の内部を調べる茉莉の魔術と、式神を飛ばす亮二の魔術の両方が何らかの妨害により遮断された。
2人ともAランクの優秀な魔術師であり、そんな簡単には妨害などされない。にも関わらず、こんなにもあっさりと妨害されてしまった。
それはつまり、その手の魔術に対する強力な対策をしていると言う事に繋がる。もちろん不埒な理由で室内を覗いたりする為の対策は普通行われる。
しかしそれはAランクの魔術すら妨害するレベルではない。元々Aランクの探査魔術使いは、厳しい面接を突破せねばならない。
プライバシーを侵害する様な使い方をする人間性では困るからだ。だから本来そこまで強力な対策はしない。国家元首が乗る様な乗り物でもない限りは。
「アドベンチャー号ねぇ。大統領が乗る船には見えねぇな」
「と言うかこんな船、登録にあったかしら?」
「……いや、待ってくれ。昔どこかで聞いた様な」
「本当ですか船長さん?」
どうやら思い当たる節があるらしい船長は、記憶を探る様に目を閉じて唸りだす。船体に書かれているのは日本語なので、日本の船だと言うのは分かる。
しかしそれ以外は不明の不思議な豪華客船に、少々不気味なものを全員が感じ始めていた。本当にアイナが言った様に、ホラー映画の一幕を思わせる展開だ。
この科学と魔術の時代に幽霊船なんて、と言いたくても言えないから困るのだ。悪霊や幽霊は実在しているので、絶対に無いとは言い切れない。実際に幽霊船が存在する説も出ているのだ。
「すまない、今すぐには思い出せないよ」
「何の情報も無しの怪しい船か……」
「ねぇ、結局どうなったの?」
「ああ、それがな」
後ろで騒がしくしていたアイナ達が会話に加わり、清志が状況を説明する。話を聞いている内に、青い顔に変わるシャーロットと面白そうな表情に変わっていくアイナ。
2人の表情は実に対照的でコミカルに見えた。特に肌が白いシャーロットの青褪め具合は大袈裟に見える。
真っ青になったシャーロットが後退りをしようとするも、アイナがその手を掴んで離そうとしない。腕力は圧倒的にアイナの勝ちである為、シャーロットは逃げる事が出来ない。
「面白そうね! 見に行きましょう!」
「行きませんわよ! 私は絶対行きません!」
「Let’s Go!」
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
普段から訓練で慣れている為、少女1人を背負ったままでも縄梯子ぐらいアイナは簡単に登れてしまう。
シャーロットの悲鳴を背負いながら、サクサクとアイナは豪華客船の甲板に降り立った。こうなってはもう仕方ないかと清志達も船内の調査に加わる事となった。
数人の船員と、先に上がった2人。そして清志と愛花、茉莉に亮二の4人も参加し謎の豪華客船アドベンチャー号の調査が始まった。
調査船から見える範囲には乗員も見当たらず、人の気配がまるで感じられなかった。
「でけぇ船だな」
「ああ。富裕層向けのツアーか何かかな」
「あ、清志あそこ!」
アイナの指さす先では、ワタツミに所属する船員達が何やら困り果てた様子で調査船に戻って来ていた。
彼らの表情は困惑に満ちていた。救助者を連れて来てもいないし、ワタツミの船員が豪華客船からただ降りてくるばかり。
縄梯子を登って行った全員が帰還するも、船長達とただ話し込むだけ。何をするでも無く頭を悩ませる大人達に、清志達は声を掛ける事にした。
「何かあったんですか?」
「ああいや、どうも船員がいないらしくてね」
「え? 救難信号を出していたんですよね?」
「でも、操舵室に誰も居ないんだよ」
船内に入った者達が言うには、甲板や操舵室には誰も居ないとの事。流石に大きな船なので、数人で探し周るのも大変なので一度報告に戻ったらしい。
船員達は魔術師では無いので、魔術を使って捜索する事も出来ない。到着前の無線にも反応が無かった為、船長も不審には思っていたらしい。
それがこうなったのだから、船員達が対応に困るのも当然と言えた。まるで狐につままれたかの様な事態に、大人達は困惑していた。
「そんなホラームービーじゃないんだから」
「ちょ、止めて下さる!? 不謹慎でしてよ!」
「あ、もしかしてシャーロット怖いの苦手?」
アイナの発言に反応したシャーロットをアイナが誂う。留学生2人が騒いでいる間に、清志が船員達と話を進める。
亮二と茉莉の2人は探査系の魔術が使用出来る。箱の中身を調べたり、建物の中に居る人数を把握すると言った事が可能だ。
生憎と清志はあまり得意ではないので、殆ど使用する事はない。せいぜいお菓子の箱の中身を調べる程度が限界だ。
こう言う時は適材適所、得意な者が居るのだから任せれば良いと清志は判断した。しかし現実と言うのは、そう上手くはいかないものだ。
「駄目だ、妨害されていて殆ど分からねぇ」
「こっちも駄目ね、ジャミング装置でもあるのかも」
「おいおい、ただの豪華客船じゃないのか?」
清志の問いに答えられる者は居ない。触れた建物や乗り物の内部を調べる茉莉の魔術と、式神を飛ばす亮二の魔術の両方が何らかの妨害により遮断された。
2人ともAランクの優秀な魔術師であり、そんな簡単には妨害などされない。にも関わらず、こんなにもあっさりと妨害されてしまった。
それはつまり、その手の魔術に対する強力な対策をしていると言う事に繋がる。もちろん不埒な理由で室内を覗いたりする為の対策は普通行われる。
しかしそれはAランクの魔術すら妨害するレベルではない。元々Aランクの探査魔術使いは、厳しい面接を突破せねばならない。
プライバシーを侵害する様な使い方をする人間性では困るからだ。だから本来そこまで強力な対策はしない。国家元首が乗る様な乗り物でもない限りは。
「アドベンチャー号ねぇ。大統領が乗る船には見えねぇな」
「と言うかこんな船、登録にあったかしら?」
「……いや、待ってくれ。昔どこかで聞いた様な」
「本当ですか船長さん?」
どうやら思い当たる節があるらしい船長は、記憶を探る様に目を閉じて唸りだす。船体に書かれているのは日本語なので、日本の船だと言うのは分かる。
しかしそれ以外は不明の不思議な豪華客船に、少々不気味なものを全員が感じ始めていた。本当にアイナが言った様に、ホラー映画の一幕を思わせる展開だ。
この科学と魔術の時代に幽霊船なんて、と言いたくても言えないから困るのだ。悪霊や幽霊は実在しているので、絶対に無いとは言い切れない。実際に幽霊船が存在する説も出ているのだ。
「すまない、今すぐには思い出せないよ」
「何の情報も無しの怪しい船か……」
「ねぇ、結局どうなったの?」
「ああ、それがな」
後ろで騒がしくしていたアイナ達が会話に加わり、清志が状況を説明する。話を聞いている内に、青い顔に変わるシャーロットと面白そうな表情に変わっていくアイナ。
2人の表情は実に対照的でコミカルに見えた。特に肌が白いシャーロットの青褪め具合は大袈裟に見える。
真っ青になったシャーロットが後退りをしようとするも、アイナがその手を掴んで離そうとしない。腕力は圧倒的にアイナの勝ちである為、シャーロットは逃げる事が出来ない。
「面白そうね! 見に行きましょう!」
「行きませんわよ! 私は絶対行きません!」
「Let’s Go!」
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
普段から訓練で慣れている為、少女1人を背負ったままでも縄梯子ぐらいアイナは簡単に登れてしまう。
シャーロットの悲鳴を背負いながら、サクサクとアイナは豪華客船の甲板に降り立った。こうなってはもう仕方ないかと清志達も船内の調査に加わる事となった。
数人の船員と、先に上がった2人。そして清志と愛花、茉莉に亮二の4人も参加し謎の豪華客船アドベンチャー号の調査が始まった。
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